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海外日本語教師経験談
タイ バンコク 日本語学校(2019年) 知れば知るほど興味深く、面白い
👩 ペッパーさん・ 28歳
総評
- タイ バンコク 日本語学校
- 雇用形態:専任講師 *正規雇用
- 期間:1年 (2018~2019年) *退職
- 月収:月収:約12万円 (35,000バーツ) *なんとか生活できる
- 勤務時間:1日8時間 週5日勤務
- 日本語教師養成講座420時間修了
学習者の年齢層は小学生から社会人までと幅広く、日本語学習の動機は様々で、仕事で必要だから、将来日本企業で働きたいから、日本のアニメや漫画が好きだから、日本人と話したいから、等でした。素直で優しくフレンドリーな性格の学習者が多く、勉強に対して真面目に取り組んでいました。
担当していたクラスでは指定の教科書があり、基本的には教科書に沿って進めていくという流れで授業をしていました。授業をしていく中で、決まって学習者が躓いたり間違いが起こる箇所がありました。
原因は言語にありました。これは自分自身が現地語(タイ語)を勉強していくうちに、なぜ学習者が単語を間違うか、その理由が分かりました。
例えば「牛乳を食べます」。ある時、こう言った学習者がいました。タイ語では「食べる」と「飲む」それぞれの動詞はありますが、このどちらにも使える動詞が一般的によく使われているため、タイ語話者だとこういう間違いが起こりやすいのです。こういったものを知り追究していくことは楽しく面白いものだと感じました。
教科書に出てくる表現の中には実際には使用頻度が少ないだろうと思うものがあったため、学習者に教科書以外で「何か知りたいことはあるか」「何を勉強したいか」アンケートを取りました。そのクラスでは、「日本に旅行に行ったときにレストランで話す会話や食事のマナーなどが知りたい」と回答があったため、そのリクエストを受けて教材を作り、授業をしました。食事一つとっても両国に様々な文化的な違いがあり、大変興味深く感じました。
日々楽しさを感じながら授業をすることができていました。
授業準備に時間がかかってしまう時もあったため、休日に教案作成等をしていた日もありましたが、休日は基本的に確保できていました。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
一つのクラス内で学習者のレベル差がある場合、どのレベルに合わせて授業を進めていくか、という点で悩みました。
授業中に課題やワークの時間を与えた時、理解が早い学習者はすぐに課題を終えて時間を持て余してしまい、理解に時間がかかる学習者はそこで躓いてしまうために時間がかかってしまっていました。躓いている学習者にはヒントを与え手助けするなどし、課題を問題なくこなす学習者には追加で課題を与えたりしました。また、レベル差のある学習者同士でペアを組むようにするなどしました。
教師の立場としては普段からクラス全体・全員の学習者を見て、学習者のレベルや理解状況を把握・確認するようにしていました。理解に時間のかかる学習者やどこかで躓いてしまった学習者には後からフォローするなどしていました。
なぜこの日本語学校を退職しましたか?
別の勤務先にて働くことになったため退職しました。日本語教師としての経験を積むために同じ環境で授業数をこなしたり勉強したりすることも大事であると考えたのですが、自分自身の成長のために別の環境に身を置いて様々なことを吸収したいという思いの方が大きかったため、この教育機関を退職することとなりました。
給与
なんとか生活できる
いただいた給与だけで生活できていました。支出としては、食費、家賃、光熱費、通信費、交通費、交際費といったところです。ただし贅沢はあまりできなかったように思います。時々良いものを食べたりする程度でした。
自由に使えるお金を増やすため、ポイントを貯めてクーポンに交換して買い物をしたり、携帯のプランを見直して一番安いものにしたりする等、削れるものはできるだけ削っていました。
1年のうち、まとまった大きな連休は2回で、タイ正月(4月)と年末年始です。この時の旅行資金は貯金でなんとかまかなえていました。
給与の詳細を読む...
