掲載日:

日本国内 日本語教師経験談

国内 専門学校 学ぶ姿勢さえ忘れなければ異文化理解へのドア

Miaさん・ 33歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 2年

総評

  • 国内の専門学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間: 2年(2018~2020年) 休職中
  • 月収:18万円

当時まだ日本語教師としての実績がない私が勤めることになったのは、日本語学校ではなく専門学校の留学生日本語学科とIT科でした。

日本語学校と大きく違う点は元々は日本人が通っているスポーツの専門学校なので、学園内には当然スポーツ科の学生も在籍しており留学生も同じ環境下で勉強していることです。

体育会系ということもあり、留学生に寄り添った留学生のための環境というよりは「日本らしい学校」という雰囲気が強かったと思います。

日本人学生と一緒の空間で日本の学びの場に触れることができた環境というのは、座学で学ぶ日本文化よりも生活に密接しており学生にとっては不便さもあったかと思いますがある意味貴重な環境にあったのではと思います。

全てが苦労だったので枚挙に暇がありませんが、中でも一番苦労した点は学生に「ルールを守らせる」ことでした。「ルール」というのは、校則も含めた日本のルールです。

学校によっては学生課と教務課が分かれていますが、私が勤めていた学校はそれら両方の仕事が専任教師の仕事でした。ほとんどの留学生はとても素直で従順でしたがだからこそ、こちらからすれば問題となる行為が「それの何がいけないの?」という当たり前の概念を覆すところから教えなければいけません。

事によっては除籍、強制帰国の処罰もあります。日本の生活に順応させる教育は留学生が日本で生き残っていくためにはある意味言語より大切だと言えます。

新人として勤めた先で日本語を教える以外の生活指導をすることになるとはその時は思ってもいませんでしたが、わからないことは上司やそれでも不明な点があれば入国管理局へ直接問い合わせたり、稀にですが警察へ出向かなければいけなかったりと、かなり大変ではありました。

しかしそれら全て日本語教師としてはもちろん私自身の人間的な教養となり、それらは苦労と経験以外では決して手に入れることのできない財産となりました。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

その専門学校の面接を受けていた同時期に日本語学校の面接も控えていましたが、合格を頂いたので他との比較をする機会がないまま就任しました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

授業面では、ネパールの学生が多かったのですが、ある授業で動詞の食べるを例に出すところで「ハンバーグ」を名詞として出しました。しかしネパールでは宗教上牛肉は食べないのでそこの認識が甘かった私は微妙な反応だった理由を後で知ることになり、勉強不足だったなと感じました。

多国籍クラスではそういう配慮も時に必要とされるので、例文ひとつでレスポンスの良し悪しが分かれることもあるんだと学びました。

その他の面では、学生との距離感に最初は戸惑いました。学生はとてもフレンドリーでSNSが大好きでコミュニティも狭いので情報が瞬く間に広がります。

頼りにしている、慕っていると言われればそうなのでしょうが、あまりに距離が近づきすぎると、こちらが許す限り甘えてきて色々なお願いごとが次々と出てきます。

一度そうなってしまうと手間と時間を取られ結果的にも学生の為になりません。学生の期待に答えたくなる気持ちもわかりますが、教師と学生の立場がある時点で、時には心を鬼にして学生とはある程度の線引きが必要になってきます。

なぜこの専門学校を退職しましたか?

妊娠、出産、引越しを機に退職せざるを得ない状況だったため。

給与

給与:18万円/月 ・専任講師 *正規雇用

正社員勤めで当時一人暮らしだった私には何の申し分ない給与額と待遇でした。たまにスポーツ科の方の学校行事で休日に顔を出すこともありましたが強制ではなかったですし許容範囲内でした。

授業準備は休日で間に合っていましたが、入国管理局提出書類の管理も任されていたので、学生の入国時期が近づいてくるとその書類作成や確認で残業が普段の何倍にもなることがありました。しかしそれもある一定の時期のみでしたし、学生が事故に遭った等の例外を覗いては通常は基本的に残業や休日出勤はありませんでした

給与の詳細 情報を読む...

月収 18万円

  • 基本給:18万円
  • 家賃一部支給

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 社会保険
  • 健康診断

勤務時間

  • 1日8時間 週5日勤務
  • 残業 時期により残業あり

仕事のかけもち

  • かけもちしていない

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

国民性なのかわかりませんが、宿題を全員が完璧にしてくるということがまずなかったので、ペナルティを与えるなど、どうにかして復習をさせるのに苦労した覚えがあります。

これは日本人でもそうですが、人数が増えればふざけて妨害してくる学生が1人2人出てきます。

そこへの対策も踏まえた上で授業に望まないと予定より大幅に遅れてしまうということにもなりかねないので、授業遂行の前にクラスの雰囲気を確認したり、場合によってはゲームに変更したりと、学生のモチベーション維持への取り組みも教案作成と同じくらい重視していました。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス3~15人

学習者層

  • 大学生

学生の主な出身地

  • ネパール
  • ベトナム
  • フィリピン
  • スリランカ

スケジュール管理で大変だったことは?

