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海外日本語教師経験談

ベトナム ハノイ 企業(2021年) 海外生活で自分の当たり前は通用しない!

👩 smileさん・ 40歳

総評

  • ベトナム ハノイ 企業
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間:6年 (2015~2021年) *退職
  • 月収:15万円 (250万ドン) *現地で生活をするのに十分
  • 勤務時間:1日 8時間/週5日勤務   *残業:殆どありません。イベント時のみ

私は約6年、ベトナムの会社の正社員として日本語教師を務めました。日系企業や大学でビジネス日本語や日本で就職する際に必要な日本語能力試験の対策を主に指導しました。

私がベトナムに渡航した当時は、日本語教室やセンターが乱立していました。その頃は、まだ日本人もそれほど多くなく、スーパーにも日本製品が少ない時期(今はたくさんあります)です。ベトナム旅行に行ったときに、ガイドさんの「日本語教師ならすぐなれるよ!」という一言がきっかけで、ベトナムでの日本語教師に挑戦しました。

海外で働くことは未経験で、それまでは塾講師をしていました。日本語教師の経験はなかったので、すぐに日本語教師養成講座の「通信講座」を受講スタート。それと並行して日本語教師の求人募集を探し始めました。程なくしてダメ元で履歴書を送った企業と面接をし、採用決定。通信講座は完了していませんでしたが、ベトナム渡航後も継続して受講すれば大丈夫とのこと。決意してから数カ月後にはベトナムに到着していました。あっという間の数ヶ月でした。

渡航後、最初は会社までの道を覚えるのもやっとで、毎朝の通勤ラッシュは日本で経験したことのないものでした。最初の数カ月は仕事よりも、買い物の仕方やタクシーの乗り方など、まずは生活に慣れることが第一関門でした。

同じ会社に日本人講師は数名いましたが、それぞれ別の企業や大学への派遣授業なので、一緒に行動することは少なかったです。最初の授業はベトナム人の同僚が同行してくれましたが、あとは自分でタクシーに乗って現場に向かいます。ベトナム語も全然わからないので、不安な毎日でした。

1番ヒヤヒヤしたのがバスです。1時間以上バスに乗って行く現場があったのですが、授業がスタートして数カ月後のある朝、乗るバスを間違えてぜんぜん違う終点に到着したことがありました。その時は、すぐ上司に連絡し、バスの運転手さんに電話を変わってもらい、「とりあえず次にそのバスが引き返すまで一緒に過ごすように!」と言われました。

その日の授業は午後からだったので何とか間に合いますが、お腹が空いています…すると運転手さんが「一緒に食べよう!」(ベトナム語はわかりませんでしたが、多分そう言ったと思います)と、近くの食堂に連れて行ってくれました。運転手さんは気前よくご馳走してくださり、何を話してるかわからないけど、ずっと笑って話しかけてくれました。このときほど、ベトナム語を話したい!と思ったことはありません。

その後、バスは折り返し、途中現場に向かうバスに乗り換えて、何とかギリギリ間に合うことができました。この他にも、バスでは携帯を盗まれたり、痴漢にあったり…いろいろありましたが、現在では安全でキレイな高級バス会社が運行され、そういった心配は殆どないと思います。

数年経つと、私はいつの間にか日本人教師の最長老になっていました。毎年、数名の日本語教師が入社するのですが、やはり海外の生活は国によって人によって合う合わないがあると思います。特に最初は孤独を感じる人が多いです。生活になかなか慣れなかったり、ベトナム人の同僚とのやり取りにイライラする人も多く、「思っていたのと違う!」と感じて、数週間〜数ヶ月でやめていく人もいました。

旅行をして、テレビを見て、楽しい生活を思い描いていらっしゃる方もいるかもしれません。しかし、生活をするとなると、観光地とは違って、日本語も英語も全然通じない環境になります。日本のように、便利で安全ではない場所もあります。自分の身は自分で守らなければいけないですし、文化の違う環境では、考え方の違う人も多い。そういったことを許容できない人は、なかなか生活は続かないと感じました。「仕方ないな〜」と気長に考えられる人は、ベトナムに向いていると思います。

また、日本で一人暮らしをしたことがない、社会人経験がない方は、最初は大変です。自分の身の回りのことはもちろん全部自分でやります。日本では、新人の頃は上司や先輩が気を遣ってフォローしてくれますが、ベトナムでは少ないです。自立していない段階で、異国で一人暮らしや会社勤めはかなり精神力が必要です。できるだけ真面目に思いつめるよりも、「まあ、なんとかなるさ」と楽観的に考えられるほうがいいかと思います。

