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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 留学生達と向き合う苦労と楽しさ

Meiさん・ 27歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 6.1年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間: 2年(2018~2020年) 退職
  • 月収:24万円

日本語教師として働くといえば、まず国内の留学生対象の日本語学校を思い浮かべる人が多いのではないかと思います。留学生は主にアジア圏の学生で、日本語学校を経て、専門学校や大学に行き、日本で就職することを目標としています。つまり、日本語学校は、学生達の将来に関わる、とても大切な役割をしています。

そのため、日本語を教える以外に、出席率や成績の管理、進学準備などは非常に重要な業務です。特に、進学は早めに準備に取り掛かり、JLPTやEJUを受験しておく必要もあります。しかし、全員が自分でこの準備をできるわけではなく、志望校すら自分で決められない学生もいます。

そこで、入学当初から、学生達と面談を繰り返し、本人の希望や目標を明確にして、専門学校や大学の説明会に行かせる必要がありました。なぜここまでしなければならないのか、と悩むこともありましたが、自分のクラスの学生が進学できない場合、学校としても大きな問題になってしまいます。

そのような苦労の反面、若い学生達との関わりは本当に楽しいです。日本語学校では定期的な行事も多く、学生達とディズニーランドや動物園に行く遠足もありました。クラスの学生達が仲良くしているのは本当に嬉しいですし、今後の日本生活でも助け合えるような仲間を作って欲しいと思いました。

また、私の学校は若い先生が多かったため、和気あいあいとしており、常に相談しやすい雰囲気がありました。もちろん最低限の上下関係はありましたが、若い先生達で学校を作り上げていこうという雰囲気もあり、働きやすい職場でした。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

勤務先となった日本語学校の他には、いくつかの日本語学校、そしてインターナショナルスクールも検討していました。しかし、インターナショナルスクールは新たな求人が出ることは非常に珍しく、あったとしても待遇があまりよくありません。

そもそも英語を学ぶ学校では日本語の割合は少なく、最近では日本語教育よりも、インターナショナルスクールに通う日本人児童に国語を教える求人が多く見られます。そのため、国語の教員免許を持っていない私は、諦めざるを得ませんでした。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

日本語学校は、想像よりも遥かに、日本語を教える以外の業務が多いです。特に、担任クラスの学生達の出席の管理は非常に重要です。遅刻や欠席が多いと、ビザ更新はもちろん、進学にも影響が出てしまいます。そのため、毎回遅刻や欠席をした学生に連絡を取り、厳しく指導する必要がありました。

このような学生達の遅刻や欠席の感覚は、文化の違いも大きく影響しています。特に温暖なアジア圏では、時間への意識が非常に低く、少しくらいの遅刻は誰も気にしません。しかし、日本では1分でも遅刻の扱いになってしまい、それが続くと大きな問題になります。その時間への感覚を理解してもらうことが本当に大変でした。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

日本語学校での勤務はやりがいもあり、日本語教師としても大きく成長することができました。しかし、2年ほど仕事を経験した頃から、もう少し違う対象者に日本語を教えたいと思い始めました。

日本国内の留学生の多くが、進学を目的としていますが、最近のアジア圏の学生は、生活のために長時間アルバイトをしており、学校での勉学を疎かにする学生も多いです。

そのため、クラスで日本語を教える際にもあまり手応えを感じないことも多くありました。一方的に授業をするのは精神的にも辛く、気分が滅入ることもありました。もちろんそんな学生が全てではありませんが、私は長く続けることができないと感じてしまいました。

給与

給与:24万円/月 ・専任講師 *正規雇用

日本語教師としての一般的な給与と比較すると、かなり平均的な待遇だったと思います。しかし、この待遇では家族を養うことはもちろん、一人暮らしもかなり厳しいのではないかと思います。私の学校は家賃補助がなかったので、一人暮らしの先生方はかなり大変そうでした。

長く働いていくと副主任や主任になり、給与も上がると思います。また、私は担任クラスが3クラス分で3万円の手当がついたので、それでなんとか手取りが20万円に到達するくらいでした。ほとんどの先生がこの待遇に不満を持っていたと思いますが、他の日本語学校とも大差がないので、目を瞑らなくてはならない部分だと思います。

給与の詳細 情報を読む...

