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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 学生の目線を持つことが授業づくりのコツ

あーしゃんさん・ 28歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 4年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間: 2年(2018~2020年) 退職
  • 月収:20万円

日本語教師の前は映画宣伝をしていましたが、激務から退職し、大学の副専攻で日本語教師の資格を取得していたことや、外国人と関わるのが好きということで日本語学校で働くことにしました。

最初は「教師」になることに自信が無く、事務職で求人を探していました。しかし、面接の際、資格を持っていることについて触れられ、教員が不足しているということで、専任講師として勤務することになったのが日本語教師になったきっかけです。

初めてのクラスはスリランカの学生が多く、陽気でなかなか授業にならずクラス運営で苦労しましたが、特技を活かして、絵を描いて説明すると学生が笑ってくれて、少し前のめりになりました。

それからは、自分が学生だったら自分の授業が楽しいかどうか、学生目線になることを心がけるようになりました。パワーポイントで文型導入する際、少しでも興味を引き出せるようアニメの画像を入れたり、文型が使われている歌を紹介したり、日本文化のビデオを見せたりして単調にならない授業をするようにしています。時間が余れば学生の苦手な漢字をクイズにしたり、学生の国の文化についてフリートークもしていました。

また、学生からの質問には遅くても次の日には必ず答えられるようにすることも気を付けています。言葉の使い方や意味の違いを教えた時の「なるほど!」という表情がモチベーションになり、この仕事をしていてよかったと感じます。

最初の学校は2年程で退職し、その後は日本語学校と専門学校を掛け持ちすることになりました。同じ仕事でも学校や学生が変わるとまるで違う仕事であるかのように雰囲気がガラッと変わり、転職していろいろな学校を知れたこともとてもいい経験になりました。

授業の準備はかなり時間がかかりとても大変ですが、学生が楽しそうに授業を聞いてくれる様子がやりがいです。やりたいと思って始めた仕事ではありませんが、今ではこの仕事以外には考えられないほど私の天職だと思っています。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

就職活動中にいくつか日本語学校を受けましたが不採用が続き、最後に面接を受けようと思っていた学校だったことを理由にこの日本語学校に決めました。

専門学校などでも留学生向けの日本語の授業が行われていることを知らなかったので、他の教育機関との比較や検討は特にしませんでした。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

日本語教師として苦労したことは授業の準備の大変さです。専任講師時代はほとんど毎日午前も午後も授業が入っていたため、家に持ち帰って授業の準備をしていましたが、学生が卒業して在校生が少なくなると空き時間を利用して学校で授業の準備ができました。新しい職場で非常勤になってからは、当然家に持ち帰って準備をしなければならないので、土日もつぶして家にこもり、ひたすら準備をしていて、現在も苦労しています。

また、授業中に携帯を見る学生の対応にも苦労しました。取り上げたりしつこく注意したりすると、学生との関係の悪化にもつながってきてしまうので、なるべく机間巡視したり、問題を当てて答えさせるなどして携帯を見る隙を与えないように注意していました。

戸惑ったことは学生がノートを取らないということです。日本の学校では板書をノートに書きとることが一般的ですが、留学生はほとんどノートに書くことはせず、教科書に書き込んでいたり、スマホで写真に撮っていました。時代の違いもあると思いますが、個人的に書いて覚える習慣があるので少し戸惑いました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

多いときで学生数は50名ほどいましたが、もともとかなり小規模な学校だったことや、おそらく学生募集がうまくできていなかったこともあり、40名ほどが一気に卒業した後は在校生が10名ほどになってしまいました。さらにコロナウイルスで学生が入学できず閉校することとなってしまったので退職しました。

給与

給与:20万円/月 ・専任講師 *正規雇用

基本給は最初は18万円で手取りは16万円程度、その後昇給し基本給20万円になり、手取りは約18万円となりました。

手取り16万円のときは実家に住んでいたので、生活費等はあまり考えていませんでした。その後、昇給し、通勤時間がかなりかかっていたこともあり、実家を出ました。専任だったこともあり、日本語教師の仕事のみで十分生活が可能でした。

