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海外日本語教師経験談

ベトナム 日本語学校(2014年) 本当に来て良かったと心から感じました

👩 Rsawachanさん・ 35歳

総評

  • ベトナム ホーチミン 日本語学校
  • 期間:4年 (2010~2014年) *退職
  • 月収:7万円 (139万vnd) *現地で生活をするのに十分
  • 日本語教師養成講座420時間修了  ヒューマンアカデミー

ベトナムは教師を重んじる国であり、学生の教師に対する態度には驚かされました。非常に親しみを込めて教師に接してくれる部分はとても嬉しいのですが、慣れていない初めのころにはコーヒーから食事まで御馳走してくれたり、プレゼントをくれたりと、あまりにも尽くしてくれるので困ってしまいました。

ベトナム人の性格はシャイで、素直で、純朴な子が多く、学校での教育事情も教師の話を黙って聞く授業が大半のようなので、日本語の授業中もなかなか初めは意見を言ってくれませんでした。しかし、次第に慣れてきたころには親しみを感じ、意見や質問、冗談好きな国民性から授業中でも笑い声が沸き起こります。

日本ではなかなか出会うことが無い、純粋無垢な国民性に日本人なら誰でも惹かれると思います。この仕事やベトナムでの生活を通して、本当に来て良かったと心から感じました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

私が働いていた学校にはエアコンが無く、雨期は雨が降ると涼しいので良いのですが、乾期の時期には非常に暑く扇風機も停電で止まることが頻繁にありました。停電で扇風機も無く、立って授業をすることは教師にとっても学生にとっても、非常に大変で、こんなときは決して無理をしないことが大切でした。

また、私は蚊によく刺されていたので足が傷だらけになってしまい、初めのころには傷口に菌が入ってしまったため、足が大きく腫れてしびれてしまい、病院で点滴を打った思い出もあります。

田舎にある、紙や水だけではなく、便器もない壁だけに囲われたトイレにもびっくりしました。

ベトナムで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

ベトナムではカラープリントがあまりできません。コピー屋さんに持って行けば少し高めの値段でカラーコピーが出来ますが、基本的にはあまりないので、日本で使えそうな場面の写真や日本らしい文化的な写真などをカラーでA4サイズ程度に印刷して持ってきておいた方が便利です。

また、ベトナムの文房具は他の生活用品に比べても高く、品数もあまりありません。質も良くないです。シャーペンの芯はベトナム製だとすぐ折れてしまうので、日本から持ってきた方がいいです。油性のマジックもベトナムにはありません。

日本語の本も本屋で売っていない(不正コピーの間違いだらけの本は少しありますが…)ので、教材の本や文型辞典などは日本から持って来るしかありません。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語教育のためのイラスト教材
    教案は基本的に自分で全て作りますが、いつも同じ導入や練習方法では進歩がないものと考え、ヒントを得るためにサイトや書籍を見たり、読んだりしています。 初級文法での練習のときの絵カードや例文としてはこちらのサイトを時々見ていました。こちらは絵や例文がユニークで、私はよく口頭で会話場面を提示してから、ポイントの例文をイラストを見せながら導入という流れで使っていました。そのまま印刷すると絵や文字が小さくなるので、自分でイラストは紙に書いていました。
  • NHK NEWS WEB
    聴解練習にはこのサイトもそのまま使ったりすることがありました。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 教師と学習者のための日本語文型辞典
    ①中級では似たような意味の文法が多いため、違いを説明する際に調べなければならず、そのときには日本語教師なら誰でも持っているでしょうか、基本アイテムの文法書を何度も読んでいました。
  • 初級を教える人のための日本語文法ハンドブック 対象: 初級
    ②中級では似たような意味の文法が多いため、違いを説明する際に調べなければならず、そのときには日本語教師なら誰でも持っているでしょうか、基本アイテムの文法書を何度も読んでいました。
  • 中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック 対象: 中級・上級
    ③中級では似たような意味の文法が多いため、違いを説明する際に調べなければならず、そのときには日本語教師なら誰でも持っているでしょうか、基本アイテムの文法書を何度も読んでいました。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

日本語教師養成講座を修了し、東南アジアを目指し、インターネットの求人サイトを見ていました。しかし、私は短期大学しか卒業していないため、募集要項には大抵4年大学卒業の文字があり、なかなか応募できませんでした。

初めはタイへ行きたいと考え探していたのですが、上記のようなこともありなかなかタイでの就職が見つかりませんでした。そんなときにベトナムでの求人も目立ち始めていた時期でもあり、今ほどビザも厳しくないころだったので短大卒業でも可能とのこと。

応募してみたところ、すぐに返事があり、教案を送り、面接や模擬授業をすることもなく、1週間の早さですぐに来てほしいと返事をもらい、渡越しました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

ホーチミンでは発展途上国らしさも見受けられ、めまぐるしく毎日変化を遂げていますが、その他の郊外や田舎ではまだまだ生活をするには厳しい状況に置かれています。

そのため、家族の生活を養うために若者が海外へ出稼ぎに行くことも多いです。そのような状況に対し、日本では農村や東京オリンピックに先駆け建築業などで、若者の労働者不足が嘆かれています。

