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日本国内 日本語教師経験談

国内 公的機関 大変だけど、学習者の成長がやみつきに!

ぽぽさん・ 34歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 7年 ※途中中断期間あり

総評

  • 国内の公的機関
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間: 4年(2015~2019年) 退職
  • 月収:27万円

この機関では、世界中の様々な国からの学習者の方に出会えました。学習者は、日本の文化に興味を持っており、日本語の学習意欲が高い人ばかりでした。自分が行ったことのない国の文化、習慣、政治や歴史について日本語で教えてもらうことができ、働いていてとても楽しかったです。

待遇面は生活していくには妥当であるように思いました。コースの開始時期などは、残業や持ち帰りの仕事もありましたが、勤務時間内で終わらせる風潮もあり、基本的には残業や持ち帰りの仕事は少なく、休日も確保されており、有給も取得しやすい職場でした。

学習者が授業に興味を持ってくれない、授業の準備が終わらない…など、日々の仕事の中で大変なことはもちろんたくさんありましたが、学習者の成長を見られるのが、この仕事のやりがいにつながります。

印象的だったのは、教室で初めて会った時はなかなか自分のことが日本語で表現できなかった学生に、数年後、日本に旅行に来たときに再会した時、当時よりも日本語が上達していてびっくりしたことです。日本にまた来たいと、帰国後、日本語の勉強を更に頑張ったそうです。

日本語教師の仕事は日本語を教えるというよりも、日本語を学び続ける動機やきっかけを作ることなのかな、と思った経験でした。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

大学の日本語教育機関で働くことも検討しました。非常勤、常勤問わず複数の機関に応募しましたが、書類選考で落ちてしまったり、面接で落ちてしまったため、結果的に採用していただいたこの機関への就職を決めました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

学習者同士の関係が険悪になってしまった時などにどのように介入すればいいか戸惑うことがありました。表面上仲がよさそうに見えても、コースが終わってから聞き取りをしてみると、「実はクラスのあの人と関係がよくなかった」ということもありました。

学習者は子ども同士でもないし、かといって放っておくわけにはいきません。チームの先生方に共有して対応を考えたり、普段から個々の学習者に目を配り、声をかけるようにしていました。

なぜこの公的機関を退職しましたか?

結婚を機に転職することにしたため、退職しました。この教育機関では、希望すれば契約を更新できるようになっておりましたが、夫が住む場所からかなり離れていたため、やむなく判断しました。人間関係にも慣れてきて、好きな職場だったので、なかなか難しい判断でした。

給与

給与:27万円/月 ・専任講師 *正規雇用

残業代が見込み残業代として給与に含まれているため、時間内に要領よく仕事を終わらせることができれば、十分に妥当な給与であると思いました。住居手当があったのもありがたかったです。

担当するコースの開始前や開始時期には、残業することもありましたが、たいていの場合は、勤務時間内に授業準備ができるよう配慮されていました。自宅での持ち帰り作業も少なく、プライベートに十分余裕が持てるのがよかったです。

ただ、退職金がないため、家庭を持つ先生の中には退職後を見据えてしっかり貯蓄計画をしている方もいらっしゃいました。

給与の詳細 情報を読む...

月収 27万円

  • 基本給:27万円

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 社会保険
  • 賞与 年4ヶ月分
  • 健康診断
  • 家賃補助

勤務時間

  • 1日7.5時間 週5日勤務
  • 残業 1ヶ月合計10時間

仕事のかけもち

  • かけもちしていない

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

クラス分けはテストの結果などを見て振り分けられていますが、同じクラスの中でどうしてもレベルや学習意欲にばらつきが生じてしまうことがあります。理解度が遅い学習者ばかりケアしていると、理解度が早い学習者はすることがなくあきれてしまうし、どこに照準を合わせて授業を進行するかは非常に苦心しました。

理解度が早い学習者の隣に遅い学習者を座らせるなどのように席順を工夫したり、授業を早く進めてしまったかなと思ったときは、理解度が遅い学習者を授業後にフォローするようにしていました。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス12人

学生の主な出身地

  • 中国
  • 台湾
  • 韓国
  • 東南アジア諸国

スケジュール管理で大変だったことは?

