元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

国内の日本語学校 経験談

学生の心に寄り添うことの大切さ

公開:2018/05/23
ふるふる(女性・40歳) 
日本語教師歴 6.5年 (2007年~2013年) 
*他業種に転職
資格・課程
日本語学校での
経験詳細
  • 月収:10万円
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 5年(2009年~2013年)

海外で2年間日本語教師の経験を積んで、帰国後すぐに求職活動をしました。模擬授業と面接があって非常に緊張しましたが、入念に準備をして、何とかクリアすることができました。

学生は中国人のみで、ほとんどがアルバイトをしながら勉強をしていました。主に中級以上を担当していたので、能力試験対策のような授業が多かったです。みんな非常に疲れていて、モチベーションを上げるのが大変でした。学生にやる気がないと、つい厳しく叱咤激励してしまいがちですが、学生が余計に疲れてしまうのではないかと思ったので、リラックスできるよう努めました。授業の始まりにたくさんの冗談を言ったり、授業内容に関連した余談を授業の中に盛り込んだり、一人一人の生活の状況を聞いたりして、一方的な授業にならないよう心がけました。

また、修士論文の執筆を目的としたクラスがあり、そこも担当していたので、添削に非常に苦労しました。授業日の直前に論文をメールで送って来るので、寝る時間を削って添削していました。学生からは、日本語だけでなく、内容にまで踏み込んだコメントが求められました。専門外の研究なので深く掘り下げることはできませんでしたが、論文を読んで疑問点を洗い出し、質問をぶつけていくことは、自分の勉強にもなりました。

日本語学校での仕事は、時間的、金銭的余裕がなくて大変な面もありましたが、学生たちの心に寄り添うことの大切さを学びました。こちらが全力で親身になって対応すると、必ず学生たちに伝わります。進路の決まった学生たちの卒業式での晴れやかな笑顔を見たとき、日本語教師になってよかったと心から思えました。

Q:他の教育機関と比較・検討しましたか?

日本語学校と大学の留学生別科で非常勤として日本語を教えました。日本語学校と大学では、お給料の面で大きく差がありました。教育機関を大学だけに絞ることも考えましたが、日本語学校にしかない魅力も感じたので、かけもちしていました。

大学では、さまざまな国の学生が学んでいて、一応レベル分けされていますが、クラスの中に開きがあって、教案を考えるのが大変でした。それに対し、日本語学校はクラス内のレベルがそろっている上、全員中国人だったので、教えやすかったです。

Q:日本語教師として苦労した事、戸惑った事はありますか?

日本語教師を目指して日本語の教え方を勉強してきましたが、国内で教える場合、日本語以外にも多くのことを教えなければならないと気がつきました。ごみの出し方や騒音問題などで、近隣の住民の方から苦情が入ることもあるからです。

当然のことですが、来日直後の学生は日本での生活を知りませんし、数年住んでいても思い違いをしていることも多々あります。そして、習慣の違いは、一度説明したからといって簡単に身につくものでもありません。さまざまな生活習慣の違いからくる誤解は、学生の責任ではありません。日本で生活する中で何がわからないのか、どうしてトラブルになっているのかを知るため、学生の声に耳を傾けることは、ある意味日本語を教えるより苦労したと思います。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

家庭の事情で、夫の地元に戻ることになりました。夫の地元には日本語学校がなく、これまでのキャリアが無駄になってしまうので非常に悩みましたが、小さい子供もいる中で、家族が離れて暮らすのはよくないだろうと考え、退職することにしました。

給与・待遇

月収 10万円
月収内訳 1コマ90分:4,000円
基本労働時間 1日2コマ 週3日勤務
残業(時間外労働) 授業準備で必要なだけ
待遇 交通費
クラスの長期休暇中の
給与保証
給与保証がない
仕事のかけもち
  • かけもちをしている:大学(計2校に勤務)
  • 日本語教師以外の副業に就いている

90分で4000円のお給料は、時給に換算すると2600円ほどで、かなり高いように感じますが、授業準備にかかる時間を考えると、それほど高待遇とは言えないと思います。

何年も同じレベルのクラスを受け持ち、教案作成に時間がかからなくなれば楽になりますが、新しいクラスを受け持ったときは常に時間に追われている気がしました。作文のクラスを受け持ったときは、授業後に30人分添削を終えて帰るというのは非常に難しく、結局は帰宅してから隙間時間を利用して添削していました。

学生のレベルに応じて授業準備の内容も違ってくるため、上級・超級・修論クラスを同時に教えていたときは、通勤電車の中でも学生の書いた文章を読み、次に使用する教材の長文を読み込むといったことをしなければなりませんでした。

苦労して授業準備をしても、もらえるお給料は授業の分だけです。稼いだ分はほとんど子供の保育料などで消えていたので、決して生活は楽ではありませんでした。

やりがいだけで仕事を続けるには限界があります。日本語教師が安心して生活していけるように、待遇をもっとよくするべきだと思います。

Q:給与や待遇面でお勧めできる、国内のその他教育機関を教えて下さい。

お勧めは大学です。留学生センターや留学生別科などは、日本語学校より非常勤のコマ給がいいです。そのためには修士号が必須で、博士号まであるとなお有利です。3年以上の専任の経験を求められることもあるため、簡単には就職できないかもしれませんが、日本語学校で働くよりも生活は安定すると思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス10~30人
学習者の年代 大学生
主な学生の出身地 中国
1日の時間割 月曜日
  • 休日(他校で授業、学生の作文・論文添削、授業準備)
火曜日
  • 9:00~12:30  
    修論クラスを2コマ(午後は他校で授業)
水曜日
  • 9:00~12:30  
    超級クラスを2コマ(午後は他校で授業)
木曜日
  • 休日(他校で授業、学生の作文・論文添削、授業準備)
金曜日
  • 13:30~17:00  
    上級クラスを2コマ
休日 土日
休日に取り組んだ仕事:学生の作文・論文添削、授業準備