自分のライフスタイルや価値観をよく知った上で、本当にこの国が合うのか?本当に生活できるのか?を前もって調べることは本当に大切です。インターネット上にも同じように生活している人が情報を発信しているので、いろいろ調べた上で、その国での生活がちゃんと想像できるかどうかを確認しておくと良いと思います。

6年間、ベトナムで日本語教師をして、色々な変化を感じました。大きな要因としては、ベトナムの経済的な発展とコロナです。

6年前は日本語学校も乱立し、日本へ行って稼ぎたいという若者が殺到していました。しかし、ある時から「稼ぐために日本に行く」という学生の意識が少し薄れてきた時期がありました。私の感覚では、3年ほど経った頃です。SNSが発達し、日本ですでに働いている人の情報を得ることができて、日本へ行くより他に良い方法がある、日本より他の国のほうがいいかも、というような情報に影響されているようでした。

日本語を学ぶきっかけも、「家族のために頑張るぞ!」という前向きな学生が多かったのですが、年々「親に言われたけど、本当はやりたくない」とか「なんとなく流行っているから」という学生が増えてきました。日本や日本語に対する意識が少しずつですが低下している感覚です。

そのときに私達日本語教師ができることは、モチベーションを向上するために、正しい情報をできるだけ多く伝えることでした。SNS上にはマイナスな情報や嘘の情報も多くあります。もちろん、将来を選択するのは学生自身ですが、SNSの情報だけですべてを判断しないように、後で後悔しない選択ができるように情報を共有していました。

同僚であるベトナム人教師にも、この6年で変化を感じました。ベトナム人教師はもともと若い世代が多かったのですが、当初、私は30代後半から40代のベテランの方との仕事が多く、その方たちは20年ほど前に日本に留学していたり、日本の企業で働いていた方が多かったです。

そういったこともあり、日本に対する考え方もちょっと前の時代の価値観かなと思いました。しかし、20代の若い教師が増えてくると最近の日本事情を理解して、学生にアドバイスする言葉や情報、教育観も先進的な方が増えてきました。

最初の頃は、授業内容や指導方法もちょっと生真面目な堅い印象(受験勉強をしているイメージ)だったのですが、新しい教育スタイルが導入されるようになりました。

資格試験で合格するための座学だけでなく、確実に話せるようになるための教育。日本語能力試験に合格するのは大前提ですが、将来日本で就職するため会話能力も向上しなければなりません。そのため、ベトナム人教師と日本人教師のハイブリッド授業で、日本人教師は日本語のみですべての授業を行う。授業中はベトナム語での会話禁止ということもあり、できるだけ日本語だけの時間を長くすることで、日本語での会話が身につくスピードがかなり早かったと思います。こういった変化を経た現在では、日本の言語教育よりも先に進んでいるかもしれません。

教師間のコミュニケーションも、最初はなかなかうまくいかないこともありました。日本人は曖昧に伝えることが多く、同じように伝えるとベトナム人教師にちゃんと伝わっていないこともあります。そう思って、率直に伝えると、「こわい」と言われることも…程よい伝え方が難しかったです。わかりにくい仕事内容を、わかりやすく説明しようとかなり詳しくメールで送ると、「そこまで命令しないでください!」と言われることも…。こちらが意図したことが、違った意味で伝わることもあります。

こういったコミュニケーションについては、人によってもそれぞれ捉え方が違いますので、経験の中で身についていくと思いますが、一つひとつに対して悩みすぎず、でも謙虚な気持ちで対応することが大切だと思います。

渡航当初に日本人教師の知り合いから「いずれ日本語学校は減っていく」と聞いていたのですが、コロナがきっかけで減少が早まりました。コロナ禍、ロックダウン以降、日本人教師も帰国が増え、学校がなくなったことにより、職を探している人もいました。

私はこういった中で仕事がなくなることはなかったので幸運でしたが、その当時は実際仕事がなくて帰国するタイミングを失った方もいました。ロックダウンが明けると、帰国ラッシュで教師不足の学校も増えていました。コロナ真っ只中の頃は、日本語業界だけでなく、多くの店がなくなり、道にバイクもほとんど走らず、皮肉にもハノイの空気がきれいになった記憶があります。

