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海外日本語教師経験談

韓国 清州 日本語学校(2018年) 報酬は低いが、システムは整い、やりがいがある

👩 ゴマ団子さん・ 47歳

総評

  • 韓国 清州 日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:1.5年 (2017~2018年) *退職
  • 月収:19万2,000円 (192万ウォン) *なんとか生活できる
  •  LEC東京リーガルマインド
  • 勤務時間:学校:5時間 週5日勤務 企業:1.5時間 週2日勤務   *残業:残業なし

韓国には、日本の文化が多く入ってきているので、学習者は日本を身近に感じながら勉強できます。日本語教育の教材は充実していますし、教育システムも整っています。

日本留学を目指している学習者、会社での昇進やビジネスで日本語を必要としている学習者が多く、毎日出勤前や退勤後に語学学校に通い熱心に勉強しています。

学習者は勤勉ですし、数ヶ月間一緒に勉強していると成長が見て取れるので、準備にも力が入ります。

色々な人と出会えますし、日本にかかわっている人や、興味がある人と文化をシェアできるのは楽しいです。学習者と楽しいコミュニケーションが取れたときには本当にうれしくなります。

社会人中心の語学学校では、授業が早朝と夜間にあり、日中の空き時間に授業準備や企業への出向授業をします。授業準備にはかなりの時間を取られます。常に忙しく、プライベート時間の確保が難しいですし、体力的にも大変です。

給与は、授業準備に費やす時間を加味すると、よくはありません。他の国に比べれば高い方だとは思いますが、物価も高いので生活には節約を強いられます。

私は、韓国の地方の工業団地にある民間の日本語学校で教えていました。

中級の学習者は、ほぼ20代の会社員で、筆記は得意ですが、会話は不得手で発話には消極的という人がほとんどでした。

一言でも多く発話してもらうために、学習者から学習者に質問を投げかけるチェーンドリルに時間を多くとっていました。

モチベーションをあげるため、実際のメニュー、広告、観光マップ等を取り入れて会話練習をし、次の休暇には日本旅行に行ってみようという気持ちを起こさせるようにもしていました。

上級クラスは、実際に日本語を使って仕事をしている人が多く、教科書だけの授業では時事性が乏しく興味を持ってもらえないので、新聞や雑誌の記事に手を加えた時事性のあるものを頻繁に授業に取り入れていました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

授業は月に20日間でしたが、中級は交代勤務の学習者が多く、数日続けて欠席せざるを得ない人が多数いました。常に3~5人は欠席でしたので、授業進行が難しかったです。

欠席者には携帯メッセージで授業の進行状況を連絡し、教科書の自習を促していました。

授業は、数日前の復習にもかなりの時間を割きながら進めましたので、進度は遅かったですが、全員がんばってついて来てくれました。

反日感情が根底にあるので、日韓関係が悪化すると反日の話を振ってくる学習者が時々いました。(大部分の学習者は、逆に、こんなご時勢だけれど大丈夫ですかと心配してくれました)

私の場合は、無表情で頷いたりせずに取りあえず話を聞き、話がひと段落ついたら次の文型に進んでかわしていました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

体力的にきつかったというのが一番の理由です。

早朝と夜は授業、日中は企業への出向授業、授業準備、家事で休めませんでした。

語学学校の授業を終え帰宅し、色々と用事をしていてたら0時が過ぎますし、朝の5時前には起きて身支度しなければいけないので、寝坊してはいけないと気になって熟睡できず、平日はいつも疲れていました。

給与

月収:19万2,000円 (192万ウォン)
なんとか生活できる

私の場合は、夫と共働きのため、生活に関する不安はありませんでした。非常勤講師でしたので、福利厚生はありませんでした。

専任講師でしたら、社会保険や健康保険があります。

同僚の、日本から1年だけ来ていた専任講師の先生のケースですが、往復の飛行機チケットと家の保証金を学校側が支払っていました。

家は、家電付ワンルームでしたが、布団や基本的な生活用品を揃えるのにお金がかかったようですし、家賃や外食費も日本と変わらない価格で安くはないため、節約生活をしていたようです。生活はできるけれど、貯金は全くできず、自転車操業だと言っていました。