日本へ語学留学する若者もいますが、ほんの一握りにとどまり、現実では労働者(技術実習生)として日本へ行くために日本語を習う人が多く、最近増え続けている日本語学校も、大半が企業が設立した日本への派遣を目的とした学校が多いようです。そのため、そのような企業では生活指導も出来る社会人経験のある日本語教師が望まれています。

古くからある語学を勉強するための一般的な学校では、歴史や信頼があり、有名な学校ではありますが、教師の給料は安く(一か月30,000円程度)経験も少なくて日本語能力も低いベトナム人教師が多く、教師(特にベトナム人教師)の人材不足に悩まされているところが多いようです。

一方で派遣会社が設立した日本語学校は教師の給料も高く、他の日系企業に劣らない給料(1か月100,000円程度)が支給されているところもあり、家族の生活を考えるベトナム人日本語教師に取っては後者の方が人気があるようです。

大学で教えている日本人日本語教師はほとんど給料が無い状態なので、生活に余裕のある定年を迎えた高齢日本語教師が多いです。

*これはあくまでもホーチミンでの状況です。ハノイは状況が別なようです。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

まずは仕事の前に、ベトナムでの生活に慣れることが出来るかどうかが大きなポイントになると思います。まだまだ日本の生活に比べ、不便な部分(トイレが非常に汚い、どこでもバイクが逆走、スリが多いなど)が多く、また物事の考え方も国籍が違えば変わってきます(時間に遅れるのは当たり前、計画性が無い、意見を年上に言わないなど)。

全てのことに対応できる、または対応しようと努力することが必要になると思います。ときには相手に合わせる気持ちも必要だと感じます。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

外国に興味があり、短大で英語を勉強し、ホテルでサービス業をしていました。しかし、英語もあまり使わず海外勤務にもほど遠く、30歳を目の前にしたときに“海外に住みたい”という夢を諦めきれず転職を考えました。

どこの国でもできる、年を取っても続けられる職業とは?と考えたとき、英会話を習っていたときの同じクラスの人が日本語教師を目指しているのを話していたことを思い出し、調べてみたところ私にぴったりだと思い、日本語教師の養成講座に通い始めました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

私は技術実習生として日本へ行くベトナム人に日本語を教えていました。初めは何も話せない学生達で、勉強の仕方もよくわからない学生が多くとても大変でした。生活指導など毎日怒らなければならないクラスもありました。

しかし、実際に6か月のコースを終了し、日本へ行った学生達が日本へ旅立ち、立派に日本で生活している姿を電話やFacebookなどを通じて知ることが出来たとき、または日本から帰ってきた学生が連絡をくれた時の日本語の上達ぶりを感じて、私の力だけではないけれども1人の人間として大きくなったなぁと感じずにはいられず、とても嬉しくなります。

それと、毎日教えている中で学生が私を頼って色々質問し、私の説明を理解し、その言葉や文法をうまく使いこなせるようになったときもとても嬉しいです。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

4年教えた中で辛いことも、辞めたいと思ったことも一度もありませんでした。

初めの1年間はわからないことばかりで、睡眠時間も一日平均4時間と体力的にも大変ではありましたが、どんどん努力したぶんだけ身に付いてきていることが実感でき、またそのために周りの上司や先輩達が親身になって支え、指導してくださいました。

この仕事には「終わり」がありません。「終わり」を作ってしまえば自分自身の成長も「終わり」です。そのため、どんな時でも先輩達や同僚と意見を交わし、語り合える環境であったこと、そして、プライベートも充実していたことが仕事にも集中して取り組めたのではないかと思います。

ベトナムで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

一年を通してホーチミンは暖かく、日中の日差しは暑いものの過ごしやすいと思います。洗濯物は気持ちよくカラッと乾きます。食事も味付けは日本料理に似ているものも多く、肉、魚、野菜と何でも食べられなじみやすいです。そして、とにかく果物が安くて甘くておいしいです。

人々も親日的なので一度親しみを持ったら親身になって助けてくれ、昭和の時代を思い出すような人の暖かみを感じることができます。

まだまだ発展途上国なので都会的な便利さを求めずに、昭和的などこか懐かしい優しい気持ちに浸ってほしいと思います。

また、ベトナムの平均年齢は27.4歳で若くエネルギッシュ、ここで働く日本人や他の外国人達もアクティブな人が多く、いい刺激になるので、休日はいろいろなサークルや集まりに出かけて、いろいろな出会いを楽しんでほしいです。

ただし、海外生活を楽しみながら日本語を教えたい人、これから初めて教える初心者日本語教師にはおすすめしますが、ブラッシュアップを目指す人には日本や中国、韓国などがいいのではないかと思います。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

来年には韓国で日本語教師の仕事を続けようと思っています。ベトナムでは初心者から中級程度の学生がほとんどなのに対し、韓国では上級者の学生も多く、学生が教師を評価すると聞いています。

今までに経験のないステージで(中上級を)教えることになると思うので、一から始める覚悟でどんなことも貪欲に吸収し、学生に頼られるような幅広い知識を持ったオールマイティな教師を目指したいと思います。

また、日本語という言語だけではなく、その学生の視野を広げられるようなお手伝いが出来る教師を目指していきたいです。

南・東南アジアの国・地域別 経験談

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