韓国 京畿道 語学院（2021年） 仕事は楽しくやりがいを感じるが、生活は苦しい

私は韓国の語学院で日本語初級クラスと上級クラスを担当しています。仕事をしながら感じたこととしては、韓国の学生は全体的に授業に対する姿勢が良く、発言や質問等を沢山することです。成人学校なので、仕事終わりにくる学生も多いのですが、課題も手を抜くことなく、予習もしっかりして来ます。

また、韓国語と日本語は似ている言葉や文法が多い為、韓国語をそのまま翻訳して日本語の文書を作ろうとする人が多いです。ですが、実際には似ている言葉でも全く意味が違う言葉が多いです。(例えば、「無視」という言葉は韓国では馬鹿にするという意味になります。)

なので、韓国語を翻訳して日本語にするのではなく、直接日本語が出てくるように、できるだけ初級クラスでも直接法で授業を行うようにしています。

授業をするにあたって、いろいろ工夫したり心がけていることはありますが、上級も初級も共通して、一番大事なのは、授業の雰囲気だと思います。授業の雰囲気によって生徒達の授業態度も本当に変わってきます。

発言や質問をしやすい雰囲気、明るくて楽しいなって思ってもらえる雰囲気を作ることが授業をするにあたって何よりも大事だなって思います。

先生としてはやりがいを感じますし、仕事をしていて楽しいですが、お給料に関しては本当に少ないので生活が大変です。たまにプライベートレッスンが入るとまた給料も変わってきますが、それでも十分に満足できる金額ではありません。

韓国の生徒たちの大半は日本のアニメや漫画が好きです。日本語をアニメや漫画を通して勉強している為、言葉遣いがアニメのキャラクター風になってしまっている生徒や男性なのに言葉使いが女口調になってしまっているケースが多々あります。少しずつ直していくしか方法はないですが、なかなか直らず今でも苦戦しています。

給料に関して本当に常にギリギリの生活を送っている感じがあります。基本的に家賃や電気・ガス代が日本に比べて安いので、生活できないわけではないですが、貯金は一切出来ません。

日韓関係が悪化してから学生が減り、プライベートレッスンも減ってしまいました。生徒が来ない時間に関しては授業を無くしたり、その時その時の状況で授業数や給料が変わってきます。逆に生徒が増えるとコマ数が増えたりします。

学校によりますが、私の学校では福利厚生などはほとんどありません。

日本語教師として働き始めた時は、授業準備に追われてあまり休む時間はありませんでした。

ですが、初級の場合一・二学期を終え生徒を中級レベルに送った後、また繰り返し一学期の授業を行うので、大変なのは初めだけでした。初級も上級も、今ではだいぶ慣れてきたので授業準備に追われて休めないということはないです。

準備して良かったものはダイソーに売っているひらがなカードです。初級の授業でカルタみたいにしながらゲーム感覚で取り入れています。

準備すべきだったものは、日本地図や人生ゲームなど日本でしか買えないカード式のゲームなど買って来ればよかったなと思います。（上級でも使えるように）

私が就職活動をしている時期にちょうどタイミングよくここの学校が上級クラスの先生を募集していました。その募集を見て、わたしが担当できそうな授業内容だったので、履歴書を送ってみたところ、連絡が来て面接をすることになりました。

事前に２０分程度の授業を準備してきてくださいと案内がありました。特に授業内容の指定はありませんでした。また、志願理由・なぜここを選んだのか・韓国語はいつから勉強しているのか・韓国語はどのくらいできるのか等聞かれました。

今年の頭までは日本語教育の需要がまだあるなと感じていました。しかし、日韓関係が悪化するにつれ、学習者が一気に減ってしまいました。

また、コロナの影響で日本へ留学することが難しくなってしまった為、日本に留学することを目標にしている学生がほとんど学校をやめてしまいました。今後、再び学習者が戻ってくるまで相当時間がかかる気がします。

海外で働くにはやはりその国の言葉を話せた方が良いと思います。授業は日本語で行われるにしても、契約時や会議などはその国の言語で行われると思います。何か困った時や納得いかない時に、その国の言葉で強く意見を言うためにも必要だと思います。

また、日本語教師としての資格に関しては、私自身４２０時間の養成講座を卒業していますが、４２０時間の養成講座を受講して本当に良かったなと思います。学校にもよりますが、私の学校は教育も特になく、いきなり授業を任せられました。

私は420時間の養成講座で学んだ方法で授業をしていますが、日本語教師の資格なく、４２０時間の養成講座も受講していない方が海外でいきなり授業を任せられた時、もしかしたら大変な思いをするかもしれません。