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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 刺激が多く、チャレンジができる職場

小夏さん・ 28歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 5年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間: 5年(2015~2020年) 現在も勤務中
  • 月収:20万円

私は大学で日本語教育課程を副専攻し、卒業後に現在の勤務先で1年間非常勤講師として就業した後、専任講師に切り替わりました。

日本語教師の仕事は外国人に日本語を教えるというイメージが強いですが、実際には留学生の在留指導やビザに関わる業務、イベント企画、海外営業など多岐に渡ります。

現在勤務する学校では、専任講師は教務方と事務方の業務を分担して行うため、始めは覚えることが多く戸惑いましたが、新任の頃に多くの仕事に関わることができたのは、非常に良い経験になったと感じています。

日本語教師の仕事の醍醐味といえば、やはり外国人学生と関わる中で新しい見地に触れ、自分も成長できることだと考えています。

教師という仕事は小学校や中学校の教員、塾講師など様々ありますが、なぜあえて日本語教師なのかと聞かれたら、言葉の壁や習慣の違いを乗り越えて、学生と関わることにやりがいと達成感を感じるからだと答えます。

全国の日本語教育機関は年々増え続けており、昨今のコロナウイルス感染症が流行する以前は、求人も多く出されており、売り手市場でした。入国規制が行われている現在においては、学生が日本へ来ることができないため、当然ながら日本語教師の求人は減少傾向にあります。

一方でオンラインやeラーニングの需要は高まっており、行動力とやる気次第で仕事を取ることは十分に可能です。

最近では、オンライン授業に特化した学校が出てきたり、教育機関に所属しなくともフリーランスや個人がYOUTUBEやFacebook等のSNSを利用して、学習者にアプローチできる機会が増えました。

今後、日本語教師の働き方もさらに多様化していくと思います。これから日本語教師を目指す方は、ぜひ自分に合った働き方を探してみてください。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

現在勤務する学校の他に未経験のときに1校、非常勤講師から専任に切り替わるときに2校で面接を受けました。他校と比較して良かった点は、多国籍であること、スタッフの平均年齢が若く就業しやすい環境だったことが挙げられます。

また、当時は開校から数年目の比較的新しい学校だったため、将来性を感じたという部分が大きいです。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

授業よりも留学生の生活指導をする中で悩むことがあります。日本語学校に通っている留学生の多くは、卒業後の進路として進学や就職を希望していることが多いですが、日本で長く生活するうちに本来の目的を見失ってしまうことがあります。

授業よりもアルバイトを優先させ、学校へ来なくなり連絡が全く取れなくなってしまうケースも少なくありません。学校によっては専任講師がそういった学生の対応を任されることがあります。

以前に、しばらく連絡が取れなくなり休んでいた学生が、久しぶりに登校してきて、体調不良のため休んでいたと報告してきたが、実際はその間ずっとアルバイトをしていたのが後から分かったことがありました。こういったケースは、本当のことを話してくれなかった学生に裏切られたと感じることもあれば、信頼関係が十分に築けていなかった自分を責めてしまうこともあります。

これは真剣に学生と向き合おうとする講師ほど陥ってしまいがちな悩みです。ただでさえ言葉の壁が大きい中で、文化や習慣の違いを理解し、どのように学生たちと関わっていくべきか日々模索しています。

給与

給与:20万円/月 ・専任講師 *正規雇用

給料は他校と比較して決して高いほうではありませんが、贅沢をしなければ、一定の生活レベルは維持できます。

その他の待遇に関して、残業代が支給されないため、就業時間内に業務が終わらない場合は任意の労働になります。多くのクラスを担当していた時期は、勤務時間外に授業準備をすることがほとんどで、体力的にも精神的にも負担が大きかったです。

残業代が支給される学校が羨ましいと感じたこともありますが、授業準備は時給に換算することが難しく、また授業準備に時間をかけたからといって必ずしも質の高い授業が保証されるわけではないといった理由から支給に至らない学校が多いというのも事実です。

利点を挙げれば、有給がほぼ100%消化できることです。また、フレックス制度が導入されており、出勤時間や勤務時間は比較的融通が効きます。女性が多い職場なので、産休や育休の後に復帰する社員が多いというのも働きやすいポイントです。

給与の詳細 情報を読む...

