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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 働きやすさのポイントは教育よりも人間関係

きらりさん・ 43歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 4.6年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間: 4.6年(2016~2021年) 現在も勤務中
  • 月収:28万円

就職活動をしていたときに1番最初に採用の連絡をもらったところにたまたま入職したという経緯ですが、給与や福利厚生については他の日本語学校と比較して決して悪い条件ではない学校だと思っています。慣れていない新人の頃は、休日に教案作成なども多かったですが、現在はそれなりに休日等は確保できています。

学生のやる気はさまざま。学生に対しての苦労は2種類で、まずひとつは(特に漢字圏の学生が)基本的におおよそ実力とは見合わないところを目指す傾向にあるので、進学指導などで理想と現実の乖離を詰めていくことに苦慮します。

ふたつ目は反対にやる気のない学生に関してで、本当に微塵も日本に興味がない学生も少なくはなく存在するので、こういった学生の出欠や授業態度、宿題等の管理などには苦労します。

担当授業に関しては、新人はまず必ず初級を担当、その後は初級~上級まであらゆるレベルのクラスを同時に担当させてもらえるので偏りがなく、常に勉強にもなるのでありがたいです。

また担任になったクラスに関しては卒業まで継続させてもらえることも多いので、そういったクラスは思い入れも強くなります。卒業して数年しても未だに連絡をくれる学生などもよくいます。

一番メンタル的に疲弊するのが、教員同士の関係です。同僚とは関係性に問題はなかったのですが、主任等の上司がどんな人になるかで、居心地や仕事のしやすさが全く変わってきます。(これはどんな職場でも同じでしょうが…)これは、途中で上司が入れ替わったときに痛感しました。

現在の学校は勤務中ですが今年度退職予定で、退職に至る理由にはその辺りもかなりウエイトを占めていたと思います。上司が変わっていなければ、まだ退職は考えていなかったかもしれません。

ですが、これに関しては事前に判断することはできないので、もう運としか言えないかもしれません。
ちなみに勤務先は今、同じ理由で退職予定の専任が続々出ています。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

修士がないので、大学等の機関は選択に入りませんでした。

まずはスタンダードな留学生向けの日本語教育ができるようになりたかったので、日本語学校をいくつか探しましたが、既に前職を退職してしまっている状態だったので一番最初に採用連絡をくださった学校に即返事をしました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

進学目的の学校なので若い学生の割合が高く、また本人が来日を望んでいなかったケースもままあるので(親御さんの希望など)日本や日本語に関して全く関心のない学生も存在します。このような学生に何を言っても基本は響かないです。

また日本語レベルに関わらず、クラス内で影響力のある学生の質によってクラスの雰囲気やカラーが変わってしまうことにも苦労しました。特に出身国が混合のクラスよりも単一のクラスにその傾向が強いです(母語で全てが通じてしまうため)。

正直な話、質の良くない学生がオピニオンリーダーなクラスだと、良かった学生まで染まってしまうことが多く生活指導に苦慮します。

日本語教育というより、その他の面のほうが戸惑いは多かったです。

給与

給与:28万円/月 ・専任講師 *正規雇用

福利厚生については多くの日本語学校と比較し決して悪くはないほうだと思っています。

残業は少なくはないですが、毎年昇給はあり(2020年度はコロナの影響でなし)、2万以上昇給した年もありました。

有休に関しても授業に穴を開けさえしなければ基本許可されるので、遠慮しながらとる必要はなく精神的に楽です。

ただし、どうやら退職金制度がないようなのでそこが今後心配です。

給与の詳細 情報を読む...

