掲載日:

海外日本語教師経験談

アルゼンチン ブエノスアイレス 日本語学校(2016年) ラテンなアニメ好き学生達との楽しい授業

👩 こいせさん・ 42歳

総評

  • アルゼンチン ブエノスアイレス 日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:4年 (2013~2016年) *現在も勤務中
  • 月収:33,000円 (4,800 ペソ) *それだけでは生活は難しい
  • 勤務時間:1日1コマ 週4日勤務   *残業:1ヶ月合計8時間:授業の準備
  • 日本語教師養成講座420時間修了  天理教語学院 伝道実習科 日本語教育課程

日本から見て地球の反対側に位置するアルゼンチンですが、日本の映画やアニメ、漫画がきっかけで日本に興味を持ち、日本語を学びに来られていた方がほとんどです。

海外へ出て、改めてアニメ、漫画のレベルの高さに驚いたものです。

ファッションの一部であるタトゥーとして、自分の名前を当て字の漢字で腕に彫っていたり、体中にドラゴンボールの刺青を彫っている生徒さんがいます。脱いで見せてくれました。

またかばんにアニメの缶バッジを何十個もつけている生徒さんなど、日本で言うと、かなりオタクな方もいらっしゃいます。

現在一回1時間半の授業を週二回に分けて教えていますが、本当は1コマ1時間の予定でした。

しかしラテン時間がゆったりと流れるアルゼンチンでは、授業の開始時間ちょうどにクラスを始められることは皆無に近く、どうしても少し短くなってしまうので1時間半に変更となりました。

1セッションで何課まで進むという大体のカリキュラムはあります。

しかし基本的に最低限、それぞれの課で教えなければならない項目をクリアしていたら、後は割と自由に任せてもらえたので、クラスごとのニーズとカラーに合わせて、遊びを多く入れるクラス、真面目にテスト形式で覚えさせるクラスなど、柔軟に変えています。

教師は全員日本人で、学生さんにとって一番近い日本人であり、日本人代表だという自覚を持って、「学生さんに喜んで帰ってもらう」をモットーにしています。

日本文化の紹介もかねて、1セッションが終わるごとに「お疲れ様パーティ」と称して折り紙、おにぎりやお寿司、和菓子などの日本食を通して体験をしてもらって、喜んで頂いています。

基本給はなく、受け持った学生さんが支払った月謝を、学校側と教師とで半分に割るというスタイルの支払い方法なので、たくさんは入ってきませんが、日本語を一生懸命勉強している学生さんとのふれあいが楽しくて、教えることに生きがいを感じています。

フラッシュカードで口頭練習中

使用している日本語教材

クラスによって教材を変える

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

アルゼンチン人は基本的に週末の土日や祝日、冬休みや夏休みなどはしっかりガッツリ休みます。

別に休むことに文句はないのですが、その間に宿題をする習慣もないらしく、よほど日本に行く直前など、大きなモチベーションがない限りは、前に学習したことまですっかり忘れて、授業に来られます。

もちろん授業の最初には前回学んだところを復習するのですが、サラッと流したい部分なのに、時には授業の7、8割も復習に時間を取られてしまうことがあります。

給与

月収:33,000円 (4,800 ペソ)
それだけでは生活は難しい

学生の人数×月謝÷2(学校側と教師)という、結構特殊な給与方法ですので、メリットとデメリットがあります。学生が増えれば増えるほど給料は上がりますが、学生が辞めていけば給料も減ってしまいます。

一人で生活をしていける給与額ではありませんが、別に仕事があり、生活の足しにという感じなのであれば十分です。

私は現地で結婚もしており、主人の収入もありますので、自分の好きな日本語教育が出来て、家計の足しになる副収入程度に思っております。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:33,000円

月収の内訳

  • 1コマ90分:月謝×学生人数の半分が給与

待遇

  • なし

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 1日1コマ 週4日勤務   *残業 1ヶ月合計8時間:授業の準備

学校が定める学生の長期休暇の有無

  • 夏休み:50日・冬休み:2週間

長期休暇中の給与保証

  • 給与保証がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

生徒間のレベルの差が激しいクラスはとてもやりにくいです。

若い、パーティ好きな人が多いクラス、比較的年齢層が高い落ち着いたクラス、真面目なクラスなど、同じような授業の進め方が出来ない時、ある程度のブーイングは覚悟で、こちらのカリキュラムを通したりする時はちょっとしんどかったです。

そういう時は、飴とムチで、日本のお菓子を配ってテンションを上げたりもしました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス10人ぐらい

学習者層

  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人

スケジュール

  • 月曜日 19:00~20:30  初級クラス・レベル3を1コマ
  • 火曜日 19:00~20:30  初級クラス・レベル1を1コマ
  • 水曜日 19:00~20:30  初級クラス・レベル3を1コマ
  • 木曜日 19:00~20:30  初級クラス・レベル1を1コマ
休日 金・土・日
休日に取り組んだ仕事:金曜日はセミプライベートレッスンが入る事もある

