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日本国内 日本語教師経験談

国内 日本語学校 ともに楽しみ、悩み、成長できる仕事

うりさん・ 31歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 7年

総評

  • 国内の日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間: 3年(2017~2020年) 退職
  • 月収:25万円

当校では未経験者を育てることに力を入れており、毎年新卒の方を専任講師として採用していました(現在は新型コロナウイルスの影響で採用活動が停止)。また、非常勤講師も年代を問わず未経験の方を多く採用しています。私自身も国内では未経験で専任講師として3年間勤めましたが、ベテラン講師や新人講師に揉まれながら成長させてもらいました。

日本語学校では担任を含めた数人の講師で1クラスを受け持ち、リレー形式で授業を進めていく方法が一般的です。ですので、その日に課された授業内容をこなし、引き継ぎを行うのがとても大変でした。

しかし、新任のうちはベテランの講師と組ませてもらえたので、授業内容やクラス運営に関して悩んだ時には、積極的に相談したりフォローを入れてもらうことでとても勉強になりました。私自身が経験を積んでからは、新人の講師をサポートしてくことで自信に繋がりました。

また、当校は専任講師の8割が20代と若い世代が多く、社会経験が浅いながらもさまざまな業務に携わることができるのも特徴的です。私自身も2年目で進学指導やイベントの企画運営、3年目で採用人事や新人教育を任され、日本語教育以外でも多くの経験をすることができました。

成長できるのは講師同士だけではありません。初めて担任を受け持ったクラスには漢字圏と非漢字圏が入り混じった6ヶ国の留学生が在籍していました。漢字圏の学生も一から漢字を学ばねばならず、いかに彼ら(特に中国人学生)が退屈しない授業にするか試行錯誤の日々でした。

結果、中国人の学生に「漢字の先生」として教壇に立ってもらった(もちろん後から訂正・補足します。)ことで、クラス全体が打ち解け合い、楽しい雰囲気で授業を行えるようになりました。

日本語教師としての日々は悩むことが多かったですが、それ以上に他の講師や学生に支えられ成長できた3年間でした。私にとって日本語学校は「共育」の場だと思っています。

他の教育機関と比較・検討しましたか?

以前中国の大学で働いていたこともあり、日本国内の大学・大学院進学に特化した中国人だけの日本語学校も検討しました。中国での経験は活かせると思いましたが、もっとさまざまな国の外国人に直接法で日本語を教えたいという思いが強かったのでその学校は選びませんでした。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

日本語教師として何より苦労したのは、日本の常識を理解してもらうことでした。日本の専門学校や大学への進学、就職を目指す学生にとって「出席率」は非常に重要です。しかし、入学してすぐの頃は遅刻や欠席を平気でする学生や、宗教心の厚い学生が母国の宗教行事を優先することは少なくありませんでした。

どうにかして出席してほしいという思いから、同じ国の先輩に母国語で説得してもらったり、学生が目指す学校の募集要項(受験資格に出席率が記載されているため)を見せたりして、改善に努めました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

妊娠したのを機に退職しました。産休・育休制度もありましたが、前例がなかったことと授業以外の業務(授業準備やテストの採点など)のことを考えると、子どもが小さいうちは専任として仕事を続けるのは難しいと思い諦めました。

給与

給与:25万円/月 ・専任講師 *正規雇用

当校は年俸制だったので、勤める前(勤めてからは年度初め)に年間総支給額を提示されました。初めの2ヶ月ほどは上京のための引っ越し費用等でギリギリの生活でしたが、その後は贅沢しなければ十分にやっていける程度でした。

基本給とは別に校務手当(担任手当、他の業務手当を含む)がありました。当校は非常勤講師に採点を一切させない制度だったので、専任講師は毎日授業がない時間は非常勤講師との引き継ぎや採点業務に追われていました。私はそういう仕事が苦でなかったので問題ありませんでした。

また、残業手当がなかったため、その日の仕事を終えていれば定時で上がる人が多かったです。むしろ残業していると「明日までの仕事でなければ早く帰るように」と促されることもありました。

有給休暇に関しては、授業期間は病気や忌引きの理由でないと取れませんでしたが、学生の長期休暇中であれば割と自由に取ることができました。

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月収 25万円

  • 基本給:21万5,000円
  • 公務手当:3万4,900円
  • 休日出勤手当:3,000~5,000円

待遇

  • 交通費
  • 有給
  • 雇用保険・労災保険
  • 社会保険
  • 賞与 年2ヶ月分
  • 年間昇給
  • 休日出勤手当

勤務時間

  • 1日8時間:週5日勤務
  • 残業 1ヶ月 計10~20時間

長期休暇中の給与保証

  • 仕事はないが、給料は支給される

仕事のかけもち

  • かけもちしていない

授業形態・勤務スケジュール

クラス運営で大変だったことは?

