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海外日本語教師経験談

ベトナム ハノイ 日本語学校(2023年) その国のことを知ることから始めよう

👩 PUさん・ 28歳

総評

  • ベトナム ハノイ 日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間:3年 (2020~2023年) *現在も勤務中
  • 月収:約15万円 (3千万ドン) *現地で生活をするのに十分
  • 勤務時間:1日8時間・週5日勤務   *残業:1ヶ月 計8時間

私は、昔から日本語教師という職を志望していたわけではありませんでした。大学時代の飲食店のアルバイト先でたくさんの外国人のスタッフと出会ったことが外国へ興味を持つようになったきっかけでした。

アルバイトの時間に、仕事のことでコミュニケーションをとったり、アルバイトおわりに、外国人スタッフの方と食事をしに行ったりするなど、外国人の方と親交を深めていきました。そのアルバイト先には、色々な国の方がスタッフとして働いていて、色々な価値観や文化を目の当たりにして、日本以外の国に住むという経験をしてみたいと思うようになりました。

就職活動時期になり、ベトナムに帰国した友人にベトナムに住む方法はないかと相談してみると、その友人が働いている技能実習センターで働いてみないかと誘っていただきました。コロナウイルスが全世界に広がり、実習生受け入れがストップし、センターをたたむことになるまで、約2年間その技能実習センターで働かせていただきました。

それからしばらく経ち、ハノイでの感染者が少なくなってきたころ、ハノイで新たな勤務先を探し始めました。私は、技能実習センターで働いていたとき、とてもやりがいや楽しさを感じていたので、日本語教師という仕事は続けていきたいなと思っていました。ただ、技能実習生の受け入れはまだ解禁となっていなかったため、技能実習センターではなく、民間の日本語学校で働くことを志望し、学校探しを始めました。

幸いなことに、ベトナムで知名度の高い日本語学校の求人を見つけ、応募することができました。SNSなどで学校の雰囲気を知ることができたこと、雇用条件が前のセンターと同じような感じだったことが応募の決め手でした。

その日本語学校で働くことになり、再び日本語教師としての生活がスタートしました。ベトナムハノイで現地の日本語学校の教師を経験して感じたことは、現地の方の価値観や文化を重んじることが大事だなと思いました。

最初の頃は、日本のことを色々教えようと思い、例文に日本の代表的な食べ物や場所の名前を取り入れたりしていたのですが、あまり関心を抱いてもらえませんでした。そこで、まずベトナムの代表的な物や人、最新の流行り物などを積極的に例文や会話に取り入れるようにしたところ、学生から面白いと言ってもらえるようになりました。

ベトナム人は本当に愛国心が強いので、ベトナムに関することについて質問をすると、教科書にある言葉で答えるのではなく、辞書で調べて、自分の言葉で表現して、外国人の私に教えてあげようとする積極的な姿が見られました。ベトナムのことを聞いたあとで、じゃあ日本ではどうなのか、というように日本のことについて説明すると、日本のことについてもよく聞いてくれるようになりました。また、ベトナム人は競争心が高い性格の方が多いので、授業にゲームも積極的に取り入れるようにしました。

3年間、現地の日本語学校で専任として働かせていただいていますが、日本語学校は技能実習センターのように寮制ではないですし、自主的に頑張ってもらわなければならないことも多いので、モチベーションの維持、とにかく日本や日本語、日本語学校についてマイナスイメージを持たせない、楽しく勉強してもらうということを第一に意識しています。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

学生が自習や宿題をやっていて、わからないことがあったときに、SNSで私のアカウントを探して、勤務時間外や休日にメッセージで質問を送ってくることがよくありました。親しみを持ってくれていること、一生懸命勉強してくれていることをうれしいと感じる反面、それはしないでと伝えなければいけないことが心苦しかったです。

学生のやる気を削がないように、「連絡しないでください」と禁止するのではなく、「これからはこのメールアドレスに質問を送ってください。平日の4時〜5時の1時間で答えられるだけ返事します。それ以外のSNSでのメッセージは対応できません。」という風に、学生からの質問用にメールアドレスを用意し、返信時間を指定して、ルールの変更として伝えるとわかってもらえました。

給与

月収:約15万円 (3千万ドン)
現地で生活をするのに十分

月に15万円あれば、ベトナムで生活するのには困りません。ですが、年に数回、日本へ一時帰国することを希望されるならば、航空券代、日本での滞在費も確保しておかなければならないので、あまり贅沢な暮らしはできないと思います。

ハノイには、日本を含めた外国からの輸入品や外国料理店なども多数ありますが、値段は日本と同じかそれ以上になることもあります。日本と同じ生活をし続けると生活に困りはしないですが、貯金などの余裕はなくなってしまうと思います。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:約15万円

月収の内訳

  • 基本給:14万円
  • 昼食代:3,000円

待遇

  • 残業代
  • 有給
  • 賞与(給与1ヶ月分)
  • 現地語学レッスン受講
  • 食事補助

雇用形態

  • 専任講師 *正規雇用

勤務時間

  • 1日8時間・週5日勤務   *残業 1ヶ月 計8時間

長期休暇中の給与保証

  • 勤務している教育機関で給与が発生する仕事がある

仕事のかけもち状況

  • かけもちしていない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

学校に日本人の教師が少なかったため、1日に色々なクラスの授業にでなければならないところが大変でした。授業準備の時間があまりとれないので、早く出勤してまとめて準備したり、ベトナム人の先生にプリントの印刷や授業準備などを手伝ってもらっていました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス25人