月収 28万円

  • 基本給:26万円
  • 進学指導手当:2万円

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 雇用保険・労災保険
  • 社会保険
  • 賞与 年2ヶ月分
  • 健康診断
  • 年間昇給
  • 休日出勤手当
  • 賞与・年間昇給 2020年度はカット

勤務時間

  • 1日8時間(休憩除く) 週5日勤務
  • 残業 1ヶ月合計20~30時間

長期休暇中の給与保証

  • 勤務している教育機関で給与が発生する仕事がある

仕事のかけもち

  • 日本語教師以外の副業に就いている

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

プレイスメントテストでクラス編成するものの、クラス数にも限りはあるので必ずしもちょうどいいレベルのクラスに入れられるわけではありません。そうなると特に初級クラスの場合などは、国で50音すら覚えてこない学生もいるので、当然補習などが時間外に必要になってきます。

これは、初級クラスの担任に当たってしまうと、卒業クラスの進学指導などをしながらやらなければならなくなるので、かなり余計な手間になり正直苦しいです。

ですが、同じクラスのよくできる学生や同じ寮に住む上位クラスの学生などにもお願いして、一緒にピアサポート的なことをしてもらったりして工夫していました。

この方法は、できる学生の方側にも気づきなどが生まれるので、それなりによかったと思います。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス15~20人

学習者層

  • 大学生
  • 社会人
  • 進学目的なので本国で高校の単位を取った17歳以上

学生の主な出身地

  • 中国

スケジュール管理で大変だったことは?

新人の頃は、教案や教材にかなり時間がかかっていたので休日もほとんど仕事をしていたり、まして非常勤時代はテキストなどを全て毎回持ち歩きだったので、初級クラス担当の場合本当に大変でした。

現在はこの点に関してはもう要領を得ているのでかなり時間は短縮できていますが、授業のコマ数が多い時期などは、授業時間外で進学指導や教務事務などをやりくりしていくのは、特に受験時期の下半期に本当に苦労します。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

午前授業の場合の基本スケジュール
  • 9:00~12:30  
    中級クラス45分×4コマ(コロナ後は時短で9:30~12:30 )
  • 12:30~13:00  
    授業後処理・教室掃除、担任クラスの学生対応
  • 13:00~13:30  
    昼食をとりながら教務事務処理(欠席学生への連絡など)
  • 13:30~15:30  
    進学指導1日2~3人ほど、担任クラスの巡回
  • 15:30~17:3(+残業)0  
    教務事務、宿題・テスト等の添削、授業準備、校舎の掃除等

午後授業の場合の基本スケジュール
  • 9:00~10:00  
    担任クラスの巡回、出欠席確認と欠席者への連絡(コロナ後は9:30~)
  • 10:00~12:00  
    春以外は進学関連(志望理由や研究計画書チェック)・授業準備
  • 12:00~12:30  
    昼食
  • 12:30~13:00  
    授業のため校舎移動・教室掃除と授業前準備
  • 13:00~16:40  
    初級クラス45分×4コマ(コロナ後は13:00~16:00)
  • 16:40~17:30(+残業)  
    授業後処理、校舎の掃除、宿題・テスト等の添削、教務事務等

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語教育のためのイラスト教材
    イラストを自作するときの、視覚的情報量の与え方を参考にしています。
  • 絵でわかる日本語
    比較的平易な語彙でコアな導入文を作られているサイトなので、例文や導入文やキューを増やしたいときに参考にしています。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 続・日本語の教え方の秘訣〈上〉 対象:初級
    現在のみんなの日本語の教え方手引きより、段階を踏んだ教授法がかなり詳細に書かれているので新人に向いているし、未だに迷ったときに参考にしています。研修生用なので語彙は特殊ですが、キューの数を増やしたいときなどにどんなキューが例示されているか参考にしています。
  • くらべてわかる日本語表現文型辞典 対象:全レベル
    特にN2~N1文法の類似文型の比較等、自分の頭の中での文法掌握を整理したいときに参考にするうえで使いやすい辞典のひとつ。
  • どんなときどう使う日本語表現文型500 対象:中級・上級
    簡潔かつわかりやすい本で個人的に相性がいいので、例文を参考にしたり、学生へ説明するときのかみ砕いた文言を考えたりするときに参考にします。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

面接を受けた日本語学校の中で、一番最初に採用の連絡があったのが現在の勤務先だったというのが一番大きな理由です。まだ未経験者だったので決まったところですぐ働きたかったという思いがありました。