上級クラスを受け持った際、20人中15人が中国人学生だったことがあり、クラス運営に苦労しました。特に「いかに中国語を使わせないか」「他の学生に疎外感を感じさせないか」という点において気を配るのが大変でした。

初めのうちはどうしても同じ国同士でグループができてしまいました。そのため、中国人学生が隣同士の席にならないように工夫したり、グループ活動やクラス全体での活動を増やすことで徐々に打ち解けて仲良くなっていきました。

最終的に中国人学生が「中国語使わないで!」と注意し合うようになり、クラスを受け持った他の講師からも「賑やかでいい雰囲気のクラスだね。」と評価してもらえました。

受け持ちのクラスの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス18~20人

学習者層

  • 学生
  • 社会人
  • 幅広い年齢層

学生の主な出身地

  • 中国
  • ベトナム
  • ネパール

スケジュール管理で大変だったことは?

新任の頃は勤務時間中は授業と採点、勤務後と休日はひたすら教案と教材の作成に追われていました。時には準備が深夜まで及ぶこともあり、教師の頑張りどころだなと思いました。

経験を積むにつれて上記の時間はぐっと減りましたが、その分他の業務を任されていたのでゆっくりしている時間はなかったです。特に進学クラスを2クラス担当していた時には、昼休憩以外は進学指導(願書作成や面接指導)に充てていたので目が回る忙しさでした。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • ぷりんときっず
    未就学児〜小学校低学年向けの学習プリントを無料で提供しているサイトです。 初級のひらがなカタカナの学習時期に自分で教材を作成するのはなかなか難しかったので、こちらから印刷して「かなカード」にしたり、五十音表を練習帳として宿題に出したりしていました。また、日本地図パズルなどもあるので、上級クラスで都道府県の名前や位置を楽しく覚えてもらおうと使用したこともあります。 日本語を習いたての「かな」や「数字」「時間」などを教える段階で、教案作成で手一杯で教材作成まで手が回らない新人さんにおすすめです。
  • 日本語教師の教案
    『みんなの日本語』の教案例やハンドアウトなどが載っています。 私はできるだけ教案は自分で作成したかったので、こちらで教案例を参考にすることはほとんどありませんでした。こちらのサイトで魅力的だったのは『みんなの日本語』全50課の新出単語が各課ごとにまとめられており、なおかつ検索ができるところです。 「この単語は既習だっけ?」「何課で習うんだっけ?」と思ったときに、テキストから探す手間が省けるのでおすすめです。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 初級日本語文法と教え方のポイント 対象:初級
    初級レベルの文法項目がわかりやすく整理されています。 主に教案作成の際に、教えるときの注意点や似ている文型との意味の比較を確認するために用いました。また学習者の誤用の例なども載っており、自身の勉強にもなります。
  • 教師と学習者のための日本語文型辞典 対象:全レベル
    五十音順に文型とその用例がまとめられています。 主に中級以降での新出文型導入の際に用いました。文型の意味の確認をしたり、どうしても例文が思い浮かばない際に借用したりしていました。とにかく用例がたくさん載っているので、文型を言葉で説明するのが難しそうな場合に例文をたくさん出すことで学習者の理解を深められると思います。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手を教えて下さい。

以前勤めていた学校の副学長と、当校の校長が師弟関係であったことから紹介してもらいました。

書類選考通過後、面接と模擬授業のために当校へ伺った際に校内を見学させてもらいました。寝ている学生が一人もおらず、先生や学生が明るい雰囲気で授業をしているところを見て、「この学校で働きたい!」と強く思い決めました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

私の場合、模擬授業の後に面接が行われたのですが、主にこれまでの経験について聞かれました。

私はそれまで勤めていた中国の大学では会話と作文を担当していなかったため、日本国内で直接法で教えることや担任クラスを持つのが初めてであることなど、不安なことについても包み隠さず話しました。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

内容は『みんなの日本語 初級Ⅱ』の第37課(受身形)の導入でした。
受身形は『みんなの日本語』の中でも学習者がつまずきやすい課なので、子どもの頃の実体験をもとに「テストで100点を取って、母にほめられました。」「窓をわって、母に叱られました。」とわかりやすい例文で導入しました。自身の子供時代の写真や自作のイラストを準備していたことも良かったようです。
後の面接では「緊張も見られたけど、あなたも学生達もずっと笑顔で楽しそうだったのが良かった」と評価してもらえました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

