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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 毎日が発見の連続で刺激的!給料面が要課題

もっちさん・ 36歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 4.4年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:常勤講師 *非正規雇用・フルタイム
  • 期間: 3年 *現在は同校にて非常勤講師として勤務中(2016~2018年) 現在も勤務中
  • 月収:24万5,000円

日本語教師は毎日様々な発見があり、とてもワクワクする仕事だと思います。

「日本語を教える」というより、「日本語を媒介にして、お互いの気持ちを伝え合い、一緒に課題を解決していく」仕事。関係性は教師と学習者という上下のイメージではなく、個人と個人という対等のイメージです。

とにかく細かいコミュニケーションが求められると思うので、人と接する仕事が好きだとか外国人と接したい方にはおすすめです。

外国人と接する仕事といっても、他の職種と違います。同僚の中には、教室で相手の母語を使ってコミュニケーションをとろうとする方がいましたが、「日本語が覚えられない」とクレームになりました。日本語教師は自分の能力を前面に押し出すことよりも、相手の能力を引き出す力が重要です。

「日本人は私の話し方をかわいいと言います。なぜですか?」とよく質問されます。
学習者は最初は日本の子供みたいな話し方です。日本人がその影響を受けてしまい、成人している学習者に対しても子供と接するように話してしまう…教師は特に注意しなければならない点です。
毎日小さなコミュニケーションの中に、はっとさせられる発見がたくさんあります。

入社後すぐに苦労したのは進路指導です。日本語学校にいる学習者の多くが進学希望なので、進学に必要な情報はある程度知っておく必要がありました。時々顔を合わせて挨拶をするだけの学習者が突然「志望理由をチェックしてほしい」とメモを渡してくることもありました。(写真あり)

金銭面ではまだまだ不満な点も多いです。学校にいるときは学習者の個別対応にも時間を割き、採点や作文チェックなど細かい仕事が間に合わないときもあります。

しかも今まで日本語学校ではそこに手当が発生せず、自宅で業務に追われている教師が多くいました。少し改善されましたが、求められている能力に対しての評価=お給料はまだまだ少ないので、業界の課題だと思います。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

同県内の民間の日本語学校で比較すると、お給料や待遇はどこも似たようなものでした。少し違うなと思ったのは、学習者の国籍の多さでした。

ときどき中国人やベトナム人だけで構成されている日本語学校なども見かけましたが、まだキャリアが浅かったので、いろんな国籍の学習者と接したいと思い選びませんでした。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

教室内での私語について、最初とても戸惑いました。

中国人と韓国人の学習者は日本の教育スタイルと似ていて、教師が話すことを静かに聞いてノートをとります。

初めて担当したクラスでは他の国籍、特にベトナム人の学習者が全然静かに聞いてくれず、中国・韓国人学習者からもうるさいと相談が出てしましtました。3ヶ月ぐらい悩みました。

あとになって仲良くなったベトナム人学習者に聞くと、ベトナムではもちろん静かに聞くスタイルもありますが、みんなで協力し合って課題(問題)を解く感じで授業をするそうです。それを聞いて、じゃあこの違いを生かした授業を作ればいいのかと納得できました。

給与

給与:24万5,000円/月 ・常勤講師 *非正規雇用・フルタイム

給与面は30代の一般的なものより非常に劣っていると思います。基本給は新卒採用者と同程度で、残業代が入れば少しましになるぐらい。生活するにはギリギリの金額ではないかと思います。扶養家族がいる場合はもっと生活が厳しい給与水準だと思っています。

金額に対して、休日にも授業準備や採点、成績をつける作業などがあり、休める時間が少ないことも踏まえると少なすぎると思います。

ようやく最近になり基本給や授業に付随する業務に対する賃金などの待遇改善がされましたが、それでも他の業界に比べれば少ないと思います。

私は1校しか勤務経験がありませんが、他の学校に所属されている方も決してお給料の面で満足しているとはおっしゃっていません。

給与の詳細 情報を読む...

