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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 授業準備が大変でも、頑張った分やりがいがある

akobayashi_06さん・ 31歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 5.3年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間: 2.5年(2018~2021年) 現在も勤務中
  • 月収:17万円

【満足点】
まず満足しているところは、負担の少ないシフトの組み方であることです。この学校では、午前と午後の授業が同じ授業をできるようにシフトが組まれています。授業準備が一回で済むので、とてもいいと思います。時短出勤もあるので、女性も働きやすい環境だと思います。

また、社内の通気性もよく、何かやってみたいことがあれば、自由にやらせてもらえるので、自分のスキルアップにもつながります。

そしてなんといっても、教師としてのやりがいがあります。授業の準備は大変ですが、頑張って授業を作れば作るほど、学生の満足度もあがります。学生が楽しそうに授業を受けていたり、わかった、わかった、とうなずいてくれると、頑張った甲斐があったなぁと思います。

【不満点】
どこの日本語学校でも同じかもしれませんが、授業準備の時間が残業代に含まれないことです。また、授業以外の事務作業があると、残業も多くなります。例えば、テスト作成・添削や、進路指導、学校行事の運営などです。

民間の日本語学校では、教えることだけが、日本語教師の仕事というわけではありません。ある程度規模の大きい学校だと、この授業以外の事務作業が増え、教師への負担は大きくなるのかと思います。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

求人紹介の会社の方に希望(待遇・勤務地)を伝えて、希望に合った学校を探してもらい、紹介をしていただいた一つ目の学校で就職が決まったので、特に比較はしていません。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

日本語教師として苦労したことは、学校の方針と学生のニーズが違うときに、どう対処するかということに頭を悩ましたことがありました。

例えば、日本語学校としては直接法(日本語を日本語で教える)のみで教えるという方針をとっていますが、あるクラスで、英語圏学生たちが、文法や表現について英語で説明してほしいという声が上がっていました。

どちらを優先するべきか悩んだ結果、学校の方針よりも、学生に合わせて授業を行いました。結果、学生にも感謝されました。決められたルールに従うだけでなく、相手のニーズに合わせる柔軟さの重要さを学びました。

給与

給与:17万円/月 ・専任講師 *正規雇用

給与に関しては、決して贅沢ができるわけではありませんが、標準レベルの生活はできます。休暇については、タームが終わるごとに2〜3週間程度の学期休みがあるので、その間は授業がありません。学期休み中は有給休暇が取れるので、旅行に行くこともできます。

学期休みに長い休暇が取れるのは教育機関の特権かもしれません。

給与の詳細 情報を読む...

月収 17万円

  • 基本給:17万円

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 雇用保険・労災保険
  • 社会保険
  • 健康診断
  • 年間昇給
  • 残業代
  • 賞与 年1.5ヶ月分

勤務時間

  • 1日8時間・週5日勤務
  • 残業 2〜3時間

長期休暇中の給与保証

  • 仕事はないが、給料は支給される

仕事のかけもち

  • かけもちしていない

給与や待遇面でおすすめできる、国内のその他教育機関を教えて下さい。

安定した給与や待遇を求めるのであれば、国際交流基金の海外派遣事業や、大学の非常勤・常勤講師がいいと思います。ただ、大学の講師になるためには院卒が必須のところが多いと思います。

また、文法や表現について学生に説明できるように、英語や中国語などができると、もっといいと思います。特に、海外の日本語教育機関で働きたい場合は英語や高い語学能力が求められることが多いです。

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

レベル差がある20人を相手に、楽しい授業を考えるのが大変です。常に、学生にとってどうやったらわかりやすく、楽しく、効果的に日本語を学んでもらえるかを考え、工夫して授業を作っています。学生の興味や身近な話題を取り入れ、ニーズに合わせた教材作りをしています。

また、このご時世ですから、オンラインの授業をすることもあります。オンライン用のテストや、教材を準備するのも大変です。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス20人

学習者層

  • 学生
  • 社会人
  • 主婦・主夫

学生の主な出身地

  • 中国
  • ネパール
  • ベトナム

スケジュール管理で大変だったことは?

今はだいぶ慣れてきているので、授業準備に追われることはありませんが、はじめのころは授業準備がとても大変でした。前日の深夜まで準備をしていることもありました。

こればかりは、日頃から教案やパワーポイント、副教材を作っていき、ストックをどんどんためていくしかありません。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

  • 月・火・金:8:45~10:15、13:15~14:45 授業 それ以外は事務作業や授業準備
  • 水・木:10:30~12:00、15:00~16:30 授業 それ以外は事務作業や授業準備
  • 週末:合計2,3時間ほど翌週の授業準備をしています。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • にほんご教師ピック
    初級のイラスト集めによく使います。
  • さんぽ
    初級のイラスト集めによく使います。
  • 日本語NET
    初級の教案だけでなく、JLPTの文法解説や例文がたくさん紹介されているので、とても便利なサイトです。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き 対象:初級
    授業の流れ、注意すべき文法事項など、細かく書かれています。初級クラスの授業の組み立て方に迷ったら、まずこの本を参考にするといいと思います。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

学校を選ぶにあたって、重要視していたことは2つあります。まず1つ目は通勤時間です。この学校には社宅があり、学校の近くに住むことができたのでこの学校にしました。

2つ目は、学生が多国籍かどうかということです。多くの日本語学校は、国籍に偏りがあり、それだと学生同士も日本語が減ってしまい、互いに良い環境ではないと思ったからです。この学校は20カ国以上の学生が在籍しており、とても魅力的に感じました。

面接で何を聞かれましたか?