韓国では、正社員でも交通費の支給がありません。日本に比べて交通費は安いのですが、私の場合は早朝と夜の2往復していましたし、企業へも授業に出向いていましたので、結構な額になりました。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:19万2,000円

月収の内訳

  • 時給 学校での授業:1,500円 *企業への出向授業:3,500円

待遇

  • なし

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 学校:5時間 週5日勤務 企業:1.5時間 週2日勤務   *残業 残業なし

長期休暇中の給与保証

  • 長期休暇がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

早朝と夜の授業に加え、企業での授業があれば派遣され、通勤に時間がとられました。

また、数種類の授業をするので、準備にかなりの時間を要し、準備に追われていました。
初級や中級は数ヶ月毎に同じところの授業をしますが、それでも手直しは必要でしたし、上級クラスのテキスト文には、常に新しいものを作成していたので大変でした。

日曜はできるだけ授業準備のことは忘れ、リフレッシュするようにしていました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス10~15人

学習者層

  • 社会人

スケジュール

  • 6:20~8:30  中級クラスを1コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
  • 12:00~16:00  宿題の添削、教案作成
  • 18:00~21:20  中級クラスを2コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
火曜日
  • 6:20~8:30  中級クラスを1コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
  • 12:30~14:00  企業への出向授業 基礎クラス
  • 15:00~17:00  宿題の添削、教案作成
  • 18:00~21:20  中級クラスを2コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
水曜日
  • 6:20~8:30  中級クラスを1コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
  • 12:00~16:00  宿題の添削、教案作成
  • 18:00~21:20  中級クラスを2コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
木曜日
  • 6:20~8:30  中級クラスを1コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
  • 12:30~14:00  企業への出向授業 基礎クラス
  • 15:00~17:00  宿題の添削、教案作成
  • 18:00~21:20  中級クラスを2コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
金曜日
  • 6:20~8:30  中級クラスを1コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
  • 12:00~16:00  宿題の添削、教案作成
  • 18:00~21:20  中級クラスを2コマ、上級クラス(フリートーキング)1コマ
休日
  • 土曜日:5時間程度 宿題の添削、教案作成
  • 日曜日:月曜の早朝授業案の見返し(1時間程度)

教案作りで参考にしているサイトは?

  • みんなの教材サイト
    初級、中級のアクティビティーや、読解の素材をよく利用しました。素材が豊富にそろっていますし、他の先生方が投稿された授業案やアイデアも大変参考になります。
  • NHK NEWS WEB
    上級フリートーキングの導入テキスト文として使いやすかったです。500~600字程の文章で、手直して利用していました。NHK NEWS WEB EASYは易しい言葉で書かれているので、基礎レベルで利用していました。
  • AERAdot.
    上級フリートーキングで使用していました。1500~2000字の文章で、週末に読んできてもらい、月曜の授業で使用しました。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 楽しく話そう:文化初級日本語会話教材 対象: 初級・中級
    中級にあがったばかりのクラスは、文法はよくできるのに、話すことに慣れていない人が多く、発話にも消極的な人がほとんどでした。言いたいことを声に出す、話すことに慣れてもらうために利用していました。易しい文法を復習しながらロールプ レイができるので、気楽に取り組んでもらえましたし、積極的に話せるようになっていきました。
  • にほんご敬語トレーニング 対象: 中級・上級
    中級の中頃から、敬語の定着のための練習に使用しました。まず、テキストのモデル会話を聞き、状況や人物の立場、尊敬語・謙譲語・丁寧語の分析させました。その後、声のトーンや前置きにも気をつけながら練習し、最後に、ペアでロールプレイを作成して発表してもらいました。敬語を繰り返し練習することで、少しずつ身についていきました。
  • 音声を教える (国際交流基金日本語教授法シリーズ2) 対象: 全レベル
    正しい発音をするための具体的な練習方法が詳しく書かれています。韓国人が苦手な発音を中心に度々取り入れ、音の違いを意識させるようにしていました。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