月収 24万円

  • 基本給:20万円
  • みなし残業:1万
  • 担任手当:1万

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 雇用保険・労災保険
  • 社会保険
  • 健康診断
  • 残業代
  • 育児休暇
  • ノー残業デー

勤務時間

  • 1日8時間 週5日勤務
  • 残業 1ヶ月合計10時間

長期休暇中の給与保証

  • 勤務している教育機関で給与が発生する仕事がある

仕事のかけもち

  • かけもちしていない

給与や待遇面でおすすめできる、国内のその他教育機関を教えて下さい。

国内で働く場合、日本語学校よりも専門学校の方が待遇がいい場合もあります。私は専門学校での勤務経験はありませんが、給与や待遇も日本語学校よりも良いイメージがありますし、ある程度学習意欲のある留学生達が集まっているという印象もあります。

専門学校で働く場合、最近ではIT系の知識が重宝される場合もあります。現在IT系の専門学校に通う留学生が多いため、日本人の学生と分けて授業をする学校が増えているからです。そのため、IT系の専門知識と、日本語教育の知識、どちらも兼ね備えている教師が求められています。専門学校によって、ビジネスや法律の知識が重宝される場合もありますし、様々な知識を活かすことができます。

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

私が勤務していた学校では、中国人と韓国人の漢字圏クラス、その他ベトナム人やネパール人の非漢字圏クラスの2つに分かれていました。

漢字圏クラスはやはり理解度も早く、漢字の学習もさほど苦労せずにこなせる学生がほとんどでした。また、中国人は多くの学生が放課後に塾に通っており、日本語の授業も受けているので、授業に置いてかれる学生はほぼいませんでした。しかし、非漢字圏の学生達の場合、アルバイトの追われて自習する時間も少なく、授業につていけなくなる学生が非常に多く、とても大変でした。

私の勤務校では、全クラスでパワーポイントでの授業を行っていましたが、スライドは板書よりもテンポよく進んでしまうため、じっくりメモを取れない場合もあります。そのため、パワーポイントに加え、紙での教材も使用することにしました。

具体的には、動詞の活用表や助数詞の表など、授業中に常に前に貼っておき、確認できる状態にしました。
※写真は実際に使用した紙教材です。

そうすることで、いちいちスライドを戻さなくてもよくなり、少し理解が遅れている学生でも、授業に参加しやすい環境を作りました。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス20人

学習者層

  • 大学生
  • 社会人

学生の主な出身地

  • 中国
  • 韓国
  • ベトナム
  • ミャンマー
  • ネパール
  • スリランカ

スケジュール管理で大変だったことは?

最初の頃は、授業の準備がなかなか終わらず、帰宅後に夜遅くまで取り組んだり、休日も時間を割いて準備をすることもありました。だんだん授業に慣れてくると、効率よく準備ができたり、一度教えたことがあれば教案のストックができるので、少しずつ楽になりました。

しかし、授業以外でも、担任クラスを持っている場合、休日や夜間にも学生対応に追われることは珍しくありません。時には緊急を要することもあり、勤務時間外もケータイのチェックは欠かせませんでした。そのため、最初はプライベートとのオンとオフができず、本当に辛かったです。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

  • 月:9:00~12:10 初級クラス4コマ・午後 授業準備と学生対応
  • 火:9:00~12:10 初級クラス4コマ・13:00~16:10 中級クラス4コマ
  • 水:9:00~12:10 初級クラス4コマ・午後 授業準備と学生対応
  • 木:終日授業なし 授業準備と学生対応、その他業務
  • 金:9:00~12:10 初級クラス4コマ・午後 授業準備と学生対応
  • 土:1日休み
  • 日:時々自宅で授業の準備あり。1〜2時間ほど。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語NET
    教案が検索できるサイトです。初級から上級、N1からN5などほぼ全てを網羅しているため、見つからない教案はありません。文法の解説も豊富なので、日本語教師として経験が浅い方にお勧めします。
  • 日本語教師のN1et
    一般の日本語教師の方が書いているブログですが、細かく教え方のコツが書いてあります。フラッシュカードの作り方や、板書の方法など、誰も教えてくれない豆知識が学べるサイトです。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き 対象:初級
    ほとんどの学校で使用されている、みんなの日本語の参考書です、最初はこの本を使うことで基本的な教え方がわかりやすく学べると思います。教科書と対応しているのでとても使いやすいです。この本をベースに、他の教材やサイトを参考にするのが良いと思います。
  • くらべてわかる 初級 日本語表現文型ドリル 対象:初級
    教え方というより、基本的な日本語の知識を身に付けることができます。助詞の「が」と「は」の違いや、自動詞と他動詞の違いなど、日本人にも難しい細かな違いを学ぶことができます。いつか必ず学生から質問されるであろう内容が盛り沢山で、読んでいて損はないと思います。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

国内での就職を希望した段階で、日本語教師の求人サイトからいくつか検討し、応募しました。何校か履歴書を送り、面接や模擬授業をしました。この学校のは模擬授業と面接が同日で、その場で内定をいただきました。

いくつかの日本語学校で面接をしましたが、自宅からのアクセスと教室の設備が決め手でした。教室の設備に関しては、パワーポイントで授業ができるかを重視しました。黒板しか使用できない場合、教材のプリントや作成で非常に多くの準備時間を要するからです。そのため、効率よく働ける環境かどうかを判断しました。

面接で何を聞かれましたか?