その頃の、日本語の授業はすべてオンラインになりました。それ以前は、すべて対面式で一部パワーポイントを使ったりはしていましたが、すべてをオンラインでやることに最初は慣れませんでした。クラウド上で宿題やテストの管理をしたり、授業用のスライドを作成したり…日本語教師を始めたばかりの頃の記憶がよみがえるくらい、最初の準備は大変でした。

回線が不安定で繋がらないときはパニックになったりということもありましたが、ベトナムではよくあることなので最終的には焦らなくなりました。結果的に、コロナによって授業方法に幅ができて、これまでできなかったサポートも可能になりました。

これまでに比べると、オンライン上でより多くの画像や動画を使った説明ができるため、受講者は視覚からイメージしやすくなりました。特に良かったのが、普段対面の授業で質問できない学生がオンライン授業にすることにより気軽に質問できるようになったことです。授業中だけでなく授業外の質問についても、一人の質問に対する解説をオンライン上でクラス全員が共有できるので理解も深まったと感じます。

オンライン授業をする前は、「ちゃんと伝わるのか、受講者が集中できるのか」が心配でしたが、工夫次第で対面授業よりも受講者の参加意識が高まる授業が可能だとわかりました。

ベトナムで学んだことは多くありますが、日本の当たり前、自分の当たり前が通用すると思わないことが大切です。まずは、その国や相手のことをよく知って、なにか失敗しても大丈夫、真摯な気持ちでやり直す姿勢であれば、楽しく過ごすことができるはずです。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

私が1番戸惑ったのは、ある学生に「先生、もっと怒ってください」と言われたことです。日本で塾講師をしていたときは「ほめる」ことを意識して教えていたので、こう言われたときは困りました。もっと強く叱って欲しい、注意してほしい。もしかすると、その当時のベトナムの教育では先生が強く注意することが普通だったのかもしれません。どうして?と聞いたところ、「やる気を出すためです」と答えが返ってきました。私が授業で、学生たちを褒めてばかりいて、学生も違和感を感じたのだと思います。

しかし、私は褒めることをやめませんでした。人としてやってはいけないことにはちゃんと注意します。でも、授業では「〇〇はいいね、でもこうしたほうがもっといいんじゃない?」と少し言い方を変えることにしました。おそらく、この言い方でも、この生徒は納得してなかったと思います。

これは、日本語教師なりたての頃の出来事だったのですが、数年経ったころ、ベトナム人教師に強く注意されてクラスに来なくなる生徒が出てきました。ベトナムの教育が変化してきている証拠だと感じました。教えるときの伝え方、言い方は本当に大切です。国の教育方針の違いもありますが、いろいろな方法を試して改善していく必要があると思いました。

なぜこの企業を退職しましたか?

日本語教師をやめた理由は妊娠です。出産、子育てのため、帰国することにしました。コロナもあって、ベトナムでの出産には不安もあり、やはり日本で子育てをしたかったからです。

しばらくは日本語教師としての就職は考えていませんが、ときどき以前の職場からオンライン授業できないか?と連絡があります。今は短期・単発の日本語のオンライン授業はお受けしていますが、少し生活が落ち着いて時間ができた時に、本格的に日本語のオンライン授業!という選択肢も考えてみようかと考えています。

給与

月収:15万円 (250万ドン)
現地で生活をするのに十分

当初、基本給は100,000円でしたが、昇給制度があり、頑張り次第でお給料は上がっていきました。会社からは現地の生活では3〜4万円あれば最低限の生活はできると聞いていました。実際にそうだと思います。

しかし、日本食しか食べられない人は3万円では足りません。ベトナム料理店はだいたい200円〜500円で食事できますが、日本食レストランでは800〜1000円です。お酒を飲む方はもっとかかります。私の場合は、平日はほぼ自炊で、休日のみ外食でしたので、食費で浪費することはありませんでした。遊びに行ったり、旅行に行ったりもできますし、ある程度貯金もできました。

福利厚生で心配だったのが、保険です。現地の健康保険は会社が負担してくれましたが、海外の医療保険は自分で!ということで、日本語教師のお給料で払い続けることはできないので入りませんでした。一度、よくわからない病気にかかったとき、インターナショナルの病院に行くと「ベトナムの健康保険は使えません。海外の医療保険じゃないと、かなり高くなりますよ」と言われ、諦めたことがあります。その時は事なきを得ましたが、医療保険の有無はしっかりと確認が必要です。

またビザと労働許可証の取得についてですが、これが1番苦労しました。取得にかかる費用はすべて会社が負担しますが、日本における手続きは全て自分で行いました。しかし、6年前のことなのでほとんど覚えていません。ただ、実際に参考にした資料はありますので、以下にリンク先を記しておきます。(私が参考にしたものは、これよりも古いものです。新しい方を記載しておきます)

