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海外日本語教師経験談

ベトナム ハノイ 日本語学校(2025年) 日本語教師に必要な異文化交流

👩 Suisuiさん・ 47歳

総評

  • ベトナム ハノイ 日本語学校
  • 雇用形態:常勤講師 *非正規雇用・フルタイム
  • 期間:10年 (2015~2025年) *現在も勤務中
  • 月収:13万円 (2200万vnd) *現地で生活をするのに十分
  • 勤務時間:1日6時間・週5日勤務   *残業:残業なし
  • 日本語教師養成講座420時間修了  アークアカデミー

20代はインドや東南アジアの雑貨を扱う貿易会社でバイヤーをしていた私は、いろいろな国へ行き、現地の人と仕事をしたり、交流したりする機会が沢山ありました。また、国際交流関係の事業やイベントなどにも多く参加し、その中で日本語教師の仕事に携わる方とも多くお話しする機会がありました。外国で仕事をすることや、外国の方と接することがとても楽しく刺激的だった私は、いつか日本語教師をしてみたいという気持ちを持ちました。

そんな中で、ベトナム人の今の主人と出会い結婚を意識する中で、ベトナムで自分が何ができるかを考えた時、迷わず日本語教師になりたい!という思いで日本語教師になる勉強を始めました。幸い、420時間が終了したころ、ベトナムでは日本語習得の大ブーム。日本語学校には学生があふれかえっていて、日本人教師が足りないという状況だったこともあり、すぐに常勤として就職が決まりました。

私が教える民間の日本語学校は、子供から60歳ぐらいまでの方が在籍し、日本語を勉強する目的も様々。日本の会社で働く人、日本へ働きに行く人、日本へ留学する人から、ただ単に日本語が好き、話したい、アニメが好き。親が勉強しろというからしている学生まで、いろいろな学生が通っています。

学生達は授業時間に遅れるなどは日常茶飯事。最初は私もイライラしましたが、実際ベトナムに住んでいると、朝夕の道は大渋滞、雨の日大渋滞で、学生が遅れるのも無理はないな…と思えるようになりました。また、何度も繰り返すという学習方法を嫌うベトナム人は、反復練習を露骨に嫌います。反復練習の大切さを伝えるのに未だに苦労しています。

そんなこんなで日本語を教えて10年が経ち、最近思うことがあります。

日本語教師にとって、日本語の文法などの知識、日本の文化、習慣などの指導、カリキュラム作りなどの仕事はもちろん重要です。しかしそれと同時に、異文化交流、国際交流をする気持ちを持つことの方が私は重要だと感じます。

例えば、学生と一緒に食べたことがないベトナム料理を食べたり、ベトナム人のお宅にお邪魔してみたり、ベトナム語を学生に教えてもらったり。その国の文化を知り、楽しみ、理解する気持ちです。そしてその国の文化、言葉、習慣を受け入れることが必要です。

現地の人、学生達と積極的に交流し、その経験や話題を授業に取り入れれば、学生にとってこんなに楽しい授業はありません。私も思い切り楽しみながら授業ができます。そうやって学生とコミュニケーションをとることで、クラスの雰囲気も良くなります。学生にとって日本人と交流できる貴重なチャンスになり、自信にもつながるのです。

しかし残念ながら、最近はそれができない日本語教師の方が多いです。その国になじめず、毎日のように愚痴をこぼす日本語教師の方が多い。ここは日本ではないのです。その国のやり方があり、その国の習慣がある。違って当たり前なんですが、それを受け入れられない。

海外で日本語教師をしてみたいという方は多いと思います。私と同じように外国が大好き、国際交流に興味があるという思いで日本語教師を目指されたはずです。日本語教授の知識だけではなく、相手の国、文化を理解する力、コミュニケーション力も同時に磨く努力をしていただけたらと思います。

海外で得られる経験は必ず自分の人生をより豊かにします。興味のある方は、どんどん海外で日本語教師に挑戦していただきたいと思います。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

ベトナムの学校での指導は、先生の話を聞きノートに書きとるというスタイルが多く、授業中に自分の意見を言ったり、ディスカッションしたりすることが極端に少ない。先生は、厳しく怖い存在だというイメージがあります。

そのため、授業中に自分の意見や感想を言うことを躊躇します。日本語教師の皆さんは、ベトナムの教育を知りませんから、ベトナム人は意見を言えない…、すぐわからないと言う…とよく言います。まずは学生たちに発言しても、意見を言っても、先生と楽しく話してもいいんだということを教え、クラスをそういう雰囲気にする必要があるのです。教えれば、あ、発言してもいいんだ!先生と何でも話してもいいんだ!とだんだん話すようになります。