面接では、今までの日本語教育経験について重点的に聞かれました。場所、対象者、教授方法、担任業務の経験の有無などです。

かしこまった面接という形ではなく、担当者とカジュアルに話せる場だったので、あまり緊張せずに話すことができました。面接とはいえど、こちらも働く場所を決める大切な機会なので、どんどん質問し、不明確な部分は掘り下げていく必要があります。特に日本語学校は、待遇の良し悪しが様々なので、しっかり納得してから就職を決めることをお勧めします。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

みんなの日本語のひとつの課を指定され、練習Aから練習Cまで全て行いました。

気をつけた点は、未習語彙を入れないこと、わかりやすい導入にすることです。また、ネットや指導書によくあるような似たような教案ではなく、なるべくオリジナルの内容にするように心がけました。

板書に関しては、あまり計画せずに臨んでしまったので、当日かなり戸惑ってしまいました。ホワイトボードのどの辺に書き、どのタイミングで消すかも意外と見られていました。細かい部分ですが、しっかりと頭の中でシュミレーションしておくことが重要だと感じました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

国内で日本語教師をする場合、日本語以外の語学力はあまり必要ではありません。しかし、例外として、国内に住む会社員に日本語を教える場合、ビジネスレベル程度の英語力を求められることがほとんどです。それらはほぼプライベートレッスンになりますが、日本語学校以外で働きたい場合、選択肢としては可能性があると思います。

また、国内のインターナショナルスクールで日本語を教えることもできますが、高い英語力に加え、教員免許や保育士免許も必要です。それと日本語教師の資格を組み合わせることで、様々な現場で働くことが可能になります。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • そうがくしゃ
    国内外の求人が掲載されている。特に国内求人はよく更新されているため、頻繁にチェックすることをお勧めする。
  • Indeed
    誰もが知っている求人サイト。「日本語教師」などのキーワードと希望条件を設定し、通知が来るようにしておけば、最新の日本語教師の求人がすぐに届くようになる。

その他就職活動で有効な手段は?

  • SNSでの繋がり
    SNSで日本語教師をしている人に直接コンタクトを取ると、勤務先を紹介してもらえる場合がある。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 教材や設備が整備されている
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 大学 日本語教育主・副専攻

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

学生時代にアメリカ留学をした際、初めて日本語教育という存在を知りました。自分が自然に話している言語が学ばれているのがとても不思議に感じたのと同時に、非常に興味深く思いました。

そして、国内の大学で言語学を学べる学部に入学しました。そこで、日本語の仕組みや文法の構成を学ぶうちに、それを専門職にしたいという気持ちが大きくなりました。そして、同大学で日本語教育を副専攻として学び、現在に至ります。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

日本語教師は、日本語を教えることで人の役に立っているということが目に見えてわかりやすい仕事だと思います。特に、その人の人生に関わる場合も多く、いろいろな場面でやりがいを感じます。

例えば、担当している生徒の進学、就職など、大きな場面で日本語の知識が非常に重要になります。責任も大きいですが、結果として現れた時の喜びも大きいです。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

私がお伝えしたいことは、すぐに日本語教師にならなくても良い、ということです。私は卒業後にすぐに日本語教師になりましたが、一度専門職につくと、他の職種に転職することが難しくなる場合があります。

それに、日本語教師は日本企業での経験が非常に重宝されるため、大学時代に日本語教師の資格を取り、その後企業で勤務した後で日本語教師に転職することも一つの道だと思います。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

最近は副業としてできる日本語教師の仕事が流行っています。主にオンラインのレッスンで、夜間や休日に1、2時間だけすることもできます。高い報酬は期待できませんが、資格が不要な場合もありますし、まずはお試しで日本語教師の仕事をしてみるのが良いと思います。

それを本業にしたいと感じたら、養成講座に通ったり、日本語教育検定試験の受験をお勧めします。

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