コマ数が多い日は次の授業の準備を休憩中の10分で済ませて次へいかなければいけなったので、学生からの質問や伝達事項などがある時はバタバタしてしまう時もありました。

レベルの異なるクラスを受け持っていると、進捗状況や授業内容に混乱が生じることもあったので、どこで何をしてどこまでいったかを常に把握する必要があります。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

  • 月:9時スタート1コマ90分、10分の休憩×3コマ
  • 火:9時スタート1コマ90分、10分の休憩×2コマ
  • 水:9時スタート1コマ90分、10分の休憩×3コマ
  • 木:授業なし、事務作業、営業
  • 金:9時スタート1コマ90分、10分の休憩×4コマ
  • 土:一日休めていました
  • 日:毎週ではありませんでしたが、当時スキルアップの為にボランティア機関でも教えていました。

就職活動

この専門学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

その時まだ教育機関で勤めた経験がなく、まったくの新人でした。

私が応募した時期にちょうどそちらの学校で留学生の受け入れをスタートしたところで専任教師を任せられる条件の人材を探していたようです。

その時は独身で時間に縛りもなかったので条件に見合ったとのことで幸運にも採用を頂き、その後も仕事の中で同時に日本語教師として勉強をさせていただき様々な経験を積ませてもらいました。

面接で何を聞かれましたか?

これまでの日本語教師としての経歴や職務履歴、英語能力の有無、またそのレベル等も質問の中にありましたが、それをテストしたり等はありませんでした。留学経験があったので、前職から留学の経緯、留学期間中の生活なども聞かれた記憶があります。

この専門学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

色々な分野で資格やスキルは持っているに越したことはないと思います。しかし肝要なのはそれを活かせているかだと思います。

個人的に必ず必要だとは思いませんが、言語を教える仕事なので母語以外の言語スキルがある良いと思います。

ツールとしてもそうですが、生まれながらのバイリンガルなどではない限り、母語以外の言語を習得するための苦労や努力などが、学習者の気持ちに立って、より現実味のあるアドバイスや共感を生むことができるかと思います。

そういう意味では話せる話せないの個人的な能力というよりも、何か新しいことを真剣に学んだ経験というのは授業の質を上げる面でも、コミュニケーション能力を養う面でも大変強みになるのではと思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 大谷書店
    日本語教師の求人が掲載されていましたので、そこから応募しました。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 必須資格
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

元々はカナダへ私自身が語学留学の経験を踏んだことが大きなきっかけになったかと思います。

留学当初は日本語教師になるための目標として留学を念頭に置いていたわけではなく、単純に英語を話せるようになりたいからという理由でした。

現地で学んでいくにつれ、語学を習得するということは、少なからずともそこの国の文化を学ぶということなんだと気づき、日本人である自分が言葉を通して自国の文化を広げていければ楽しいのではと思い、カナダでの留学期間中にオンラインでの420時間講座受講をスタートしました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

教科書を使った授業とは別に、留学生同士のディベートやスピーチ、プレゼン能力向上を図った授業を任されていました。

最初は人前で話すことすらできず緊張で手が震えていたり、脈略のない文面しか書けなかったりしていた学生が、大勢の前でしっかり前を向き原稿を読めていたり、資料作成させた内容がこちらの想像を遥かに超えたものだったりと、大きな成長が見られた時は自分のしてきたことへの積み重ねが結果として現れてそれが次の自信へと繋がりました。

多国籍だったため、その国の特徴や国民性も仕事の中で学べたので、対応力が鍛えられました。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

私の最終学歴が被服学科の専門学校だったため、420時間養成講座をカナダで留学中にオンラインで受講していました。

私は運良く一度の面接で合格を頂きましたが、応募条件の中には420時間養成講座の修了だけでは満たされないことも多々ありますので、一番良いとされるのは日本語教育能力検定試験に合格されることだと思います。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

主婦の方など、隙間時間で勉強を進めたい方には420時間養成講座受講は効率的だと思います。

就職活動にあたって講座修了だけでは十分と見なされずある一定の制限もかかってくるので、上記にも書いたように、やはり試験合格が一番確実でいいのではと思います。

当サイト人気スクール 420時間養成講座