今は、欧米型教育を取り入れる私立学校も多いため、そういう学校に通う子供たちは率先して意見を言い、楽しい雰囲気を作るのに一役買ってくれます。

給与

月収:13万円 (2200万vnd)
現地で生活をするのに十分

物価が安いので、生活には全く困りません。貯金もできる状態です。時間がある時も多いので、ネット上でできる日本語教師以外の仕事もしています。

東南アジアの日本語教師の給料は、日本の給与と比べるともちろん低いです。日本よりも物価が安いですから、それは当たり前のことと考えています。住居提供、または一部住居費用、ビザ、ワークパミット、健康診断など、普通は学校側が負担してくれます。

また、ベトナムの場合、旧正月の2週間ほどの長い休みがあります。日本に帰るのも良し、海外へ旅行に行く先生方も多いです。旧正月の時期にボーナスが出るのが普通です。旧正月ボーナスはその機関によって違いますが、給与1〜2か月分はもらえます。また、女性の日や教師の日などもあるベトナムは、その都度他に賞与をもらうことも多いです。

日本に住んでいても、お金をなるべく使わないように自炊したり、なるべく安い物を買ったりすることを心がけるはずです。同じようにベトナムで生活すればお金は日本に比べると必要ありません。

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給与

  • 月収:13万円

待遇

  • 賞与(給与1ヶ月分)
  • 健康診断

雇用形態

  • 常勤講師 *非正規雇用・フルタイム

勤務時間

  • 1日6時間・週5日勤務   *残業 残業なし

長期休暇中の給与保証

  • 仕事はないが、給料は支給される

仕事のかけもち状況

  • 日本語教師以外の副業に就いている

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

日本語教師になりたての頃は、とにかく教案、教材作りが大変でした。通常業務をし、多くのコマを持ちながら教材を作らなければなりません。そして翌日の授業の準備もあります。学生からの思いがけない質問もどんどん飛んできます。その質問に答えられるように自分自身も常に勉強をしていかなければなりません。

私の場合は、一日のスケジュールを書き出し、限られた時間内に何をするかを決め、集中して取り組みました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス25人

学習者層

  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人

ベトナムで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

今はネット上であらゆるものが手に入り、ネット上で本が読めたり、配送もしてもらえる時代になったので、あまり必要ではないと思います。

もし挙げるとすれば、先生自身が写っている日本で撮った写真や動画です。日本の町の様子や、お店や飲食店での様子が写った写真です。ラーメンを食べてる写真、秋葉原で買いものをしている写真、神社でおみくじを引いている写真などです。

授業で有効的に使うと、楽しい授業ができます。自分で撮った写真であれば、著作権などの問題も気にすることはありません。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • みんなの教材サイト
    日本語教師の方なら皆知っているサイトだと思います。文型確認、教案作りに役に立ちます。私は特に活動案を参考にしています。とにかく対面授業での案が多いので、新人の先生は参考にするといいと思います。
  • 日本語あれこれ
    初心者向けの教材を無料で提供してくれます。みんなの日本語に沿った書く練習のための教材です。初級用の教材(特に書く練習)は、イラストをかなり使わなければならず、作るのがとても大変です。ワークができるようにしてある教材も多いので、ワークをしたい先生にいいと思います。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 日本語文法ハンドブック 対象: 初級・中級
    番の本ですが、初級、中級があり、文法がわかりやすく説明されているのがいいです。 授業の前に、もう一度文法を確認するのによく使いました。新人日本語教師の方は、一冊もっているといいと思います。
  • 会話の授業を楽しくするコミュニケーションのためのクラス活動40 対象: 初級
    クラスでの活動のいろいろなアイデアが書いてある本です。古い本ですが、この本を参考に自分でアレンジして、学生の反応のいい活動を考えたりしました。

就職活動

どのように就職活動を行いましたか?

就職先を探していた時、求人サイトで募集が出ていたため、家から近いというのもあり応募しました。決め手はすでに有名で、大きく、その当時は日本人教師も多くいたことです。初心者だった私にとって、経験豊富な日本語教師がいる環境で働きたいと思ったからです。

面接の際、当たり前ですが、給与や待遇面、経験がある、ないでどのように仕事をするのかなどを聞く必要があります。私より若い方が多かったですが、日本人教師の皆さんもみな親切で丁寧だったということも働きやすさを見極めるポイントだと思います。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

面接では、日本語教師になった理由や志望動機を聞かれました。また、当時は学生が多く、一人の先生が担当するコマが多かったため、給料の割に仕事がハードだとも言われ、問題ないかとも聞かれました。海外では体調を悪くする教師の方が多いので、健康かどうかも聞かれました。

