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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 日本語教師の力をつけることができました!

mamiさん・ 34歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 4.5年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間: 3.5年(2019~2022年) 退職
  • 月収:20万円

もともとは一般事務として働いていました。給与面に不満はありませんでしたが、毎日毎日同じ業務ばかりで、このまま年を重ねていくのは嫌だと思い、転職を決意しました。
幼い頃から読書が好きであったことと、外国の文化に興味があったことから日本語教師になろうと思いました。

最初は実習生・留学生をともに受け入れている日本語学校で非常勤講師として働き、次に留学生を対象とした日本語学校で専任講師になりました。経験が少なかったので、あまり選り好みせず、募集の多かった日本語学校を選びました。

専任講師として勤めた学校は、あいさつを言うにも一苦労の初級者から、ほとんど日本人と変わらないレベルの上級者まで幅広い留学生がいました。クラスはレベル別になっており、私は色々なレベルのクラスで授業をしていました。

大変だったのは来日後すぐはどのクラスでも、同じ教材(「みんなの日本語」)を使ったことです。ですから同じ課をやるにしても、同じような授業をしていてはいけませんでした。まだ日本語に慣れていないクラスでは、とにかく楽しく元気に声を出して、日本語でのコミュニケーションが楽しいものだと感じてもらうようにしました。

上級者のクラスでは、文法の説明を学習者にしてもらったり、教科書以上の練習問題を準備するようにしていました。またどうしても上級者のクラスでは、初級の教科書のロールプレイはつまらなく感じてしまうので、ミッションを増やしたり、小物を準備してその役になりきってもらうなどの工夫をしました。

大変なこともありましたが、日本語学校は日本語教師としての力がつく場だと感じました。様々なクラスを経験したことで、1つの教科書、1つの課で色々な授業のやり方をすることができるようになりました。その結果、どのような場面でも落ち着いて対応することができるようにもなりました。

色々なレベルの学生がいる日本語学校を選んだことで、事務職の頃には考えられなかった自分に出会うことができました。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

大学で教えるためには大学院を卒業していることが必要で、企業やプライベートレッスンをしているところは英語や他の言語が必要なところが多かったです。私はどちらの資格・能力もありませんでしたので、消去法で日本語学校で働くことにしました。日本語学校は、私のように日本語教師養成講座を経て勤めている人も多かったので安心して入ることができました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

クラスの雰囲気によって、効果的な学習方法が違うところに苦労しました。

特に、「覚える」習慣がない学習者が多いクラスでは、その場の授業は楽しくできるのですが、次の時には全く覚えていないことが常でした。そのようなクラスの場合には、毎時間授業の最初に前回の授業内容の小テストを行うことにしました。

しかし、当然のことながら覚えてこないので、0点や1点といった点数をとるか、カンニングをするかのどちらかになってしまいました。そのため、次は小テストをする前にざっと前回の内容を復習して小テストをするようにしました。すると、「勉強すれば点数がとれるようになる」ということが分かり、徐々に休み時間にも勉強する学生が増えていきました。だんだんと小テスト前の復習時間を減らし、学生が「覚える」習慣をつけていくことで、学習効果を高めることができました。

上記は、覚える習慣がないクラスについての例ですが、他にもJLPT対策しかやりたくないクラスや、作文は書きたくない学生が多いクラスなど様々でした。学生の表情を見ながら、あの手この手で戦略を練りながら授業を作っていくのが大変でした。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

退職理由は、お給料面です。面接の際には、昇給があると説明されたのですが、コロナ禍の影響もあり、昇給どころかお給料が減ってしまったためです。空いた時間で副業ができればよかったのですが、常勤講師は禁止されていたのでフラストレーションがたまってしまいました。

また、一旦この仕事から離れても、資格を持っていれば、どんな形であれまた日本語教師として働くことができると思ったので一度退職することにしました。

給与

給与:20万円/月 ・専任講師 *正規雇用

独身で実家に住んでいる場合や、結婚をして主な収入を配偶者が得ている場合には問題なく生活できると思います。実際に私が勤めていた学校にいた専任講師の方はそのどちらかでした。
一人暮らしは、できなくはありませんが節約しながらになると思います。

授業準備や採点などの持ち帰りは多いです。特に進学の時期になると個別の進学指導をしなければならず、勤務中にできないことがほとんどでした。中には、勤務内で終わらせている方もいらっしゃいましたので、工夫次第かもしれません。

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月収 20万円

  • 基本給:20万円

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 雇用保険・労災保険
  • 社会保険
  • 健康診断

勤務時間

  • 1日8.5時間・週5日勤務
  • 残業 学校での残業はほとんどしませんでしたが、自宅での授業準備や採点に毎日平均1時間程度かかっていました。

長期休暇中の給与保証

  • 勤務している教育機関で給与が発生する仕事がある

仕事のかけもち

  • かけもちしていない

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

日本語学校ではハプニングがよく起こります。念入りに授業準備をしていったのに
・前の課が全然理解できていなくてほぼ前の課の復習で終わった
・非常勤講師の方が突然来られなくなってしまった
・持ってくるように言ったプリントを誰も持っていない
など例を挙げれば、枚挙にいとまがありません。

基本的に、自分の思った通りにいかないと思っておくようにしていました。むしろそれを楽しむぐらいの余裕を持っているといいと思います。学校によるとは思いますが、基本的に「何が何でも絶対に今日これをしなくてはいけない!」というものはないと思うので、何かあれば他の先生に相談して、その時にできることをするようにしていました。

ただ、準備としてできることはやっておくようにしました。
・自分の課の前後の文法事項を確認しておく
・今日やる文法事項の練習問題をできる限り準備しておく(授業で使う予定はなくても)
・授業内容とは関係ないけれど、何かあったときのために自分の担当クラスのレベルにあったゲームや動画を探しておく
などをしました。

また、もし誰もプリントを持ってこなかった、など印象的なことがあれば「みんながプリントを持って来なかった時にやったあの文法だよ!」とより強い印書付けができたりするので、かえってよく覚えてくれるということもあります。

その時は、予想外の出来事にあたふたしてしまいますが、事前の準備で心に余裕を持ち乗り越えたことで終わってみれば楽しかったなと思います。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス20人

学習者層

  • 大学生
  • 社会人

学生の主な出身地

  • 中国
  • ベトナム
  • ネパール

スケジュール管理で大変だったことは?

