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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 日本人であることに甘えず日々研鑽すべし

にゃんきゅうさん・ 60歳・ 男性 🧑 ・ 日本語教師歴 20年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間: 2年(2017~2019年) 退職
  • 月収:11万円

わたしは2000年から海外で15年程度日本語教師をし、事故による怪我と感染症の治療のため帰国し、退院した後、ハローワークへ行きました。ハローワークでは、すぐにこの学校の求人を見つけて応募しました。

授業は、週三回で午前中45分1コマの授業が4コマです。学生は、その学校での最上級クラスで、全員N2またはN1に合格しているレベルです。ときどき、休んだ先生の代講や短期学生の為の入門授業も行いました。

もちろん、この学校からの給料だけでは生活できません。しかし、わたしはインターネットで日本語の授業をしたり、別に資格を持っている心理カウンセラーとして、皆さんのこころの悩みに対峙してきました。そのこともあり、総合的には何とか生活できるようになりました。

上級レベル以上ですから、文型だけではなく、「こころ」「山月記」なども読解しましたし、「枕草子」などの古文も授業しました。そのため、授業や業務がない時間帯は、授業の準備やテスト作成をしました。

授業の組み立て方が難しく、細かく分割して小さなゴールを設定し、間延びしない授業を心がけました。また、想定される質問や作品の背景についても事前に準備しておくようにしました。

しかし、その分、自分の学術的スキルも向上したと思いますし、達成感もあり、同じ内容の授業を学期ごとに繰り返すのではないため、新鮮感もありました。

日本人ですから日本語が出来るのは当然です。しかし、教えるために、さらには学生からの質問にわかりやすく答えるためには、日本語教師も日々研鑽する必要があると思います。これは、言葉だけではなく、日本文化への理解にも努力していきたいものです。また、外国語を習得する苦労などを理解するためにも、外国語にチャレンジして欲しいです。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

他の教育機関と比較や検討はしていません。事故と感染症による入院が終わって、ボランティアで教えていたのですが、リハビリが進んで回復して来たので、仕事を探しにハローワークへ行きました。すぐにこの学校を紹介していただき応募してすぐ決まったのです。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

上級以上のクラスでは、学生からの質問に対応するのが大変でした。文学作品も授業したので、作品や作者の背景も理解し、学生からの想定される質問にも事前に準備しました。

さらに、学生からのアルバイトや卒業後の生活に関する相談、人間関係のトラブルの相談もありました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

辞めたのは日本語教師が嫌になったとか、勤めている学校に不満があったわけではありません。数年前に事故で痛めた足が手術できるようになり、その準備をするのに、検査などが始まったのです。検査の前に長時間立ったり歩いたりすることが禁じられましたので、しかたなく辞職することにしました。

給与

給与:11万円/月 ・非常勤講師

この学校では、一人の教師に授業が集中すると、その教師が病欠などの際に影響が大きいと言うこともあり、非常勤講師に多くの授業を持たせないという方針のようでした。

そのため、もちろんこの学校からの給料で生活することはできません。他の学校でもはたらくことが必要でした。

その代わりに、責任の範囲も受け持つ授業と学生に限定されるので、授業とテスト問題の作成、採点に集中することが出来ました。交通費が以外と高かったのですが、それも考慮して出してくれました。

給与の詳細 情報を読む...

月収 11万円

  • 1コマ45分:1,900円

待遇

  • 交通費

勤務時間

  • 1日4コマ+180分 週3日勤務
  • 残業 残業なし

長期休暇中の給与保証

  • 給与保証がない

仕事のかけもち

  • かけもちしている 他1ヶ所
  • 日本語教師以外の副業に就いている

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

担当した学生のレベルが高かったので、現代文のみならず、古文の授業も行った。俳句や川柳を作ったりして楽しかった。

大変だったのは、学生からの質問が多く、しかもかなり答えるのが難しいものであったので、それに対応することです。その場で答えられない質問に対しては、持って帰って次回に答えます。しかし、あまりそれが多いと信頼されなくなっていくので、あらかじめ質問を想定して準備しました。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス10人

学習者層

  • 社会人

学生の主な出身地

  • 韓国
  • エチオピア
  • シンガポール

スケジュール管理で大変だったことは?

