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海外日本語教師経験談

ブラジル 日本語学校(2014年) いつまでも自分自身の勉強を止めない

👩 kmmさん・ 39歳

総評

  • ブラジル 日本語学校
  • 期間:12年 (2002~2014年) *現在も勤務中
  • 月収:12,000円 (2,400円) *なんとか生活できる
  •  札幌国際日本語学院

ブラジルでは共通語であるポルトガル語があるので、ポルトガル語を覚えてしまえば、直説法よりも教えるのが簡単です。しかし、ポルトガル語で文法を説明できるようになるまでは時間がかかりました。

日本語の表現でポルトガル語に訳せないもの、反対にポルトガル語の表現で日本語に訳せないものの説明はとても難しく、そういった言葉は文化の違いなども背景にあるので、言葉だけではなく両国の文化もよく知り、授業の他にも文化を見せることができるような行事を入れていくことが大事だと思いました。

ブラジルには親日家が多く、日本に興味がある人も多いので、日本の情報も私自身で常に更新しておかなくてはいけません。今はインターネットを通して、日本のテレビ番組を見たり、マンガを読んだりできる時代になったので、生徒の方が私よりも新しくできた言葉を耳にする機会が多く、急に意味を聞かれても分からないことばも少なくないです。

生徒に納得がいく授業をするためには、いつまでも自分自身の勉強を止めることなく、新しい情報も求めていかなければいけないと学びました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

言葉の面では大変苦労をしました。青年ボランティアとしてこちらに滞在していた時は派遣先にも日本人の方が多くいらっしゃったので、ポルトガル語がそれほど分からなくても問題なく生活できました。

しかし契約が終わり、一人でこちらに戻って来たときはポルトガル語が分からなかったので、生活を立ち上げるために、また、立ち上げてからも大変でした。

特にこちらはクレームを言わなければ、相手の都合のいいようにされるケースも多く、例えば賃貸契約なども、入居前に壊れている部分などをしっかりとポルトガル語でクレームしなければ契約書にも記述されないので、賃貸契約が終わりアパートから出る場合に壊れているものを(入居前から壊れていたものも)修理するように言われることも多々あります。

授業においても教材の入手は大変困難です。書籍は全てサンパウロからの取り寄せか日本からの取り寄せになるので、その分の輸送料も高くなりますし、折り紙なども売ってはいますがかなり高額です。習字の道具などはなかなか手に入りません。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス 10~20 人

スケジュール

  • 月・水:19:00 ~ 20:30
  • 火・木:19:00 ~ 20:30
  • 土:08:00 ~ 10:00 今年はこのクラスのみ担当
  • 土:08:00 ~ 11:00
  • 土:14:00 ~ 17:00
  • 担当の先生が欠席せざるを得ない場合のみ、代理として授業を引き受けています。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • えいごばたけ
    教案を作る際、何を教えるかによって便利なサイトが変わってきます。名詞や形容詞を教える場合は絵カードを使うととても便利なので、私は英語カードの無料ダウンロードサイトなどで使えそうな絵(自分好みのもの)をダウンロードし、それを授業で使っています。例えば、名詞には次のようなサイトの文字無しをプリントアウトして使用します。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • みんなの教材サイト
    少し難しい読解問題なども含め、教材を豊富に揃えているサイトとしては「みんなの教材サイト」もお勧めします。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

私は17年ほど前に日本語教育養成講座を修了し、2年間札幌のボランティアグループで日本語を教えていました。

しかし、ボランティアで教えるためにはアルバイトの時間調整は必須で、教材などの準備に費やせる時間が限られてしまうので、正式な講師として働ける場所がないかと探していたところ、JICAの日系社会青年ボランティアプログラムのことを知りました。

そして、1999年に応募し、2000年から日本語教師としてブラジルに派遣していただきました。(勤務地の希望は告げませんでしたが、JICAの方でこちらに決定しました。)

契約が終わってから国際結婚し、再び同じ民間学校へ戻って引き続き授業をしています。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

ブラジルの文化や習慣もよく理解し、柔軟な授業ができる人が求められると思います。

ブラジルにいながらも、日本の文化を紹介できるような人、例えば、日本ではひな祭りや子どもの日に何をするかを紹介したり、箸の使い方を見せながら食事のマナーを教えたりすることができることも大事です。

生徒の日本語力もどんどん上がっていきますので、いつも向上心を持ち、生徒に追い抜かされることのないよう努力を続けるようにしておかなくてはいけません。

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

高校生時代にアメリカでホームステイをした際、ホストファミリーから色々な日本語の質問を受け、日本語を教えるのが楽しいと感じました。日本へ戻って日本語教育能力検定試験の存在を知り、過去問題集を買って読んだ時、自分は日本人であるのに日本語をきちんと理解していないことにも気づきました。