基本的には、平日9時から18時の勤務、自宅で1時間程度予習や採点をする、という生活だったので慣れてしまえばそんなに大変だとは思いませんでした。

ただ、学習者が事故をしてしまったり、コロナに罹患してしまったりなど、休みでも連絡が来ることがありました。事務スタッフも手伝ってくれますが、教員が対応しなければならないこともありました。

あとは、進学の時期になると勤務時間だけでは足りず、帰宅後や休日に志望理由書のチェックをしていました。早め早めから取り組ませることが大切だと思います。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • つなぐにほんご
    「つなぐにほんご」の絵カードが無料でダウンロードできます。私が勤めていた学校の初級は「みんなのにほんご」を使っていたのですが、同じ文法項目を探して会話練習に入れました。初級を担当する方におすすめです。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 日本語の教え方の秘訣―「新日本語の基礎1」のくわしい教案と教授法 対象:初級
    「みんなの日本語」を使っている方におすすめです。これは、「みんなの日本語」の前進の教科書の教員用です。「みんなの日本語」にも教員用の本はありますが、こちらはさらに丁寧な内容です。初めて授業をされる方は、こちらの練習方法を参考にしてみるといいと思います。内容は少し変わっているので、あくまでも一例として見るのがおすすめです。自分が実際に授業をしているイメージが湧きやすいと思います。
  • マンガで学ぶ日本語表現と日本文化―多辺田家が行く!! 対象:全レベル
    留学生が日本でホームステイをして、日本の文化に触れていく漫画です。初級の学習者でも読むことができますし、上級の学習者でも知らないところがあるので、どのレベルの学生でも楽しむことができると思います。 私はお花見や年末年始などの行事がある時には事前に授業で取り扱い、理解を深めてもらうのに使用しました。 また、日本人にとっては当たり前ですが外国人の方にとっては面白いと感じられることが題材になっているので、急に予定していたことができなくなってしまった場合でも、予習をしていなかったとしても対応できると思います。

就職活動

どのようにお仕事を探しましたか?

日本語教師養成講座が主体となった学校説明会で、複数の学校の話を聞き、実際に見学させてもらい決めました。

見学する際のポイントとして、教科書などの教材を自分で買うのか学校が用意してくれるのか確認しました。複数のクラスに入る場合、教科書は何冊も必要になります。自分で買ってください、という学校もありました。

大切ではないかもしれませんが、お手洗いが学生と共同、かつ男女一緒のところもありました。人によっては気にされる方もいると思いますので、お手洗いを借りてみるといいと思います。

面接で何を聞かれましたか?

質問事項は一般的なものだったと記憶しています。普通の受け答えができれば問題ないと思います。

私が面接で大切にしたのは、授業をしているイメージを掴んでもらえるよう大きな声ではきはきと答えるようにしたところです。

最近は、授業でパソコンやタブレットを使ったり、引継ぎをオンラインでするところも多いと思いますので、それらの能力があることもアピールポイントだと思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校や先生の雰囲気
  • 教材や設備が整備されている

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

日本語教師全般に関する質問

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

日本語を通じて、異なる国の学習者がコミュニケーションをとっているのを見た時、嬉しく思いました。教科書の内容を教えあっている時や、雑談している姿を見るのも微笑ましいのですが、特に授業で取り扱ったテーマについて休み時間も自主的に議論をしている姿を見たときは、日本語教師をやっていてよかったと実感しました。

私が彼らの興味を惹けたということの達成感もありますし、学習者が自分の意見を日本語で言えるようになったという成長を感じることもできました。またそれ以上に、他の人が言った意見を取り入れ、視野を広げていくことができていると思うと、彼らの留学の意味があったと感じます。

言葉を勉強するだけなら、国にいてもできることなので、日本に来て、日本人や他の国の人の考え方を知り、さらに自分の考えを深めていく姿を見られたときは、本当にやりがいのある仕事だと感じました。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

他の方に日本語教師として働いていると話をしたときに、嫌な顔をされた時、辞めたいと思いました。

保守的な地域に住んでいるということもあり、外国人に対するイメージがよくなく、「なんでそんな仕事をしているの?もっと日本人の役に立つ仕事をしなさい」と言われたこともあります。仕事内容や外国人のことについて理解を深めてもらおうと説明をしても、理解には至りませんでした。

日本語教師と聞いて「かっこいいね!」「楽しそうだね!」と言ってもらえることの方が多いですが、一部の方からは理解されないこともある仕事だと感じました。日本に住む外国の方への理解が進むような活動ができたらなと思います。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

私は日本語以外の言語ができるわけではないので、学習者の苦労や喜びが分かっていないところがあると思います。他の言語を習得する過程での、効果的な学習方法や、挫折経験を実感できたらもっとよい教師になれるのではないかと思っています。

また、色々な言語の構造や特徴を知っておき、その違いから説明できるようにもなりたいです。

外国語学習が今の自分にとって必要だと思いますので、さらにパワーアップして日本語教師の仕事に戻りたいと思います。

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