掲載日:
日本国内 日本語教師経験談
国内 日本語学校 異文化理解の大切さと見えない業務
SUDUさん・ 25歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 2.4年
総評
- 国内の日本語学校
- 雇用形態:専任講師 *正規雇用
- 期間: 1.5年(2018~2019年) 退職
- 月収:17万円
授業で印象に残っているのは、一番最初の授業です。
大学を卒業して新卒で入ったため、学生のほとんど全員が自分よりも年上でした。日本人だったら年が上でも下でも関係なく敬うのが礼儀ですが、その感覚で立った私はクラスのみんなに笑われました。
プリントを配っても見もせず、返す学生もいました。ただ大きい声で怒っていたのですが、ある先輩の先生が、「学生と話してみたらいいよ」と言ってくれ、授業の中で学生にみんなの国のことを聞いたら、嬉しそうにみんな答えてくれました。「○○さんの国は、何歳から働きますか?」「○○さんの国では、何が有名ですか?」など聞いているうちに、ある国では、年下の先生なんてありえない、女が男に指示するのはおかしい、などいろいろなことがわかってきました。
文化の違いや考え方の違いを、理解したうえで指導をするのと、自分が正しいと思って学生に指導をするのは全然違うことだと思い、学生の国について調べたり、考え方を尊重したうえで、「私があなたの国に行ったら、それをします。いまはあなたがこれをします。日本ですから!」という言い方をすると、すごく納得したようにいうことを聞いてくれるようになりました。
授業がやりやすくなり、学生からプライベートな話も聞けるようになりました。授業がすごく面白くなり、やりがいを感じました。同時に、自分の柔軟性を養えると感じました。
教務だけではなく、外国人を扱う責任者として在留資格(VISA)を申請、管理もします。特に、新規で入学予定の学生のVISAを申請するときは50-60枚の書類をチェック、修正、翻訳をしますので、かなり忙しくなります。
残業も土日もあります。学生が入学後は、法律に反してないか、出席は十分か、アルバイトは規定内かなどを常に管理して、卒業前に帰国処分とならないように学生の管理するのはとても大変です。VISA関係に関してはかなり大変な業務だと思います。
他の教育機関と比較・検討しましたか?
ほかの教育機関とは特に比較はしませんでした。理由は、大学時代、副専攻で日本語教育について学んでいた私は、この日本語教育機関に何回も見学に行ったり、研修に行く機会があったため、社風が入社前から知ることができ、よく知っているという安心感があったからです。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
集団での授業となると、学生によってレベルに差があり、みんなのモチベーションを下げないように授業を進めるのが大変でした。
具体的には、漢字の勉強を始めたときに、漢字圏である中国の学生は「一」や「大」など単純な漢字は「何回も練習する意味が分からない」と言い、すごく暇そうにしていました。
しかし、非漢字圏の学生は、初めての漢字に戸惑い、一つ字を書くことに数十秒との時間がかかっていました。できない子に合わせればできる子は面白くなく、できる子にあわせてはできない子が面白くないので、バランスをとるのが難しく、大変でした。
なぜこの日本語学校を退職しましたか?
授業も違法にならないぎりぎりのラインまでたくさん入っていたにもかかわらず、事務や営業、学生指導などの仕事も負担が多く、毎日残業しても終わらない日々でした。その残業代も払われないので、限界が来ると考え、退職をしました。
給与
正社員の場合、教務だけでなく出席率の計算や非常勤講師の予定調整、VISAの更新、申請業務やアルバイトの指導等、たくさん仕事あり、授業準備などは自宅で行うのが通常でしたが、授業が1コマでも20コマでも、給料は全く変わらないのが残念でした。
また、給料は低く、生活はぎりぎりでした。この会社の方針で、賞与を少なくするために基本給を低く設定してあるため、賞与が年2か月分といっても夏に70,000円、冬に70,000で、ローンを返済している私にとってはボーナス月が多く引かれるため、かなり厳しい生活でした。
給与の詳細 情報を読む...
月収 17万円
- 基本給:70,000円
- 調整給:80,000円
- 固定交通費:5,000円
- 皆勤手当て:10,000円
- 固定残業代:2,500円
待遇
- 交通費
- 有給
- 雇用保険・労災保険
- 社会保険
- 賞与 年2ヶ月分
- 健康診断
勤務時間
- 1日8時間 週5日勤務
- 残業 1ヶ月合計50時間
長期休暇中の給与保証
- 勤務している教育機関で給与が発生する仕事がある
仕事のかけもち
- かけもちしていない
給与や待遇面でおすすめできる、国内のその他教育機関を教えて下さい。
YMCAやヒューマンアカデミーなどのチェーンで全国展開しているような日本語教育機関だと、給与や待遇がしっかりしています。個人でやっている小さな日本語教育機関は、給料が安いところがほとんどです。
学位や資格としては、通常日本語教育機関で教えることができる必須条件である
- 大学での日本語教師専攻・副専攻
- 日本語教師養成プログラム420時間修了
- 日本語教育能力検定試験合格
のいずれかが必須条件ですが、最近は国としても日本語教育能力検定試験合格を進めているので、試験に合格することが一番よいと思います。
授業形態・勤務スケジュール
クラス運営で大変だったことは?