月収 20万円

  • 基本給:20万円

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 雇用保険・労災保険
  • 賞与 年2ヶ月分

勤務時間

  • 1日8時間 週5日勤務
  • 残業  1ヶ月合計30時間

給与や待遇面でおすすめできる、国内のその他教育機関を教えて下さい。

特定の教育機関名ではありませんが、雇用が安定している職場を希望する方には、学校法人の教育機関をお勧めします。

一方、ベンチャー思考で授業以外の仕事もしてみたいという方には新規校や小規模学校が向いていると思います。また、留学生に日本語を教えたい方は法務省が優良校として認定した「適正校」から探すのが良いと思います。

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

専任講師になったばかりの頃に受け持ったクラスが、真面目に授業を受けない学生が多く、クラスをコントロールするのが大変でした。具体的には授業中に携帯電話をいじったり、居眠りしたり、おしゃべりしたりする学生の対応に悩まされました。

卒業まで残り3ヶ月のクラスだったため、当時は学生が卒業するまでの辛抱だと思い、耐えて乗り切りました。これは当時、自分が日本語教師としての技量が足りていなかったことや、学生と十分にコミュニケーションが取れていなかったことに原因があるように感じます。

もしクラス運営で悩むことがあれば、まずは同じクラスを担当している講師に相談するのがいいと思います。通常、ひとつのクラスを複数名の講師で受け持つため、授業の進捗や学生対応に関して不安があるときは、他の講師に相談することができます。

自分が悩んでいることは、たいてい他の講師も同じように悩んでいることも多く、他の講師と積極的にコミュニケーションを取ることで、授業や学生対応の悩みが軽減されます。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス5~20人

学習者層

  • 大学生
  • 社会人

学生の主な出身地

  • 中国
  • 台湾
  • 韓国
  • ベトナム

スケジュール管理で大変だったことは?

基本的に授業を担当する曜日は固定でされていますが、専任講師は非常勤講師がお休みした際に、急遽代講に入らなければならない場面もあります。当日の朝や、直前に依頼されることもあり、ほぼ授業準備なしの状態で授業をしなければならないことが何度かありました。

対策としては、日頃からある程度、教案や補助教材をストックしておくのが良いと思います。突然の代講で完璧な授業を期待されることは少ないと思いますが、普段からいつ授業を振られても対応できるくらい余裕があると仕事がしやすいです。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

  • 月:9:00~12:25 N3クラスを3コマ 進学相談
  • 火:13:00~16:25 N4クラスを3コマ イベント企画
  • 水:9:00~12:25 N1クラスを3コマ 書類作成
  • 木:13:00~16:25 N3クラスを3コマ 期末試験作成
  • 金:9:00~12:25 N4クラスを3コマ 教材作成
  • 土・日:授業準備や採点業務等を行っていました。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語教師の教案
    教科書『みんなの日本語』の教案が掲載されています。初級の授業準備の際、活用しています。
  • 日本語教師は見た!
    日本語教師のブログはいろいろありますが、こちらは海外で活躍されている方が作成しており、教案だけでなく、教え方の工夫や体験談などが書かれています。共感できる部分も多く、楽しみながら読んでいます。
  • 日本語NET
    日本語教師の総合情報サイトです。教案の他にクラス活動やゲームのアイディアが豊富で、授業作りの参考にしています。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 日本語文型辞典 対象:中級
    扱っている文型の種類が豊富です。似たような意味の文型が増えてくる中級以降の教案作りに適しています。
  • 初級を教える人のための日本語文法ハンドブック 対象:初級
    『みんなの日本語』の出版社スリーエーネットワークが出しています。初級の教案作りに役立ちます。
  • 日本語コミュニケーションゲーム80 対象:初級
    授業ですぐに使えるゲームやアクティビティーが多数掲載されています。最初のうちは、オリジナルの活動を考えるのは難しいですが、本書はゲームに必要なカードやシートが付属しているため、授業準備が短縮できます。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

私が通っていた大学では副専攻の場合、教育実習や模擬授業の機会がなく、在学中は日本語の授業に対するイメージが湧かなかったため、本当に日本語教師になれるのかという不安がありました。

現在の勤務先は、未経験者歓迎と求人票に記載があり、またテストや副教材を学校から提供してもらえるという点から、講師へのサポートが充実している印象を受けました。同時期に別の学校にも応募しましたが、最終選考まで残らなかったため、現在の勤務先を選びました。

面接で何を聞かれましたか?

