元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

国内の日本語学校 経験談

人の人生を左右する、縁の下の力持ち

公開:2018/11/22

Fofi(男性・32歳) 
日本語教師歴 3.2年 (2015年~2018年) 
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程 日本語教師養成講座420時間(東京外語専門学校)
日本語学校での
経験詳細
  • 月収:2万5000円~6万円
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 3年(2015年~2018年)

日本へ来る留学生のうち、日本の大学、専門学校への進学か、就職目的で通う学習者が大多数を占めています。日本語の能力に優劣の差こそあれど、何かしらの得意分野を兼ね備えた学習者が多い印象があります。自分はこの仕事について、それぞれの得意分野を、日本語を通して伸ばし、将来役立てられるようにするための場と考えています。

あらゆる国から、母語が異なる学生たちが集まるクラスであるため、学習者には「みんながわかるように、日本語で話しましょう」と言っています。自分の経験上、これは学習者に苦労が伴いますが、それで異国の人達と通じ合えるプロセスであると確信しています。

この仕事自体は準備や後処理に膨大な時間や労力が伴い、その負担が一番厳しいです。働き始めてから今に至るまで、フルタイム勤務まではできずにいます。その一方で、はるばる日本という異国へ働いたり、学んだりしたいという志を持って訪れた学習者たちを相手にするという意味で、拒否感などはなく、彼らのために日々、何ができるかを考えるようにしています。そして、勉強したことは自身に限らず、他人のために役立てられる時が必ず来るという信念を持って、仕事に臨んでいます。

今の職場は3年ほど働いた感想としては、マメに常勤や非常勤の間で連絡を密に取り合い、クラス担当者間で風通しが良いという印象があります。そのため、駆け出しの頃は連絡を怠ったことを叱咤され、それによる重要性を痛感しました。

永遠のテーマとして、「どのようにすれば、学習内容が学習者たちに定着するか」があり、それを準備の段階で入念に考えても、いざ実際の授業ではすんなり理解に至らなかったということも多々あります。最近は説明する時間と、ノートを整理する時間とを区別し、学習者自身に例文を作らせるタスクを増やすなどという練習をさせています。

他にも「~ながら~します」を教えた際、前後件のどちらにメインの動作が入るかを強調したのですが、まだ学習者の受け取り方や自分の説明下手が災いして、必ずしも全ての学習者に正確に伝わったかが曖昧だったことがありました。

Q:他の教育機関と比較・検討しましたか?

規模、システムなどが外側から全く見えなかったことに加え、一番の原因は全く人脈がなく、飛び込む勇気がなかったため、応募はしませんでした。

今は2か所の学校で働いていますが、どちらも人のコネで入り、それで内情を詳しく尋ねて熟慮を重ねた上で、応募に至りました。

Q:日本語教師として苦労した事、戸惑った事はありますか?

ちゃんと学習者たちが「日本語で考えて、日本で生活するという前提で勉強してくれるか」という事です。同じ国の学習者がいて、誰か1人でも真面目な学生がいた場合、周囲がその学生に頼ってしまい、いざテストをしてみると、散々な結果ということも珍しくありません。

そのため、「進学や就職をするにしても、いつかは学生たちが自分1人で生きていけるように」との目標を忘れないようにしています。

給与・待遇

月収 2万5000円~6万円
月収内訳 1コマ45分:1,890円
基本労働時間 1日4コマ 週1日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 交通費
クラスの長期休暇中の
給与保証
給与保証がない
仕事のかけもち かけもちをしている:日本語学校

非常勤しか経験していないため、収入は限られた状態です。ただ、贅沢をせずに一人暮らしか、共働きをしていく限りにおいては、ギリギリではないかと考えています。そのため、オフの日も必然的に準備作業などでインドア生活になりがちです。

この待遇では実質的に授業と、試験期間の試験業務でしか給与は支払われないため、それでも構わないという覚悟が必要と考えています。一方で専任になれば固定給で、安定的である一方、業務も増えるため、はたから見ている限りでは負担はより大きく感じられます。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス16人
学習者の年代 留学生
主な学生の出身地
  • 中国
  • ベトナム
  • スリランカ
1日の時間割 火曜日
  • 13:20~16:30  
    本校にて、中級クラス(45分×4コマ)
休日 月・水・木・金・土・日
  • 月曜日:別のもう1校の勤め先にて、初中級クラス4コマ
  • 水曜日:別のもう1校の勤め先にて、初中級クラス4コマ
  • 木曜日:別のもう1校の勤め先にて、初級クラス4コマ
  • 金曜日:報告メールを確認後、翌週の授業準備、教案作成
  • 土曜日:午後に授業準備
  • 日曜日:翌週の授業準備、印刷物をプリントアウト