アルゼンチンで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

オリンピックの選手ではないですが、日本を背負って海外に出るのですから、茶道やお花、習字や墨絵、武道などが出来たらもっと良かったと思いました。

他にもけん玉やあやとり等、日本のおもちゃ?も操れたらそれに越したことはありません。

アニメや漫画は好き嫌いがありますが、もし興味があれば読んでおくと、話題づくりとして非常に使えますし、学生さんは喜びます。

他に、準備したものではないのですが、京都出身というのはわかりやすく、うらやましがられました。

物に関しては、何かのお楽しみ時に小出しに出来る、現地にしたら珍しいお菓子はとても重宝しますので、賞味期限に気をつけながらも、もっともっと用意しておけばよかったと思います。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • みんなの教材サイト
    持っている絵教材だけでは足りないときに、イラストをこのサイトで探したり、ちょっと応用をかねて教室活動があったら、という時にお世話になっています。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き 対象: 初級
    教え方の手引きの第二版。以前のものは省略しすぎていて、まだ経験が浅い教師には使えないものでした。 こちらは、見本の教案プラス、例題文を自分で作れば基本の教案としてもありだと思います。私は自分の教案の見直しとして使っています。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

以前、語学留学でアルゼンチンにいた時にお世話になった関係で勤務することになりました。

日本で日本語教育の勉強をしていた時、アルゼンチンに戻れるかどうかは定かではなかったですが、アルゼンチンで日本語を教える、ということがいつも頭の片隅にあり、アメリカでの教授体験を得て、その後ようやく、その思い続けていた思いが叶ったと思います。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

アルゼンチンにもブラジルほどではないですが、日本からの移民がいらっしゃいます。

その子孫の方々への国語教育の需要が以前はあったようですが、3世、4世と代を重ねるうちに、日本語が話せない日系人がどんどん増えています。

ですから日本語を学びに来られる方のほとんどが、興味から始められる現地人です。

TOYOTAなどの大企業も進出していますが、企業自体が郊外にあるので、そこまで行ける日本語教師の派遣はわずかではですがあります。

トップの方々は必要があるならば、お金を出してプライベートレッスン、もしくは通訳で十分のようです。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

強みになる資格は特にないようです。

資格より、日本語教師としての経験値はあった方が有効ですが、事務手続きなどはすべてスペイン語ですので要注意。

英語は基本的に通じない国ですので、スペイン語が必須となります。

国選びで重視した点

  • 渡航経験があった
  • その国の母国語が得意

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 一部に人気があり、数は少ないが求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校の規模
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • なし

就職 選考方法

  • 紹介のため試験なし

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともとは日本で勉強したスペイン語を上達させるためにアルゼンチンに渡ったのですが、2年強現地に住み、スペイン語講座に通う中で、自分がこれといった強みを持っていないことに気づき、「何か手に職をつけなければ」と思うようになりました。

帰国後、スペイン語を習った学校に挨拶に行き、恩師たちと思いを話す中で、「日本語教育の勉強をしたらどうだ。」と言われたのがきっかけです。

私は結構、第六感といいますか、直感で物事を決めるのですが、先生の言葉がコトンと心に落ち、その時からもう自分の中では「日本語教師になって、また海外へ行く。」というビジョンが出来ました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

学期末などに学生さんが、「先生ありがとうございます。」と言いながらプレゼントなどをくれる時、感謝の気持ちが伝わってきてジ~ンとしちゃいます。

何らかの事情で辞めた学生が、私の誕生日にメールをくれたり、何年か経ってから「やっぱり先生に日本語を習いたいです。」とカムバックしてくれた時は、ものすごく嬉しかったことも覚えています。

他にも、「今度、日本へ行きます。」と報告に来てくれた学生さんもありました。

何でも、その方の彼女の親戚にあたる人が、スペイン語と英語が堪能で、日本語も少しわかる人というのを探していて、たまたまパーティの時に紹介されてトントン拍子に日本へ仕事で行くことになったとか。

「先生嬉しいです!ありがとうございます!」と満面の笑みでハグしてくれました。

などなど日本語教師をやっててよかったことは、他にも本当にたくさんあります。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

日本で日本語教師になりたいのであれば、四大卒以上を条件にしている学校がわりとあるので、ボランティア程度でないのなら、大学の副専攻で日本語教育をとった上で、大学を卒業された方が有利です。

それに、就職の際は「経験者重視」ですので、ボランティアや、プライベートレッスンでも良いので、とりあえず色んな経験を積み、様々な国の方との関わりをもったら役に立つと思います。

日本語という外国語を教える前に、自身が外国語を習う立場という経験も学生の気持ち、立場を考えられる先生になるためにも、とても良いと思うので、余裕があれば勉強すると良いのではないでしょうか。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

通信制の養成講座もありますので、勉強しながら色んなコミュニティのイベントなどにも参加し、外国人方との関わりが持てたら役に立つと思います。

さらに、語学のエクスチェンジなどが出来れば、自身も外国語が学べ、日本語を将来本格的に教えるための経験値にもなります。

アルゼンチンで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

日本語教育をしっかり勉強するのはもちろんのこと、スペイン語がある程度話せないと、大変だと思います。

JAICAを通して来られるのであれば、様々な日系人の方の保護下にも入れると思いますし安心ですが、単独で来られるのであれば、しっかり貯金をした上で、別の仕事も視野に入れながら、先ずはボランティアから始められた方がいいです。

・・・というよりボランティアしかないかもしれません。

アシスタントは日本人なら、割とどこでもさせてもらえると思いますが、給与面の保証はありませんので覚悟をして来てください。

日本にいる時から、日本人会や教連などとコンタクトをとって、アピールをすることをお忘れなく。

中南米の国・地域別 経験談

当サイト人気スクール 420時間養成講座