元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

国内の日本語学校 経験談

学生と信頼関係を築くことの大切さを学んだ

公開:2016/11/16
刈山 美音(女性・33歳・東京都) 
日本語教師歴 6年 (2010年~2016年) 
*諸事情により休業中
資格・課程
日本語学校での
経験詳細
  • 月収:80,000円
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 3年(2013年~2016年)

日本語学校と一口に言っても、経営者や主任教員の考え方によって様々な方針を持って運営していると思いますが、今回レポートさせていただく学校は、よく言えば自由な学校でした。

簡単な授業スケジュールや使用テキスト等は決まっていましたが、それ以外はほとんどが担当教員に一任されており、授業の進め方やクラス活動など、ある程度自由に決定することができました。

ほとんどの学校では授業の方針等は基本的に専任講師が立てていくことが多いと思いますが、実際に全てのクラスの授業を見られない場合もあり、実態とかけ離れた授業進度になってしまうことも多いので、現状を見ながら柔軟に対応できるという点で効果的でした。

また、学生との距離が近づいたことで責任感も芽生え、学生一人一人について本当に必要なものは何か、ということを考えるようになりました。

ただ、当然こういったやり方では問題も多く発生します。困ったことはいくつもありましたが、一番大きな問題となったのは、授業よりむしろ生活指導の面でした。

学生が日本へ来てからは、当然日本のマナーや習慣などを少しずつ学んで行く必要があり、その中で、日本語学校も大きな役割を果たしています。

通常は来日直後に学校全体でオリエンテーションをするなどして、学校としての指針を打ち出し、教師と学生の意識の統一化を図ると思うのですが、私が勤めていた学校はそのような生活のベースとなることも全て担当教師それぞれに一任されていました。

その結果、クラス毎に指導内容が異なり、極めて基本的な遅刻管理やごみ処理等の指導についても統一されず、学生から不満や戸惑いの声が聞こえるようになりました。

また、その点について上層部に訴えても改善されることはなく、全ての担当教師間で個人的に意識の統一を図ることも不可能でした。

結局、学校の方針を勝手に変えるわけにもいかないので、教師と学生との間の信頼関係が大きく損なわれる結果となってしまっていました。

学生たちには本当に気の毒だと思いましたが、結果的にはこのような事態がその他の事象にも多く見られたことが学校を離れる要因となってしまいました。

日本語教師、特に非常勤講師の仕事は、クラスへ行き日本語の授業をすることだと思われがちですが、実際にはいろいろな状況の中で、学生との信頼関係を築けるかどうかが最も重要だということを改めて学んだ3年間でした。

Q:他の教育機関と比較・検討しましたか?

私の場合は、日本で日本語教師を始めたタイミングと結婚のタイミングが同時だったため、家庭生活優先で自宅から一番近い日本語学校を選びました。

素晴らしい学校はたくさんあると思うのですが、日本語教師をしている知り合いもいませんでしたし、例えば学校のホームページなどを見ても実情を掴むのは難しいのが現実だと思います。

しばらく仕事を続けていると、自分がどのようなポイントを重視して仕事がしたいのかが分かるようになりますし、学校を選ぶ際どこを重視すれば良いか見る目も養われてくると思いますので、とりあえずは経験を積むつもりであまり学校にこだわらずに働いてみるのも選択肢だと思います。

Q:日本語教師として苦労した事、戸惑った事はありますか?

漢字圏と非漢字圏が混在するクラスは苦労しました。日本語教育では、当然のことながら漢字教育がかなりのウェイトを占めます。

中級以降は非漢字圏の学生も漢字の仕組みを理解しているので自学が可能で、混在していても大きな問題にはならないのですが、初級、特に来日直後の混在クラスは本当に大変でした。

非漢字圏の学生に漢字指導をしている横で、漢字圏の学生はどうしても集中力を切らしてしまいます。しかもそれが丸々1コマ続くこともあるのです。

もちろん、いろいろと工夫はするのですが、非漢字圏の学生への漢字指導をおろそかにはできないので、漢字圏の学生はどうしても自習が主になってしまいます。

ただ、日本語を始めたばかりなので自習にも限界があり、なかなか難しいのが実情です。こればかりは学校のやり方に大きく左右される部分なので、学校を選ぶ際には漢字圏と非漢字圏の学生の扱いがどのようになっているかを聞いておくのもひとつのポイントかもしれません。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

先ほどと重複してしまいますが、学校の方針が自由すぎる、もっと言えばあってなきが如しであったためです。

学生への生活指導から出席管理のルールに至るまで、本来であれば学校として取り組むべきことがほとんど全てクラス担当教員に一任されていました。その結果、クラスごとに指導内容が大きく異なる結果となりました。

例えば、あるクラスでは始業時間を1分でも過ぎれば遅刻として扱っていたにも関わらず、他のあるクラスでは始業後20分程度は出席として遅刻と見なさず処理していた、などということが普通にあったのです。

もちろん何度も提言し、また、学校を通さず担当教員間で情報を共有し取り組もうともしました。

しかし、それを学校として改善する意志も見られず、権限のない全ての担当教師の意志統一を図ることも不可能で、結局教員と学生との間の信頼が大きく損なわれる状況となってしまいました。

