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日本国内 日本語教師経験談
国内 日本語学校 先輩教師に助けられた日本語教師1年生
kyさん・ 26歳・ 男性 🧑 ・ 日本語教師歴 2.5年
総評
- 国内の日本語学校
- 雇用形態:非常勤講師
- 期間: 2.5年(2017~2020年) 退職
- 月収:18万円
私が勤務していた日本語学校は熱意のある先生と熱意のある学生が多い学校でしたが、デメリットも多くありました。
例えば、事前研修がほぼない、昇給の基準が不透明、学生数に対して専任の数が少ないなどの問題を抱えていました。経営者、事務、専任講師、非常勤講師の間に深い溝があり、不満を抱えながら働いている人が多く、離職者も多かったです。そのため、正社員である事務や専任講師は常にバタバタで非常勤の対応などが疎かになるという悪循環から抜け出せない状況が続いていました。
一方で、毎週土曜日は自主勉強会があります。勉強会では経験年数や年齢関係なく、先生同士で分からないことや悩みを相談することが主な内容でした。新人だった私は毎週たくさん悩みを抱えて先輩教師の方に相談し、何度も助けていただきました。この勉強会があったおかげで安心して授業ができたり、先生同士の交流ができて本当に良かったです。
最初に悪い部分をお伝えしましたが、勉強会という存在はとても大きかったです。未経験からの入社だった私にとって勉強会という心理的に安心できる機会があったからこそ、日本語教師を今でも続けられていると思っています。
他の教育機関と比較・検討しましたか?
はじめは日本語学校の専任か非常勤でも専任登用の可能性がある学校に絞り、求人を見ていました。
ですが、当時は未経験からの専任採用が多くありませんでした。そこで、途中から非常勤で社会保険加入できる日本語学校に絞り、その他条件と比較検討していました。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
学習スタイルの違いで困ったことがあります。学生の中にはグループワークが苦手な学生もいればグループワークが好きな学生もいます。中にはクラスメイトによって、態度を変える学生もいました。
グループワークをする際は組み合わせを慎重に考えること、強要しないことにしましたが、私自身もこれから学習スタイルの違いなどについて勉強しなくてはいないと思っています。
なぜこの日本語学校を退職しましたか?
やめた理由は変化を恐れ、新しいことに挑戦しない組織だったからです。
ICTに興味があった私は少しでも学校の業務が効率化できるように何度か提案をしていました。例えば、オンライン上で学生に課題を出す方法、ipadの活用方法など。ですが、根拠もなく古いやり方に固執して新しいことに組織として挑戦することはありませんでした。
このことから、少しずつ私の気持ちが学校から離れて、コロナ禍をきっかけに退職しました。
給与
非常勤の場合、実家暮らしでないと生活は厳しいと思います。私は非常勤で実家暮らしをしています。手取り約15万円で、なんとか生活ができるというレベルです。月の給料から交通費や食費、勉強のためのセミナーや書籍代など必要最低限の支出に抑えても、残らない場合があります。
特に経験が浅いと、授業準備や添削に時間がかかるので、給料には満足できないかもしれません。ただ、経験を積んでいくと自分の時間も増え、昇給することもあります。
給与の詳細 情報を読む...
月収 18万円
- 1コマ45分:1,800円
- 担任手当:10,000円
待遇
- 交通費
- 有給
- 賞与(年2回 3万円)
勤務時間
- 1日8コマ 週3日勤務
- 残業 期末テスト期間は採点などがありました
長期休暇中の給与保証
- 時給は安くなるが、事務などの仕事がある
仕事のかけもち
- かけもちしていない
授業形態・勤務スケジュール
クラス運営で大変だったことは?
どのクラスにもレベルが異なる学習者がいることに困りました。特に初級クラスではひらがなを書けない人もいれば、すでにN1に合格している人もいて、レベル差が激しかったです。
はじめはどちらも満足してもらえるように工夫するも、中途半端になってしまうことが多く、なかなかうまくいきませんでした。その後、いろいろ試行錯誤を繰り返し、最終的にはできない人たちに合わせて授業を進めることにしました。
できる人たちには以下のことを配慮をするようにしていました。
- できない人に「教える」というアウトプットをする役割を与える
- 興味のある言葉を授業中に使って、やる気スイッチを押す
とにかく飽きさせない、授業に積極的に参加してもらうことを目的に、学生が活躍できる機会を増やしました。すると、積極的に授業に参加してくれるようになりました。
受け持ちのクラスの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス15~20人
学習者層
- 大学生
- 社会人
学生の主な出身地
- 中国
- 台湾
- 韓国
- ベトナム
スケジュール管理で大変だったことは?
日本語教師になってからは休みの日が休みでなくなり、授業準備に追われる日々でした。
ずーっと授業のことを考えて、完璧さを求めて徹夜することもしばしば。そんな生活をしていると、体調が優れない日も増えました。そこから、完璧さを求めずに移動時間などの小さな時間を有効活用するようにしました。
1週間のスケジュールを読む...