面接ではまず、これまでの職務経歴について聞かれました。特に私は海外の大学での教授経験があったので、前職の教育機関についてや国の日本語教育情勢などを聞かれました。

また、最後に学校長に英語で自己紹介をしたり、大学の専門について説明したりなど、簡単な会話をしました。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

学校に在籍している初級クラスの学生(2名)に対して、45分の授業を行いました。課題は、みんなの日本語のL20(ふつう体)の導入でした。模擬授業は教務主任と事務局長の2名にみてもらいました。

授業の構成はこれまで行っていた授業を評価してもらうべきだと思ったので、いつも通りに作成しました。教案には予想される学生の発言も事細かに記入しました。

ただ、予想以上に学生が少なく、計画していたよりも早く終わってしまったので、大人数のパターンと少人数のパターンで教案を作り分けておけばよかったと思いました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

【日本語教師としての資質】
◎日本語を客観的に分析し、とっさに例文が作れる能力
日本人だからといって、だれもが日本語教師になれるというわけではありません。日本語をしっかり分析できる力が必要です。その表現をいつ使うのかや、類似表現との微妙な違いなどが分かっていないと、学生の混乱の原因になってしまいます。

それだけでなく、その違いが説明できるようにたくさん例文を挙げられるようにしなければなりません。これが結構簡単なようで難しいです。

◎学習者の興味、学習者にとって身近な話題に関する情報や知識を提供できる力
新しい文法や言葉を勉強するとき、できるだけ学生にとって身近な話題を絡めて紹介しています。一番確実に共有できるのが、クラスの人たちを題材にした話題です。例文を挙げるときに、クラスの誰かについての例文にすると、みんなよく笑ってくれます。

◎常にオープンで、公平な態度で接すること
先生も一人の人間なので、相性がいい学生、悪い学生はあるのですが、先生という立場である以上、絶対にひいきがあってはなりません。

◎ユーモアセンス
真面目で厳しい先生よりも、面白い先生が学生から人気があります。

【語学レベル】
語学力は必須ではないと思いますが、ある言語について日常会話程度ぐらいのレベルが理想的だと思います。彼らの母語で文法や活動の説明ができると、理解がよく進むこともあります。

例えば、ベトナムの教育機関で教える場合、ベトナム語が少しできる先生の方が、学生も親近感が湧くだけでなく、安心して学習に取り組めると思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本語教師ジョブ
    国内の日本語教師求人サイト。担当の方が親身になって希望に沿った求人を探してくれる。
  • 日本語教育学会
    国内・海外の大学の求人が掲載されている。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 通勤時間
  • 多国籍かどうか

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 大学 日本語教育主・副専攻

就職 選考方法

  • 面接
  • 模擬授業

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

高校生のころから留学を経験し、英語をはじめとした外国語や、他国の文化に興味がありました。いつの日か外国に住んで、外国人の人を相手にする仕事をしたいと憧れるようになっていました。

ある日、日本語教師をしている大学の先輩と話す機会があり、日本語教師という仕事を知りました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

日本語学校には、様々な国から、あらゆるバックグラウンドを持った学生がいます。当然、日本語習得にかかる時間も人によって様々です。一度ですぐ覚えられる人もいれば、なかなか覚えられない人もいます。

しかし、来日当初、日本語の習得に時間がかかっていた学生でも、2,3年経てば、最低でも日常会話レベルまで話せるようになっています。

卒業生が学校に会いに来てくれるのですが、彼らと久しぶりに話すたびに、日本語の成長に驚き、同時に嬉しい気持ちになります。学生の成長を肌で感じられるのも、日本語教師のやりがいの一つだと思います。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

大学で副専攻として日本語教育の理論を学べると思いますが、まずはその副専攻を受けるべきだと思います。副専攻として学んでいれば、日本語教師になる資格になります。もっと理論を詰めたり、教案の細かい指導を受けたいのであれば、養成講座も受けたほうがいいと思います。

学生のうちは、時間に余裕があると思うので、日本語教育能力試験の資格をとっておくのもおすすめです。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

社会人の方の場合、日本語教師になるには、日本語教師養成講座420時間を受講するか、日本語教育能力試験に合格するかの二択になるかと思います。

お金に余裕があるなら、今ではオンラインの通信講座や、夜間コースなど社会人の方にも受講しやすい養成講座が数多くあるので、養成講座を受けるのがいいと思います。

また、日本語教育能力試験に合格すれば、養成講座の受講料が減額されるというサービスがある学校もあるようなので、金額やコースの時間などを比較して、自分の状況に見合った学校を探すといいと思います。

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