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海外日本語教師経験談
中国 北方のある都市 大学(2017年) 学生との交流が楽しいが、お金が貯まらない
👩 りんごさん・ 28歳
総評
- 中国 北方のある都市 大学
- 雇用形態:専任講師 *正規雇用
- 期間:1年 (2016~2017年) *現在も勤務中
- 月収:11万円 (7,000元) *現地で生活をするのに十分
- 勤務時間:1日6~8時間 週4日勤務 *残業:1ヶ月合計20時間:授業の準備
きっかけ:
以前に中国に留学したことがあり、またどっぷりと中国の生活に浸かってみたいと考えていたところに、この学校の募集があったからです。仕事に対する熱意というよりは、この国での生活に対する熱意からです。
生徒の質・熱意:
勉強ができるかという「質」だと、正直大学のレベルによると思います。しかし、生徒はとても可愛らしいです。日本語の勉強が好きでなかったり、苦手な子もいますが、性格は素直です。伝えたことはまっすぐ受け取ってくれますし、先生のことを尊敬してくれて色々な場面で感謝の気持ちを表してくれます。
やりがい:
「先生、先生」と慕ってもらえる時や、ふとした瞬間に学生の日本語の進歩を感じた時にやりがいを感じます。もちろん、日本語能力の向上は学生自身の頑張りやほかの先生方の指導によるものがほとんどですけど、私も少しはお手伝いできたかなと考えてしまうんです。
年も近いし、「学生にとって、一番気軽に話ができる外国人」になるために、こちらから積極的に声をかけるようにしているので、よい反応が学生から返ってきたときは前に進む元気が出ます。
日本語教師としての生活レベル:
現地での生活は全く問題ありません。中国人の友人からは、仕事も安定しているし、家も用意してもらえて、その給料なんて羨ましいとよく言われます。でも、日本に帰ると、悲しいかな友人の給料の半分から3分の1なんですよね。
休日:
休日はなるべく早く中国での生活に馴染めるように、中国語の勉強はもちろん、ボランティア活動や習い事、周囲に紹介をお願いするなどして友人を増やし、プライベートを充実させています。
給与:
6,000元+週16時間からオーバーした授業のコマ数分の手当てが出ます。現地での生活は困らないですが、日本の給与レベルには全くとどきません。
日々のスケジュール:
週に18~20コマで1コマ50分の授業数です。平日でも丸一日休みのこともあり、時間的には割と余裕があります。授業準備は基本一人でするので、時間を柔軟に使えます。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
1.会話の授業などだと、日本の外国語教育よりも柔軟な教育方法が取られています。ゲーム形式を取り入れたり、流行りのドラマや映画を教材にしたり、教科書を全く使わずに先生のアイディアで授業を進めることも多いです。
日本で教育を受けてきた私からすると、「それって遊びじゃないの?」という印象を最初は受けていました。ただ学生は興味のないものに対して興味がないと態度ではっきり表すので、確かに教室活動の目的を別のところに設けて、その過程で日本語を使ってもらうという方法が一番学生の興味を引きやすい方法ではあります。
2.授業中携帯電話を触る学生が多いことに最初は戸惑いました。会話の授業で他の学生が話していると、聞かずに携帯を見ている子が必ずいます。不思議なことに、私が話をすると前を向いて聞いてくれるのに、相手が友達だと全く違う態度なのです。
最初は私の授業内容はそんなに面白くないのかと落ち込んだのですが、何人かの学生に話を聞いてみると、「友達が話をしている時に聞かないのは失礼にあたらない」とのこと。理由は、「気を遣わないでいい関係こそが友達だから」だそうです。
彼らのそのような関係は尊重しつつも、「日本ではそうは考えないから、日本人と話している時は相手の話にちゃんと耳を傾けるんだよ」と注意するのがやっとでした。
給与
現地で生活をするのに十分
まず外国人なので、現地の医療保険や年金制度に加入することができません。日本からは転出しているので、日本の医療保険は加入ができませんし、国民年金は任意で納めることになります。そう考えると、目先の生活費は保障されており、時には現地での旅行ができても、病気になった時の医療費や将来のための貯蓄については不安が拭えません。
現地特有の習慣・文化による待遇というと、中国人はよく外国人や先生におごってくれます。「働いているのでこちらが御馳走するよ」といっても、まず聞き入れてもらえません。いつも有難いなという思いで、ご馳走してもらっています。
給与の詳細を読む...