非常勤講師と専任講師の就職活動をしていたときに、4校で面接を受けました。共通して聞かれたのは、志望動機と履歴書に記載した資格や趣味についてでした。外国語の資格をいくつか持っていたため、そのうちの一つであるスペイン語で簡単に自己紹介する、というのがありました。

また、教科書『みんなの日本語』で学生が一番最初につまずくのはどこの部分か、同教材の1課分を終えるのに何時間の授業時間が必要か、というように基本的な日本語教育の知識があるかを確認する質問をされたことがあります。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

現在勤務する学校で、初級教材として採用しているのは『みんなの日本語』です。(トップ写真参照)写真のとおり、各国語の翻訳・文法解説書があり、補助教材として使用しています。

模擬授業によく指定される文型に『みんなの日本語Ⅰ』7課の授受表現「あげます」「もらいます」があります。この文型は日本語特有の表現なので、学習者に文型のイメージが伝わるように導入ができるかというポイントが見られます。

私はこの文型を模擬授業で扱った際、学習者のレベルを無視して未習の語彙を使ってしまったことがありました。「あげます」「もらいます」という文型は7課で出てくるため、基本的には1課から6課の語彙と文法で導入をしなければなりません。それが緊張すると、普通体で話してしまったり複文を多用してしまいがちです。

模擬授業では、大体がこの教科書のこの文型と指定されることが多いと思います。どの文型にも必ず教え方のポイントがあるため、事前にインターネットなどで情報収集し教案に盛り込んでおくのが良いと思います。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

外国語の資格に関していえば、欧米やヨーロッパの学習者に特化した教育機関でなければ、英語が必須条件になることはあまりないと思います。

しかし民間の日本語学校は、国籍に偏りがあるところも多く、たとえば中国の学生が大半を占める学校では中国語ができればアピールポイントになります。

個人的に、日本語教師は旅行でも良いので1度は単身で海外へ行った経験があるというのが理想だと考えています。日本国内の学習者は、彼らにとっての外国へ来て生活しているため、学生が生活面の問題に直面したときに自分の経験から相談にのったり、アドバイスをしたり、対応がしやすくなります。

同様に、日本語は学習者にとって外国語であるため、教師も外国語の学習歴があるというのが望ましいと考えています。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本村
    日本語教師の求人サイトとして有名です。国内外の求人が幅広く掲載されています。
  • そうがくしゃ
    日本語書店のホームページに日本語教師の求人が掲載されています。待遇については、詳細に掲載されていないため、応募先に問い合わせる必要があります。
  • 日本語教師の集い
    海外やオンラインの求人もあり、様々な教育機関を検討している方にお勧めです。

その他就職活動で有効な手段は?

  • 日本語教師合同説明会
    一つの会場に複数の日本語学校がブースを設けて、説明会を行います。合同説明会に参加するメリットは、一度の参加で複数の日本語学校の情報が収集ができる点です。不定期で開催されているため、日頃からインターネットで開催情報をチェックしておくと良いと思います。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学習者が多国籍
  • 学習者が学生

応募時に必要とされた資格

  • 大学 日本語教育主・副専攻

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

学生時代の留学やバックパッカーの経験から、漠然と国際的な仕事がしたいという気持ちがありました。大学4年次に周囲の友人が就職活動を始めたころは、自分はまだ将来何がしたいのか決められていない状況で、大学で興味がある分野の講義をなるべく多く受講していました。

その中のひとつに日本語教育課程がありました。一般企業への就職も検討しましたが、日本語学校にはどこか日本の会社とは違った雰囲気があり、自分にあっているかもしれないと感じたのがきっかけです。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

一番は学生と関わることで、自分が成長できることだと思います。学生時代に積極的に海外へ出ていたのは、異なる文化圏の人々と出会い、今まで知らなかった考え方に触れ、見地が深まることが面白かったというのが理由でした。日本語教師は日本にいても、そういった体験ができる仕事だと考えています。

教師は学習者へ授業や情報を提供する立場ではありますが、学生から学ぶことも多い職業です。まだ10代後半や20代前半の学生たちが、単身で日本へ来て挑戦をする姿を見ていると、仕事に対するモチベーションが高まります。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

私が日本語教師になるために動き始めたのは大学4年次の後期です。通っていた大学に、たまたま日本語教育過程があったため、大学のカリキュラムに定められた科目を履修することで資格を取得することができました。

現在の職場には同様に、大学で専攻していた講師もいれば、養成講座を修了した講師もいますが、特に資格の取得方法で教え方や能力に大きな差があると感じることはなく、個人的には大学、養成講座、日本語教育能力検定試験のいずれを選択しても良いと考えています。

私の場合は教育実習の機会がなかったため、ほとんどの学校の採用試験で課される模擬授業には苦戦しました。その経験から日本語教師を目指す方には、実習や模擬授業がある養成講座に通うか、大学の科目を履修することをお勧めします。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

日本語業界には、他の業種を経験してから転職して来られる方も多くいます。社会人の方はこれまでのキャリアを活かして、ビジネス日本語や就職活動のクラスを任されることもあり、社会人経験は間違いなくプラスになります。ビジネスパーソン向けの授業を行っている学校は、社会人経験を必須としているところもあります。

また年齢層も幅広く、70代や80代で活躍されている方も多くいるので、他業種でお仕事をされていた方も年齢や経験に関わらず日本語教師を目指してほしいです。

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