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海外日本語教師経験談

タイ バンコク郊外 日本語学校(2020年) 親日でフレンドリーな学生達

👩 パナちゃんさん・ 27歳

総評

  • タイ バンコク郊外 日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間:2年 (2018~2020年) *現在も勤務中
  • 月収:10万円 (3万バーツ) *現地で生活をするのに十分
  • 勤務時間:1日7時間 週6日勤務   *残業:1ヶ月合計12時間
  • 日本語教師養成講座420時間修了  ヒューマンアカデミー

私は約2年間タイで日本語教師をしています。バンコク郊外の日本語学校に勤めており、技能実習生、日本へ留学する予定の人、日系企業に勤めているタイ人など、様々な人に向けて日本語教育を行っています。

タイは日本人にとって比較的馴染みのある国だと思います。昨今日本人観光客が増えていたり、日系企業がタイに進出したりと、年々日本との関係が密接になっています。そのようなこともあり、日本に関心のあるタイ人も多く、日本語教育の需要も多いと言えます。

タイは元々親日国であり国民性も人懐っこくフレンドリーなので、学生も可愛くて、教えている側としても楽しいです。日本への渡航を控えている学生も多いので、日本語だけでなく日本の文化についても学べるようにしています。

写真は、日本のお正月について紹介し、学生に年賀状を書いてもらっているところです。日本の文化を教えるにあたって、自分も今まで知らなかったことがあったりと、勉強になることが多いです。また、ときどき日本料理を作ってあげたりもしています。上記の写真はカレーライスを作ったときのものです。美味しいと言って喜んでもらえました。

タイ人は個人差もありますが、かなりテキトーで怠けやすい性格なので、なかなか大変な部分も多いです。遅刻したり、カンニングしたり、授業中にゲームをしたり、宿題を忘れたり、テスト勉強を全くしてこなかたり、などなど。日本の常識が通じず、頭を悩ます日々ですが、それでもやりがいを感じることも多く楽しいお仕事です。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

文化や価値観の違いにかなり苦労しました。特に時間を守るということ。

日本では9時から授業が始まるのなら、学生は5~10分前には教室に入って座席に座っているのが当たり前ですが、タイでは9時からトイレにいったり教科書などの準備を始めたりするのが当たり前。最初、9時ぴったりに授業を始めるなんてことはできませんでした。

そんな状況にイライラしてしまうこともありました。でも学生は全く悪気はなく、ルールを知らないだけです。私自身も文化の違いを頭ではわかっていても、実際には理解しきれていませんでした。そのことに気づいてからは、1回言うだけではできるようにならないので、毎日口酸っぱく注意するようにし、徐々に学生もルールに慣れてきて時間を守ってくれるようになりました。

また学生だけでなく、一緒に働く現地スタッフとの価値観の違いも大きいです。とにかく日本の常識を当たり前と思わずにいることが大切だと感じました。

給与

月収:10万円 (3万バーツ)
現地で生活をするのに十分

日本語教師は仕事柄あまり給料は良くありませんが、現地で生活する分には全く問題ありません。私の場合、給与は1年目は研修期間ということで2万バーツ、2年目以降は3万バーツになりました。

だいたい1ヶ月の生活費は1万3千バーツほどなので、2年目以降は月に1万7千バーツ(約5万6千円)も貯金できています。現地の人と比べると、かなり裕福なほうだと思います。

特にタイは農業大国で食べ物が豊富なため、物価を除いても食費がかなり安く、ガパオライスなどのご飯物は1皿40バーツ(約135円)ほどで食べられます。ときどきちゃんとしたレストランで外食をしたとしても、1ヶ月の食費は8千バーツぐらいです。家賃も光熱費込みでだいたい月に4千5百バーツほど。

保険に関しては、ビザの関係で入れる保険があるようで、病院も何度か行きました。1回の診察料が1,000バーツ以下なら、診察料をを払わなくていいという内容なのでとても便利です。