給与
- 月収:11万円
月収の内訳
- 基本給:9万6,000円
- コマ数の超過手当:1コマ50分につき1,600円
待遇
- 健康診断
- 保険(入院した場合入院費が支払われる)
雇用形態
- 専任講師 *正規雇用
勤務時間
- 1日6~8時間 週4日勤務 *残業 1ヶ月合計20時間:授業の準備
学校が定める学生の長期休暇の有無
- 夏休み:60日・冬休み:30日
長期休暇中の給与保証
- 仕事はないが、給料は支給される(冬休みのみ支給)
授業形態・勤務スケジュール
スケジュール管理で大変だったことは?
「休みの日はしっかり休めるように」という配慮だと思うのですが、授業がない日が平日にも何日かある代わりに、授業がある日は続けて8時間の教室授業があるなど、学校側の決めた時間割が体力的にハードすぎたことです。こうした授業日の前の日の夜はゆっくり休めるように、夜遅くまで仕事をしないようにしました。
現在中国では、学生も先生もWe chatという、日本で言うLINEで連絡を取り合うのが普通です。学生は私の連絡先を知っているので、日本語で分からないことを聞いてきたり、個人的な悩み事を相談してきたり、夜8~10時の時間帯はそうした連絡があることがあります。できるだけタイムリーに返信してあげたいので、授業前日に切羽詰まって準備をしないで、余裕を持って取りかかるように心がけています。
授業形態やスケジュールの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス15人
学習者層
- 大学生
スケジュール
- 月:8:00~18:30 お昼休憩2時間半を挟み、中級クラスを8コマ
- 水:8:00~10:00 中級クラスを2コマ
- 金:8:00~18:30 お昼休憩2時間半を挟み、中級クラスを8コマ
- 日:8:00~12:00 初級クラスを4コマ
- 火・木・土:終日休みで、1日2時間ほど授業準備をしていました。
中国で日本語を教える前に準備すべきだったことは?
自分が使いやすいと思う文房具、特に赤ペンやシャープペンシル、ボールペン、色鉛筆は必ず持って行ったほうがいいと思います。中国の文房具は安いですが、日本のものほど性能に優れていません。
参考教材はクラスを見てからどんな授業をしていくか考えることも多いので、重いですし、あまり多く持って行かなくていいと思います。
面白い文房具が好きな人はそういったものもぜひ!外国語学部は学生も女の子が多いですし、かわいいペンやスタンプを持っていると話のきっかけにもなります。
教案作りで参考にしている書籍は?
- 『会話の授業を楽しくするコミュニケーションのためのクラス活動40:スリーエーネットワーク』
対象:
全レベル
会話の授業の教室活動例として活用 - 『日本語の教え方ABC:アルク』
対象:
初級・中級
文法説明をする時事前に確認、説明の仕方を考える。
就職活動
この大学で働くきっかけ・決め手は?
日本で転職を考えていた時にちょうど今の学校がウェブサイトで日本人教師を募集していたので、応募をしました。書類を送った次の日には返事をもらったので、地方都市で最初は躊躇したのですが、これも縁かなと思い、内諾の返事をしました。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
需要はあります。どこの大学の外国語学部にも日本語学科は必ずあるからです。ただ沿岸部の主要都市は日本人も多く、また就労ビザを取得する外国人に対する発給条件も厳しいので、日本語教育経験のない未経験者にはハードルが高いです。
未経験で中国で働きたい場合は、内陸部の地方都市も選択肢に入れると仕事が見つかりやすいです。
また、中国は日系企業が大変多いですから、中国での日本語教育の将来性は今のところ変わらずあると言えるのではないでしょうか。日系企業の多い上海や大連などが中国北方に住む学生の主な就職先です。
親日とは言えませんが、個人対個人の関係では、交流に全く問題はありません。
この大学で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
貿易関連や日本文学の科目があるので、その方面の知識があると授業を任せてもらえます。
ただ私の学校では、日本人教師は知識を教えるというよりも、中国人学生と沢山交流して、学生の会話力や作文力の向上をさせようという目的で採用されていますので、人と交流するのが好きな人であれば、日本語教育以外に特定の専門分野がなくても務まります。
就職活動で参考にしたウェブサイトは?
