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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 一生懸命向き合えば学生も応えてくれます!

糸うさぎさん・ 32歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 3年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間: 2年(2016~2018年) 退職
  • 月収:9~12万円

私の勤めた日本語学校は大学院・大学・専門学校進学を目指す進学校で、1クラス20人前後。中国人8割で残り2割はベトナム人、ミャンマー人、モンゴル人、韓国人でした。

その学校との出会いは、日本人教師の就活セミナーで、たまたま立ち寄ったブースにいた理事長と話して意気投合し、学校の見学に行く流れに。そして、面接・模擬授業をして採用されることになり、気づいたら教壇に立っていました。

初めてもったクラスは初級レベルで、使用テキストは『みんなの日本語』。(写真にあるテキスト)
大半の学生は真面目に授業を受けてくれましたが、中には携帯でゲームをする学生や寝ている学生もいました。

そんな彼らにも日本語を楽しく勉強してもらいたく、教科書だけを教えるのではなく、日本の若者文化や彼らが好きなアニメの話を導入に盛り込んだり、チーム戦で単語いくつかけるかのゲームをしてみたり(写真はその時の様子)色んな方法をやってみました。なので、学校が終わってからも休日も授業準備に追われて大変でした。

授業中の出来事で一番感動したのが、学生からの歌のプレゼントです。モンゴル人の学生がギターを持ってきてくれて、授業でやった歌を皆で歌ってくれました。

「歌の授業がおもしろかった」「いろんな言葉を覚えることができた」と学生から言われたときは、準備を頑張ってよかったと思いました。

その一方で、あまりにも元気に歌ってくれたので、学校の壁が薄くて隣のクラスにも響いてしまって隣のクラスからクレームが来ないかと内心ヒヤヒヤ。

授業後、隣のクラスの先生が私に近づいてきた時は絶対怒られると思いました。しかし、「すごいね。うちの学生が羨ましいと言っていたよ」と言われて、ほっとしました。
授業に関係あるならなんでもやってよいという校風だったのでよかったです。

授業準備やクラスのマネージメントなど大変ですが、一生懸命向き合えば学生が応えてくれるこの仕事は私にとって天職です。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

就職セミナーでいろいろな日本語学校の説明を聞きました。
養成講座を終えて初めての日本語教師デビューだったので、候補の学校へコンタクトをとり実際に学校を見学させてもらいました。

決め手になったのは、自宅からの通勤時間と学校の雰囲気です。

日本語学校の授業は朝9時スタートのところが多いので、なるべく駅から近いほうがいいと思いました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

日本語教師として戸惑ったことは、日本の常識が世界では常識じゃなかったことです。

日本では、ペーパーテストは必ず「鉛筆」で書くのが普通で、小学校のときからそう教えられてきていると思います。しかし、一部の中国人はテストではペンで答えを書いてきます。

それはクラスに一人二人というレベルではなく何人もいて、日本語教師になったばかりの頃はびっくりしました。

前日に鉛筆と消しゴムを持ってくるように指示をしていたにも関わらず、ペンで書いてきたので「どうして鉛筆があるのにペン書くの?」と聞きました。

するとある学生が、「中国ではペンで書くように小学校のときから指導されている。だって鉛筆だと後ろから答案を回収するときに名前とか答えを書き換えられる可能性があるから。」と教えてくれました。

それを聞いて、なるほどと思った一方で、自分の中の常識を当たり前にしてはいけないと学びました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

勤めていた学校は中国人メインの学校だったので、もっと色んな国の人に教えてみたく退職しました。

あと、改革といいながら非常勤講師の同意なしでカリキュラムや試験の評価を変えはじめた為、学校の方針に賛同できなくなってしまったのでやめることを決意しました。

給与

給与:9~12万円/月 ・非常勤講師

常勤になったら日本語教師一本で生活していけると思いますが、非常勤講師はコマ給の学校が多いので給料が不安定になりやすいです。また、日本の外交状況や自然災害の影響が受けやすく、非常勤講師は急に授業のコマを減らされたりすることがあるそうです。

また、授業準備は基本自宅での作業で、慣れるまで一回の授業準備ににかなりの時間を要します。
学校によっては、それに加えてテストの採点や宿題の添削があったりします。

それらを加味すると、時給100円にもならないです。
正直なところ待遇も給料もよくないです。

多くの非常勤講師は学校をかけ持ちしているか、別の仕事もして生計を立てています。

給与の詳細 情報を読む...

