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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 教師として成長できるかは自分次第です

あきさん・ 39歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 6年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間: 6年(2017~2023年) 退職
  • 月収:2万7,200~8万1,600円

一般企業を退職後に参加した海外のスタディーツアーで現地の日本語塾を見学する機会に恵まれました。当時は日本語教師という職業があることさえ知らず、具体的な仕事内容などは全く知りませんでしたが、現地で熱心に日本語を勉強する学習者の方を見たり、実際に簡単な日本語で会話をしたりするうちに次第に日本語教師になりたいと思うようになりました。

しかし、地元で日本語教師養成講座に通うにはまとまった講座費用の用意とそのときの仕事との両立が不可欠でしたので実際に420時間の日本語教師養成講座に通う決心がつくまで1年半ほど時間が空きました。

日本語教師養成講座を受講することに決めてからは、本業の仕事が終わった後の夜に週に2,3回授業に通うスタイルで1年半ほど続け養成講座を卒業しました。通った養成講座は大学の授業のようなスタイルで自分が通える日に開講されている授業をとるスタイルでした。そのため、人によって進度の差があり、早い人は半年程度で卒業していました。私の場合はかなりのんびりペースでしたが、その分、無事に卒業できたときは喜びもひとしおでした。授業ごとにメンバーも代わり、老若男女いろいろな方々との出会いも楽しめたのも対面スクールの良いところでした。

日本語教師養成講座卒業後、タイミングよく知人から日本語学校を紹介してもらい、そのままその日本語学校に非常勤講師としてお世話になることにしました。コロナで休校もありましたが約6年勤務していました。

私が勤めた日本語学校は小規模で主に20代の留学生がメインでした。
国籍はベトナム人、ネパール人、中国人です。

いくら420時間の養成講座に通ったとはいえ、養成講座で授業のいろはを習うのはほんの一部なので非常勤講師になりたての頃はかなり苦労しました。

特に苦労した点は以下です。

①会社員のような研修が全くない
②勤務先に頼れる先生がいない
③授業準備に時間がかかる
④授業がこれでいいのかわからない

勤務先はよく言えば自由なスタイルでベテランの先生は自分のスタイルで授業ができるので良かったと思いますが、養成講座を卒業して右も左もわからない新人の私には結構きつい環境でした。

勤務先で上記の①〜④の点を改善するのが難しいと判断し、わからないことは自分で調べる、外部のセミナーに足を運ぶ、オンラインセミナーに参加するなどして自分なりに勉強を重ねました。
このおかげで自分で何とかするという精神が鍛えられた気がします。

最初は手探りで心細いスタートでしたが、いい学習者に恵まれたのと自分自身の努力もあり、少しずつ授業ができるようになりました。

また、非常勤勤務で週数回の勤務でしたが学習者の表情などを観察し、気になった点は小さなことでも担任の先生に報告し、よりよいコミュニケーションを心がけていました。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

養成講座卒業後、とある日本語学校の求人(非常勤)に応募しましたが採用されませんでした。

その後、知人の紹介で日本語学校に採用が決まり、非常勤講師として働くことになりました。
当時の面接でここで働きたい!という意志が固まったので、その後、他の教育期間と比較・検討はしていません。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

①自由なスタイルでわりと放任主義の学校だったので最初は授業の仕方など慣れるのに苦労しました。
上記の通り、自分で勉強したりセミナーなどに通ったりして勉強を重ね努力しました。

②日本語学校は「授業中は帽子をとってください」等、ある程度日本の習慣を教える必要があります。特に日本に来日したばかりの学生に対しては「〇〇してください」「〇〇はしないでください」等の指示が多くなりがちで人に指図をすることが苦手な私は地味にストレスでした。とはいえ、指導しないわけにもいかないので先生の立場上割り切って指導しました。

③ネパールの学生は英語が上手な人が多く、「この日本語は英語で何ですか」とよく聞かれました。
英語は苦手だったため、とっさに応えるのが難しいことも多々ありました。
日本語学校は直説法で授業がおこなわれるところが多く、教師の語学が必須となっているところは少ないかと思いますがやはり英語はできた方がよいと思いました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