給与
- 月収:月収:約12万円
月収の内訳
- 基本給:約12万円
待遇
- 健康診断
- 保険(社会保険 (パカンサンコム))
雇用形態
- 専任講師 *正規雇用
勤務時間
- 1日8時間 週5日勤務
長期休暇中の給与保証
- 長期休暇がない
授業形態・勤務スケジュール
スケジュール管理で大変だったことは?
大変だった点は特になく、自分のペースで進めることができていました。
授業形態やスケジュールの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス10人
学習者層
- 小学生
- 中学生
- 高校生
- 大学生
スケジュール
- 9:00~18:00 初級授業1クラス(3時間)
- 9:00~18:00 初級授業1クラス(3時間)または2クラス(6時間)
- 9:00~18:00 初級授業1クラス(3時間)
- 9:00~18:00 初級授業1クラス(3時間)または2クラス(6時間)
- 9:00~18:00 初級授業1クラス(3時間)または2クラス(6時間)
タイで日本語を教える前に準備すべきだったことは?
特にありませんが、強いて言えば教案のストックを増やしておいたらよかったということでしょうか。現地に行ってからの準備で何とか間に合いましたが、少しでも余裕を持つためには教案を多めに作成しておけばよかったかもしれません。
教案作りで参考にしているサイトは?
- 『日本語NET』
導入の仕方、導入後の練習の参考にします。 - 『日本語教師のN1et』
導入の仕方、授業の構成の参考にします。 - 『日本語の教案』
導入の仕方、導入後の練習、授業の構成の参考にします。
教案作りで参考にしている書籍は?
- 『どんなときどう使う 日本語表現文型辞典』
対象:
全レベル
文型について詳しく書かれています。教える前に自分で理解するために使用します。 - 『みんなの日本語初級II 第2版 教え方の手引き』
対象:
初級
授業の構成を立てるためにこの本を使用します。 - 『おたすけタスク初級日本語クラスのための文型別タスク集 』
対象:
初級
教科書を使用した練習が終わった後、内容を理解できているか確認するための活動のアイデアとして使用します。
就職活動
この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?
海外で働きたいと考えていたため、日本語教師の求人情報は海外のものを見ていました。国と地域はどこが良いか、教育機関はどこが良いか、の2点を考え、勤務先を決めました。
国と地域: 私の場合、これまで海外で働いた経験がなかったため、海外で生活するにあたっての不安や心配を極力減らすことができるよう、生活の環境を一番に考えました。生活のしやすさや気候等を考え、国と地域を絞りました。
教育機関: その当時募集をしていた教育機関はいくつかありましたが、勤務時間や給与や立地などを見て考え決めました。また、以前この学校に訪問したことがあったため、働くイメージがしやすかった、顔見知りのスタッフがいる安心感があった、という点も勤務先を決めるにあたり大きかったかと思います。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
需要はあると思います。国内に日本の企業も多くあり、会社で日本語を使用するという学習者もいましたし、将来日本企業で働きたいという学習者もいました。日本語ができると給与が高くなるため、という理由もあるそうです。また、日本留学や日本での就職を目指しているという学習者もいました。
この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
英語または現地語が少しでもできると、学習者とのコミュニケーションがとりやすく距離も縮めやすいのではないかと思います。
授業は基本的に日本語で行うため、学習者が日本語学習初心者の場合、すべての言葉が分からず学習に対してのモチベーションが下がってしまう、ということが考えられるかと思います。そんな時に単語でも良いので学習者に伝わる英語や現地語を話すことができると、学習者は少し安心感を抱くのではないかと思っています。
就職活動で参考にしたウェブサイトは?
