元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

国内の日本語学校 経験談

国籍だけでなく、学生の動機や進路は様々

公開:2018/2/23
あき(女性・31歳) 
日本語教師歴 3年9ヶ月 (2012年~2016年) 
*他業種に転職
資格・課程 大学院の日本語教師養成プログラムの履修
日本語学校での
経験詳細
  • 月収:20万円
  • 専任講師(正規雇用)
  • 2年(2014年~2016年)

海外の日本語教育機関での任期が終了し、日本に帰国することとなりましたが、日本語教師を続けたかったので、日本語学校の教師の求人を探していました。

専任になるには経験が浅いため、最初は非常勤の求人に応募し採用され週5日毎日勤務していました。ただ、生活は厳しく、より多国籍な現場で教えたいと思い始めました。
1年ほど勤務した後専任の求人を探し始め、いくつか受けたうちの1つに採用され、最終的に2年ほど勤務しました。

この学校は多国籍で、最初に勤めていた学校のように学生の国籍を限定せずに世界から学生が来ていました。一番初めに担当したクラスは、南米、アジア、ヨーロッパ、アメリカ等本当に多国籍で、楽しく教えていました。

勤務時間は8時50分から17時まで、授業は午前もしくは午後に毎日担当しました。学校によっては、専任は週に2、3コマしか担当しないというところもあるようです。授業のほか、名簿、テスト、授業計画の作成等の教務事務も行うので、毎日授業があるというのは非常に大変でした。

まれに休日出勤がありましたが、基本的には土日は休みでした。しかし、月曜日から授業があるため、休日も授業準備に追われてしまい、土日に泊まりの旅行に行くことはできませんでした。

学生はプレイスメントテストでクラスが振り分けられますが、ただどうしてもクラス内で多少日本語の理解に差が出てしまうことがあります。また、どんな動機で留学に来たのか、卒業後の進路はどうするかなど学生の考えは非常に様々でした。それは「やる気」につながるため、中には遅刻がち、アルバイトで学校に来ない、宿題をしてこないという学生もいました。

Q:他の教育機関と比較・検討しましたか?

日本語教師の先輩から、日本語学校では仕事が多く、国内の日本語教育機関の場合、一番日本語を教えるのに集中できるのは大学だと聞いていました。しかし大学で教えるためには、日本語教育学の修士号が必要なため、断念しました。

Q:日本語教師として苦労した事、戸惑った事はありますか?

大変だったことは、仕事量の多さです。自分の授業の準備に加えて、授業計画の作成、教材の印刷、テストや授業計画の作成などの膨大な教務事務、帰ってからも次の日の授業の準備がありました。

かけ出しの日本語教師であったため、自分の時間を持つことができなくなり、仕事ばかりする日々に悩んでいました。一通りの仕事を覚えたら、弁論大会、卒業式などの準備・運営の担当を任されたりと、仕事は増える一方でした。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

残業や会議の後に帰宅し、自宅でも授業の準備をしたり宿題の添削などの持ち帰りの仕事がたくさんありました。そのため土日もゆっくり休めず、自分の時間を持つことができない日々が続き、仕事も増える一方で体力的にも続けられないと感じたため退職しました。

給与・待遇

月収 20万円
月収内訳
  • 基本給:20万円
  • 初級手当:10,000円
  • 休日手当:5,000円
基本労働時間 1日7時間 週5日勤務
残業(時間外労働) 1ヶ月合計25時間
待遇
  • 交通費
  • 有給
  • 賞与(年間2ヶ月分)
  • 保険
  • 健康診断
クラスの長期休暇中の
給与保証
仕事はないが、給料は支給される
仕事のかけもち かけもちしていない

生活していくことはできますが、家賃補助もなく同年齢の平均的な給料よりも少ないため贅沢な生活はできないと思います。勤務時間以外にも、持ち帰りの仕事があります。授業準備の他に、テストや宿題の添削、次の学期の計画を作成する必要があります。その量は決して少なくありませんでした。

また、月に何度か勤務時間より1時間早く出勤しなければならない日もあり、昇給もほぼなく、少ないと感じざるを得ません。一人暮らしをしてる教師はほとんどいませんでした。

Q:給与や待遇面でお勧めできる、国内のその他教育機関を教えて下さい。

安定しているのは、やはり大学で専任講師の職だと思います。博士号が必要なのはもちろんのこと、教授歴、研究業績などが必要とされます。また、すぐに常勤になれるわけではなく、非常勤からスタートすることがほとんどだと思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス15人
学習者の年代 社会人
主な学生の出身地
  • 中国
  • 台湾
  • 韓国
  • 欧米、東南アジア、南米
1日の時間割 月曜日
  • 8:50~12:30 授業
  • 午後(宿題やテストの添削、引継ぎ、教材の印刷、テスト作成)
  • 帰宅後:授業準備
火曜日
  • 8:50~12:30 授業
  • 午後(宿題やテストの添削、引継ぎ、授業計画の作成、テスト作成)
水曜日
  • 8:50~12:30 授業
  • 午後(宿題やテストの添削、引継ぎ、授業計画の作成、テスト作成)
木曜日
  • 8:50~12:30 授業
  • 午後(宿題やテストの添削、引継ぎ、テストの作成、先生方への授業計画の説明)
金曜日
  • 8:50~12:30 授業
  • 午後(宿題やテストの添削、引継ぎ、授業計画の作成、テスト作成、会議)
休日
  • 土曜日:授業準備(3~4時間かかりました)
  • 日曜日:授業準備(3~4時間かかりました)