月収 9~12万円

  • 1コマ45分:1,900円
  • 担任手当:1万円
  • 事務手当:3,000円

待遇

  • 交通費

勤務時間

  • 1日4~8コマ+60分 週3~4日勤務
  • 残業 1ヶ月合計12時間

長期休暇中の給与保証

  • Array

仕事のかけもち

  • かけもちしている 他1ヶ所

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

「初級クラス」は学生の日本語レベルに差がありすぎて大変でした。

はじめはなんとかついてこれた学生も、動詞のテ形が入ってくると、どんどんついていけなくなり、授業へのモチベーションが下がっていってしまいます。

学生の中にはアルバイトをしないと授業料が払えないので、アルバイトのせいで授業についていきたいのについていけないと、悩む学生がいました。

私は初級の先生と教務主任と話して、ついてこれてない学生を集めて、補習授業を午後のクラスの後やりました。クラスは20人ですが、補習は10人ぐらいだったので、それぞれのつまづいているポイントを抑えて指導できてよかったです。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス20人

学習者層

  • 大学生
  • 社会人

スケジュール管理で大変だったことは?

慣れるまでの一年はほんとうに休日返上で授業準備をしていました。始めはアナログで絵カードなどを作っていましたが、少しでも効率よくできるように、授業はgoogleスライドを使って進め、使いまわしています。

テストの採点などはなるべくその日のうちに採点添削をするように心がけて、忘れないようにしていました。

あと、ティームティーチングなので、次の日の先生への引き継ぎは忘れないように、学校で連絡するようにしていました。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

月・水・金
  • 8:30  出勤、授業準備、印刷物準備
  • 9:00~12:20  
    初級1クラスを4コマ
  • 12:20~12:40  
    掃除の監督、片付け
  • 12:40~12:50  
    昼礼(昼食をとりながら)
  • 13:10~16:30  
    初級2クラスを4コマ
  • 16:30~16:40  
    掃除の監督、片付けなど
  • 16:40~18:00  
    出欠入力、小テストの添削、配布物の印刷など
  • 18:00  退勤
  • 12:30  出勤、授業準備、印刷物準備
  • 12:40~12:50  
    昼礼(昼食をとりながら)
  • 13:10~16:30  
    中級クラスを4コマ
  • 16:30~16:40  
    掃除の監督、片付けなど
  • 16:40~18:00  
    出欠入力、小テストの添削、配布物の印刷など
  • 18:00  退勤
休日
  • 土:毎週、翌週の授業準備に追われていました。毎日のように授業を行っていたので半日かけ授業準備をします。
  • 日:土曜日できなかったテストの採点と、宿題の添削を行います。作文の添削をやらなくてはいけないことも。夜は月曜日の授業内容と時間のスケジュールのシュミレーションを行います。

教案作りで参考にしているサイトは?

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 初級を教える人のための日本語文法ハンドブック 対象:初級
    初めて教える文型の特徴や教える時気をつけなくてはいけないことを調べるために使用。巻末に「みんなの日本語」の何課にのっているか記載されているので辞書のようにひいて使っていた。
  • 日本語教師のための楽しく教える活動集22 対象:初級
    文型別のテーマで発展活動をするときに使用。絵カードを人数分コピー。すごろく、かるた、地図、チケットなどの小道具が簡単に用意できるのでクラス活動で使いました。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

日本語教師のための就職セミナーに参加したときに、説明を聞いた学校の一つです。話をしてくださった理事長の人柄に惹かれ興味を持ちました。

その流れで学校見学にいくことになり、後日模擬授業と面接で採用されました。

面接で何を聞かれましたか?