当時は子どもが小さかったので、面接時に子どもの病気などで急に休む可能性があると言うことをきちんと伝えました。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

模擬授業では、日本語ゼロスタートの学習者を相手に、挨拶やひらがなの授業をしました。相手は日本語が分かりませんから、多くのイラスト(その当時はプロジェクターがないため、全て手でイラストを描いて教材を作りました)を見せたり、ジェスチャーを使い授業をしました。

声が高く通る声をしているので、とても聞きやすい声だと褒めて頂いたことを覚えています。イラストが単純でわかりやすいということも評価されたと思います。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

私が日本語教師を始めた10年前と比べると、かなり日本語学習者が減りました。その原因は明らかで、日本の経済が低迷し、日本に働きに行きたい人が減ったためです。送り出し機関は人が集まらないというのはよく聞く話です。

ただ、ベトナムは大変な親日国です。日本という国にあこがれを持ち、文化に興味があり、日本語を学びたいというベトナム人はまだまだ存在することも事実です。そういう学生をターゲットにした日本語学校は需要があります。

昨今、オンラインでのサービスが多く出現し、日本からオンラインで教えるサービスも多いです。対面で日本人教師が教える場が、これからどんどん少なくなるだろうと感じます。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本村
    海外の日本語教師の求人が多い。世界中の国から求人あり。国別リストがあるのがいいです。
  • 日本語教師の集い
    海外、日本のどちらも多い。民間の日本語学校も多いので、そういう場で働きたい人にお勧め。検索で国や職種を選べるのでいい。ただ、問い合わせても返事がないという機関も少なくないので注意が必要です。
  • 日本語オンライン
    問い合わせが必要ないくらい、求人募集の条件などが詳細にわかります。公的機関、大学などの求人が多く、学歴、経験共にある人向けの求人が多いです。

就職活動で有効な手段は?

  • 『掲示板』
    在住日本人用のオンライン掲示板に、募集が時々あったりする。
  • 『現地の友人』
    現地に住んでいるなら、友人や知人(日本企業に勤務、日本語教育に携わる現地の人)に紹介してもらうことも多い。
  • 『現地発行のフリーペーパーやサイト』
    求人欄に載ることがある。

国選びで重視した点

  • 配偶者が住む

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 人気があり、一定数の学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校や先生の雰囲気
  • 学生の学習意欲の高さ
  • 学校の規模

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 社会人経験

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

面接方法

  • 現地にて対面で実施

日本語教師全般に関する質問

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

日本語教師をしてよかったことは、単純に楽しいことです。私は民間の日本語学校に勤務しているので、若い学生たちから毎日刺激を受けています。

またいろいろな年齢、職業の人とも話せて、勉強になることも多いです。子供だった学生が、大学を卒業し、立派になって私に会いに来てくれることもしばしば。昔教えた学生たちと、食事に行ったり、コーヒーを飲みに行ったりもよくあります。学生たちの成長を見られるのが楽しみです。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

私は幸い、日本語教師をやめたいと思ったことはありません。ただ、このクラスは嫌だなとか、この学生に教えるのは疲れるなと思うことはあります。合う学生、合わないクラスなどがあったりします。思い通りの授業ができなかったり、学生の反応がいまいちだったりもします。普段通りの授業ができなかったり、学生の反応がいまいちだったりもします。そんな時は気が滅入ります。

でも、先生の授業はわかりやすい!先生のクラスが好きです!と言ってくれる学生もたくさんいました。あまり考えこまずに、私自身が楽しんで授業をすることで乗り越えてきました。

ベトナムで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

ベトナムは大変な親日国です。日本人に対してはとても丁寧で親切に接してくれます。日本人にとってとても住みやすい国だと言えます。

ただ、日本語教師の仕事もそうですが、現地のベトナム人スタッフと仕事をする際に、いろいろ大変なことがあると思います。

ベトナム人は目先のことしか考えない、直前にならないと行動しない人が多いです。また、日本のように報連相もできない人も多い。そういう意味でストレスがたまると思います。

日本のようにはいかないと腹をくくり、ベトナム流の仕事に多少は慣れる必要もあります。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

今後も必要としてくれる機関がある限り、日本語教師を続けていきたいと思っています。

ベトナムに限らず、日本語学習者の年齢は若いです。私も対面で若い世代に教えることが多いので、若い世代の流行などを知り、SNSなどで情報を得ることを心掛けています。そして最新の情報の話題を授業に盛り込み、学生が興味をひく授業をする努力をしています。

今は時代が変わるのがとても速いです。私も常に時代の変化について行く意識を忘れずに、これからも楽しく日本語教師を続けていきたいと思います。

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