月曜日の授業は非常勤講師の先生方の都合が悪いことが多く、その場合は常勤講師で授業を受け持つことになります。

月曜日の朝から連続で5、6コマ授業を担当することがあり、週の頭からへとへと…ということがありました。また、どの専任講師も同じような状態だったため、体調不良などで穴が開けられないという緊張感が常にあり、体調管理には特に気を付けていました。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

  • 月:9:00~12:00 初級クラスを3コマ
    13:30~15:20 初級クラスを2コマ
  • 火:13:30~15:20 初級クラスを2コマ
  • 水:9:00~11:00 初級クラスを2コマ
  • 木:13:30~15:20 初級クラスを2コマ
  • 金:地域の方との交流会や施設見学の随行など
  • 土:休み
  • 日:月曜日に授業がある場合は、授業の教案の確認

教案作りで参考にしているサイトは?

  • みんなの教材サイト
    授業で使えそうなイラストや写真に加え、教室活動のアイディアなどが豊富に紹介されています。例えば、初級の読解の授業ってどんなことをしたらいいんだろう…という時にこのサイトが役立ちます。取り上げられている素材は無料でダウンロードもできます。
  • 日本語教育通信
    授業のアイディア、実践例などが紹介されています。「授業のヒント」で紹介されている教え方は、取り入れやすいものが多くあるので、とても参考になります。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き 対象:初級
    文法説明の際に、英語で簡単に説明することがあったので、その時の説明の参考に「教え方の手引き」英語版を利用していました。説明も難しすぎることがなく、わかりやすく書かれていたので重宝しました。
  • みんなの日本語初級II 第2版 教え方の手引き 対象:初級
    文法説明の際に、英語で簡単に説明することがあったので、その時の説明の参考に「教え方の手引き」英語版を利用していました。説明も難しすぎることがなく、わかりやすく書かれていたので重宝しました。

就職活動

この公的機関で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

学生時代から働いてみたいと思っていた、いわばあこがれの日本語教育機関の一つでした。たまたま大学院の先輩がその機関で働いており、内部の様子が聞けたことで、そこで働くイメージを持てたことが大きかったです。大学院修了のタイミングで募集が出ていたため、面接を受け、就職することになりました。

面接で何を聞かれましたか?

まず、志望動機、これまでの日本語教育歴の概要、行っていた教授法について聞かれました。さらに、外国人日本語教師との協働経験で困ったことがあったかどうか、その際にどのように対応したかといったことについても聞かれました。

この公的機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

海外での日本語教育実績があるとよいと思います。特に、外国人の日本語教師との協働経験は、採用の際に重視されるように思いました。

また、日本語教師は学習者の国に興味・関心を持ち、勉強する姿勢が求められると思います。そうすることで、学習者の考え方だったり、ものの見方がよりわかるようになると思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本語教育学会
    教師募集 国内外の日本語教育機関の求人情報が週に1回更新される。
  • JREC-IN Portal
    アカデミックの求人が中心。 キーワード検索で「日本語教育」と入力して検索。
  • indeed
    住まいの近く、オンライン…など条件を絞って求人情報を探すことができる。

その他就職活動で有効な手段は?

  • 紹介
    日本語教師仲間のつてで求人情報がまわってくることもある。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校の規模
  • 使用されている教授法
  • 給与・待遇

応募時に必要とされた資格

  • 大学 日本語教育主・副専攻
  • 修士課程修了

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

学生時代に海外に行ってみたいという単純な気持ちで、海外での日本語教育実習に参加した際、日本語を教えることの面白さや難しさ、実習指導を担当してくださった日本語教師の方の情熱にすっかり魅了され、それから本格的に日本語教師を目指すようになりました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

やはり学習者の成長した姿を見られたときです。卒業した学習者が機関を訪ねてくれることがあるのですが、学習者の日本語が以前よりも上達している姿を見ると、来日当初の様子や、本人の努力する姿勢が思い出され、本当に感慨深い気持ちになります。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

まずは、自分がどこで日本語教師として働きたいのか、そのために必要な資格・条件は何なのか、よく洗い出すといいと思います。

大学で主専攻・副専攻で日本語教育を勉強しているなら、大学が提供してくれる教育実習の機会を十分利用するといいと思います。また、大学に日本語を教える機関(留学生センター、留学生別科など)があれば、そこで会話ボランティアを募集している場合もあります。実際の日本語の授業を見る機会にもなるので、探してみてください。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

日本語教育の分野は本当に幅広く、勉強することがたくさんあります。効率よく学ぶためには、まずは養成講座に通うのがいいかと思います。また、住んでいる地域に外国人向けの日本語のボランティア教室があれば、そこに行ってみるといいと思います。日本語を教えることのイメージがつかめると思います。

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