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日本国内 日本語教師経験談
国内 日本語学校 悩みは多いが楽しさや満足感が勝る
日本語教員に戻りたいママさん・ 31歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 3.2年
総評
- 国内の日本語学校
- 雇用形態:非常勤講師
- 期間: 3年(2013~2017年) 退職
- 月収:12万円
非常勤講師として育休も含め約4年お世話になった日本語学校。大変なこともありましたが、働く環境はとても良かったです。
週4日勤務だった私は、夏休み、春休みなどの長期休暇こそ授業がなく給料が少なかったものの、1人でアパートを借りて生活していけるレベルの収入を得ていました。新しいテキストを始める際の教材研究やプリント作り、テストの採点などの雑務は無給でしたが、それでも日本語教員の時給は決して低くはありませんし、休みも多いので不満はありませんでした。
生徒の質は、クラスによって様々でした。主に中国・ネパールからの留学生を受け入れていた学校でしたが、クラスは基本的には入学時のテストの成績によって振り分けられるため、学習意欲のあるクラスとそうでないクラスに分かれがちでした。
私は中国人のみ、ネパール人のみのクラスを担当したことがありますが、話を聞かずに母国語でずっとおしゃべりをしていて授業にならず、仕事を辞めようか悩んだこともありました。
しかし、学長がとてもおおらかで優しい方だったので「予定通り進まなくても大丈夫、学生たちが興味を持ってくれるような教材や遊びを取り入れてもいいんだよ」と言ってくださり、一緒に校外へ出かける、日本語の映画を見るなどのコミュニケーションや工夫を交えるようになり、授業を進めることができるようになりました。
通常の授業以外に、クリスマスや夏休み前などには学校単位でのお祭りやパーティーも行いました。クラスでも母国の料理などを持ち寄った会が年に2度ほど行われ、日本語を学びつつ異国の文化にも触れ合うこともでき、留学生同士も仲が良かったように感じます。
ちなみにこの学校は講師間の仲も非常に良好でした。学長の方針で細かなカリキュラムを組まず、クラスや講師のペースで授業を進めることができたからこそ、ギスギスとした関係にならなかったのだと思います。
他の教育機関と比較・検討しましたか?
始めは大学で留学生への日本語指導を希望しておりましたが、どの大学も現場での経験がある程度ないとできない、もしくは博士後期課程を修了していないと就けないとのことで、まずは日本語学校で経験を積むことにしました。
インターネットで日本語学校の求人を調べ、勤務日数や所在地などがマッチする複数の日本語学校へ応募をしました。その中で、最も早く連絡、面接、採用を頂いた学校で働くことを決めました。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
学校に来ても寝てしまう、授業を放棄してスマホで動画を見始めるなど授業への意欲が見られない学生に遭遇したときは非常に苦労をしました。
まずは授業中にスマホを回収し、イヤな顔をされても話しかけて起こす、他の学生に追いつけない場合には簡単なプリントを用意するなど授業中に様々な工夫をしました。
また、学生たちとは様々な伝達のために連絡先を交換することがあったので、翻訳アプリを使って英語や中国語で「学校にきて」「日本語を勉強しましょう」「今日は何を食べましたか?」などのメッセージを送りコミュニケーションを取るなど、こちらからも相手に寄り添う姿勢を見せることを大切にしていました。
学生の日本語の上達に直接繋がらない場合もありましたが、学生との信頼度が高まり、出席率が上がる、進路指導などがしやすくなるなどのメリットはあったと思います。
なぜこの日本語学校を退職しましたか?