一般企業との掛け持ちをしていたため時間的な制約が厳しくなり、その結果、一般企業の仕事を優先しました。また、自分なりに勉強を重ねて、経験を積んだ中で日本語学校での勤務はもう卒業かなという感覚が出てきたので退職に至りました。

日本語業界は人手不足なので引き止められましたが、一旦離れた感覚は戻ることはありませんでした。

日本語学校以外の他の教育期間で教える手はありましたが、日本語教育とは関係ない新たな目標もできたため、日本語教育から離れる決意を固めました。

給与

給与:2万7,200~8万1,600円/月 ・非常勤講師

私の場合は非常勤でコマ数によって給与が支払われました。基本的に午前か午後の授業を通して4コマ担当することが学校の勤務上のルールとなっていました。週1回の場合は1コマ当たり45分×4コマで、最大週3回授業に入っていましたが、週3回入っても80000円程度なのでそれだけで生活するにはかなり厳しいです。しかも、その時間だけ行って勤務すればいいわけでなく授業準備に時間がかかるので特に最初のうちは割に合わないと感じると思います。同じ非常勤講師の方は扶養内の主婦の方が圧倒的に多かったです。私の場合は実家暮らしで家賃がかからなかったためかなり救われました。

テストの丸つけなどは極力常勤の先生がしてくれ、時間外が発生しないように配慮いただいたことはありがたかったです。

交通費は授業日に実費支給か給与とまとめて支払いするかの選択ができました。
授業日に通常の授業以外のカリキュラムや課外授業の予定が組まれていて、それに参加するときは参加時間に応じてコマ数による給与が支払われました。(半日の課外授業の付き添い→4コマ分と交通費支給)

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月収 2万7,200~8万1,600円

  • 1コマ 45分 1,700円

待遇

  • 交通費

勤務時間

  • 1日4コマ・週1~3日勤務

長期休暇中の給与保証

  • 給与保証がない

仕事のかけもち

  • 日本語教師以外の副業に就いている

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

・学力や来日するタイミングによってクラス編成されていたのでクラスによって国籍に偏りがあり「ベトナム人1人しかいないクラス」などもありました。出身国が同じ学生同士で盛り上がりがちだったので国の話題をふるときは少数の国籍の学習者にも発言してもらう機会をあえて作りました。

・全員が同じレベルではないので「理解が早くよくできる学生」と「初級の初期の学習項目も理解できているか不明な学生」と色々いました。進度の調整が難しかったですが、よくできる学生と遅れがちな学生との間にいる「わりと普通の理解度の学生」に合わせて授業を組み立てるように工夫しました。

遅れがちな学生のフォローは限られた勤務時間内では難しかったので、日報に書いて共有したり担任の先生に引き継いだりしました。

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主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス8~20人

学習者層

  • 学生

学生の主な出身地

  • 中国
  • ベトナム
  • ネパール

スケジュール管理で大変だったことは?

特に最初のうちは授業準備が一番大変でした。一般企業との掛け持ちをしていたため、授業準備は退勤後や休日を使って時には授業前日の夜中まで準備しており常に自転車操業でした。一般企業の退勤後は疲れてしまい、だらだらしてしまう傾向があったため、時間を区切って集中して準備に取り掛かることを意識しました。

またコロナ後、オンラインが普及してからはオンラインセミナーなどにも頻繁に参加していたため休みが休みでないこともよくありました。今はSNSなども発達しているので情報が入ってきやすいですが、その分、人と比べて「あれもできてない」「これもできてない」という思考に陥る人もいると思います。

