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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 留学時の苦い思い出を糧に

すずさん・ 30歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 9年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:常勤講師 *非正規雇用・フルタイム
  • 期間: 9年(2014~2023年) 現在も勤務中
  • 月収:8万4,000円

私が日本語教師を目指したきっかけは、就職活動をしたくなかったという不純な動機からでした。

子供のころから外国や英語への憧れがあり、高校生の頃にカナダの高校へ単身で留学することになりました。しかし、想像していたよりも英語が理解できず、同級生と仲良くなって日本語を教えてくれと言われてもただ言葉を教えるだけで何も説明ができず、かといって英語もうまく話せずにとてももどかしい思いをしました。

高校を卒業し、特にやりたいことも決まらずに学費の安い専門学校の観光学科に入学しました。そこで講師をしていた先生に進路を相談したところ、日本語教師という職業があり、先生の知り合いが数年前に日本語学校を設立し、教師を募集しているということを教えていただきました。そして日本語教師という仕事を調べるうちに、たくさんの人と交流ができて英語も活かせる自分にピッタリな仕事だと思い、ヒューマンアカデミーの日本語講師養成講座で学びました。

日本語教師養成講座で420時間の講座を修了し、すぐに先生に紹介していただいた日本語学校に面接に行き、校長先生に模擬授業を見てもらいましたが、私の教案はまだメモの段階で、教案と呼べるものではないと言われてしまいました。しかし、授業の進め方や学生との対話の仕方はとても良いので、1週間授業見学をして、それから授業に入りましょうと言ってくださいました。校長先生の授業は私のものとは比べ物にならないほど細かく、学生に寄り添っている素晴らしいものでした。今でも教案を作る際は、校長先生の授業を思い出して作っています。

この日本語学校は主に北海道に観光に来た人をターゲットにしていて、最短で1週間のクラスもあります。私は他の学校と比べて選んでこの学校にしたわけではありませんが、老若男女問わず様々な国から来る人と接することができるので、本当に刺激が多く、楽しい学校だと思っています。

また、ただ真面目に日本語を勉強するだけでなく、北海道ならではのアクティビティに参加できる楽しく学べる学校です。アクティビティを引率するのは主にスタッフですが、教師も参加して学校で話さないこともよく話していました。中でも学生に人気なのが、週に一度みんなでランチを食べに行くというものです。

私自身がカナダへ留学した時に、学校から近い店でも自分の語学力に自信がないと入りづらくてあきらめてしまったり、行きたくても友達がいなくてやめるということがよくありました。ランチなんて簡単なアクティビティと思われるかもしれませんが、学生にとっては毎日の小さな自信の積み重ねであり、貴重な日本滞在の楽しみの一つになっていると肌で感じることができました。

また、他のクラスの人に共通点を教えて友達になるのを手伝ったりしている時は、この仕事をして本当に良かったと思える瞬間です。

約7年間この学校で働いていて、他の日本語学校から来た先生と接することもありましたが、この学校は本当に明るくて先生方も仲がいい、雰囲気がいい、という話をよく聞きます。日本語教師になったきっかけは曖昧なものですが、本当にこの学校に勤めることができてよかったと思います。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

他の教育機関と比較、検討はしませんでした。今働いている日本語学校は私の働きたい学校そのものだからです。働き始めたころから先生方は全員話しやすく、わからないことを聞いても快く教えてくれたり、使っている教材や小物を惜しみなく教えてくれました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

日本語を教えていて苦労したことは、英語が通じない学生に初めて教えた時です。

私が働いている学校では日本語を使って日本語を教え、基本的に英語は使わない、本当に困ったときは英語を使ってもいいという方針でした。私はある程度の英語はわかるため、初級の学生にどうしても説明できないときは英語を使って教えることがありました。

しかし、ロシアから来た初級の学生に教える際に、英語も日本語もわからず、文化も違うので言いたいことがなかなか伝わらずに苦労したことがあります。ときにはイラストを書いて伝えたり、イラストで伝わらない表現などはグーグルで検索したり、学生の伝えたいことはグーグルの音声検索などを利用してなんとか伝え合うことができました。

給与

給与:8万4,000円/月 ・常勤講師 *非正規雇用・フルタイム

私が働いている日本語学校は、時給1,400円であまり高いほうではなく、9:30〜12:20までの3コマで、月曜日から金曜日までの勤務です。また、月、水、金、は2コマプライベートレッスンがありますが、学生が少ない時期は全くないこともあります。なので、日本語教師のみで生活するのは難しいと思います。

私を含め働いている先生方はダブルワークの方が多いです。しかし、逆に言えば主婦の方や定年退職した方には働きやすい環境のようです。授業準備はもちろん自分でしなければなりませんが、カリキュラムは先生全体で共有していて月〜金で細かくやることが割り振られています。テストは週一回の小テストのみなので授業以外での業務はそれほど多くありません。

給与の詳細 情報を読む...

