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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 同じ授業は二度とない!やりがいと苦しさ

おかおんだけてさん・ 42歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 3年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間: 3年(2007~2011年) 退職
  • 月収:60,600円

日本語教師に二度と同じ授業はない!毎日、毎時間が、ライブ!授業は常にライブ!これが「やりがい」であり、「楽しさ」。でも、これが「苦労する点」、「難しさ」でもあります。

同じ文型を教えるとしても、クラスのメンバー・人数が変われば同じ授業にはなりえません。例えば、8人全員が韓国人のクラスと、10人全員の国籍がバラバラというクラス、20人の大所帯クラスでは、時間内でできるゲームやインタビューなど、できるタスクも大きく変わってくるからです。

それと、授業の構成を考え、教案を作り、必要な絵カードやレアリアを用意する等々の準備時間には時給は発生しないため、残念ながら「やりがいと苦労は多いが、収入は少ない仕事」ですね…。

次に異文化摩擦の最前線!だから配慮も必要です。日本語教師あるある!の一つ、「気をつけるべき言葉」の存在があげられます。ある日、出席をとった後、「今日は○○さんが欠席ですね」と言ったところ、韓国の学習者にびっくりされたことがありました。「欠席」が韓国では罵りの意味ととられる場合があると聞いて驚きました。

言語が違うから仕方ないとはいえ、発音が似ているから、学習者としては使ってほしくない言葉もあります。この時は「お休みですね」と言い換えることで、すみましたが…。

日本語教師には細かい配慮も必要です。

最後に身体が資本!特に初級クラスは体力勝負!授業を休むことがないよう体調管理には気を遣います。

日本語学校では同じクラスを数人の先生で分担して教えます。(例:5課は自分が担当、6課は他の先生が担当)

6課担当の先生は、5課までの文法項目がわかっているという前提で授業を作りますから、5課が未学習だと迷惑をかけてしまうため、安易には休めません。

授業中はほとんど立ったままですし、教室内をウロウロと見廻ったりして、体調が悪いと授業になりません!特に初級クラスでは、身振り手振り、大きな声で。となるため体力勝負ともいえます。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

他の教育機関とは比較・検討しませんでした。

もともと、他の民間日本語学校の養成講座に通っていましたので、様子が少しわかっていたこと。それに、その当時所属していた専門学校に付属校として日本語学校があったため、そこで働きたいと思い日本語教師を目指したからです。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

初級の学生は話せる文が限られているため、質問をされても正確な意図をくみ取れないことが大変苦労した点です。

例えば、学生から「先生“ぞくぞく”は何ですか」と聞かれました。まだ習っていない言葉で、どこで見たのか尋ねると「駅のサインボードにありました」とのこと。

後日、気になったので場所を確認して行ってみたところ、「お化け屋敷」の看板で「ゾクゾクするお化けが、この夏ぞくぞく( 続々ぞくぞく )と!」という両方の意味をかけた広告だったことがわかりました(笑)

看板、テレビ、雑誌、電車の中吊り広告、ありとあらゆる日本語が教材になるのだなとも感じた経験でもあります。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

主人が急な転勤になったため、自分の意志というよりもやむをえず退職しました。

たまたま日本語学校の求人が少ない時期だったということもあり、転勤、引っ越しを機に企業内でのプライベートレッスンと民間日本語学校【B校】でのプライベートレッスンに切り替えました。

給与

給与:60,600円/月 ・非常勤講師

日本語教師として1校のみで働くのであれば、非常勤講師の給料ではかなり厳しいと思います。

私の周囲では多くの先生が2校以上の日本語学校をかけもち、またはプライベートレッスンをしていました。そのためか男性は少なく、女性が圧倒的に多い業界だと思います。

また、企業内プライベートレッスンなどでは、特に欧米系の学習者は、長期バケーションで帰国してしまい、レッスンがなくなるといったこともあるので、安定した収入が得られない場合もあります。

授業準備の時間は、講師給には含まれないので、それも含めると残念ながら待遇がいいとは言えないですね。

給与の詳細 情報を読む...

月収 60,600円

  • 1コマ45分:1,800円×1日4コマ
  • 担任手当:3,000円

待遇

  • 交通費
  • 健康診断

長期休暇中の給与保証

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仕事のかけもち

  • 日本語教師以外の副業に就いている

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

初級のあるクラスには、アジア系と欧米系の学生がいました。

授業中「みなさんで いっしょに よみますと言って、発話をさせるにしても、アジア系の学生は抵抗がないのですが、欧米系の学生からは「なぜみんなで揃ってやるのか意味がわからない、子どもじゃない!」と言われてしまい、困ったことがあります。

発話機会に変化(個人→全員、個人→個人へのQ&A形式にする等)をつけて発話数を減らさない工夫をして乗り切りました。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス10~20人ぐらい

学習者層

  • 大学生
  • 社会人

スケジュール管理で大変だったことは?