私も数々の日本語教師セミナーに参加していたのですが結局、消化できずじまいだったなと後から思いました。セミナーはあれもこれも受けるのではなく、ある程度絞ったほうがよいかもしれません。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語ネット
    ・「日本語教師になるにはどうすればいいか」から教案、活動、お役立ち情報まで幅広く取り上げられています。 ・私の日本語学校の使用教材だった「みんなの日本語」の教案(他の教材の教案もあり)が網羅されており、導入の流れや例文などが使いやすかったです。 ・教科書に沿って初級〜中級を教える方におすすめです。
  • 日本語教師たのすけのお助けブログ
    ・日本語能力試験(JLPT)に出る文型(N1~N3)や日本語教育に関する話題&たのすけさんなりの見解などが詳しく書かれており運営者さんの人柄が見えるサイトです。 ・特にN3の例文が分かりやすいものが多かったのでちょっとアレンジして授業で使っていました。 ・これから日本語教師になりたい方、日本語教師歴が浅い方、JLPTを教える方におすすめです。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • どんなときどう使う日本語表現文型辞典 対象:全レベル
    ・日本語能力試験のN1〜N5までの文型が網羅されています。各文型ごとに簡単な文法説明と4〜5つの例文、英語・中国語・韓国語訳付きです。500ページを超える分厚い本です。 ・授業準備の最初にまず文型の特徴をおさえてから授業を組み立てていたので、文型を導入する際は毎回参考にしていました。 ・初級から上級表現まで幅広いです。日本語教師にとって辞書のような本ですので1冊持っておいて損はないかと思います。
  • くらべてわかる 日本語表現文型辞典 対象:中級
    ・特に中級以上で出てくる類似文型の違いが的確におさえられており、例文もわかりやすいです。 ・日本語能力試験の対策でN3、N2を教えていたときの授業準備によく使っていました。 ・中級からは類似文型がいろいろと出てくるので学生から聞かれる前にこちらが把握しておくのが非常に大事です。中級の授業準備に役立つ本だと思います。

就職活動

どのようにお仕事を探しましたか?

上記で述べた通り、養成講座の卒業後に地域の日本語教師の求人をネットで見つけて応募しましたが、採用されませんでした。その後、知人の紹介で日本語学校を見つけました。
結果的に2社に応募して紹介で縁のあった1社にお世話になったことになります。
勤めていた学校は理事長のビジョンに共感できたことが決め手でした。

面接で何を聞かれましたか?

・面接はまず清潔で「先生」と呼ばれるのに相応しい服装で臨みました。日本国内で対面で授業する場合は校風にもよりますが先生の身だしなみは大事だと思います。

・未経験だったので面接では今までやってきた仕事の内容など聞かれました。
紹介のメリットだと思いますが、人柄に関してはかなり評価していただけたので、あとは週に何回授業に入れるか、何曜日が都合がいいか等条件面でのすり合わせがおこなわれました。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本村
    都道府県別に求人が載っています。 国内だけではなく海外の求人も多いので海外での就職をお考えの方にも役に立つサイトだと思います。
  • jegs
    こちらも国内外の求人が載っています。 在宅で日本語を教えるオンラインの求人もあります。
  • 大谷書店
    九州の求人が中心です。たまに海外の求人もあります。 福岡に日本語教材を取り扱った書店もあります。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 未経験者歓迎
  • 学校の教育方針

応募時に必要とされた資格

  • 特になし

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

日本語教師全般に関する質問

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

授業準備は時間がかかるし苦労も多い仕事ですが「先生の授業を増やしてほしい」「先生の授業はわかりやすい!」「先生の授業は時間が早くすぎる」と言われたときは教師冥利につきました。

また、来日当初は日本語を全然話せなかった学生が卒業式ですらすらと答辞を読んだときは成長を感じうるっときました。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

日本語教師になった当初はプライベートで色々あり精神を保つのが大変なときでした。
授業もままならない状況だったので一時は本当に日本語教師を辞めたかったです。
しかし、当時のリーダー格の学生が授業をやりやすいように協力してくれたおかげでその後数年日本語教師を続けることができました。教師は学生に“与える”職業だと思われがちですが実は学生からも色々な気づきと学びをもらえる職業です。ぜひ人との出会いを楽しんでください。

今新たに別の目標ができ日本語教師を離れることにしましたが、日本語教師の経験は糧になると信じて自分の人生を突き進んでいきたいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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