Q:クラス運営(授業形態)で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

上級・超級・修論指導などのレベルが高いクラスを主に担当していたので、授業の内容は個人の活動がほとんどでした。読む・書くが中心になることが多かったので、できるだけ学生が発話できるように、書き終わった作文を交換してコメントさせたり、読解教材をもとにディベートさせたりしました。

修論クラスは、日本語で論文は書けても話す・聞くのが苦手な学生もいたので、ほかの学生の論文を読ませ、疑問点などを必ず質問させるようにしていました。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

2校をかけもちしていたので、切り替えが大変でした。一方では上級以上、他方では初級や中級と、レベルが全く異なっていたため、同日に授業がある日は、移動の電車の中で何とか頭を切り替えていました。とにかく分刻みのスケジュールで、電車に乗り遅れたら授業に遅れてしまうので、いつも走っていました。一番忙しいときは、昼食をとる時間もなかったです…。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • 国際交流基金
    日本語教育についてのさまざまな情報が得られます。授業のヒントや能力試験の問題例などもあります。
  • 日本語教材図書館
    例文検索や問題例の検索に役立ちます。
  • 日本語教師駆け込み寺
    文型の説明が豊富です。簡単な問題例もあるので、文型の練習問題を考えるときに利用できます。
参考になる書籍

就職活動

教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 通勤時間
応募時に
必要とされた資格
選考方法
  • 書類
  • 面接
Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

求人サイトを利用して就職活動をしました。ほかにも何校か履歴書を送りましたが、教えたいレベルや教えられる曜日・時間帯などがマッチしていたのがこの学校でした。また、大学院時代の担当教員が校長先生と知り合いだったということもあり、この学校で勤務することになりました。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

勤務可能な時間・曜日、教えたいレベル、大学院での専門について質問されました。私の専門は異文化コミュニケーションだったのですが、言語学が専門ではないのですね、と確認されました。やはり、文法や言語学を専門としているほうが日本語教師として就職するには有利なのかなと感じました。

Q:模擬授業では、どのような課題が与えられましたか?

授受動詞の導入と練習を15分ぐらいでするという課題が与えられました。副校長先生や教務主任の先生、理事長の奥さん等が学習者の役で模擬授業を行いました。

みんなの教材サイトなどの絵カードを参考に、自分なりに絵カードを作成し、自分が話す言葉、学習者から返ってくる反応の予想なども一言一句漏らさずに、教案に書き込みました。模擬授業の間は、予想外の反応が返ってきても笑顔を絶やさないことを心がけました。

Q:この教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

修士号、できれば博士号を持っていると就職の幅が広がります。語学はできるに越したことはありませんが、余り多用すると学生が甘えてしまうので、できないふりをしたほうがいいこともあります。

学生は日本語学校で日本語を勉強しているため、教師側も日本語の知識を深めなければと思いがちですが、学生の興味は多岐にわたっています。日本語を勉強しているという点は共通していますが、専門的に勉強したいことはそれぞれ異なっています。

そういう意味で、教師は日本語以外の知識も豊富であるほうが、学生たちも喜ぶのではないかと思いますし、授業を進めていく上でも非常に有利だと思います。

Q:日本語教師(国内)の求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト
  • 日本語教育学会
    国内外の求人が掲載されている。大学の求人も多い。
  • 日本語オンライン
    国内・国外の求人が掲載されている。求人だけでなく、掲示板なども充実している。
  • NIHON MURA
    求人の掲載数が多く、日々更新されている。

日本語教師全般に関する質問

Q:もともとはどのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

日本語教師という職業の存在は、大学生になって初めて知りました。大学に入って留学生の友達ができ、仲良くなっていくうちに、何か留学生の役に立てるような職業はないかと考えるようになりました。

そんなとき、ふと目に留まったのが、学内に置いてあったヒューマンアカデミーの日本語教師養成講座のパンフレットでした。それを見て、日本語教師という職業があることを知り、日本語教師になろうと目標を定めました。

当時は法学部に通っていましたが、卒業した後に、日本語教育の副専攻がある大学に編入し、本格的に日本語教育に関する勉強を始めました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

学生が能力試験に合格したときや、学生の進路が決まったときなどに、やっててよかったと実感します。授業中は物静かで非常に冷静だった学生が、顔を赤らめながら興奮気味に「合格しました!」と報告してくれたときは、本当にうれしいという気持ちが伝わってきて、こちらも幸せな気持ちになりました。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

【学生の方へ】
日本語教師になるなら、大学院で勉強するのが一番いいと思います。修士号を持っているだけでも就職の幅が広がります。大学で働きたければ、博士号も持っていたほうが断然有利です。日本語教育だけで生活を成り立たせたいと思ったら、やはり、修士号取得は必須だと思います。

【社会人の方へ】
社会人として仕事をしながら、日本語教育の勉強をして日本語教師に転職するのであれば、養成講座がいいと思います。仕事の後や土日でも通えます。その上で、検定を取得して日本語学校に就職するのが最も近道だと思います。

さらに勉強がしたければ、非常勤をしながら大学院で勉強することも可能です。実際、大学院で勉強しながら非常勤で日本語を教えている方はたくさんいます。金銭的にも時間的にもかなり厳しいものになると思いますが、苦しい思いをした分だけ、仕事のチャンスもふえると思います。

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