第一子妊娠、出産後、しばらくしてから短い時間で復帰をしました。その後しばらくして第二子の妊娠が発覚し、更に同じタイミングで夫の仕事の都合で遠方への引っ越しが決まりました。
本当は子供を保育園に預け、バリバリ復帰をするつもりでしたが、新幹線の距離に引っ越すこととなったので泣く泣く退職を決めました。
学長にはとても良くしていただき、また主任の先生にもとてもお世話になったので、涙ながらの報告となりました。退職を残念に思ってくださりながらも、私たち家族の背中を押して頑張れといってくださったことが、今も忘れられません。
給与
時給1,800円、週4日勤務だったので夏休みなどの長期休暇に収入が減ったり、台風などの影響で授業がなくなったりしてもあまり生活に支障はありませんでした。給与が多い月には貯金をし、生活をやりくりしていました。
決してすごく余裕がある、というわけではありませんでしたが、副業をしたりしなくてもワンルームのアパートで1人暮らし、週末は友だちと飲み会に行けるくらいの生活はできていたと思います。
授業の準備や採点に時間が掛かるときもありましたが、そもそもの時給が高いので不満はありませんでした。新しい教科書や単元に入る前は準備時間も長かったですが、どうやって教えようかと思うとワクワクして、大変というよりも楽しい気持ちの方が大きかったです。
採点も、教えたことが身になっている学生を見ると嬉しくなりましたし、珍回答には思わず笑みがこぼれ、心が癒されました。
給与の詳細 情報を読む...
月収 12万円
- 基本給:時給:1,800円
- エコ通勤手当:3,000円(自転車通勤のため)
待遇
- 交通費
- 賞与 年1ヶ月分
- 残業をしていると時々差し入れや食事に連れていって頂きました
勤務時間
- 1日8時間 週4日勤務
- 残業 1ヶ月合計10時間
長期休暇中の給与保証
- 給与保証がない
仕事のかけもち
- かけもちしていない
授業形態・勤務スケジュール
クラス運営で大変だったことは?
授業は初級クラスの4月、5月が最も大変でした。テストでだいたい同じレベルに振り分けたクラス内でも、レベルの差があるからです。
また、始めは緊張してジっとこちらを見つめるだけ、話しかけてくれない学生も多いので緊張してしまうのも理由の1つです。
初級の乗り越え方は、「クラスの中でレベルの高い学生を見極め先生になってもらう」ことです。クラス内には始めから日本語が他の学生よりもでき、コミュニケーションも取れる人がいます。その人をいち早く見つけ、全く話せない人の先生になってもらったり、代わりに解説をしてもらうのです。
レベルの高い学生は更に上達しますし、できなくて置いていかれそうな学生も母国語などで説明をされると納得・理解をして学習を進めることができます。
私は英語や中国語ができませんが、「みんな日本語の勉強を頑張って私と話せるようになってね」という風に置き換えていました。
講師が外国語を話すと甘えて勉強しなくなる学生もいるので、私が日本語しか話さないことでどうにかコミュニケーションを取らなければ、と学習意欲に繋げてくれる学生もいて嬉しかったです。
受け持ちのクラスの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス8~17人
学習者層
- 社会人
学生の主な出身地
- 中国
- ネパール
スケジュール管理で大変だったことは?
授業計画やスケジュールを学校側に提出する必要はありませんでしたが、自分が思ったように授業が進まないこともあり苦労しました。
開始時間に学生が集まらず、授業が15分、20分遅れで始まることもありました。また、学校にはチャイムなどがなかったので、時計をみてキリの良いところで休憩時間を取るのですが、10分と決まっている休憩時間を破ってなかなか教室に戻らない学生も多く、授業が始められないことも多かったです。
開始時間は遅刻認定を厳しくすることで改善できた部分もあります。また、休憩時間は短めに伝えておくことで対策をしました。こちらは効果が大きかったように思います。
1週間のスケジュールを読む...
スケジュール
- 9:00~12:30
初級クラスを3コマ - 13:00~16:30
中級クラスを3コマ
- 9:00~12:30
初級クラスを3コマ - 13:00~16:30
中級クラスを3コマ
- 9:00~12:30
中級クラスを3コマ - 13:00~16:30
初級クラスを3コマ
- 9:00~12:30
中級クラスを3コマ - 13:00~16:30
初級クラスを3コマ
- 土曜日:毎週ではないものの授業準備や採点などを行う日もありました
- 日曜日:特に仕事はありませんでした
教案作りで参考にしている書籍は?