国選びで重視した点
- 日本との距離
- 渡航経験があった
- その国の母国語が得意
現地における日本語教師の需要・将来性
- 高い人気があり、多くの学校で求められている
就職 教育機関選びで特に重視した点
- 必須資格
- 学校の規模
- 給与・待遇
応募時に必要とされた資格
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 日本語教育能力検定試験合格
- 大学 日本語教育主・副専攻
- 上記いずれか
就職 選考方法
- 書類
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
大学時代に中国留学をし、中国の人や文化、美味しい食べ物に魅了され、またいつか中国で生活がしてみたいと考えるようになりました。
海外の文化が好きで、日本で就職した後も中国やその他の海外と取引がある部署への配属を希望していましたが、なかなか機会がなく、大学の時に日本語教育課程を専攻していたので、まずは日本語教師として中国で生活してみようと考えました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
素直で可愛らしい多くの学生に出会えたことです。
私が今までで一番「学生って可愛いな」と思ったのは、テストが終わって試験用紙を提出するなり、すぐさま「先生、プレゼント!」と言ってポケットから栗を2~3個出して渡してくれた学生がいたことです。「どうして栗?しかもこの数?」と驚きながら、日頃の感謝なのかな、それとも採点時には大目に見てくださいというメッセージなのかと考えて、一人笑ってしまいました。
また、日本での会社員生活と比べて、自分のペースで仕事ができることです。体調が悪い日は次の日に仕事を回すことができるし、まとまったプライベートの時間が欲しければ、それまで急ピッチで仕事を仕上げることも可能です。「この日は何があっても○○を絶対しなければならない」ということがないので、仕事がやりやすいです。
日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?
収入面の不安が理由で辞めたいと思ったことがあります。
日本で働いていた頃よりだいぶ年収が下がりますし、日本円での収入がないので、帰国時は特に、金銭面で将来に対する漠然とした不安を感じます。そして、日本語教師を辞めて、帰国して働いたほうがいいのかなと悩みます。夏と冬にある長期休暇のうち、夏は給料が出ないのもネックです。
学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。
まず社会人経験を2~3年経て、日本語教師になるのがおすすめです。組織の中で働くというのは教師になるとできないことです。
教えている生徒の中に将来仕事で日本語を使いたい、または今まさに仕事で日本人と接点があるという人がかなりいると思うので、ビジネスマナーや様々な場面の対処方法を教えることができ、授業に深みが出ます。
それから、日本語教師は収入が低い場合が多いので、少し日本円で貯蓄があると何かあった時に安心だと思います。大学や大学院で専攻でなかった人は、社会人をしている間に養成講座に通うこともできます。
社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。
まず今の仕事と、日本語教師で食べていく場合の給料の差がどのくらいあるか認識することが大切です。それでもやりたい場合は、まずは「期間をある程度決めて」挑戦してみるといいと思います。日本語教師でずっと食べていく場合以外に、「日本語教師を辞めて新たな仕事をする場合、自分はどんなことができるか」という事態も想定して、前の仕事を辞めましょう。
中国で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
中国へ行くと生活環境が大きく変わります。人の気質も違うし、気候も違うし、生活面でも不便なこと、不安なことも多いです。仕事うんぬんより、生活面で水が合わずに短期間で帰国する人も多いです。
採用になってやっと中国にやってくるのではなく、旅行に出かけて現地を直接見るとか、日本国内で中国人の友達を作りどんな人たちなのか知るなど、就職活動を始める前に情報収集をし、中国での生活についてある程度理解を持ってください。仕事自体は必ず好きになってもらえると思います!
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