・参考資料:「ベトナムにおける労働許可書/ビザ(査証)の取得手続き 」2017 年 1 月 日本貿易振興機構(ジェトロ)ハノイ事務所ビジネス展開支援部・ビジネス展開支援課

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※また、ビザと労働許可証について詳しいサイトを見つけました。こちらは、私が実際に手続きでやった流れと同じ(だと思います)なので、こちらもご紹介します。(必要かどうかわかりませんが念の為)

ビザ取得方法・リンク先

労働許可証のリンク先

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私自身、インターネットで調べて何とか手続きは完了できました。わからないことがあって、大使館・領事館の両方に電話をしましたが、繋がりませんでした。(おそらく電話が殺到しているか、窓口業務が多忙で出られないのだと推測します)ですから、できる限り上記の情報をしっかりと理解して、必要書類と手順をしっかり進めていけば大丈夫だと思います。

注意点として、ベトナムの法律は結構変わりやすいです。上記の資料も、ある日急に変わっている可能性があります。まずは雇用者に相談すること。そして、とにかく調べることが大切です。もう一つ、手段としてFacebookのベトナム在住者などのコミュニティで質問することがあります。実際に住んでいらっしゃる方が多く、そちらで質問すると答えてくださる方がいるかもしれません。そういったものも手段の一つとして覚えておくと良いと思います。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:15万円

月収の内訳

  • 基本給:15万円
  • 時間外・休日手当:1,000円/時間

待遇

  • 残業代
  • 有給
  • 賞与(給与1ヶ月分)
  • 健康保険

雇用形態

  • 専任講師 *正規雇用

勤務時間

  • 1日 8時間/週5日勤務   *残業 殆どありません。イベント時のみ

長期休暇中の給与保証

  • 仕事はないが、給料は支給される

仕事のかけもち状況

  • かけもちしていない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

渡航当初、日本語教師を始めたばかりの頃は、授業準備と毎月のレポート作成、それに加えて、宿題やテストのチェック(丸付けなど)でほとんど寝る時間、休日がありませんでした。しかし、教えるテキストは殆ど変わらず、授業準備も1周すれば次の学年で同じものが使えるので、最初の半年〜1年を越えた頃には授業準備は楽になりました。

またレポート作成も締切直前ではなく、毎日少しずつデータを打ち込んでおけば、直前にコメントを書き込むだけになり、寝る時間も休日もしっかり休むことができるようになりました。とにかく溜め込まず、少しずつやることが大切です。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス10〜30人

学習者層

  • 大学生
  • 社会人

ベトナムで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

教材に関しては会社がたくさん用意してくれたので、困ることはありませんでしたが、教材以外の資料として日本の雑誌や漫画、小説など、学生たちが興味を持つようなものがあるといいです。たとえば、自分の地元の名産品などは、自己紹介をする時に使えました。

また、日本の硬貨も学生たちに人気で、数字や料金の勉強をするときに使えます。また、授業の中でよく「歌って」と要求されることもあり、自分が歌える曲をいくつか用意しておくのも良いかと思います。歌わないという選択肢もありますが、歌うと学生のモチベーションは一気に上がります。歌いたくない人は、逆に「歌って!」とお願いすると良いかと思います。