- 『みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き 』
対象:初級
例文を提示したい、説明の仕方がわからないなどのときに、教え方の参考にしていました。
就職活動
この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。
日本語教員としての仕事を探しており、インターネットの募集サイトで様々な日本語教員の求人を見ていました。
募集条件とマッチする中で、通える範囲の場所にある日本語学校数校に履歴書を送ったところ、最も早く連絡、面接、採用を決定してくれたのがこの学校でした。
当時は日本語教員になろうと4月に就職したばかりの会社を勢いで辞めてしまい、一刻も早く働きたかったので、対応が早かったところに決めました。結果として長期的に働ける環境の良い学校だったので良かったです。
面接で何を聞かれましたか?
週にどれくらい働けるか、これまで日本語教員として働いた経験はあるか、日本語教員に必要な資格として何を持っているかなどを聞かれました。
他には、学校には中国人やネパール人が多いが大丈夫か、学生のレベルが高くないと大変なこともあるがやっていけそうか、通勤にはどれくらいかかるのかなど、学校や自分に関する具体的なことについても質問をされました。
この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
私は大学で日本語教員養成課程を修了、日本語教育能力検定に合格と、日本語教員になるための条件を2つクリアしていたので、それが強みになったと思います。
語学はまったくできませんでしたが、日本語を学びに来ている学生ばかりなのでコミュニケーションは十分にとれました。しかし、英語や中国語の簡単な日常会話ができる方が学生も安心できるし、自分ももっとコミュニケーションが取れたのではないかと思います。
日本語教員に向いているのは声が大きい人、自分の意見をハッキリと言える人です。教室授業の場合は大きな声を出さなければいけない場面も多いです。外国の方はおしゃべりが好きだったりするので、声が小さいと話を聞いてもらえません。
また、教育機関にもよりますが、日本語を学ぶ人は大人も多いです。文化の違いやマナーの違いなど、注意をしなければならない場面も少なくないので、大人同士でも意見をしっかりと伝えられないといけません。
私が日本語教員になったのは25歳でしたが、その時は年上の学生も多くいました。そんな学生にもダメなときは注意する、しかることもありました。日本語教員は日本語だけでなく、文化やマナーを教えるのも仕事なので、資質として欠かせない部分だと思っています。
就職活動で参考にしたウェブサイトは?
-
『 日本語教育学会』
国内の日本語学校や専門学校、大学の求人のみならず、海外の求人も掲載される。試験の採点者なども募集しているのでこまめにチェックすると良いサイトだと思います。
就職 教育機関選びで特に重視した点
- 給与・待遇
- 通勤時間
応募時に必要とされた資格
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 日本語教育能力検定試験合格
- 大学 日本語教育主・副専攻
- 上記のどれか1つ
就職 選考方法
- 書類
- 面接
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
元々小さなころから教師になりたいという願望がありましたが、高校生になったときに、給食が苦手、子どもがあまり好きではないことから教師を諦めました。
しかし、誰かに何かを教えたいという思いは変わらず、また国語の成績はずっと良かったので、自分の知識を活かしつつ人にものを教えられる仕事は何かと思ったときに出会ったのが日本語教師でした。
大学進学後は授業が難しく諦めようと思ったこともありましたが、無事養成課程を修了し、検定にも合格でき、夢だった日本語教師になれました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
学生の日本語力がアップしていくのが分かるときはとてもやりがいを感じます。日常会話の中でもそうですし、テストの成績が良かった、試験に合格した、良いアルバイト先が決まったときにも喜びを感じます。
また、ありきたりですが3月のお別れの時期には学生から感謝を伝えられたり、お別れパーティーをしたりします。そんな時に1人ひとりがクラス皆で過ごす時間を楽しんでくれているのを見ると、頑張ってきてよかった、一緒に勉強してきてよかったと思います。
講師間の会話の中で嬉しかったのは、よくペアを組む先生がいらっしゃったのですが、私が退職する際に「先生と一緒に組んだクラスはみんな面白かった」と言って頂けたことです。
大先輩だったのでいつも頼りきりで、申し訳ないと思っていましたが、一緒に良いクラスを作ることができていたんだなと嬉しく思いました。
日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?
