元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

国内の日本語学校 経験談

一つ一つの授業がエンターテインメント!

公開:2018/11/22
ヒラク(男性・26歳) 
日本語教師歴 4年 (2014年~2018年) 
*他業種に転職
資格・課程 日本語教育能力検定試験
日本語学校での
経験詳細
  • 月収:20万円
  • 常勤講師(非正規雇用・フルタイム)
  • 4年(2014年~2018年)

対象生徒が変わるというだけで、目の前にいるのが生徒であるというのは変わりません。生徒達と一緒に熱くなり、涙し、汗をかき、そんな学校生活を送ることができます。

では日本語学校の特筆する点は何か。それは私も担当をしていた「日本語教育」です。
生徒たちの両親または片方の親が母国語を日本語としない彼らにとって、
私達の日本語教育は生活に直結するとても大切なものです。

私達が外国語を学ぶ時に最も大切なことは「学びを必要だと感じること」です。
ただの趣味として学習するだけでは絶対に身につきません。

彼ら生徒も同様です。日本で生活する上で普段は両親と会話さえすればいい、同じ国同士の友達とその国の言葉で会話すればいい。そんな生活の中にどうやって日本語を介入させるかがキモとなりました。

私のモットーは「日本語は楽しいと思ってもらう授業をする」でした。
当たり前に聞こえるでしょうか。でも実は準備から何からこだわると大変ですよね。

必ず取り入れたのは、日本語の歌詞の歌をみんなで歌うことです。
そこには繊細な日本語表現があり、「これってどういう意味?」という疑問から授業が展開できます。
クラス全員でMr.childrenの「Tomorrow never knows」を歌ったことは今でも強烈に覚えています。

また必ず毎回の授業にテレビを使った視覚教材を取り入れました。
「外国人が疑問に思う日本語」などをイラストを取り入れたスライドで見せると盛り上がりましたよ。

苦労した点は、多くの生徒が生活に不安を覚え、精神的に不安定になっているということです。
特に中学生段階では思春期もあいまって、非常にデリケートになります。
そしてそんな時に外国人であるご両親と上手にコミュニケーションが取れないということも悩みでした。
一度、家出をした生徒とゆっくりと話し合ったことがあったのですが、こちらの日本語がうまく通じず、なかなか心が伝わらない。その生徒は母子家庭だったのですが、母親がアメリカ人だったので家庭で連携した支援というのがなかなか難しかったです。

生活に関しては、近年「ブラック」だと評される公立学校とはまた違います。
部活動などは当然ありますが、それも大体午後5時には終了します。
その後、翌日の準備をして帰ることができました。

日本語学校はとにかくやりがいに溢れる現場です。
私達の母国語である「日本語」をいかに楽しいと思ってもらうか。
それを考えただけでワクワクしてこないでしょうか。

私は個人的な事情で退職せざるを得なかったのですが、また戻れるなら戻りたい。そう思っています。

Q:他の教育機関と比較・検討しましたか?

公立中学校との比較をしました。

私は公立中学校・高等学校の国語科の免許も持っているのですが、自分の国語科教師としての実力を図るならば日本語学校だろうということで、そちらを選びました。

公立中学校には公立中学校で良さがあるのですが、どうしても「日本人が日本語を習っても仕方がない」という思いが生徒の中にも、そして私の中にも正直言ってありました。

もちろん日本人に対する日本語教育はとても大切だということはわかっているのですが、
他国から来た生徒達、それも今後日本で生活していくとすれば益々必要となってくるだろう子供達に自分が日本語を教えたいと思いました。

Q:日本語教師として苦労した事、戸惑った事はありますか?

何よりも苦労したのは、ご両親と理解し合うことの難しさと、生徒達が抱えている家庭的背景への理解です。

まず父親が外国人というパターンが多く、海外文化では父親が家庭的な決定権を持っていることも多いのです。そこで私達が話し合いをするとなった上で言語が障壁となることが多かったです。

今、この生徒はこのような課題を抱えていると言った繊細な相談は、言葉を尽くしてお話し合いをしたいのですが、それが難しいのが辛かったです。

また生徒達も単純に両親の仕事の都合で日本語学校に通っているというだけではありません。
例えば言い方は悪いですが、母国から夜逃げのような形で来られた家庭もありますし、
そういう私達の想像を超える過去を背負っている生徒も少なからずいました。

彼らの心のケアという点でも、やはり言葉の障壁があります。
伝わる言葉で、言葉を尽くして、ということができないときは時間をかけて話し合いをするしかありませんでした。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

業務内容とは一切関係がありません。実家の父親が長期入院をしているため、自営業の母親を支えなくてはいけなかったからです。

上記にもありますが、またもう一度、他の仕事に就くとすれば間違いなく日本語学校を選びます。なぜなら未だに「日本語が母国語ではない生徒の日本語レベルを上げたい」という使命感を持っているからです。