日本人と違って、みんなうるさいほどに発言をしてくれますので、学生の声を拾うのが大変でした。誰かを指名してもみんな一斉に答えるようなこともあったので、誰がわかっていて誰がわかっていないのか把握するのが大変でした。
答えから派生して、全然関係のないことをべらべら大きな声話してくれる学生もいたので、授業中に何回も、パンパン!と手をたたいてみんなの注目を集めて、子どもにやるように「しー」と静かにさせることがありました。
受け持ちのクラスの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス20人
学習者層
- 社会人
- 中国
- 台湾
- 韓国
- ベトナム
スケジュール管理で大変だったことは?
授業は週18コマあったにもかかわらず、業務内では自分の授業準備はできなかったので、家でやることがほとんどでしたが、毎日19:30に帰っても疲れ果ててしまっていて準備ができないことが多かったので、私は土曜日にまとめて一週間分を準備していました。一週間分をまとめて準備するのは正直かなり大変でしたが、授業のことだけに集中できるので、それが一番効率が良いと思いました。
また、業務内容もやることが多かったので、毎日全部をやるのではなくて、やることリストを作成し、「今日はこれだけをして、あとはやらない」と仕事量を決めていました。
1週間のスケジュールを読む...
スケジュール
- 9:00~16:15
初級クラス6コマ - 16:30~17:30
学校全員の出席率の入力と計算 - 17:30~18:00
VISA更新の近い学生の申請書づくり - 18:00~19:30
VISA申請業務
- 9:00~16:15
初級クラス6コマ - 16:30~17:30
学校全員の出席率の入力と計算 - 17:30~18:00
VISA更新の近い学生の申請書づくり - 18:00~19:30
VISA申請業務
- 9:00~12:30
非常勤講師(70名)のシフト作成、非常勤講師の授業レポートや意見のチェックと対応 - 13:30~16:30
VISA申請業務 - 16:30~18:00
学校全員の出席率の入力と計算 - 18:00~19:30
欠席が多い学生への電話掛け
- 9:00~16:15
初級クラス6コマ - 16:30~17:30
学校全員の出席率の入力と計算 - 17:30~18:00
月~木で出席が悪い学生のリスト作成 - 18:00~19:30
次週の出席簿の作成
- 9:00~12:30
主席率の悪い学生を一人ずつ呼び出し、面接と指導 - 13:00~14:30
面接結果と指導内容を簡単にレポート作成、ファイリング - 14:30~16:30
VISA申請業務 - 16:30~17:30
校全員の出席率の入力と計算・一週間の出席率の掲示 - 17:30~18:30
非常勤講師の授業レポートや意見のチェックと対応、来週の連絡事項を非常勤講師に連絡 - 18:00~19:30
教室の確認(壊れているところがないか確認、ホワイトボード掃除、マーカーの補充等)、次週使うプリントの印刷、次週の出席簿の差し替え、事務所および教室の備品確認と購入するものの確認、掃除
- 土曜日毎週、一週間分の自分の今日案作りと授業準備をしました。写真にもありますが、曜日によって使う教科書も様々なため、全部の教科書を読み、教案を作るのが大変でした。また、初級は絵カードや、教科書の問題で足りない部分は自作のプリントの作成などをしていましたので、丸一日かけて準備をしていました。
教案作りで参考にしているサイトは?
- 『日本語教師お助けサイト』
例の教案に番号が振ってあり、順番に何を書けばよいのかが説明してあるので、自分の教えるページと照らし合わせながら、作成することができます。 - 『日本語NET』
「みんなの日本語Ⅰ・Ⅱ」の教案が第1課から第50まですべて載っています。また、授業の導入から教師のいうセリフ、板書、文法のポイントまで載っていますので、便利ですが、自分で作った後に参考として比較する程度で使用しないと、教案づくりが身につかないと思います。
教案作りで参考にしている書籍は?