昇給前はほとんど毎日午前と午後どちらも授業を持っていたので、家に持ち帰って授業の準備をしていて、お給料のわりに少し大変でした。昇給後、授業が午前のみになり午後に学校で授業の準備の時間が取れたのでお給料に見合った勤務となり少し余裕が出ました。

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月収 20万円

  • 基本給20万円

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 雇用保険・労災保険
  • 年間昇給

勤務時間

  • 1日8時間・週5日勤務
  • 残業 基本はありませんでしたが、稀に1~2時間程度事務作業補助で残業をしました。

長期休暇中の給与保証

  • 仕事はないが、給料は支給される

仕事のかけもち

  • かけもちしていない

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

クラス運営で大変だったことは、クラス内の大きなレベルの差です。入学後に一応の形としてクラス分けテストをしましたが、人数が少ないこともあり、実際はレベルチェックのようなものでした。

中国人10名ほどのクラスでしたが、N5~N2までのレベルの学生が一つのクラスにいて、授業は初級から始まるのでレベルの高い学生がつまらなそうに授業を聞いていたり、学校とは別の学習塾の問題をやっているのを見ることが辛かったです。

足並みをそろえることが難しいくらいに、入学時ですでにレベルの差がひらいていたので、N5レベルの学生には問題を当てるのではなく、とにかく本文を読ませたり、理解している学生には問題を答えてもらったりしていました。

また、宿題の提出率の悪さにも苦労しました。遅くなってもいいから、必ず提出物は出すように!という掲示物と、エクセルで表を作り提出状況一覧を教室に貼り出して学生に緊張感を持たせ、解決しました。

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主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス6~20人

学習者層

  • 学生
  • 社会人
  • 幅広い年齢層

学生の主な出身地

  • 中国
  • ネパール
  • スリランカ

スケジュール管理で大変だったことは?

上記にもあった通り、ほぼ毎日午前と午後の授業を担当していた時期があったので、帰宅後、休日も授業の準備に追われていました。他の先生が授業に入っている時間を利用したり、休日にできるだけ先の授業の準備まで進めてしまうようにして乗り切っていました。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語教師は見た!
    カテゴリーとしては文型や教案ですが、イラストが独特で面白いので私はイラストの参考に利用していました。教材を作りたい人におすすめのサイトです。
  • Megane Japanese Teacher
    文型、教案の教え方を動画で見せているYoutubeチャンネルです。様々なレベルがあり、漢字や語彙などを教えているので幅広く参考になります。みんなの日本語の手引き以外に教え方の参考が必要な方におすすめです。手引きのように本ではなく、動画なので、実際に教えるならこんな風にすればいいというような授業のしかたのお手本にもいいと思います。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • TRY! 日本語能力試験 N3 文法から伸ばす日本語 対象:中級
    N5~N1までのレベルがある学習者向けの文法書です。授業でこの教科書を使うようにと指示があり、使っていました。文型を使用した文がはじめに書いてあったり、まとめの練習問題には文法だけでなく聴解の問題も含まれており、とても使いやすかったです。JLPTに向けた対策だけでなく、日々の授業で利用できると思います。私は使っていませんでしたが、手引書も別にあるようです。

就職活動

どのようにお仕事を探しましたか?

インターネットで「日本語教師 求人」と検索をしてヒットした学校のホームページを見て求人を探していました。もともとは日本語教師ではなく、事務員として求人を探していましたが、応募したのは5社ほどだったと思います。

就職活動をする上で気を付けたことは学校の雰囲気をよく調べることです。授業以外にもどんなイベントや日本文化体験がどのくらいあるかなどをホームページやブログやSNSで見て、学生や先生方の様子から学校の雰囲気を感じ取っていました。

面接で何を聞かれましたか?