大学ではほかの言語を専攻しましたが、やはり日本語を教えてみたいという気持ちが強くあったので、大学卒業後に日本語教師養成学校へ通い、養成講座を修了した後、札幌のボランティアグループで教え始めました。

当時、日本では経験のないものが日本語教師として働くのは簡単ではありませんでしたので、ボランティアで教えた2年は実に掛替えのない大変貴重な経験となりました。

生徒が段々と日本語を覚え、使ってくれることで、「誰かに日本語を教えるために、日本語を勉強し、自分の知らなかったことを発見するのが楽しい」と感じ、日本語教師として生きていきたいと思いました。

日本語教師をやってよかった! どんな時に実感しますか?

普段の授業で生徒が難しい文法や表現説明を理解し、それを上手に使えるようになってくれた時にはいつも喜びを感じます。

また、生徒が何かの結果を残してくれた時、例えばスピーチコンテストで入賞したり、入賞できなくても私や本人が納得できる結果を残してくれた時、一生懸命日本語を勉強していたことで日本へ行くことができ、日本が大好きになって帰ってきてくれた時、私の教えた日本を実際に使ってみて何かの役に立ったと生徒から感謝された時などは、本当に「日本語を教えていて良かったな」と感じます。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

今まで一度も日本語教師を辞めたいと思ったことはありません。

日本語を教えることにより生徒が私に喜びを与えてくれますし、何より自分の勉強になるからです。日本語教師は自分の天職だと思っています。

日本語を教えた小さな生徒が勉強を続けながら大きくなり、数年後に会った時に思いがけず声をかけられ、まだ日本語の勉強を続けていると聞くと、他では得ることのできないような喜びを感じます。

生徒に日本語を通して日本のことを知ってもらい、日本語、日本人、日本が大好きになってもらえることが私の目標です。生徒の日々の成長を見ることが私の毎日の糧になっています。

ブラジルで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

ブラジルは、地域によっても温度差が違いますが、気候や習慣なども日本とはまるで違います。まずは、こちらの土地に慣れることが第一です。ブラジルは友達になれば、困ったときに色々と助けてくれる人が多いので、友達を作り、生活の基礎をしっかりと築くことが大事だと思います。

そして、毎日を気持ちよく過ごすことができれば、自ずと授業に取り組む意欲も増しますし、生徒との接し方も良くなっていきます。

授業には仕事を終えて疲れてくる人も多いかもしれませんし、こちらの人の性質上、単調な授業ですとすぐに飽きてしまいます。

ですので、クラスの人数に関わらずペア、またはミニグループを作り会話を練習させたり、自分たちで既習事項を使い会話を創作させ、クラス全員の前で発表させたりと眠くならない授業にしたり、生徒がとても疲れていると感じる日は日本語でゲーム(フルーツバスケットやビンゴなど)をして気分転換をしてあげることも大事です。

またブラジルでも一年に一度、日本語のスピーチコンテストがあるので、そういう行事に参加させてみるのもいい経験だと思います。

ブラジル人はとにかく明るくて楽しい授業を好みますので、メリハリをきちんとつけた授業にすることがポイントだと思います。

「日本語スピーチコンテスト」
上級クラスの生徒は参加を義務づけられているので、3ヶ月以上前から練習を重ねます。

「ひな祭りのイベント風景」
歌を歌ったり、折り紙を折ったりして、楽しみながら日本の文化を知ってもらいます。

「絵画コンクール風景」
日本に関連したことをテーマに絵を描いてもらいます。マンガ部門と絵画部門があり、5歳から18歳までの生徒たちが参加します。

「先生のための講習風景」
写真は私が「教案の大切さ」について講習を行った時のものです。先生たちがグループで教案について考え、実際に教案を書き、それに基づいて模擬授業を行いました。

今後どんな日本語教師になりたいですか?

常に自分の生徒の将来のことを考えて、授業を進めていくようにしたいです。

一番最初の授業でニーズ調査を行い、生徒とよく話し合った上で、生徒がどのようなものを求めているかを知り、将来必要になりそうなものを推測して慎重に授業の準備をするという自分のスタイルは、いつまでも続けて行きたいと思います。

自分が教えた日本語を、生徒がいつ、どこで使っても恥ずかしくならないように、いつも生きた日本語を教えるようにしていきたいです。

生徒とはいつもオープンな関係で、日本語についてばかりではなく、日本人や日本という国についても疑問や不安があれば、それを取り除くお手伝いができるような関係を保っていきたいです。

中南米の国・地域別 経験談

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