例えば風邪をひいて、診察代+薬代で800バーツだとしても、保険証を見せたら1バーツも払わなくてOKです。私はこれまでインフルエンザやものもらいになったり、歯医者で親知らずを抜いたりもしましたが、保険が使えましたし診療もしっかりしていました。

私の勤めている職場は首都郊外のかなり小さい学校なので、全体的に福利厚生はあまりちゃんとしていません。タイムカードなどもなく、残業代も書類に記入して自己申告制です。やはり大きくてちゃんとした学校であるほど、福利厚生もしっかりしている印象です。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:10万円

月収の内訳

  • 基本給:10万円

待遇

  • 残業代
  • 有給
  • 健康診断
  • 保険(1回の診察料が1,000バーツ以下の場合は支払い不要)

雇用形態

  • 専任講師 *正規雇用

勤務時間

  • 1日7時間 週6日勤務   *残業 1ヶ月合計12時間

長期休暇中の給与保証

  • 長期休暇がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

何度か教えたことがある課なら、特に毎回準備する必要はありませんでしたが、初めて教える内容になると準備が大変でした。日本語教師はサービス残業が当たり前の世界なので、初めはかなり大変でした。

今は初級クラスは慣れてきましたが、中級や上級を教えるときは一段と準備が大変です。時間の使い方に慣れてきてからは、隙間時間や授業内で学生に問題を解かせている時間などをうまく利用しています。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス5人
  • プライベートレッスン
  • 企業研修

学習者層

  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人

スケジュール

月曜日
  • 10:00~12:00  (N5)日系企業にて出張授業
  • 13:00~15:00  (N4)日系企業にて出張授業
  • 15:30~18:00  その日教えたクラスの引継書の記入・テスト採点、その他授業準備
火曜日
  • 9:00~11:00  初級クラス(1課分)
  • 13:00~15:00  初級クラス(1課分)
  • 17:00~19:00  (N5)日系企業にて出張授業
水曜日
  • 9:00~11:00  初級クラス(1課分)
  • 13:00~17:00  初級クラス(1課分)
  • 17:00~  その日教えたクラスの引継書の記入・テスト採点、その他授業準備
木曜日
  • 9:00~11:00  初級クラス(1課分)
  • 13:00~17:00  初級クラス(1課分)
  • 17:00~  その日教えたクラスの引継書の記入・テスト採点、その他授業準備
金曜日
  • 10:00~12:00  (N5)日系企業にて出張授業
  • 13:00~15:00  (N4)日系企業にて出張授業
  • 15:30~18:00  その日教えたクラスの引継書の記入・テスト採点、その他授業準備
土曜日
  • 9:00~11:00  初級クラス(1課分)
  • 13:00~17:00  初級クラス(1課分)
  • 17:00~  その日教えたクラスの引継書の記入・テスト採点、その他授業準備
休日 日曜日:一日休み

タイで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

実際に授業をしてみないと、何が足りないかとかがわからないとは思いますが、レアリアになるものをもっと持って行けばよかったと思いました。国にもよりますが、なかなか現地では手に入らないものが多いと思います。

特に初級クラスでは紙上の勉強ではつまらないし、学生もイメージできないと思うので、実物を使って会話練習などをすれば楽しく勉強できると思います。例えば、数字と「いくらですか?」を勉強したら、買い物をするというシチュエーションで会話練習をするために、商品・値札・お金などのレアリアがあると楽しいと思います。

準備しておいてよかったのは、初級クラスの各課の教案です。実際に教える前に、少しでも頭に入れておくとやりやすいです。イメトレしたり、学生がいる設定で1人で授業の練習をしてみるのもいいと思います。

教案作りで参考にしているサイトは?

教案作りで参考にしている書籍は?