そのような中で今後働き続けるのは難しいと思い、残念ながら退職に至りました。

給与・待遇

月収 80,000円
月収内訳
  • 1コマ45分:1,750円
  • 交通費:実費
  • 会議手当:1,000円/回
残業(時間外労働) 1ヶ月合計約20時間
授業の準備 / 採点作業等
待遇
  • 交通費
  • 会議手当
クラスの長期休暇
  • 春休み:約20日
  • 夏休み:約30日
  • 冬休み:約10日
クラスの長期休暇中の
給与保証
  • 給与保証がない
  • 長期休暇中は別の仕事をしている
仕事のかけもち かけもちはしていない

日本語教師を目指したことがある方なら、どこかで一度は耳にしたことがあるとは思いますが、日本語教師は実入りの悪い仕事だと思います。

多くの学校では、授業の時間数やコマ数に対して給与が支払われますが、実際にはその倍、3倍と、授業準備や採点作業に費やさなければならず、その部分に対する補償はほとんどないのが現状です。

また、学校によっては学生に個人的な連絡先を教えておくことを求められる場合もあり、非常勤講師でありながら、土日も学生から連絡が来てトラブル処理をしたり、授業の質問に答えたりすることも、頻繁ではないとは思いますが、あります。

もちろんこれらは全てボランティア扱いで、補償されることはありません。

学生との信頼関係を築くことは最も重要なことだとは思いますが、その一方で労働力の搾取が行われていると思われる部分が現実にあることもまた事実です。

ただ、これは雇用者だけを責めることはできません。なぜなら、そのような時間外労働に喜びを感じている日本語教師がいることもまた事実だからです。

良くも悪くもボランティア精神に溢れた人が選んでしまう職業であるが故に、それが常態化してしまって改善されないことは、この業界の大きな問題のひとつだと感じます。

現実的には、専任講師として働くか、そうでなければ、セカンドジョブがあるか、私のように結婚していて配偶者の収入がある場合のみ、生活可能だと思います。

Q:給与や待遇面でお勧めできる、国内のその他教育機関を教えて下さい。

そんなに多くの学校を経験しておりませんので、答えを差し控えます。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス15~25人
学習者の年代
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割 9:00~12:20  
初級、中級、もしくは中上級クラスを4コマ
休日 土曜日・日曜日
休日に取り組んだ仕事:週末は適宜授業準備。特に初級クラスを担当している場合、イラスト入りのプリントや語彙カードの作成等、物理的に時間が取られていた。
その他
  • 課外活動:学校全体で行うものが年1回、クラス単位で行うものが年2回程度あった。
  • 各種会議:長期休みが明ける前などに次学期のためのミーティングが行われていた。

Q:クラス運営(授業形態)で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

前述の漢字圏と非漢字圏の問題と同時に学習レベルの差、意識の差には苦労しました。

現在留学生の数はうなぎ登りに増えており、これまでなら別々のクラスだったはずの学生たちを一つのクラスにまとめざるを得ない状況も増えました。

そうすると、母国である程度勉強してきた学生と、ひらがなすら満足に読めない学生が混在したり、出稼ぎ目的でビザのためだけに日本語学校に通っている、授業態度が著しく悪い学生が多くなってきたりします。

本当に大変でしたが、例えばアニメや流行の歌、アイドル雑誌など、学生が興味を持ちそうなものを取り扱ったり、現在行っているアルバイトの状況に近いダイアログを提示したりして学習の間口を広げるよう工夫しました。

もちろん全ての学生にとって満足のいく授業だったわけではないと思いますが、一定の効果は得られたと感じます。

課外活動は、クラス単位の課外活動は計画から各手配まで全てクラス担当教師が行うので、企画によってはかなりの時間を割かなければならないこともありましたが、準備等に係る部分は時間外となり、特に補償等はありませんでした。

また各種会議では、会議手当はあったものの、これも学校全体での会議というよりは、クラス単位で行われるものの方に時間が割かれており、次学期の担当クラスやパートナーの教師によってはかなりの長時間拘束されることもありました。

その点に関して学校側から時間が区切られたり、手当が変動することはありませんでした。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

学校の方針で、頻繁にスケジュールが変更になるのは大変でした。

通常はある程度学期毎に学習進度が決まっているのですが、クラスのレベルに合わせての授業が求められたため、その日の学生の理解度によって進度が変わり、常にどこまで進むか分からない、という状況でした。

やれることはやりましたが、やむを得ず準備不足になってしまう授業もなかったとは言えません。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
参考になる書籍

就職活動

教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 雇用形態(専任・常勤・非常勤)
  • 通勤時間
応募時に
必要とされた資格
選考方法
  • 書類
  • 面接
Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?
  • 日本語教師を目指したきっかけ
  • 生活の基盤があるか否か
  • 希望条件の確認など
Q:この教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

先ほども述べたように、私が勤めていた学校では、様々なことがクラス担当教員に一任されていましたので、そういった意味での管理能力は求められていたと思います。

また、そのような学生管理、クラス管理等を行いながらの授業になりますので、日本語教師を始めたばかりの方よりは、これまである程度経験がある方のほうが向いていると感じる部分は多いです。

外国語については、英語と中国語については事務方にネイティブの職員の方がいらしたので特に話せる必要はありませんが、ベトナムの学生が多く、殊彼らについては媒介語がない場合も多いので、粘り強く話を聞いてあげられる力が求められると思います。

Q:日本語教師(国内)の求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト
その他求人情報
日本語教師知人:日本語教育業界内では就職のかなりの部分が人脈による紹介で成り立っている

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