模擬授業のあと日本語教師の経験、週何日働けるか、希望するレベルはあるかなど、基本的なことを聞かれました。

理事長先生の推薦もあって、面接自体は簡易的なもので、どちらかというと校長先生が話している時間のほうが長かったです。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

模擬授業はテ形の「~てください」でした。教案は養成講座で何度か作っていたので、それを元にアレンジしました。文型導入では学生にイメージしてもらえるような会話の場面を考えることにポイントを置きました。当日は絵カードやフラッシュカードなど持参しました。

私は普段から早口といわれるので、模擬授業では話すスピードを特に気をつけてやりました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

日本語教育能力検定試験は受けておいたほうがいいと思います。日本語教育能力検定試験の勉強は日本語教師の基本になるものばかりです。ある程度の文法知識がないと授業をデザインすることは難しいです。

学生から「おもしろい」と「楽しい」はどう違うのか?「は」と「が」の使い分けを教えてほしいなど、レベルが上がれば上がるほど質問も多岐にわたります。たとえすぐ答えられなくとも、あとでしっかり学生に伝えられるよう、自ら勉強する姿勢は日本語教師として持っていたほうがいいです。

最近は外国人労働者も増えてきて、留学生のほとんどがアルバイトをしています。自分の社会人経験や面接経験は、学生に進学指導などをするときに役に立つと思います。

英語が話せるほうがいいかとよく聞かれますが、話せなくても大丈夫です。日本語学校に来る学生は英語が苦手だから日本に留学を決めた人が多いので、学校にもよりますが英語が話せてもあまり使わないです。

相手の国の言葉を知っていると便利なことがありますが、逆に学生から、母語で話しかけられてしまい、日本語を話す機会を奪ってしまう可能性があるので、日本語が話せれば問題ないです。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本語教育学会
    基本的に修士以上の求人が多いが、国際交流基金など求人も掲載されるので、色んな道が拓ける。信用できる学校が多い。
  • にほんご書店そうがく社
    求人情報がひと目で見やすい。募集要項を比較しながら検討できる。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 給与・待遇

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

中学生の時に日本語教師という職業があることを知りました。そのままときが流れ大学に進学し、就職、そして結婚しました。

結婚した相手が海外へ駐在する可能性があるとわかり、いつかは今の仕事を辞めるだろう、この先どうしようか……と考え始めるようになりました。そのとき昔から興味を持っていた日本語教師のことをふと思い出し、ネットで日本語教師について調べ始めました。

知り合いに日本語教師の資格を持っている人がいて、メールでいろいろ教えてもらうことができました。

色々検討した結果、外国でも仕事ができる日本語教師は魅力的だと思い、会社を退職することを決意。そしてすぐ養成講座に通いました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

私が日本語教師をやっていてよかった!と感じるときは学生の成長を感じるときです。

ひらがなも書けず、「おはようございます」しか言えなかった学生たちが、3ヶ月後には「先生のクラスでよかったです。本当にありがとうございました」と手紙を書いてくれました。そのときは涙が出るほどうれしかったです。日本語教師やっててよかったなと思いました。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

今は四大卒以上という学歴がないと厳しいので、まずは大学卒業を目指してください。個人的には大学で日本語教育専攻をしてそのまま日本語教師になるより、一度社会に出て就職してからのほうが色々な経験を積めて、指導の幅が広がると思います。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

通信講座もありますが、クラス授業をやりたいなら教育実習のある養成講座に通うのが一番いいと思います。検定合格で日本語教師になれますが、実際に授業の組み立て方の指導を受け、教案を作成し、教育実習をやっておいたほうが、実際に授業を自分がするときにとても役に立ちます。

あと、養成講座に通うことで、講師や同じ受講生からいろんな情報が得られるので勉強になります。

私は養成講座で一緒に実習をした受講生の方と今でも仲良くしていて、就職情報を交換したり、大変なときにご飯にいったりとお互い励まし合って今まで乗り越えてきました。

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