また、面接と模擬授業時に「未経験だけど資質を感じるから、様子をみて専任待遇に変更するかも」とおっしゃっていただいたのも理由のひとつでした。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

もうあまり覚えていませんが、転職で日本語教師を目指した理由や、どうしてこの学校を選んだのか、などを聞かれました。

また、そこそこ体力勝負の仕事になることや、まだ10~20代の学生が相手になるので、中学や高校で学生に指導するような感じになるが大丈夫か?というようなことを確認されたかと思います。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

わたしの入職当時は「て形+います」の代表的な3つの用法について授業をおこなうという模擬授業でした。(て形の変形は導入済み設定で①現在進行+②結果の状態継続+③習慣)
※現在はみん日L17ない形に変更

1コマ程度の時間で教案を作る、という指定がありましたが、どの程度の時間実際に模擬をさせられるのかわからなかったので、できるだけキューは増やしておき、学生が声を出す時間が多くなるよう作っておきました。

また養成講座で教えられていたこともあり、最初にウォームアップとして変形の復習をいれておいたりもしました。絵が描けることのアピールのためにイラストもかなり用意しましたが、それについては「あんまり頑張るとあとが大変だよ」と講評されました。

また文法掌握を確認するための質問や、学生役をする教師の意図的にだす誤用などもありました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

直接法指導で、母語使用禁止ルールの学校なので、他言語はできなくても問題ありません。

ただやはり日本語教育能力検定は、合格しているかどうか(さらに言えば一発合格しているか)で扱いというかマウンティングが多少あった気はします。

わたしは学士を持っていなかったのですが、検定は養成講座受講中に合格しており現代文の塾講師をしていたこともあったので、文法理解等については現場でも比較的信用されていたかと思います。

また、資質については「自分が教えると思っている人には向いていない」と感じます。
授業は講義ではなくあくまで双方向であること、学生と一緒に成長していくこと、を理解できる人が日本語教師に向いています。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学習者が学生
  • 給与・待遇
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

日本語教師全般に関する質問

どうして日本語教師を目指しましたか?

元々現代文の塾講師をしていた経験があったので、国文法には興味がありました。

日本語教育と日本語文法を学ぼうと思ったのは、グローバル化として他言語に目が向く人は多いのに、母語を突き詰める人は少ないと思ったことと、また自国の言語を自国で他国の人に教えるという日本語教師という仕事は、ある意味最高にドメスティックかつ最高にグローバルなことなのではないかと思ったことがきっかけです。

日本語教師をやってよかった!どんな時に実感?

学生から「日本留学前に『○○という日本語学校の○○先生がとてもわかりやすくていい先生だ』という口コミを聞いて日本語学校を選んだけど、まさかその先生が担任になるなんて思わなかったから嬉しい」と言われたことや、そういった学生たちから卒業後も年始や誕生日などに連絡が来ることはとてもありがたく、印象に残っています。

また学生たちは、教師に助けてもらえるのが当たり前だと思っている人も多く、正直、「ありがとう」ということばが言えない学生が割といるのですが、自分のクラスの学生がきちんと感謝を口にできる人間に育っていると嬉しくなります。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

日本語学を専攻していれば早道ではありますが、実際現場が社会人経験のない新人を初めから育てたいかというとその余裕がない学校も多く、よほど資質を感じるなどの理由がないと現状厳しいかもしれません。また副専攻などは、正直かなり言語学や文法などに関しての掌握が甘く現場で評判が決して芳しくなかったりします。

大学でどのように学んできたかは見ればわかるので、専攻さえしていれば、学士さえ持っていればいい、ということではないことを忘れないでください。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

社会人経験は、日本語教育業界に限っては有利に働くものだと思います。

また現行の制度なら、学士を持っていなくても検定試験に合格していれば日本語教師にはなれます。
給与にも関わるので検定に合格することがまず先決、また社会人としてなにがしかの業界のスキルを持っていると役に立つことがあると思います。(わたしも別業界の知識が役立ったことがありました)

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