小テストの問題を常に2週間先まで作っておくようにしました。作業する曜日と時間と場所を決めて、その通りに実行するようにしました。

授業は午前9時からですが、8時前には学校に行って、講師室で採点などの作業をするようにしました。そのため、6時ごろの電車に乗るため早寝早起きしました。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

  • 月・水・木:9:00~12:30 上級クラスを4コマ
  • 日・火・金・土:教材作成をしていました。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語NET
    みんなの日本語の教案があります。他の教科書でも応用できる内容です。
  • u-biq
    オンライン日本語学習のページです。練習問題も多く掲載されています。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 直接法で教える日本語 対象:初級
    みんなの日本語の1課から50課を直説法で教える場合に参考として読んで理解しておきます。
  • どんなときどう使う日本語表現文型辞典 対象:全レベル
    読解のテキストの準備の際、JLPTなどで必要となる文型を授業で解説するために便利です。また、家に1冊、学校に1冊おいていました。授業中の学生の質問に対して、休憩中に調べて、続く授業で解説いたこともあります。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

日本語教師をしている時期に、怪我と感染症で入院し、それまでの学校を辞めました。

そして、退院して日本語ボランティアをしていました。その後、リハビリも進み、本格的に復帰しようとハローワークへ行ったら、偶然その学校の募集が目にとまったのです。

実際に面接に行ったら、とても感じがよかったので、採用されたらいいなと思っていました。そうしたら、採用の通知が来たのです。

面接で何を聞かれましたか?

それまでの経験についての質問が多かったです。私の場合は経験が豊富なので、教え方などについてはあまり聞かれませんでした。

また、怪我の回復具合なども聞かれました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

日本語教育能力試験合格以外に、わたしは英語と中国語で授業が出来ます。また、心理カウンセラー・行動心理士の合格および資格認定を受けています。学生の心の悩みや進路相談についても可能です。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 必須資格

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 大学 日本語教育主・副専攻

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

私の場合は、海外の学校にいたので、自然に日本語を教えるようになりました。やり出すと面白く次第にのめり込んでいったというのが実際の所です。

ただ、必須ではなかったですが、自己流はよくないので、日本語教育能力試験の準備を独学で行い合格しました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

学生から「日本語を勉強してよかった」「日本の大学に合格した」「修士論文が書けた」などの成功報告が一番嬉しいです。

また、留学生から「日本に来て先生に会えて良かった」と言われると、日本語教師をしていてよかったとこころから感じます。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

日本語教育能力試験に合格して下さい。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

日本語教育能力試験に合格することを強く勧めます。420時間の講習はあくまでも受験対策と考えるべきです。

日本語教師の資格について、2020年3月10日文化審分科会は「公認日本語教師」の国家資格創設が必要だとする報告書をまとめました。それによると、「資格を取得するには、(1)日本語教育能力の判定試験に合格(2)教壇実習を含む45コマ以上の教育実習の履修(3)学士以上の学位―を要件に掲げた」となっています。

今後日本語教師の要件は高くなると思われます。もし、無資格で日本語教師を始めても、続けられるかどうかの保証はありません。

現在であれは、420時間の講習を受けても、大卒でないと就職できない日本語学校も出てきました。現時点で大学等で日本語教育の必要単位等を取得していない人や大卒の学歴がない人が、確実に日本語教師なれるには日本語教育能力試験に合格することなのです。

わたしは、すでに10年以上の日本語教師の経験があったので、日本語教育能力試験の対策は独学でした。経験がない人が独学でこの試験に合格するのは、かなり厳しいです。

独学以外では、420時間の講習を受けて日本語教育能力試験に合格する方法がありますが、費用が20万円以上はかかるようです。通信教育なら、5万円台から10万円程度ですから、私は通信教育をおすすめします。

通信教育の内容をステップバイステップで全部学習してください。そして、過去問を練習すれば合格できるはずです。

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