ある程度日本語を学習していくと、日本の映画やアニメも見たくなるので、おすすめの映画やアニメ、歌や漫画など、そういった情報も持っておくといいですね。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語教師のN1et
    ・「みんなの日本語」をテキストとして、新出語句、文型ごとの導入と練習法、課の活動、注意点などが網羅されています。授業の流れが全部まとめられています。 ・日本語教師を始めたばかりの時期(最初の半年)は、教案づくりも初めてでしたので、このサイトの教案の流れを参考にしていました。全部まるまる使うことはなかったですが、授業の流れを把握しやすいので、文型を確認したり、自分の授業で使えそうなアイディアを見つけて組み合わせたりしていました。 ・日本語教師初心者の方、教案づくりがわからない方におすすめです。
  • 日本語教師は見た!
    ・「みんなの日本語」で扱われる文型に合わせたイラスト・絵カードがまとめられています。1つの文型に対する絵カードの種類も豊富で、シナリオ仕立てになっているので、そのまま授業の流れで扱えるようになっています。また、イラストがとてもユニークなので、受講者もイラストの内容を楽しんでいました。 ・授業で解説した文型の復習をする際に、絵カードを見て、受講者が発話する練習をする際に使いました。場面のパターンが豊富に用意されているので、反復練習に適しています。 ・「みんなの日本語」をテキストに授業をされる方におすすめです。テキストに付属の絵カードでも練習はできますが、物足りない時に追加するといいかと思います。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 日本語作文I -身近なトピックによる表現練習 対象: 初級・中級
    ・豊富なテーマが用意され、それぞれで扱う語彙や表現、例文がまとめられています。 ・N3レベルの授業で作文やスピーチを扱う際に、いくつかのテーマをピックアップしました。作文やスピーチの授業は、どちらかというとアウトプットの授業なので、このテキストはあくまで参考程度ですが、授業のテーマや構想のヒントになります。一つのテーマについて一度目を通して、受講者たちに同じテーマで作文を書いたり、スピーチ発表をしたりと活用することができました。 ・「みんなの日本語」を一通り受講者が学んだあと、初中級レベルの受講生を教える方におすすめです。私の場合は、みんなの日本語Ⅱの後半くらいから、定期的に作文の宿題を出したり、月にⅠ回スピーチの発表をしたりして活用できました。
  • 日本語能力試験 N1直前対策ドリル&模試 文字・語彙・文法 対象: 全レベル
    ・日本語能力試験(N1〜N5まであります)の対策として、文字語彙・文法の問題がドリル形式でまとめられています。文字語彙も文法もそれぞれ15回分用意され、最後には模擬試験が3回分あります。1回10分程度のドリルで、解答には解説もある程度添えられているので、大切な文型や注意する語句の説明もわかりやすいです。 ・日本語能力試験の対策期間、授業の最初にミニテストとして実施しました。10分間の制限時間を設けて実施するため、宿題でやるよりもスピーディに解く力が身につきます。問題数も多すぎないので、授業の最初のウォーミングアップにピッタリの教材でした。 ・日本語能力試験対策をする方、短期間で言語知識分野を強化するのに適しています。他にもいろいろな模擬試験や問題集がありますが実施するのにかなり時間がかかりますので、毎回少しずつを継続して実施したい場合はこちらの教材がおすすめです。

就職活動

どのように就職活動を行いましたか?

ベトナムで知り合った日本語教師の方に「NIHON MURA(日本村)」という求人サイトを教えていただきました。日本国内、海外、それぞれ地域別に求人を探すことが可能です。

私の場合は、国を限定し、働く時間、休日、給与など自分の最低基準に合う会社を選び出しました。これは、自分のライフスタイルに合うかどうかがポイントになっています。その中から「日本語を教える目的・方針」を重視して選びました。こちらについては、自分の価値観にあうかどうかです。私自身は、大学や企業で専門分野(医学やITなど)で活躍する方の日本への就職サポートをする会社を選びました。結果的に最初に履歴書を送った会社に採用されたので、応募したのは1社のみです。

職場を見極めるときは、自分の「ライフスタイル」と「価値観」に合うかどうかを募集要項から読み取ることが大切だと思います。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

日本語教師としての経歴、無い場合は教えた経験があるかどうか(たとえば、塾講師や家庭教師など)について詳しく聞かれました。面接で日本語で正しく受け答えができて、教えた経験があれば「教える」という点については大丈夫ということでした。

また、出張が多いので、長距離の移動や出張先での宿泊などは平気かどうかも確認されました。新しい環境に馴染めない方や移動が苦手な方は適さないということでした。どんな環境でも生活できる適応能力や、ベトナム人の学生だけでなく同僚たちと一緒に仕事ができる協調性があるかどうかなども大切な判断材料となりました。私の場合は、経験したことがないので「やってみないとわかりません」と正直にお伝えしました。

印象的だったのは「怒りっぽいですか?」という質問です。おそらく日本と文化が異なることで、細かいことが気になったり、イライラすることが多いからだと思います。採用する側としても、長く続けてもらえる人材を探していると思いますので、そういった点も考慮されるのだと感じました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