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

私は学生時代にタイの山岳民族を支援する団体でボランティアを経験したことから、山岳民族などの裕福ではない人たちの役に立ちたいという思いがありました。

求人はバンコクの日本語学校などが多いのですが、バンコクはお金持ちであまりやる気のない学生が多いと耳にしていましたし、バンコクのような雑多とした都会にはあまり住みたくないとも思っていました。

そんな中、日本語教師の求人サイトで今の職場の求人を発見しました。今の職場は郊外にあり、農家出身の学生なども多く、山岳民族出身の学生もいます。また、日本へ渡航する予定の学生が多く、やる気のある学生が多いと聞き、やりがいがあると思い今の職場に応募しました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

海外で働く日本語教師に求められる第1条件としては、長く働けるかどうかだと思います。

旅行気分で来て、なんか違った!となって、辞める人が多いと聞きます。タイでもだいたい1年で辞められる方が多いそうです。できるだけ継続して働ける人が欲しいと思うので、そこに重きを置いた質問が多かったです。現地になじめる自信はあるか、両親は元気か、慣れないことにも前向きにチャレンジできるか、など聞かれました。

その他は、基本的な志望動機や日本語教師としての経験の有無、現地の言語や英語が話せるかどうかなどを聞かれました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

タイでの日本語教育の需要は少なからずあります。私の思う理由としては3点あります。

まず1点目は日本企業のタイ進出がここ数年でかなり著しいからです。メーカーの工場や、日本食レストランなど様々な企業が進出していて、そこで働くタイ人に向けた日本語教育が求められています。私自身も何社かの日系企業に出張授業をしに行っています。

2点目は技能実習生として日本へ働きに行くタイ人が多いからです。近年日本では地方での人手不足がひどく、農業や工場など外国人労働者に頼っています。タイ人からすれば出稼ぎになるので、Win-Winの関係が出来上がっています。私の勤務する職場も技能実習生がほとんどです。

3点目は親日家であることです。コンビニやスーパーでは日本の商品がたくさん並んでいるし、ドラえもんやクレヨンしんちゃんなども大人気です。日本食レストランもたくさんあり、タイ人も好んで利用しています。日本の認知度が高く、日本に興味を持っている人も多いです。

その他にも、タイを訪れる日本人観光客やタイに住む日本人の数も年々増加して、日本とタイの関係は今後ますます密接になっていくと考えられます。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

資格は特に必要ないですが、最低限の現地の言葉と英語が話せたらいいと思います。話せなくても現地スタッフ達がケアしてくれると思うので大丈夫ですが、話せた方が学生と直接コミュニケーションも取れるし安心してくれるので、信頼関係が築きやすいです。

また現地の言葉と日本語の違いを理解するという意味でも大切です。学生にとって日本語のどの部分が難しいかしっかりとわかっておくと授業でも教えやすいです。私も初めは全然話せなかったのですが、簡単な単語を覚えただけでも、学生との距離が近くなりました。英語は現地の人が話せない可能性もあるので、英語だけに頼り切らないほうがいいと思います。

また、日本の文化に関する特技があるといいです。折り紙でもいいし、日本料理が作れることや日本の歌を歌えることでもいいし、簡単なことでも現地の学生にとったら、未知なものなので興味を持ってくれます。何かしらの特技があればコミュニケーションの手段になるので、学生達の心を掴めると思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本村
    日本語教師のために求人サイトです。日本と海外での求人があります。合同説明会の情報なども掲載されます。
  • 日本語教師の集い
    こちらも日本と海外の求人が掲載されています。

国選びで重視した点

  • 治安
  • 親日国
  • 渡航経験があった

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 人気があり、一定数の学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 必須資格
  • 給与・待遇
  • 学習者の勉強目的

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 大学卒業

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

面接方法

  • 日本国内にて実施
  • skypeやzoomなどのインターネットツールを使用して面談

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

私は子供の時から海外に関わるような仕事をしたいと思っていました。大学生のときにタイで2週間ほどインターンシップ兼ボランティアに参加しました。そのときにタイに魅力を感じ、ぼんやりといつかタイで働いてみたいと思うようになりました。就職活動中も自分が何をしたいのかわからず、ぼんやりとしていました。

