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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 間違ってもいい場を作るのが先生の役目

こけしさん・ 39歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 3.7年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間: 3.5年(2017~2021年) 現在も勤務中
  • 月収:8.5万円

海外(英語圏の国)に2年ほど滞在したのをきっかけに日本語教師になろうと思いました。日本語教師養成講座の卒業と同時期に知り合いから日本語学校を紹介してもらい、そのままそこに就職しました。

給与面では専任や常勤ならそれだけで生活できると思いますが、非常勤だと厳しいと思います。夏季休暇等の休みが多いし、コロナ禍のように世界情勢や国内事情に左右されることが大きい業界でリスクが大きいと感じます。

一方、パートや他に収入源があって副業として考えた場合、好きで向いていると感じられるなら、割はいいと思います。

夫が転勤族ということもあって、専任になるつもりがなかったので、今の働き方がちょうどいいです。

特に今の学校は残業がほぼないし、非常勤は遠足の引率やテスト作成や採点がなく、授業だけでいいので予定が立てやすく働きやすいです。

非常勤の場合一番大事なのは授業です。学校ではトップの写真のような教材を使っています。

日本の英語の授業と違い学生にしゃべらせないといけないという部分が最初は慣れませんでした。

授業は、学生にとっては外国語である日本語で、一方的に先生が話すだけでは学生が集中してくれないので、緩急をつけることが大事です。

時々ゲームを交えたり、雑談をしたり、学生の国の話を調べてきて聞いてみたりすることで、学生が自分から話したいという気持ちが出るように教室の雰囲気を作るなど努力しました。

なかなか覚えてくれず指導が難しい学生もいますが、言ったことを板書してどこが間違えたか自分で考えさせたりすることで、自分で間違いを気づかせることが大事だと思います。

授業準備は、最初は大変でしたが、2年くらいやると楽になってきます。

日本の学校では間違わないことが大事で、正しい答えを言うことが先生の仕事と思われていますが、日本語学校では逆で、間違ってもいいからどんどん発話させ、学生に間違わせ、間違いに気づかせるのが先生の役目です。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

最初は資格だけ取るつもりであまり働くつもりがありませんでした。
たまたま420時間講座が終わるタイミングで、知り合いの学校で求人があるというので、紹介してもらいました。

すぐ就職が決まったので、他の教育機関と比較・検討しませんでした。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

授業については、養成講座の実習だけでは不十分で、どのように教えたらいいのかがなかなかつかめませんでした。

新設校で同僚が少なかったので、ネットの教案をいろいろ見たり、専任の先生に教案を見ていただいたりして、改善していきました。

また、学生の発音が国によっていろんなくせがあってなかなか聞き取ることができず、慣れるまで苦労しました。

学生との関係について、最初受け持ったクラスに一人気難しい学生がおり、あからさまにため息をつかれたりすることがあり、どのように信頼関係を持てばいいか戸惑いました。

授業準備をしっかりするだけでなく、学生の興味関心がどんなところにあるのかや、学生の国について質問するなどして、信頼関係を作るように気をつけました。

給与

給与:8.5万円/月 ・非常勤講師

給与面では日本語教師の非常勤だけで生活するのは大変厳しいと思います。非常勤でも週5勤務で、会社の保険に入ることができれば、生活することは可能だと思います。

しかし、コロナ禍や過去には東日本大震災の影響で学生数が減ったことを考えれば、世界情勢や国内事情に左右されることが大きい業界なのでリスクが大きいと感じます。

一方、パートや他に収入源があって副業として考えた場合、好きで向いていると感じられるなら、割はいいと思います。

授業準備に時間がかかるという点については、最初は時間がかかるし、時給に見合わないと感じられると思います。しかし、授業の数をこなしストックができれば、短い時間で準備ができるようになるので、続けていけば十分元は取れると思います。

給与の詳細 情報を読む...

月収 8.5万円

  • 1コマ:45分 1,710円
  • 授業前後給:30分482円
  • 残業代:時給964円

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 年間昇給
  • 残業代

勤務時間

  • 1日4コマ+90分・週3日勤務
  • 残業 残業あり:1ヶ月合計10時間

長期休暇中の給与保証

  • 給与保証がない

仕事のかけもち

  • 日本語教師以外の副業に就いている

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

20人の学生を、45分4コマ集中させるのが難しいです。

20人もいるとレベルの差が大きく、できない人に合わせると授業が間延びしてしまい、できる人がやる気を失ってしまいます。

できるだけ、授業が間延びしないようにテンポよく進め、簡単な問題はできない人に当てて、そのあと難しいものをできる人に当てるといったように工夫しました。

また、授業しながら、いねむりする学生や、内職している学生にも目を配らないといけなくて、ものすごく集中力が必要で大変でした。

そういう学生に厳しくしすぎてもついてこないので、ときどきグループワークやゲームも入れて、緩急つけて工夫しています。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス5~20人ぐらい

学習者層

  • 大学生

学生の主な出身地

  • 中国
  • ベトナム

スケジュール管理で大変だったことは?

副業をしていて、副業が忙しくなりすぎて授業準備の時間が取れないことがありました。
午前中の授業だったので、5時起きで当日の朝に準備をしていました。

また副業の出張が重なったときは、授業後出張に行って、新幹線で授業準備をして、夜行で帰ってきてそのまま朝から授業したりしていました。

わたしの勤めている学校は基本授業だけでいいので、副業をしていなければ、授業準備以外はそんなに大変なことはありませんでした。

 

1週間のスケジュールを読む...