-
『NIHON MURA(日本村)』
日本国内・海外の日本語教師の求人情報が掲載されています。日本語学校、専門学校、大学、企業等、幅広く掲載されています。 -
『日本語教師の集い』
日本国内・海外の日本語教師の求人情報が掲載されています。日本語学校、専門学校、大学、企業等、幅広く掲載されていて、求人の掲載数が多い印象です。 -
『日本語教育学会』
日本国内・海外の日本語教師の求人情報が掲載されています。大学院、大学、高校等の求人が多い印象です。
国選びで重視した点
- 治安
- 気候
- 渡航経験があった
現地における日本語教師の需要・将来性
- 人気があり、一定数の学校で求められている
就職 教育機関選びで特に重視した点
- 学校の規模
- 給与・待遇
応募時に必要とされた資格
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 日本語教育能力検定試験合格
- 大学 日本語教育主・副専攻
就職 選考方法
- 書類
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
海外の文化や人と関わることが好きで、いつか海外で働いてみたいと考えていました。そんな時に「日本語パートナーズ」(国際交流基金のプログラム)の広告を目にしました。それから「日本語パートナーズ」に参加し海外で日本語の事業に携わりたいと考えました。
「日本語パートナーズ」は日本語に関する資格がなくても参加できるものでしたが、やはり何か日本語についての知識があったほうが良いのではないかと思い、日本語教師養成講座を受講することに決めました。
養成講座の先生と進路のことについて話している時、先生から、「日本語パートナーズ」として現地の先生をサポートするというポジションも良いけど、日本語学校で自分がメインで教師として授業するのも楽しいと思う、というお話がありました。どちらの働き方も魅力的に感じましたが、考えた結果、日本語教師として働くことに決めました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
「先生と勉強したいです」「先生に教えてもらえてよかったです」「授業楽しかったです」と学習者から直接言われた時です。その言葉を聞いて嬉しかったですし、その学習者の役に立つことができてよかったという気持ちになりました。
学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。
高校生以下の方であれば、日本語を専門的に学べる学部・学科のある大学に入学して勉強するという方法もありますし、日本語の学部・学科でなくても大学に通いながら養成講座で勉強するという方法もあります。
現在大学生の方であれば、養成講座で勉強するのが良いかと思います。
養成講座はスクールに通う方法と通信教育で勉強する方法がありますので、ご自身にあった方法を選ばれると良いかと思います。スクールによっては、420時間という養成講座の勉強の期間を調整することが可能な場合もありますので、学校生活のスケジュール等に合わせて勉強の期間を設定されると良いかと思います。
社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。
社会人の方は養成講座で勉強するのが良いかと思います。働きながら勉強するのは大変かと思いますが、スクールに通う方法と通信教育で勉強する方法から、ご自身にあった方法で勉強できます。スクールによっては、420時間という養成講座の勉強の期間を調整することが可能な場合もありますので、生活に合わせて期間を設定されると良いかと思います。
タイで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
タイ人は人前で注意されることや怒られることには抵抗があると聞いたことがあります。
昨今日本での教育の仕方も変わってきてはいますが、日本の学校では学習者が決められているルールを破ると先生から注意を受けたり怒られたりすることがあるかと思います。これが日常的に行われていると、先生個人にとって・学校にとってこの行為は「当たり前」となり、この「当たり前」を国関係なしに海外へ持ち込むと、学習者やクラスに良くない影響を及ぼすことも考えられます。
海外で働く場合、国に関係なく、現地の社会・現地の人々の考え方・やり方等をまず知ることが大事であると思います。これは日本語教師に限らず、海外駐在であっても海外旅行であっても、その国にお邪魔させてもらう以上、知っておくほうがいいと思います。
日本では当たり前であっても国が変わると全く違うといったこともあります。ルールの違いもたくさんあります。現地のことを何も知らずに日本のやり方で突き通そうとしてもそれができない場合や分かってもらえない場合もあるかもしれません。
そういった時に落ち着いて相手の考えを聞くことや相手にフォーカスすることは、おそらく、思っている以上に大事なことであると思います。逆の立場になって考えると分かりやすいかと思いますが、その国にお邪魔させてもらうわけですから、相手と対話をすること、柔軟な考え方を持つことが大事であると思います。
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