前職では派遣会社に登録し、企業への出向授業をしていましたが、夫の転勤、引越しにともない退職、無職でした。

タイミングよくこの学校の求人があり、応募しました。

この地域には他に日本語学校はなく、給料も相場でした。面接の時の学院長や主任の印象もよかったので、安心して働けそうだと感じ、この学校に就職することにしました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

事前に、20分程のやりもらいの授業を準備してくるように連絡があり、学院長と日本語科主任の先生の前で模擬授業をしました。

その他、経歴、どのような学習者に教えてきたか、授業で使用したことのある教科書について質問されました。

模擬授業はだいたいどこの語学学校でも課せられると思います。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

四年生大学卒業なら、特別な資格がなくてもフリートーキングの教師で採用されることがあります。しかし、基本的には短大以上卒業で、日本語教師養成講座420時間修了が最低限必要な条件です。そして、社会経験も重要視されます。

日本語に加えてEJUの総合科目が教えられると採用されやすいですし、活動の幅がぐんと広がります。大学で教えるには、修士・博士でなければいけません。

特に語学学校では、若くて友達みたいな先生を好む傾向にあり、年配は採用されないケースが多いです。

日本人の日本語教師は、会話中心の授業を担当することが多いですが、日本語の文法をきちんと消化しておかないと難しいと思います。

また、 韓国語の基礎文法だけでも勉強し、日本語との違いを知っていると、学習者の日本語をより自然なものに近づけられると思います。

韓国の日本語教育は、教材も教育制度も充実しているので、日本語教師の高い能力が求められます。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本村
    国内外での日本語教師の求人
  • jegs International
    国内外での日本語教師の求人
  • saramin
    韓国の求人サイト。韓国在住の日本人対象のものが多い

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 給与・待遇
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 大学 日本語教育主・副専攻
  • 社会人経験

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

面接方法

  • 現地にて実施

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

会社の同僚を通じて知り合った日本語教師の方がいらっしゃいました。色々な国で日本語を教えていらっしゃった経験談を聞くうちに、日本語教師という職業に魅力を感じました。

また、ダイビングが趣味で、一定期間東南アジアに住み、もっと上のライセンスを取得したいとの思いがありました。

現地で生活費だけでも稼げるように、興味のあった日本語教師になろうと思いました。

日本語教師をやってよかった! どんな時に実感しますか?

やはり、学習者が「目標を達成した」と喜びの報告をしてくれるとうれしいです。

日本語能力試験に合格した、会社の日本派遣の選考に通った、取引先の日本の会社と契約できた等、学習者の人生の1ページにもかかわれることの喜びは大きいです。

日常では、「日本の動画を見ていたら、その日習った文法や単語が突然聞き取れた」と話しているのを聞くと、気持ちが高揚します。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

授業と宿題の添削、授業準備にかなりの時間を費やしている割に、給料は低いです。また、早朝と夜の授業で疲れもどんどんたまりますし、自分の時間もあまり取れません。

働いても働いても手元に残るものがあまりなく、虚しくなり、辞めたいと思うことがよくありました。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

大学で日本語教育専攻をするか、日本語教師養成講座を修了して日本語教師になるのが一般的だと思います。

修士や博士であれば、韓国の大学でも教えることができ、待遇はぐんとよくなります。

社会人学習者は、ビジネスマナーやビジネス全般で使われる日本語を必要としている人も多いです。ビジネスの一般常識や、ビジネス日本語も勉強しておかれることが望ましいと思います。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

日本語教師養成講座を修了するのが一番いいと思います。

養成講座で、教授法を学び模擬授業をこなした事が、実際に授業をする時の基盤になります。また、養成講座で共に学んだ仲間は、後々、情報交換したり、励ましあったりと心強い味方になってくれるので、友好な関係を築いておくことも助けになります。

そして、日本語教育能力検定試験に合格しておくと、よりいいと思います。

韓国で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

学習人口はまだまだ多く、日本語教育の土壌もしっかりしています。

報酬はあまり良くはありませんし、常に忙しいですが、色々な人と出会えますし、やりがいがあり楽しい仕事です。

時間管理、体調管理をしっかりし、 滞在目的を明確にしながら働くことが重要だと思います。

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