スケジュール

  • 月:9:00~12:30 初級クラスを4コマ 
  • 火:9:00~15:00 水曜クラス、木曜クラスの準備
  • 水:9:00~12:30 初級クラスを4コマ
  • 木:9:00~12:30 初級クラスを4コマ
  • 金:9:00~12:00 月曜クラスの準備
  • 土・日:一日休み

教案作りで参考にしているサイトは?

  • ちよさんぽ
    みんなの日本語の授業解説があるので、教案の参考にする
  • 日本語NET
    いろんな用例が載っているので、自分の例文があっているかチェックする。

教案作りで参考にしている書籍は?

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

たまたま420時間講座が終わるタイミングで、知り合いの学校で求人があるというので、紹介してもらいました。

新学期の前に先生が辞めたばかりで急募の状態で、資格を持っていてすぐ働ける人という条件が合っていたので、すぐに仕事が決まりました。

面接で何を聞かれましたか?

・どうして日本語教師になりたいかという志望動機について。
・社会人経験があったので今までの職歴についてどんな仕事をしてきたかと、それをどう今の仕事に活かせるかについて。
・職歴に転職経験があったので転職した理由について。
・どれくらいのペースで働きたいか、どれくらいのレベルの学生を教えたいかについて。

中途採用だったので、職歴とこれまでの転職理由についてはしっかり答えられるようにしました。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

上級の読解問題について、30分の授業の教案を作り、それに基づいて模擬授業をしました。模擬授業には面接官2人が学生役として参加していました。また、日本語能力試験(N1)の問題を事前準備なしに見せられて回答し、解説するという問題がありました。

教案の作成については、まだ養成講座に通っていた途中だったので、養成講座の先生にもチェックしてもらいました。模擬授業については上級の授業をするのは初めてだったので、とにかく堂々とやるようにしました。面接官から質問されてわからない場合はわからないと正直に答えました。

日本語能力試験(N1)の問題については、事前に聞かされておらず、抜き打ちという形でした。ふだんよく本や新聞を読み、その中でどんな日本語が使われているか気をつけていれば十分答えられる内容でした。

授業は小手先で面白くしようとか受けようとかとっぴなことをしようというよりも、養成講座で習った基本を元にすること、学生にこう教えたいとか対応したいというような自分なりの教師像を見せるのが重要だと思いました。

最初はできなくて当たり前なので、できなくてももじもじせずに、堂々とし、わからないことを正直に聞くことが大事だと思います。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

資格については、必須ではありませんが、教員免許をもっていると役に立つと思いました。
実際に学校現場で教えたことがなくても教育実習に行ったとか、生徒指導の知識や青年心理について知識があるというのは現場で強みになります。

語学については、学生の国の言語が話せると信頼を得やすいと思います。

周りで多いのは英語、中国語です。
レベルはバラバラで日常会話〜上級者までいろいろです。
学生とやりとりできるレベル、ビザなどの書類を解読したり書いたりできるレベルがあると重宝されると思います。

これからはアジアの言語(タイ、インドネシア、ベトナムなど)ができる人が求められると思います。

その他就職活動で有効な手段は?

  • 養成講座の先生の紹介
    養成講座の先生の紹介で就職した人がいました。ヒューマンアカデミーなどは、就職対策講座もあり、日本語学校の説明会などもありました。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 必須資格
  • 給与・待遇
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 大学卒業

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • SPI

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

家族の都合で海外(英語圏の国)に2年ほど滞在したときに、地元の英語教室に通っていました。
全然知り合いがいなかったけど、英語教室の先生のおかげでその国になじむことができました。

日本にも海外の人が増えているというニュースを聞いて、困っている人の手助けをしたいと思って日本語教師になろうと思いました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

学生の日本語が上達したときです。

わたしは特に初級者を教えているので、最初に入りたての頃はあいさつもおぼつかない学生が多いです。
ところが、卒業する頃には見違えるように会話ができるようになっていたりして、どんな学生もそれなりに伸びています。

そのたびに人は成長できるんだということを感じられて感動します。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

やる気のない学生や何度教えても同じ間違いをする学生を教えるときはやめたくなります。

特にいつまでも上達しない学生を相手にしていると、自分のやっていることが徒労のように感じられて、無駄なことをしているような気持ちになることがあります。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

資格がないと働けないのと、大卒以上のところが多いのでまずは資格を取ることと大学を卒業することを勧めます。

もし専攻が決まってないなら、日本語を主専攻にするか副専攻にすることを勧めます。
もし専攻が決まっていて日本語以外なら日本語教師養成講座に通うことを勧めます。
そのお金や時間の余裕がなければ日本語教育能力検定試験を受けることを勧めます。

一番確実なのは日本語教師養成講座に通うことです。
なぜなら、日本語教育能力検定試験は年に1回しかなく、試験範囲も広いので、日本語教師養成講座の方が確実だからです。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

資格がないと働けないのと、大卒以上のところが多いのでまずは資格を取ること、大卒じゃない方には通信教育などで大学を卒業することを勧めます。

また、社会人の人には大学に入り直して主専攻にするか副専攻で日本語関連の科目を取るよりは、日本語教師養成講座に通うか日本語教育能力検定試験を受けることを勧めます。

もしお金と時間に余裕があるなら、日本語教師養成講座を勧めます。
なぜなら、それが一番早く確実に資格を取れる方法だからです。

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