月収 24万5,000円

  • 基本給:19万円
  • 担任手当:1万円×2
  • 資格手当:2,000円
  • 残業代:5万3,000円(変動あり)

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 健康診断
  • 残業代

勤務時間

  • 1日8時間 週5日勤務
  • 残業 1ヶ月合計30~55時間

長期休暇中の給与保証

  • 勤務している教育機関で給与が発生する仕事がある

仕事のかけもち

  • かけもちしていない

給与や待遇面でおすすめできる、国内のその他教育機関を教えて下さい。

個人的には大学の日本語別科で勤務できれば給料や待遇がアップすると思います。短期の派遣で大学で教えたことがあります。設備も充実していましたし、民間の日本語学校とすることは同じでもいただけるお給料が格段に違いました。

大学で働くとなると大学院を出ていることが条件になるそうなので、民間日本語学校で働きながら大学院に通われている方もいます。

先述の別科派遣のお仕事の際知り合った先生方が5人います。うち3人が大学院に通いながら日本語学校で働いていました。

本気で大学で働くことを目指している方はお金と時間を遣っているのだという印象を受けました。

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

中級(N3~N2)クラスが向いているとの判断で、中級メインのクラス担当でした。

常勤は時々急きょ代講依頼があり、上級や初級に入ることもあったので1~2時間で授業準備を行うこともありました。急な代講に対応できるように、過去に担当したレベルや授業内容で学習者に好評だった自分の中の「鉄板ネタ」を常に準備していました。

行動中心アプローチの授業方針で、特に初級クラスでは学生に活動してもらうことは毎回苦労します。教科書通りにできないと恥ずかしいと思う学生に対し、失敗してもいいからどんどん発信してもらう方法を模索しました。

工夫している点では、「クラスの中では失敗するのが普通」というメッセージを定期的に発信します。これで学習者が変化していくので、安心感を与えるのも教師に必要なことだと思います。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス20人

学習者層

  • 大学生
  • 社会人

学生の主な出身地

  • 中国
  • 台湾
  • 韓国
  • ベトナム

スケジュール管理で大変だったことは?

常勤講師では週5日の勤務の中でほぼ毎日授業に入っていました。終日授業に入っていた場合、校内業務や事務作業にあてる時間が足りずに残業時間が増えました。

進路関係の作業が続いていたときは、毎日3~4時間残業することもあったので、帰宅して授業準備ができるのは22字以降…ということもざらでした。

教師1年目から工夫していることは、日々授業に使えるネタをストックすること。忙しくなってからはさらに、授業準備でppt資料を作るときは流れも決まっている状態で始めるようにしています。

考える時間を減らして、準備=作業のみというスタイルにしています。パソコン入力作業は早いほうなので、日々の授業準備は1時間程度で終わらせられます。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

  • 月:9:00~ 午前中に授業準備+事務作業
    12:00~13:00 昼食
    13:30~16:45 中級クラス2コマ(90分×2)
    17:00~18:00 教室清掃
    18:00~20:00 事務作業
  • 火:9:00~ 事務作業
    10:30~11:30 プライベートレッスン
    12:00~13:00 昼食
    13:30~16:45 中級クラス2コマ(90分×2)
    17:00~18:00 教室清掃
    18:00~20:00 事務作業
  • 水:9:15~12:30 中級クラス2コマ(90分×2)
    12:40~13:10 昼食
    13:30~16:45 中級クラス2コマ(90分×2)
    17:00~18:00 教室清掃
    18:00~20:00 事務作業
  • 木:9:15~12:30 中級クラス2コマ(90分×2)
    12:40~13:10 昼食
    13:30~16:45 中級クラス2コマ(90分×2)
    17:00~18:00 教室清掃
    18:00~20:00 事務作業
  • 金:
    9:15~12:30 上級クラス2コマ(90分×2)
    12:40~13:40 昼食
    13:40~ 事務作業
    15:30~17:00 ミーティング
    17:00~18:00 教室清掃
    18:00~21:00 事務作業(金曜は残業しがちでした)
  • 土:自由な日としてストレス発散。午前中は睡眠時間にあてることも。
  • 日:基本的に夕方までは自由時間。採点や期末に成績をつける場合は1日つぶれることも。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 小納言(コーパス)
    どのようなシチュエーションでどんな言葉が使われているのか、言葉の世界観を知りたいときに使っています。ここで見つけた文章をヒントにして、導入の話題を模索します。
  • ツイッター
    上記の小納言と同時に使っています。日常生活の会話の中で、どのように語彙や文法が使われているかをリサーチします。学習者が出会いそうな会話例を探します。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 教師と学習者のための日本語文型辞典 対象:全レベル
    全レベルの文型が掲載されているので、これをみながら例文を作っています。時間があれば、自分の中で違いをしっておきたい文型も同時に調べられるので、いろいろなレベルで応用できる知識をストックすることもできます。
  • くらべてわかる日本語表現文型辞典 対象:全レベル
    中級で登場するいろいろな文法との違いを丁寧に書いてくれているので、内容をふまえたうえで例文をたくさん作っています。上級クラスでも意外と完全に理解できていない学習者もいるので、プリントなどでまとめて復習しています。
  • 新完全マスター文法 日本語能力試験N2 対象:中級・上級
    新完全マスター文法はN3~N1の3冊を読み比べて比較するのに使っています。要点がまとまっているので時間短縮になりますし、学習者も持っていることが多いのでお互いの共通項(「何ページのここにあるポイントだよ、チェックしておいてね」などの声がけ)で重宝します。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

養成講座の講師からアドバイスをもらったのがきっかけで、最終的には立地が決め手になりました。主人が単身赴任していたこともあり、自宅と赴任先の2拠点のアクセスに一番便利な場所から探しました。

もうひとつ後押しになった要素は学生数です。日本語教師として最初の勤務校なので、学生の国籍に偏りがないことを重要視しました。

面接で何を聞かれましたか?