学習者層

  • 学生
  • 社会人
  • 主婦・主夫

ベトナムで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

浴衣、甚平など日本らしさを感じてもらえるようなものは準備しておくと、授業で使うと盛り上がるので良いと思います。また、授業で使えそうな書籍などは、電子化していないこともあるので、買っておくと授業の幅が広がってよかったです。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • いらすとや
    フリー素材が載っているサイトです。 様々な場面のイラストがあり、授業スライドや資料を作成するときに使っています。 イラストを探している方におすすめです。
  • みんなの教材サイト
    授業で活用できる文法にあったイラストが載っているサイトです。 文法の練習教材として使わせていただきました。 文法練習で使えるイラストを探している方におすすめです。

教案作りで参考にしている書籍は?

就職活動

どのように就職活動を行いましたか?

コロナ渦であったこともあり、求人も少なかったため、求人サイトだけでなく、Facebookでも求人を探していました。今回の教育機関の求人は偶然Facebookで見つけることができました。

第一志望の1社にまず応募して、採用が決まったので、その後は就職活動は行っておりません。雇用条件等は事前に細かく確認し、自分の希望に合っているかどうかをよく考えました。また、慣れない土地なので、面接前に事前に場所に行ってみるなどして、迷わず行けるように準備しました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

面接では、主に日本語教育に対する心構えを聞かれました。また、教師として採用していただくために、話す内容だけでなく、話し方や声の大きさ、態度などが教師として相応しく見えるように意識して、面接に臨みました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

ベトナムは親日国であるため、日本へ学びに行ったり、働きに行ったりするベトナム人も非常に多いです。そのため、他の国に比べて、日本語教育の需要は高いのではないかと思います。

これまでは技能実習生や留学生として、日本へ行く人が大半でしたが、近年は技能実習生や留学生としての生活を終えた人が、再びエンジニアや特定技能実習生として、日本へ行くことも多いようです。

特定技能実習制度とは、日本国内で人材不足の産業分野を外国人を受け入れることで補おうとする制度のことであり、特定技能実習生には日本人と同等以上の給与が支払われます。そのため、日本へ技能を学びに行く技能実習生と比べて、特定技能実習生のほうがより高いレベルの、中級以上の日本語能力が求められる傾向にあります。そのような中で、私たち日本人教師に求められるものは、初級学習者への教育というよりは、中級以上の学習者に対して、日本人とビジネスの場面でも自然な会話ができるように能力をつけさせることだと思います。

ただ、ベトナムのハノイにおいては、他の国や地域と比べると、既に日本人日本語教師が多くいて、正社員として仕事を探すのは簡単ではないように思います。コロナ渦により、日本語学校や日本語センターが数多くなくなってしまったのも一因になっているかもしれません。これから、コロナウイルスの影響を受けなくなってくれば、また日本語教師の需要は高まっていくとは思いますが、現状で言えば、まだ日本語教師は飽和状態に近いのではないかと思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • エイチアールリンク
    日本人の方が運営している求人サイトです。サイト内で職種「教育関連」を選択し、検索すると良いです。

国選びで重視した点

  • 治安
  • 親日国
  • その国に親しみがある

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 日本語教師が飽和状態である

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校や先生の雰囲気
  • 学校の規模
  • 雇用形態

応募時に必要とされた資格

  • 大学卒業

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 筆記試験

面接方法

  • 現地にて対面で実施

日本語教師全般に関する質問

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

ベトナムには「教師の日」という日があるのですが、そのときに学生みんなから日頃の授業に対する感謝の言葉やプレゼントをいただきます。担当している学生から、「日本語の勉強が楽しいです」「日本へ早く行きたいです」などのメッセージをもらうと日本語教師をやってよかったと強く思います。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

幸いなことに、今まで「日本語教師を辞めたい」、「辞めたいほど辛い」と思ったことはなく、毎日楽しく仕事をさせていただいています。ただ、ベトナムの方の中には、幼いころ十分な教育を受けていなくて、勉強の仕方や母国語も正確にわからない人がいます。そのような方に授業をするときは、かなり根気が必要でした。

ベトナムで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

ベトナムでは、日本のルールややり方が通用しないことが多いです。例えば、ベトナム人の先生がクラスでパーティーをしたので、予定表通りに授業が進まない、急遽復習の授業をお願いされる、などようなイレギュラーなことが度々あります。

ですから、ベトナムで働きたいならば、「こうしなければならない」という固定観念は捨て、状況に合わせて柔軟に対応していく必要があります。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

おもしろい授業ができる日本語教師になりたいです。なぜなら、自分の授業を通して、日本や日本語のことをもっと好きになってもらいたいからです。そのために、AI技術などの新しい技術を活用することも、一つの手だと考えており、今はAI技術についても学んでいる最中です。

例えば、テキストを画像化してくれるAI技術を使って、例文をよりわかりやすい写真やイラストにする。その単元に合った、ゲームや活動などを考える手助けをしてもらう。など、AI技術を使って授業準備を効率的に行い、もっと楽しくなる工夫ができたらと考えています。

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