スケジュール
- 月:9:00~12:30 初級クラス
13:00~16:30 初級クラス - 火:授業準備
- 水:9:00~12:30 中級クラス
13:00~16:30 中級クラス - 木:授業準備
- 金:9:00~12:30 日本文化クラス(中級レベル以上の選択クラス)
13:00~16:30 日本文化クラス(中級レベル以上の選択クラス) - 土:午前は採点(基本的に毎週)/午後は勤務先の勉強会に参加(3時間)
- 日:授業準備
教案作りで参考にしているサイトは?
- 『日本語教師の広場』
文法書のように文法について詳しくまとめられている。自分自身の文法についての知識整理に活用することが多い。 - 『日本語NET』
教科書ごとに教案や教材などがあり、とても便利なサイト。授業で使う導入や例文の参考にしている。
教案作りで参考にしている書籍は?
- 『つなぐにほんご 初級1 』
対象:初級
文法の場面確認と活動を参考にしている。授業の流れをイメージしやすいので、個人的に授業準備には欠かせない一冊。 - 『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』
対象:初級
授業準備していて疑問に思ったことを調べる。学生が間違えやすい箇所に気づけたり、学生からの質問対応に役立つ。 - 『中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック』
対象:中級・上級
特に類似文型をどう説明するか考える際に活用。かなり詳しく書かれているので、学生にどこまで伝えるか取捨選択が必要。
就職活動
この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。
決めては以下の2つです。
- 非常勤でも社会保険加入できる(条件あり)
- 定期的に勉強会がある
専任もしくは非常勤でも社会保険加入が絶対条件でしたが、あまり見つからずにいたので、入社を考える大きな決め手でした。くわえて、定期的に勉強会があることも背中を押してくれました。先生同士の交流や気軽に相談できる機会があるとわかり、安心して入社できました。
面接で何を聞かれましたか?
面接の際に重点的に聞かれたことは以下の3つです。
- 親はこの仕事をするのになんと言っているか
- 大変な仕事だが、だいじょうぶか?
- 入社後、どんなことをしたいか
私が前職を早期退職している第二新卒だったので、「すぐやめるかもしれない」と心配されているようでした。少し心配でしたが、私は思い切って正直に不安なことや疑問に思っていることを伝えました。すると、お互いに不安が解消できて、良い雰囲気の中で面接が終わりました。
模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?
模擬授業は3つの文法から1つを選んで15分ほど導入部分のみ行いました。
準備や当日に気をつけたことは以下の3つです。
- 大きな声ではっきり簡潔に話す
- 板書は大きく丁寧に書く
- 学生の生活場面をイメージする
教育実習での模擬授業しかしたことがなかったので、今の私にできることを考えて、3つに絞りました。特に学生の生活場面をイメージするのは簡単なようで難しかったです。何度も文法書を読み返しては、どんな場面で使うのかを考えました。
この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
漢検2級と中国語の学習経験(日常会話程度)はとても役に立ちました。
学生は先生は日本人だから何でも漢字を知っていると思いがちです。授業中に急に漢字の質問が来ることもしばしばあります。漢検2級ぐらいあると上級くらすでもすぐに答えることができます。
また、中華圏の学生の中には漢字をあまり勉強しない学生もいます。その場合は中国の漢字と日本の漢字の違いや間違えやすいポイントを伝えることができるので、漢字の時間でもよく集中してくれました。
就職活動で参考にしたウェブサイトは?
-
『 NIHONMURA』
世界各国からの求人が集まっている。比較的、給与が安い求人が多い印象。
その他就職活動で有効な手段は?
-
知人からの紹介
かなり個人的なことも聞ける。
就職 教育機関選びで特に重視した点
- 学習者が学生
- 給与・待遇
- 通勤時間
応募時に必要とされた資格
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 日本語教育能力検定試験合格
- 大学 日本語教育主・副専攻
就職 選考方法
- 書類
- 面接
- 模擬授業
- 筆記試験
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
大学の日本語教育の先生の模擬授業が面白かったことがきっかけです。
今まで当たり前のように話していた日本語の文法を誰にでもわかるやさしい言葉で、楽しく授業している先生の姿はとても新鮮で不思議な気分でした。それから、日本語の面白さに気づき日本語教師を目指しました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
たくさんありますが、日本語で話している姿を見るとうれしくなります。
教室の中では学生同士が勉強した文法で話したり、間違いを指摘し合ったりしている様子を見ると、頑張るモチベーションになります。国も年齢もバラバラでも、日本語を通してつながっていく姿を間近で見れるのも日本語教師の醍醐味かもしれません。
学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?
とにかくいろいろな経験をすることが日本語教師になったときに役に立ちます。アルバイトでも海外旅行でもなんでもいいです。
学生はいろいろな趣味や経験を持っています。自分の経験を活かして授業することもできたり、日本語学校以外で日本語教師として働けるかもしれません。
日本語教育について勉強することも大切ですが、好きなことや興味のあることにたくさん挑戦してみてください。必ず日本語教師としての幅を広げてくれます。
社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?
将来設計をよく考えて、どんな場所でどんな働き方をするかよく考えるといいと思います。
日本語教師と言っても、いろいろな働き方があります。給料も高くはないですが、働き方によって変わります。
養成講座や検定試験の勉強をしているときは考える余裕がないかもしれませんが、勉強と並行して業界研究をしていくとはじめの一歩が大きく変わると思います。
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