プライベートレッスンは、学習者の長期休暇や急な帰国などで、進度の調整が必要になることがあります。その場合、宿題を用意したり、帰国後も自習ができる教材を紹介したり、スカイプでフォローをしたりしています。

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

1日の時間割
  • 12:30~13:30 出勤、授業準備(プリントの印刷など)
  • 13:00~16:45 漢字クラス1コマ、初級クラス3コマ
  • 16:45~17:30 採点、翌日の先生への引き継ぎ
休日
  • 土・日:休日に取り組んだ仕事:翌週の教案作成、絵カード、教材準備など 計5,6時間

教案作りで参考にしているサイトは?

教案作りで参考にしている書籍は?

  • JITCO日本語教材ひろば 対象:初級・中級
    技能実習生用なので、企業内プライベートレッスンで使用できるものがある。

就職活動

面接で何を聞かれましたか?

・なぜ日本語教師になろうと思ったのですか。

・今までの仕事から、日本語教師に活かせると思うことはありますか。あれば理由を教えてください。

・海外へ行ったことがありますか。行った国名、印象に残った国(地域)はありますか。それはなぜですか。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

使用するテキストを事前にお借りし、○課を担当してくださいと指定され、教案は模擬授業前日までにメールで提出し、当日模擬授業という形式でした。

教室が思ったよりも広くて、席が遠い学習者でも見やすいよう、板書を意識しました。文字を書いている時間、教師は背中を向けているため、学習者のことが見えないのと、時間の無駄ができてしまいます。

フラッシュカードを用意しておき、板書する時間を少なくし、学生がノートに書いているところを確認しながら進めるように注意しました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

日本語学校では、様々な国の学習者がいるので、ある国は好きだけど、ある国は好きではないといったような 「偏った考えを持たないように努力できる」という資質が必要だと思います。

語学は「できるに越したことはない」という程度だと思います。語学が堪能な方に限ってその言語に頼り過ぎてしまい、他の言語圏の学習者には不満が出るということもあるからです。

プライベートレッスンであれば、学習者の母語がわかれば、指導はしやすいので強みとなるかもしれません。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校の規模
  • 学習者が多国籍
  • 学校法人であること

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

学生時代から海外や外国人には興味があり、旅行会社に勤務していました。

その後、旅行関連の専門学校で入試広報に携わっている時に、専門学校へ入学したいと来校する外国人留学生と接する機会が増えてきました。

彼らと話していて、「なぜこんなにきちんとした敬語を使えるのだろう」「こんなふうに目標を持って、それを実行しているのはなぜだろう」と思い、来日している外国人にますます興味が湧いてきたのです。

ただ、日本語が堪能でも、異文化で暮らしている中で困ったことや困惑していることがたくさんあることもわかってきて、何か支援できる方法はないかと調べたところ、日本語教師という選択もあるとわかり、日本語教師を目指しました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

担当した学生から「日本語ができるようになったから、日本での進学が決まった・就職できた!」などの言葉を聞けた時は、日本語教師をやっていてよかったー!と実感できます。

特に日本国内で教師をしていると、「授業で習った敬語を使ってみたら、アルバイト先の店長に褒められました!」とか、「電車の中でこういう会話が聞こえましたが、意味は○○ということですか?」とか言われることがあります。

学習者が、日本へ来て、日本語教師だけではない「一般の、普通の(笑)日本人」とも触れて、実際に日本語を使ってみた感想を聞くことができる。というのがとても面白い点ですね。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

日本語教師という職業自体を辞めたいと思ったことはありません。一生続けられる仕事だと思っています。ですが、日本語学校を辞めざるをえないことはあると思います。

私の場合は、主人の転勤が理由で日本語学校は辞めましたが、プライベートレッスンという形で続けています。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

専門学校、短大の方は、4年制大学の卒業(学部は問わず)をお勧めします。求人募集は圧倒的に「4大卒」条件を課しているところが多いからです。

学部は理系でも、進学指導対策や日本語能力試験対策で数学や化学などを教えることもできますので、文系にこだわる必要はないと思います。

仕事を始めると学生の時のように「正解」があるということはほとんどありません。まして日本語教師は毎回違う授業を組み立てていかなくてはいけないので、「自分で考えて行動する」癖をつけておくといいのではないかと思います。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

個人的には通学型の420時間の養成講座をお勧めします。国内、海外、プライベート、どんな形で日本語を教えるにしても、基礎ができてないと教壇に立った時に苦労します!今振り返れば、420時間あっても足りないくらいです!

求人募集の際にも、養成講座420時間修了の条件は多くありますので、安心できますしね。

通学にすれば、日本語教師を目指す仲間に出会えるので、就職後も情報交換ができます。私の養成講座仲間はタイ、盛岡、名古屋、東京でそれぞれ日本語教師をしていますが、今でも、連絡を取り合っていて頼もしい存在です。

さらに、自分の経験を強みに変えるように考えてください。経理、営業、デザイン関係、事務…どんな仕事でも、日本語教育に活かせるはずです!

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