中国人のみのクラス、ネパール人の男性のみのクラスを担当したときに辞めたいと思うことがありました。国や言葉が同じ人たちが集まると、どうしても母国語を使う頻度も高くなり、学習への意欲が低下してしまいます。
最初は私が話していてもお構いなしに教室を出ていこうとしたり、スマホでドラマを見たりする学生もいました。私は中国語やネパール語はわかりませんが、明らかに私に対する悪口を言っているのがわかるという雰囲気のときもあり、もう辞めたいと思ったことがあります。(実際これらのクラスを担当し、退職してしまった講師もいます)
しかし、生活もありますし、そのとき担当していた他のクラスがとても楽しかったのでやはり辞めるわけにはいきません。かといってクラスの雰囲気をそのままにするわけにもいかないので、色々と考えました。
まず、中国人ばかりのクラスは日本語レベルがかなり低い学生ばかりでした。学長からも教科書に沿ってやることだけでなく、コミュニケーションを取ることをメインに教えてやってくれと言われたので、旅行の中国語会話の本から使えそうな単語を抜き出したプリントを作成したりしました。
また、「みんなの日本語」の会話のDVDを見せる、会話のシャドウイングテキストのCDを聞かせるなどしているうちに、少しずつ日本語に興味を持ってくれる学生も増えました。「おはよう」「先生」しか言えなかった学生がジュースを持ってきて「せんせい、みず、どうぞ」と言ってくれた時は面白いやら嬉しいやらで私がやってきたことは意味があったんだなと感じました。
そうこうしているうちに進路指導が始まり、一緒に願書を書いたり面接の練習をしていると1日があっという間に終わるようになりました。最後はクラスの3分の2の学生と一緒に動物園に行き、良い記念もできました。
ネパール人クラスの時は全員男性で、おしゃべりが始まるとお祭りのようになってしまってそれを止めるのが大変でした。学習意欲があり日本語レベルも高い学生が数名いたので、その人たちにレベルを合わせてなんとか授業を進めていました。
このクラスは漢字が好きで、また若い男の子たちなのでゲームをすると盛り上がることも多かったので、漢字カルタを作ったりしながら授業と遊びながらの勉強というメリハリをつけて進めていました。
どんなに好きなことでも辞めたい、逃げたいと思うことはあると思います。特に相手が人間の場合には、相手を変えるか自分が変わるかしないと前には進めません。
私は最初、「このクラスはいやだ、辞めたい」と思いながらイヤイヤ授業を行っていたと思いますが、自分のやり方や考え方を変えると徐々に苦痛ではなくなりました。
色々なクラスを担当すればするほど、授業に行くことが楽しい!と思えないクラスももちろん出てきますが、言葉は通じなくても気持ちは伝わります。学生たちをいかにその気にさせるか、そのためにどう工夫したかは、「辞めたい」気持ちを無くしてくれるだけでなく、いつか「頑張ってよかった」に変わります。
私が教えた学生は勉強が苦手な人はいても、人としてイヤな人はいませんでした。最後には必ず「先生ありがとう」「先生のおかげです」という言葉がもらえる、乗り越えれば必ず報われる。それが日本語教師の魅力だと思います。
学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?
私がオススメしたいのは「日本語教員養成課程」がある大学への進学です。日本語教員になるために必要な知識を授業で学びながら、他の勉強もできるからです。
しかし、私の通っていた大学の養成課程では実習の時間が少し短かったので、実践を重視したいのであれば、養成講座を受ける方が良いのかなと思います。
日本語教育能力検定はとても難しいですが、持っていると採用率がアップすると聞いたことがあります。ぜひ合格に向けてチャレンジしてほしいです。
社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?
まずは地域のボランティアなどで、外国人に日本語を教えるという体験をしてみてください。
その上で日本語教師志したいと思うのであれば、働きながら最短1年で卒業できる養成講座もあるので、そういったところへ通うのが良いと思います。
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