- 『みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き』
対象:初級
授業の進め方が詳しく載っている上に、生徒からよくある質問とその答え方まで載っているので、教案作りの参考に読むと勉強になります。 - 『テーマ別 中級から学ぶ日本語〈三訂版〉 教え方の手引き(教師用マニュアル) 』
対象:中級
テーマ別 中級から学ぶ日本語(三訂版)という教科書のマニュアルになっており、テーマの解説、進出用語、例文などが細かく記載されていますが、中級になると型にはまった教科書通りの授業ではなくてもできるようになってくるので、この教科書を使っていなくても、授業のアイディアの参考に使うといいと思います。
就職活動
この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。
大学時代の日本語教師になるための授業で、この学校に何度も来たことがあったので、大学4年生の時に選考を受けて、内定をもらいました。
日本語学校はこの学校しか受けていなく、就職活動ではほかの旅行業界なども内定をもらいましたが、せっかく日本語の教師の資格を取るために勉強しているので、この学校で働こうと思いました。
面接で何を聞かれましたか?
- 志望動機はなにか
- 留学経験はあるか、またそこでのエピソード
- 今まで努力したことについて
- 日本語教師を目指そうと思ったきっかけは何か
- 大学時代に力を入れたことについて
- この仕事にどんなイメージをもっているか
- 事務もあるが、パソコンはどれくらいのレベルができるか
などを聞かれました。
この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
海外の人たちを相手にするので、留学経験があると、異国で生活する人たちの気持ちや困難さが理解できるので、印象が良いです。資格は、日本語教育能力検定試験に合格していると、養成講座420時間修了の方よりも待遇がかなりよくなります。
また、英語は最低限できていたほうが有利なので、ほとんどの人は英検2級レベル、TOEIC600点くらいは持っているかたが多いです。英語の他に、ほかの言語ができるとなお良いと思います。
就職活動で参考にしたウェブサイトは?
-
『 日本村』
国内、海外、海外派遣、企業などすべてのジャンルで日本語教師になりたい人への求人情報、学校見学、説明会の予定などを記載してあり、登録すると求人情報についてメールでお知らせもしてくれます。
就職 教育機関選びで特に重視した点
- 学校の規模
- 学習者数
- 給与・待遇
応募時に必要とされた資格
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 日本語教育能力検定試験合格
- 大学 日本語教育主・副専攻
- 英語能力
就職 選考方法
- 書類
- 面接
- 筆記試験
- 論文
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
大学時代に、発展途上国のボランティア活動によく参加をしていました。その中で、カンボジアの子供たちに英語と日本語を教えるというボランティアがあり、参加しました。
学校環境整っていない小学校にいって、語学を教える中で、子どもたちが「日本には、カンボジアにはない仕事があるんでしょ?」「バスガイドになりたい!」「カンボジアには良い医者がないから、日本で勉強して、カンボジアで医者になりたい」などたくさんの夢を聞かせてくれました。
そこで、日本語を勉強することは、みんなの夢をかなえられることにもつながるし、それは将来、学生たちの国の水準を上げることにもつながると思い、日本語教師になりたいと思いました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
入国したてのある学生に日本語を一から教えていて、まだ会話なんてまったくできなかった学生が、卒業し、日本の企業に就職をしました。
次の年に、在学生を連れて合同企業説明会に行く機会があり、広い会場で学生の様子を見ていました。すると、なんとその教えていた学生がスーツで私のところに来て、「先生、○○会社の○○と申します!」と頭をさげながら名刺を渡してくれました。
入国したばかりの印象が強かった私はとても感激してしまい、「本当に日本語がじょうずになったねぇ」といったら、「先生のおかげですよ!本当にありがとうございます。」と言われました。その時に、この仕事をやってきてよかったと思いました。
日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?
学生はアルバイトをしている人がほとんどですが、日本人と感覚が違って、時間を守らなかったり、無断欠席したり、連絡が取れなくなることがよくあります。
そのような指導をどれだけ行っても、無断で休むことに悪気を感じなかったり、時間を守らないことが悪いということがわからない学生が多く、アルバイト先から何度も何度も怒鳴られました。学生のために怒られるのが嫌になり、辞めたいと思うことはありました。
学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?
大学で日本語教師の資格が取れるなら、専攻もしくは副専攻でとったほうが良いです。面接のときにも、養成講座を受けた方よりもかなり反応が良かったからです。
また、学生の時間のあるうちに英語ともう一つ何かの言語(ニーズがあるのは中国語、ベトナム語です)を習得しておくと、仕事の中で海外エージェントとのやり取りや、海外のお客様の接待などで使う機会が多くあるので、便利ですし、有利です。
社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?
養成講座を受けた上で、日本語教師能力検定試験に合格すると、かなり周りの反応が違います。養成講座は受講すれば終わりですが、この検定試験は合格率が20パーセント程の難しいものなので、待遇がよくなります。
また、最近ではOnlineで授業をすることや、パワーポイントなどでの授業(ホワイトボードがない)をするところもありますので、最低限のパソコンの操作と知識がないと、断られることがあります。以前私がいたところも、タッチパネルでの授業に移行しており、ホワイトボードの教室を少しずつ減らしていました。なので、パソコンの使い方も同時に勉強しておいたほうが良いと思います。
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