私が滞在していた頃は、技能実習の需要が増え始めた頃でした。現在はコロナで少し落ち着いた感はありますが、もうしばらくは続くと思います。

個人的な見通しとしては、学校教育で日本語の学習が取り入れられたり、習い事として勉強する子どもも増えてきているので、今後は留学や就職のために日本語を学習する世代が増えてくるのではないかと思います。ITや医療など専門技術をもった方が就職のために高度な日本語学習をするようになっていくと考えています。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • NIHON MURA(日本村)
    2004年から開設された求人サイトで、日本語教師、日本語教育関係の国内外の求人が掲載されています。 一時期、コロナの影響で掲載数も減りましたが、最近はまたコロナ前と同じくらいの件数に増えてきているようです。(毎月の掲載件数推移がサイトの下にあります) 更新頻度も高く、常に最新の求人情報が見られます。利用方法も簡単で、登録をする必要もありません。働きたい地域、国を選ぶとその地域の求人が表示され、求人募集内容の募集企業先へ履歴書等を直接メールで送ることが可能です。 国によっては求人数が少ない場合もありますが、定期的に見るようにしておくといいかと思います。

国選びで重視した点

  • 治安
  • 渡航経験があった
  • 食事が合う

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 高い人気があり、多くの学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学生の学習意欲の高さ
  • 学校の教育方針
  • 給与・待遇

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格
  • その他の日本語教師養成講座受講

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

面接方法

  • skypeやzoomなどのインターネットツールを使用して面談

日本語教師全般に関する質問

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

一番最初に「よかったな〜」と思ったのは、受講者が日本語でメッセージを送ってきてくれたときです。教えた当初は、ひらがなもわからない「日本語ゼロ状態」だったのですが、N3、N2…とレベルが上がってくると、メッセージで直接語彙や文法の質問をするようになりました。ちゃんと教えた日本語を使って「日本語についての質問をする」ということに感動した記憶があります。

他にもスピーチコンテストで入賞したり、N1に合格した時など教師になってよかった!という達成感がありましたが、本来の目的である「日本での就職」ができたときが一番嬉しかったです。

今でも、ときどき他愛もないメッセージを送ってくれますが、最近の若者言葉を使っていたりすると、日本での楽しい生活や経験が想像されて胸が熱くなります!

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

学生や同僚間でのコミュニケーションでやめたいと思ったことは一度もありませんが、業務の一つであるレポート作成でつらい気持ちになったことはあります。まだ仕事に慣れない頃、授業準備で手一杯だった時期は毎月のレポートが苦痛でした。

会社や学校によっても異なると思いますが、私の会社では毎月学生一人ひとりのレポートを書くことになっていました。日本語講師は宿題やテスト結果、授業の様子や評価などをまとめます。さらに、ベトナム人教師が書いたコメントの校正もします。100人以上のレポートを毎月書いていたので、慣れない最初の頃は徹夜で仕上げたりしていました。その頃は、本当に休みの日も外に出られず、ずっと引きこもり状態でした。

1年程経つと、授業準備もレポートも要領よく終わらせられるようになりました。日本語教師は、最初の時期が一番つらいと思います。授業準備も、一通り一周すると、同じ内容を次の学年・クラスで再利用(改善はしますが)できるので、最初の半年〜1年を乗り越えれば、業務の苦しみはほとんどなくなります。

ベトナムで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

ベトナムでの日本語教育に対する意識は、以前より落ち着いたものの、まだ日本に憧れを持って勉強したい学生たちはたくさんいます。また、ベトナムでは先生に対して尊敬の念を強く持っています。

しかし、日本人教師の中には、尊敬される存在だからと勘違いして横柄になったり、上から目線の方が時々います。ベトナムの学生たちは、目の前の日本語教師が「日本人の代表」として映っていますので、謙虚な姿勢、真摯な気持ちを忘れずに接していただきたいです。

将来的に、ベトナムから優秀な学生たちが日本へ留学したり、就職する時代が来ると思います。日本語を勉強してよかった、日本に来てよかったと思っていただけるように、思いやりを忘れずに臨んでいただきたいです。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

現在、日本語教師としては短期・単発のみのオンライン授業をしていますが、今のところ現場での復帰は考えていません。もう少し時間に余裕ができたら、本格的にオンライン授業をするかもしれません。そうなった際は、これまでの塾講師や日本語教師の経験を生かして、受講者の目的(資格、留学、就職)の達成に向けた効率的な授業を目指したいと考えています。

また、私はどちらかというと試験対策よりも会話授業が苦手なので、実践的な会話授業ができるようにしたいと考えています。決まった会話パターンを覚えるだけの会話授業ではなく、日常生活でもビジネスでも本当に役立つ会話授業が目標です。もし可能なら、会話のためのオリジナルテキストや動画づくりなど、多くの方に役立つコンテンツづくりができたら…というのが、夢の一つです。

南・東南アジアの国・地域別 経験談

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