はっきりとは覚えていませんが、話せる言語についてどの程度のレベルであるかを聞かれました。私の場合、履歴書にTOEICと英検とHSKを資格欄に表記していたので、英語と中国語のレベルについて質問され、英語は日常会話程度は話せますが、中国語はほとんど話せないことを回答しました。

当時勤めていた学校は、スリランカ人の学生が多く、日本語力がまだ乏しい学生もいたので、入管の資料作りや学生の生活指導など授業外の事務的なやり取りが必要な際に、英語で通訳のような役割ができるかどうかということ。また、理事長、校長、事務局長の方が中国人だったので、学生以外に先生方と日本語と中国語の両方を使いコミュニケーションがとりやすくなることが目的での質問だったのではないかと思います。

面接を行う上で注意したことは、できるだけ日本語教育を取り巻く現状についてよく理解しておくことです。入管や学生のビザなど、留学生には背景に様々なニュースや問題があります。理解が深いほど面接で話が広げられ、面接で聞かれることがなかったとしても、日本語教師の仕事をしている中で役に立つ知識だと思うので、日本語を教えること以外にもそういったことに関心を持って事前に調べておくといいかと思います。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

模擬授業では『みんなの日本語』から好きな課を選んでくださいという指示があったのですが、私はお任せしますと答えたので33課の「~と言っていました」と「~と伝えていただけませんか」を行うことになりました。時間は20〜30分程度でした。

教案は様々なサイトや手引きを参考にして、図解などを白板に書くなどして視覚的な情報も入れるようにしました。学生の発言数が少ないとフィードバックがありましたが、図解が分かりやすかったようで、評価されたポイントだったと思います。

説明は長くしないようにして、小さいことでも質問をたくさん入れて学生と教師の発言は7対3くらいの割合で教案を作るといいと思います。生徒役が先生であっても、恥ずかしがらずに学生と思い込んで割り切っておおげさに動くことも大事です。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • サポート体制がある
  • 学校や先生の雰囲気
  • 教材や設備が整備されている

応募時に必要とされた資格

  • 大学 日本語教育主・副専攻

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

日本語教師全般に関する質問

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

日本語教師をやっていてよかったと実感する瞬間はたくさんありますが、日々の授業の中で学生が楽しそうに授業を聞いてくれる時は特にやりがいを感じます。そのために毎回の授業に工夫を重ねることは必要で、とても大変なことですが、新しいやり方を試してみたときに学生がいい反応をしてくれると、準備を頑張った甲斐があると思えます。

自分のクラスではない学生が私にわざわざ分からないことを質問しに来てくれたこともとても嬉しかったです。

また、他の先生方から授業の内容やプリントなどの作成物を褒めていただき、「たくさん準備してますね」「先生のプリントを見て、私も感化されています」と声をかけられたことがあり、そのことも頑張るモチベーションにつながりました。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

日本語教師は私にとても合っている仕事で、今まで辞めたいくらいまでは思ったことはありませんでしたが、学生が授業を聞かないときや、課題をしてこないとき、出席予定だった進学説明会に多くの学生が自己都合でキャンセルした時はかなり辛く、学生とのコミュニケーション不足を感じました。

ほどよく厳しく、ほどよく甘くすることが必要ですが、いまでもその尺度が難しいと思っています。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

学生から頼られる教師になりたいと思います。

進路指導をしたことがあるのですが、あまり経験が無かったので、ベテランの先生がほとんど助けてくださり、学生たちも私よりその先生を頼っている様子だったのが感じ取れて、申し訳ない気持ちと悔しい気持ちになりました。進学についてはまだまだ知識が浅いので、専門学校や大学などのレベルや名前などもしっかり勉強していく必要があります。

今後、どんどん経験を積んで授業だけでなく、日本の生活、進学、様々なことで学生から困ったときに真っ先に相談されるような教師になりたいと思っています。

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