Q:クラス運営(授業形態)で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

日本滞在歴が長くなると、同じ国の人同士でなぁなぁになってしまったり、日本にいる意義が見出せなくなってしまったりという事が少なくありませんでした。

それにより母語での私語が絶えないため、「母語で話したら、その内容を日本語で話すように」と注意したところ、若干ではありますが、静かになった印象があります。

一方で中国には「あまり他人を信用してはいけない」との考えが根底にあるためか、中国人の学生は自ら黙々と学習するか、カンニングペーパーを作る傾向があります。そちらの場合もクラスを盛り上げたり、試験の際は不正行為を働かないように目を光らせたりで、苦労がありました。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

前日の連絡で、突如スケジュール変更が生じ、当日の授業内容を慌てて作り直すことが求められることです。中にはスケジュール表を見たら、テキストにあるのにスケジュールでは抜けている文法事項があり、アドリブで教えたこともありました。

初級レベルの授業の場合、教えた経験が多い文法事項もあるため、多少のアドリブはこなせるようにはなったかと、実感しています。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
参考になる書籍

就職活動

教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 学校の規模
  • 通勤時間
応募時に
必要とされた資格
日本語教師養成講座420時間終了
選考方法
  • 書類
  • 面接
Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

高校の時の恩師が校長まで勤め上げて定年を迎えた後、シニア教師として、この職場で働いているとのことで、紹介してもらい、勤務するに至りました。

海外での勤務経験もあったことから、コマ給に多少、上乗せした状態での待遇となりました。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

海外で教えていた際の教え方や、身についたテクニック、そしてどのような学習者が多いかと尋ねられました。それまでは単一国籍の学習者のみの日本語教育で、年齢層がバラバラであったため、あまり強く相手ができなかったのがネックだったと答えました。

Q:模擬授業では、どのような課題が与えられましたか?

「~に~がいます/あります」の文型を導入する模擬授業を行いました。自ら絵カードを作り、きちんと学習者の理解に齟齬が生じないよう、配慮を重ねて教案を作成しました。大きめの声で、問題なく進められた一方、時間が余ってしまい、早めに終わったのが反省点でした。

Q:この教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

何事もなぁなぁにせず、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」をモットーに、学習者にも同僚の先生方にも臨める方がおすすめです。これが周囲の先生方を見ていて、必要と思っている素質です。

教師自身の語学力に関しては、できなくてもいいものの、できた方が学習者たちとの距離は縮められるかと考えています。

Q:日本語教師(国内)の求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト
日本村
常勤、非常勤、事務職の求人が頻繁に掲載される。業務内容や待遇の各欄が詳しく知ることができる。

日本語教師全般に関する質問

Q:もともとはどのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

韓国に留学で滞在中、地元の日本語学習者の方から、作文の添削を求められ、あまりうまくアドバイスできなかったことと、日本語のことについて尋ねられ、返答に屈してしまったことがきっかけでした。 それで帰国後、教える仕事を始めてみようと考え、帰国後に養成講座の受講を決めました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

学生指導の一環で、エントリーシートや履歴書の添削をして、感謝の言葉を聞けた時と、学習者をある日本人の高校生に紹介して、志望業界についてレクチャーしてもらえた時。

前者は「あなたは私の就職の恩人」との言葉で、やってよかったと感じられました。

後者はその後、2人ともSNSで意気投合し、「夢に近づくあなたを見ていると、自分も幸せな気持ちになれる」とのコメントを残していて、紹介してよかったと実感しました。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

始めた頃は「何も学べたものがない」などと言われたことがありましたが、今は「授業を聞いても、何も残らない」との声が学習者から出て、「自分は人にものを教える仕事に向いていないんじゃないか」と感じました。

また、資格試験に合格できず、自分の読解力や思考回路を恨めしく思い、やめたいとの思いを抱いた時期があります。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

【学生の方へ】
日々、使っている日本語を外国人相手に話す時、どのように易しい言い回しにすれば通じるかを考える習慣をつけると、この仕事をするうえで役立てられると思います。また、日本語のどの点が難しく思われるか、それをはっきりとした言葉で述べる練習をしてください。

【社会人の方へ】
留学生相手の場合、就職や進学を目的とした学生が目立ちます。彼らのために、ご自身が今までの経歴で培った人脈や知識などを生かすことができると考えています。転職またはシニアとして日本語を教える仕事に就こうと考えていらっしゃるなら、今一度、自身が日本語が使える以外に、何を兼ね備えているかを見つめ直してください。

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