日本語教師になろうと思ったきっかけを質問されました。前職と日本語教師の結びつきがなく、どのような経緯があったのか具体的に説明しました。

当時増えつつあったベトナム人を例に、今まで接したことがない文化の学生に対して、どのようなことを注意していくつもりかの質問がありました。日本語を教える前に、文化への配慮や心構えの面も自分なりに考えておく必要があると思います。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

課題はみんなの日本語2課(これ・それ・あれ)の模擬授業でした。模擬授業ではゆっくり話すこと、小道具選びに気をつけました。

養成講座内の模擬授業で教わっていたポイントもあったので、それを参考にブラッシュアップしていきました。

小物や絵カード、字カードは残してあったので、模擬授業のための準備は最小限にして、表情や話し方の練習に時間をつかい臨みました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

外国語の知識があると便利だと思います。私は中国語検定を取得していたので、中国の学生が言いたいことがわかるのはメリットでしたし、日本と中国語の漢字の違いを知っていたので採点がスムーズでした。

ある初級レベルの学習者が、日本語ができないことが強いストレスになり突然英語で泣き出したことがあります。なぐさめられなくて困りました。

自分の気持ちが伝わらないと不安な学習者には、母語で伝えられることは安心効果があると思います。通訳を通さず理解できるのがメリットですが、直接法で教えるなら、ものすごく簡単なレベルの語学力でいいと思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • NIHON MURA
    日本語教師専門のサイトなのでよく見ています。合同説明会の案内もあるので便利です。
  • Indeed
    日本語教師関連の求人で、トップヒットに表示されることが多いので目を通します。勤務地検索で探しにくい印象です。

その他就職活動で有効な手段は?

  • 養成講座の頃の講師の紹介
    コンサルタントとしても活動されているので、時々求人案件を知っていらっしゃいます。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学習者数
  • 給与・待遇
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

前職をやめて台湾に旅行したときに、台湾の友人(日本語レベルN2ぐらい)から戦国時代についての質問がありました。日本の漫画を読んで興味があったそうです。

固有語や難しい表現を使わずに日本の時代のこと、武将のことなどを説明しました。
そのあと相手が「日本の文化や歴史がよくわかった!」と言ってくれたときに、日本文化を外国人に知ってもらう仕事をしてみたいと思うようになりました。

そのあと日本語教師の職業を知り、語学を通して文化も教えることができることに魅力を感じて養成講座を申し込みました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

もちろん学習者が日々のテストでいい点をとれたときや、JLPTに合格したときには嬉しいです。

でも「大学に合格したので●●の勉強をすることができます!」とか「内定をもらったので△△の仕事を日本でできます!」「子どもが学校でもらってきたプリントが読めた!」と言ってくれたときのほうが喜びが大きいです。

やりがいを感じるのは、学習者が日本語を上手に扱えるようになったことで課題がクリアできたり夢に近づいたと聞き、私もそれを少し手伝えたんだと思えた瞬間です。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

高校生や大学生になら、大学院進学も検討しておくべきだと伝えます。民間の日本語学校は給料が低く、やはり生活の面では苦しいです。

他の同級生と比較して悲しくなるかもしれません。大学で教えるためには大学院卒業が必要ですし、もし大学で教えられるなら待遇がかなり上がります。

専攻が日本語教師と関係ないものなら、日本語教育能力試験や420時間の養成講座をお勧めします。アルバイト先に留学生がいるならボランティアで教えてあげるものいいと思います。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

養成講座に通う方法が近道かと思います。検定合格は費用の面でいいかと思いますが、仕事をしながらモチベーションを保つのは大変です。

養成講座もそれなりの学費を支払わなければならないので、ボランティアで感触をつかむといいと思います。

どちらの方にもボランティア経験をおすすめしていますが、私はHIDA(一般財団法人海外産業人材育成協会の関西研修センター)の1日ボランティアを申し込みました。

養成講座の後半の頃で就活の少し前に見学しました。このとき見せていただいた授業のおかげでかなり現場のイメージが掴めたので、非常にいい経験になりました。

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