Q:クラス運営(授業形態)で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

プレイスメントテストでレベル別にクラス分けされますが、特に初級クラスでは大きなレベル差ができてしまうことがありました。例えば平仮名が書ける学生、全く書けない学生などです。初級クラスに入った学生の中には「私はもっと上のクラスで勉強できます」と主張する学生が必ずいます。

そこで、できる学生に対しては、できるけれど決して完璧ではないから、きちんとできるようにしましょうという姿勢で教えていました。文字であれば、少し細かく添削します。学生は自分はまだ完璧じゃないんだと自覚し始め、きちんと授業に向き合おうとします。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

日々授業準備があるとはいえ、予定を入れたい日もありました。例えばどうしても土日に予定を入れたい場合は、金曜日に作成してしまう、平日に多めに準備をするなどの工夫をしていました。また、長期休み中を利用して休み明けにできるだけ時間が取れるように工夫していました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
NIHONGO PARK
使いやすい絵カードがあるので、授業で導入の際に時々使っていました。
参考になる書籍
日本語教師の役割・コースデザイン (国際交流基金日本語教授法シリーズ 第1巻)    
対象者:全レベル
教え方に自信が持てなかったり、授業の進め方に迷ったときに読んで参考にしていました。

就職活動

教育機関選びで
重視した点
多国籍かどうか
応募時に
必要とされた資格
選考方法
  • 書類
  • 面接
Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

もともと非常勤講師として勤務していたのですが、生活が厳しかったので専任講師の募集を探し始めたのがきっかけです。多国籍であることを基準に探し、この学校に応募したところ採用に至りましたが、その頃教師が不足していたという背景もあったかもしれません。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

模擬授業の後に面接が行われ、面接官が3人ほどいました。「なぜこの学校を選んだか」、「この仕事のやりがいは何か」、「教師としてどんなことを努力しているか」、「着任したらどんなことをしてみたいか」など一般的な質問がされました。

Q:模擬授業では、どのような課題が与えられましたか?

学校の使用している教材から、自分で課を選び模擬授業を行うよう学校から指示がありました。先輩の日本語教師に教案を添削してもらい、自信を持って模擬授業に臨むことができました。

また私はあまり経験がなかったため、技術よりもどの位準備したかを面接官に伝えられるような授業をし(例えば視覚的に目をひくものを貼る、質問にも答えられるように準備しておく)、やる気が伝えられるように努力しました。

Q:この教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

直説法で教える学校でも、語学能力があるに越したことはないと思います。宿題が何かも本当に何もわからない学生に対して、英語を使わなければならない場面もあります。採用側も、何かしら語学ができることを採用時にメリットとしてみているはずです。

Q:日本語教師(国内)の求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト
NIHON MURA
国内、海外の求人が地域ごとにわかれているので探しやすい。

日本語教師全般に関する質問

Q:もともとはどのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともと英語が使える仕事や、海外と関わることができる仕事に就きたいと考えていて、人に何かを教えることが好きだったこともあり、日本語教師という職業に興味を持ち始めました。そのような動機で日本語教師になりたいと考える人は他にもいらっしゃると思いますが、実際は「教える」という側面が強い仕事でした。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

この仕事の魅力は、学生と接しながら常に自分が成長したり、考え方が変わったりすることだと思います。例えば、学生の日本語の成長がみられたときや、希望の学校に合格したりした時は、自分も教師として頑張ろうと感じていました。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

仕事の量が多く、仕事に追われて自分の時間がもてない日々が続き、辞めたいと考えるようになりました。仕事が減ることはなく、学生数もどんどん増えていくので、教師の負担は当然増えていきます。教えることに慣れたとしても、それ以外の仕事が多すぎると感じていました。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

【学生の方へ】
最初はボランティアでもいいので、実際に日本語を教えてみて、できるだけ長く続けてみてほしいと思います。理論だけではわからないことが学べるはずです。加えて、実際に働いている人の話は必ず聞いてください。その上で日本語教師として生きていくのか、よく考えられるとよいかと思います。

【社会人の方へ】
国内か、海外か、専任か、非常勤か、ボランティアか、どこでどんな働き方をするのかが本当に様々です。仕事を退職して、自分にはどんな現場が合っているか、どこで働きたいかをよく考えられるとよいのではないでしょうか。

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