その後、食品メーカーに内定をいただき3年ほど働いていたのですが、本当にこれが自分のやりたいことなのかとモヤモヤしていました。やりがいのある仕事もたくさん任せていただき、成長できる職場ではあったのですが、心身ともに疲れている状態になっていました。

そんな中、以前から興味のあった日本語教師の養成講座を思い切って受けてみることにしました。日本語教師の資格があれば、言葉が話せなくてもどの国でも働けるという所に魅力を感じていたのですが、養成講座を受けているうちに日本語の難しさや、その日本語を教えることの難しさに奥深さを感じて、日本語教師になってみたいと強く思い始めました。

食品メーカーに勤務しながら、約1年間養成講座に通いました。3年目を終えるタイミングで当時の職場を辞める決意をし、退職しました。

その後タイでの日本語学校に無事就職し、現在に至ります。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

海外で働く日本語教師は、日本語が全くゼロの状態の学生を教えることが多いです。そんな学生達が、ひらがなも読めなかったのに、数ヶ月後には個人差はあれど日本語が話せるようになっているのを見ると、本当に嬉しいです。

現在に日本に留学している学生がいるのですが、その子は元々あまりやる気がなくちょっぴり不良な学生でした。

よく遅刻してきたり、居眠りしていたり、テストの点数も悲惨でした。そもそも勉強自体をあまりしてこなかったそうで、勉強の仕方がわからなかったそうです。初めは頭ごなしに叱っていたのですが、根は良い子で日本語が上手になりたいという気持ちはありました。

なので、どうやったら単語や漢字が覚えられるのか試行錯誤して、一緒にその子にあった勉強法を考えました。次第にその子もやる気に火が付いて、テストの点数もよくなり、語彙力も上がって、苦手だった漢字も書けるようになっていきました。生活態度も改まっていきました。

そして日本へ留学する前にJLPTのN4に合格することができたのです。合格して喜んでいる学生の顔を見たり、「先生、ありがとう」と言われるときが一番幸せです。

その学生が日本へ行ってからもときどき連絡をとっていますが、勉強が大変だとヒーヒー言ってますが着実に日本語が上手になっていて、本当に嬉しいです。本当に日本語がゼロだった子が、こんな話せるようになるなんて!と感動すると同時に、改めて仕事のやりがいが感じられます。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

日本語教師はあまり給料も良くなく、職場にもよりますが少し閉鎖的な部分も多いと感じています。なので、今すぐになりたいというわけではないなら、一度社会人経験を積んでから日本語教師になるのも1つの選択肢だと思います。

大変ではありましたが、私自身も民間企業に勤めながら養成講座に通っていたので、今すぐにと焦る必要はないと思います。学習者には日本の会社で働いている人も多いので、日本語教師になるまえに、社会について知っておくことも大切だと私は感じています。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

あまり給料のいい仕事ではないので、本当になってみたいのか、今の仕事を本当に辞めたいのか、など一度ちゃんと考えてみてください。決して安くはないですが、とりあえず養成講座に通ってみるのもいいと思います。

安易に、日本語教師いいよ!と勧められる職業ではありませんが、やりがいがあって楽しい仕事だと私は思います。本当になってみたいという気持ちがあるなら、ご自身の人生なので是非チャレンジしてみて欲しいです。

タイで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

日本人にとったら、タイは比較的住みやすい国だと思います。物価も安く、料理も美味しいです。また、日本では考えられない出来事が日々起こるので面白くて飽きません。

日本語教師は仕事柄、給料は良いとは言えませんが、やりがいのある仕事だと思います。特にタイは親日国で、国民性も人懐っこくフレンドリーです。また先生を敬う文化があるので、他の国に比べても働きやすいと思います。

日本の常識が通じないという点でも、自分自身の成長にも繋がります。私自身も、本当に価値観が変わったし視野が広がりました。悩んでいる方がいれば、是非思い切って行動にうつしてみてほしいです!

南・東南アジアの国・地域別 経験談

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