当校に勤める前は中国の大学で外国人講師として勤めていました。大学なので1コマ90分と長く、授業内容の時間配分にとても苦労しましたが、そのおかげでスケジュール管理能力が身につきました。

また、自ら勉強するのが好きな人は日本語教師に向いています。日本語を教える上で学ぶことはとても多いです。辞書を引いたり時事的情報を得るなど、日々さまざまなことにアンテナを張って学んでいくことがとても重要です。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • NIHON MURA
    日本語教師の求人が載っているものとしては有名なサイトです。都道府県別にリストアップされていたり、日本語教育に関するイベントやセミナーの情報も載っています。
  • 日本語教師の集い
    求人だけでなく、日本語に関するコラムや日本語教育能力検定試験の対策など幅広い情報が載っています。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 未経験者歓迎
  • 経験を評価してくれる
  • 学校が法務省告示校

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 大学 日本語教育主・副専攻

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

元々、大学時代には別の資格取得を目指しており、日本語教師という仕事があることすら知りませんでした。しかし、自分がそれまで履修していた科目と日本語教員養成講座の必修科目が多く重なっていることを知り、興味本位で講座を受けてみることにしました。

その後、日本語教師について学びました。実習(日本、中国、メキシコ)で実際に外国人に日本語を教える楽しさを知るうちに「卒業後も自分の仕事として日本語を教え続けたい!」と思い、日本語教師になる道を選びました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

学生から一生懸命に日本語を使って感謝を述べられたときに日本語教師をやっていてよかったと実感します。

毎年年末に校内イベントの一環で自由に相手を選んで年賀状を書かせるのですが、「日本に来て先生に会えてよかった。」「あなたが私の先生でよかった。」と書かれた年賀状をもらった時にはどんなプレゼントよりも嬉しかったです。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

進路指導において学生と意見が合わず衝突することが度々あり、心が折れそうになることが何度もありました。

特に多かったのが、学生が自身の日本語能力以上の学校ばかりを志望した例です。こちらとしても卒業までに進路を決定してもらいたいので、授業後に何度も面談をし、学生の能力に合った学校を滑り止めとして受験することを条件に折り合いを付けました。

学生の希望に沿うことはもちろんですが、その時の学校や会社選びによってその後の学生の人生が大きく変わってしまうので、この仕事は責任重大だなと感じました。

最終的に全員進路が決定した上で日本語学校を卒業させることができたのですが、専任講師として勤めるには覚悟がいる仕事の一つでした。

学生のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

国内で専任講師として就職を希望する場合、未経験で募集しているところがあればそれに越したことはありません。都会の方だと合同採用説明会も行われているので、そこで直談判するなどチャンスはあると思います。
また、給与面では安定しませんが、非常勤講師として一定期間経験を積んで、専任として登用された例もあります。

私の場合は、大学卒業後にまず中国の大学で外国人教師として勤めました。日本での教え方と異なる点が多かったのですが、教壇に立つ度胸をつけることができました。また、日本人講師同士でのやりとりをする場合には社会人経験はなくとも最低限のビジネスマナーを身につけておくべきだと感じました。

社会人のみなさんへ 進路のアドバイスはありますか?

私自身は社会人経験なく日本語教師として勤めてきたのですが、当校で採用人事を任されていたのでその立場で日本語教師になる方法をお伝えしたいと思います。

社会人の方の多くが420時間の日本語教員養成講座を経て応募されていました。加えて日本語教育能力検定試験に合格されている方も少なからずいました。

20~60代と幅広い年代の方の履歴書を拝見したり、面接や模擬授業を行ってきましたが、年齢や経歴よりも「いかに学生の心を掴めそうな授業の準備をしているか」「実際に学生とどのように交流しているか」というところを重視しておりました。

また、進学指導の際には社会人経験のある方に相談しアドバイスを受けることも多かったです。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

小さい子どもがいるため、次に就職する際は時間の融通の利く非常勤講師を選ぶ予定です。
その際には専任講師としての経験を活かしつつ、時間の余裕がある非常勤だからこそ授業で扱う教材を充実させていきたいです。

また、新任でまだ右も左もわからない頃にベテランの非常勤講師に救われた経験があるので、同じように経験の浅い講師をサポートできる存在になりたいと思っています。

現在は新型コロナウイルスの影響で九州での非常勤講師の募集がほぼない状況です。講師歴に穴が開くことは残念でなりませんが、時間とこれまで培った知識を無駄にしないために日本語教育能力検定試験の合格に向けて勉強中です。

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