月収 8万4,000円

  • 時給:1,400円

待遇

  • 交通費

勤務時間

  • 1日3時間・週5日勤務

仕事のかけもち

  • かけもちしていない

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

私の日本語学校は少人数制で様々な国から学生が来るのですが、あまりにも文化や年齢に差があると、会話がかみ合わないときがあります。

70代のおしゃべり好きな学生と、10代のシャイな学生が同じクラスの時があり、その際は10代の学生が恐縮してしまって全然発話することができなくなっていました。私は何とか二人を仲良くさせるために休み時間にもよく会話するようにして二人の共通点を探し、できるだけ日本語でやり取りをさせるようにして何とか会話できるようになりました。

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主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス1~8人
  • プライベートレッスン

学習者層

  • 幅広い年齢層
  • 観光客

学生の主な出身地

  • アメリカ
  • その他

スケジュール管理で大変だったことは?

私は日本語教師を始めた当初、3コマの教案を作るのに7時間ほどかかっていました。その時はまだ教案作りのコツが分かっていなかったので、必死に調べて書き留めての繰り返しでした。

最初は自分の知識不足が原因だと思っていましたが、もう一度基本から見直し、養成講座で学んだ教案の作り方や、校長先生の授業を参考にして授業の基本を思い出し、それからは半分以下の時間で作れるようになりました。

教案を作る際に、例文をたくさん作れない、というのは始めたばかりの日本語教師にとって大きな課題です。私自身も同僚の先生も、教案を作っているうちにスランプのような状態になり、何も見ずに自分の力だけで考えようとしてしまうことがよくあります。

簡単なことのように思えますが、パソコンやノートに向かって必死になっていると自分だけの頭ではアイディアが浮かばずに固まってしまうことがあるのです。

そういうときには面倒くさがらず持っている資料に改めてきちんと目を通し、教科書や練習問題を参考にして例文を作ったり、口頭練習の参考にする、という方法が一番スムーズにできる近道でした。

また、私は校長先生の授業を生で見せてもらい、生徒数と受け答えにかかる時間を想定して1分単位で教案を作ること、できる学生が多いと早く終わってしまう可能性があるので、口頭練習はできるだけ多く書いておく、レベルに合わせて時間が余ったときのゲームや小話を用意しておく、などの細かい努力が本当に大切なんだと学び、参考にしています。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • Langoal
    みんなの日本語の教案の例、イラスト、課によってプリントがあります。イラストはみんなの日本語にのっているものよりも見やすく、色々な国の人が見ても共通で認識できるものが多いと感じました。語彙のイラストプリントは学生にとても人気です。切ってフラッシュカードのようにもできます。

教案作りで参考にしている書籍は?

就職活動

どのようにお仕事を探しましたか?

専門学校の講師に紹介していただきました。学校の方針やどのような雰囲気の学校なのかなどを重視して調べました。

実際に訪問した際にもホームページに載っているような雰囲気で、どんな学生が来るのか、これからどんどん学生を受け入れて、世界的に有名な日本語学校にしたい等の学校のビジョンを校長先生が丁寧に教えてくださったので安心でした。

面接で何を聞かれましたか?

面接では、他の学校や個人で日本語を教えた経験はあるかと聞かれました。
私は今の学校で働く以前は教えた経験はなく、直接外国の方に教えたのは3回ほどの模擬授業しかありません、と答えました。

面接自体も硬い感じではなく、会話形式で今までのアルバイトの経験などを話したので、あまり緊張せずに受けることができました。

注意した点は、あまり授業には関係ないと思われるかもしれませんが、清潔感や人に不快感を感じさせない見た目に気を使いました。
人と近くで長時間接する仕事なので、初対面でも安心感を持てたり、基本的にほかの面接でも言われているような、香水を使わない、派手な髪や服装は避ける、など気を付けたほうがいいと思います。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

みんなの日本語18課を30分ほど。
教案は時間の割り振り、教師の言葉、学生の言葉(想定して)をできるだけ細かく書くようにしました。

私は教案の出来があまり良くありませんでしたが、緊張していても自信をもって大きな声で明るく、学生に分かりやすくゆっくり話すことが大切だと思います。また、自分が習う側になった時をきちんと想像するといいと思います。

その他就職活動で有効な手段は?

  • 養成講座
    掲示板によく貼られていました。
  • 養成講座、大学の先生など
    実際に働いている方、働いたことがある方の紹介は安心できるものも多いです。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校や先生の雰囲気
  • 学校の教育方針
  • 学習者が多国籍

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

日本語教師全般に関する質問

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

年齢の近い学生が友達のように接してくれて、先生は一番の先生です、私の国に遊びに来てください、と言ってくれた時は本当にうれしかったです。

また、70歳のロシアの学生と10代のアルゼンチンの学生が仲良くクラスで話しているのを見た時など、この仕事を選んでいなかったら経験できなかったことや、絶対に出会うことがなかった人に出会えるのは本当に楽しいです。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

始めたころの準備が大変な時期は、本当にこの仕事を続けられるのか、と毎日不安になりました。自分がもっとちゃんと調べていればこんなに大変な仕事はしなかったのにと思うこともありました。

しかし、毎日必死に調べて文法が自分の中できちんと納得できて、予定通りに教えられたときに、自分のやり方は間違っていなかったと思えました。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

今後もできるだけたくさんの人と人をつなげられるような日本語教師になりたいと思います。
私が自身の留学で経験した、話したいけど話せない、間違えるのが恥ずかしい、など、一歩を踏み出せない学生を助けて、一生に一度の思い出を最高のものにする手伝いができる日本語教師になりたいと思っています。

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