給与・待遇

月収 20万円
月収内訳
  • 基本給:20万円
  • 住宅手当:2万円
基本労働時間 1日10時間 週5日勤務
残業(時間外労働) 1ヶ月合計40時間
待遇
  • 交通費
  • 有給休暇
  • 賞与(年2ヶ月分)
  • 健康診断
仕事のかけもち かけもちしていない

月20万円、手取りで15万円程度になります。私は一人暮らしだったため住居手当として家賃の約半分をいただいていました。基本的に毎日自炊で、昼は生徒とともに給食を取ります。一食250円程度で、これも給料から天引きとなっていました。

移動手段としては学生の頃から使っていた原付バイクに乗っていました。これも交通費を頂いていたので、そこまで負担にはなりませんでした。
生活自体は質素でしたが十分生活できるレベルです。

授業準備や採点、部活動の指導などは当然付いて来ます。ただこれは教師として授業をする、評価をするという観点で必要なものなので仕方がありません。生徒数が学校全体で100名、学年で30名強でしたのでそこまで負担がなかったのかもしれません。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス15人
学習者の年代 中学生
主な学生の出身地 韓国
1日の時間割 月曜日
  • 9:00~17:00  
    中級クラスを4コマ
火曜日
  • 9:00~17:00  
    中級クラスを4コマ
水曜日
  • 9:00~17:00  
    中級クラスを3コマ
木曜日
  • 9:00~17:00  
    中級クラスを3コマ
金曜日
  • 9:00~17:00  
    中級クラスを4コマ
休日 土日
  • 土曜日:翌週の準備や、先週の生徒の宿題の添削などをしていました。
  • 日曜日:土曜日でほとんど準備が終わっていたので、毎週、しっかりと休めていました。

Q:クラス運営(授業形態)で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

授業形態で大変だったのはグループ活動の進行です。
一斉講義形式となるとどうしても生徒が受動的になってしまうので、積極的にグループ活動を取り入れていたのですが、それこそ母国語同士で話してしまうことや、日本語での進行が難しくグループ活動が滞ってしまうなどしました。

そのため各班に、その日使う日本語や基本的な日本語の単語の辞書などを用意し、
言葉に詰まればそれを見て説明するように指導しました。

これによって生徒がつまずく日本語がこちらとしても把握できましたし、
何より生徒が積極的に日本語を調べ、使おうとする姿勢が生まれたのでよかったと思います。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

授業の準備に毎日追われていました。
手抜きの授業は絶対にできませんし、そうするとやはり質の高い、工夫された授業をするしかないのですが、そのためには教科書以外に、特別なワークシートを作成したり、視覚教材のためにスライドを作ったりとしていました。すると時間がとても掛かってしまいます。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
参考になる書籍

就職活動

教育機関選びで
重視した点
学習者が学生
応募時に
必要とされた資格
日本語教育能力検定試験
選考方法
  • 書類
  • 面接
Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

大学時代に勤務できる日本語学校を探していました。私の大学には教育支援センターがあったのですが、そこの掲示板に職場であった日本語学校の募集記事が貼られており、まずは書類送付とのことだったので送りました。

その後、書類審査が通過したとのことで、面接試験の受験資格を得ることができました。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

15分ほどの面接で、試験官3名に対して私1人の個人面接でした。

  • なぜ日本語学校で働きたいのか。
  • 今の日本語学校の課題は何か。
  • 最近気になっているニュースは何か。
  • もしこの学校で働くとすれば、どのようなことに力を入れたいか。
  • 自分の長所と短所はどこか。なぜそう思うか。
などでした。

Q:この教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

大学生時代から学生ボランティアとして公立中学校に行って、実際に授業に入らせていただくなどしていました。

日本語教師としての資質としては、異文化を理解しようとする姿勢と日本語教育への熱意があれば十分だと感じます。

持っていた方がいい資格は「日本語教育能力検定試験」の合格です。
語学レベルは日本語だけでも構いませんが、英語だけでも喋ることができれば良いかもしれません。

Q:日本語教師(国内)の求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト
indeed
よく掲載されているようです。
その他求人情報
大学の教育関係の掲示板:随時、募集チラシが掲載されている

日本語教師全般に関する質問

Q:もともとはどのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

公立中学校と日本語学校で迷いましたが、決め手は「母国者ではない学生に日本語を教える」ということでした。

自分の力がより試されるのは、日本語が生活の基盤になかった人たちに日本語を理解してもらえるかどうかかと思ったので日本語教師を目指しました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

生徒と会話をしているときに、自分の授業で教えたフレーズが自然と使えていた時、または実践会話(お店などでよく使うフレーズ)を学外で使えたと報告してくれた時、喜びを感じました。

やはり自分が教えた知識が、生徒の生活に生きた時に教え甲斐があったと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

【学生の方へ】
大学時代に日本語教育能力検定試験の勉強をして合格することが最大の近道かと思います。他の手段については試したことがありませんが、私はこの方法で新卒で働くことができました。

【社会人の方へ】
やはりテキストなどを購入して、日本語教育能力検定試験を受験されるのが良いかと思います。資格があるとないで採用を勝ち取れるかどうかが決まるのではないかと思います。

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