元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

日本語教師 経験談 インドネシアの大学

学生の質は良く生活面も良好、唯一悩みの種は給料の安さ

公開:2019/11/20

ちょろすけ(男性・31歳) 
日本語教師歴 2年 (2017年~2019年)
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程 インドネシアでの教育指導経験5年
インドネシアの大学
経験詳細
  • 地域:ジャカルタ
  • 月収:7万円(9万ルピア)
    現地で生活をするのに十分
  • 専任講師(正規雇用)
  • 2年(2017年~2019年)
    *現在も就労中

私はインドネシアが好きで、大学卒業後すぐにこちらに赴任してきました。当初は日本人に教えていましたが、やはり現地の人のために働きたいと、2017年に転職しました。賃金は従来の半分以下に下がり、かなりの痛手ですが、毎日屋台の食生活でも全く問題がないのでなんとかやりくりしています。

前職時代に貯めた資金を資産運用に回しており、微々たるものですが毎月お小遣い程度にはキャッシュバックされています。インドネシアにおいて、「教育」は未だに軽視されており、給与水準が低いのが現状です。

また外国人にとって最大の敵は就労ビザです。私の場合、同業種間の転職でしたので教育省に名前が登録されており、前職の経験が認められ発給されましたが、外国人への教育関連のビザ発給は制限されています。

次の5年間、発給されるかどうか保証がないため、私は今年度中にインドネシア人と結婚する予定です。政府間プログラムである国際交流基金が実施する日本語ボランティアであっても、ビザ問題からインドネシアに限り、大学へのネイティブ派遣が出来ない状況です。

ただ授業や生活に関しては全く問題がありません。インドネシア人の学生は非常に純粋で、授業に真剣に取り組みますし、こちらのボケやギャグにはしっかり反応してくれますので、日本の子どもに教えるより正直やりやすいです。

しかし、ノートを取る習慣、また自ら考え応用することが出来ないため、そのあたりは日本流をしっかり定着させなければなりません。特に本学では日本式のものづくり、人づくりを掲げていますので、特に力を入れています。

生活に関しては約2万人の在留邦人を抱え、日系企業も多数進出しており、やや贅沢をすれば東京にいるのと全く変わらない生活も送れます。街中にはファミリーマートやローソン、大戸屋、ペッパーランチ、吉野家、丸亀うどんが軒を連ね食生活には困りませんし、邦人向けの医療サービスも充実しています。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

学生は真面目で非常に純粋です。まるで日本の小学生のような感じです。実際、精神年齢が実年齢より若く、日本の中学生に教えるくらいのノリがちょうど良いと感じていますし、他の日本人教師ともそのような見解で一致しています。相手を大学生だと思って教えると失敗します。

そもそも実際のクラスも1クラス30名~40名の学生が入っており、雰囲気からしてまるで中学校の教室です。インドネシアでは小・中・高の間に主体的に動くという教育を実施していません。

ですから、学生は先生から言われたことしかすることが出来ません。ましてや、1を聞いて10を知るということはどう頑張っても出来ません。また応用問題を貸してみても、まず例としてみんなで解かないと、思考が止まってしまいます。

つまり、基本文法を教えた後、いかにに例文をたくさん学生に作らせ、こなすかが、使える日本語力を養うカギになっています。インドネシア人教師はこれが出来ないため、学生を成長させることが出来ません。「みんなの日本語」テキストの丸暗記になってしまうのです。インドネシア人教師が作るテストもテキストの丸写しです。

このほか、日本語に限らず、インドネシア人を教育する上で一番注意しなければならないのは、怒ってはいけないということです。インドネシアにおいて、怒ること・怒鳴ることは最も恥ずべき行為です。先生が怒るというと、こちらが悪者になってしまいます。

ですから、学生自体が生まれてから怒られたことがなく、日本人に怒られたものなら、次回からその授業に来なくなってしまいます。辱しめを受けたと考えているのです。日本人ならば、怒られて伸びるわけですが、インドネシア人には全く通用しません。

給与・待遇

月収 月収:7万円
月収内訳
  • 基本給:4万円
  • 食費:1万円
  • 住居費:2万円
基本労働時間 1日8時間 週5日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
  • 住居費用負担
  • ビザ申請費用
クラスの長期休暇
  • 前期終了後:概ね25日
  • 後期終了後:概ね50日
  • 断食明け:概ね7日間
クラスの長期休暇中の
給与保証
その教育機関で給与が発生する仕事がある

給与や待遇については、日本人からすると悪いと感じます。特に福利厚生はインドネシアにそのような文化がないため、ゼロに等しいです。日本人が一番気にするのは保険かと思いますが、保険には自費で加入するしかありません。しかし給料にそのような余裕がないため、私は健康体でいることを信じて加入していません。

また日本で言うボーナスもありませんが、断食明け後にTHRと呼ばれる特別な賞与があります。基本は給料1か月分が支払われますが、勤続年数によってアップするようです。

現在、私が住んでいる住居はコスと呼ばれる日本で言う学生アパートのようなものです。しかし、施設は非常に綺麗でシャワー・トイレ・冷房も各部屋に完備され、Wifi・掃除・洗濯のサービスもありますので生活には全く困りません。

毎日のコストは、大学までの往復バス代15000ルピア、食事代50000ルピアくらいです。学生時代から東南アジアでバックパッカーをしていた身からすると、十分な暮らしをしていると感じています。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

現在、インドネシアでは日本語を教える大学が増えています。中でも待遇が良いのは、華人クリスチャンが経営する大学です。

私の大学は中間層のインドネシア人ムスリム向けの大学ですので、年間の学費は20万円ほどです。

しかし、華人向けの大学にもなれな年間100万円くらいと日本と遜色はありません。勤務スケジュールがシビアな部分もありますが、教える相手が華人でも構わないと言う人は、そのような大学を選んだほうが良いでしょう。給与にも数倍の開きがあると言われています。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス30人
学習者の年代 大学生
1日の時間割 月曜日
  • 8:00~9:40  
    会話Ⅰ-2
  • 10:00~11:40  
    会話Ⅰ-1
火曜日
  • 10:00~11:40  
    学科ミーティング
  • 12:30~13:40  
    会話Ⅱ-3
水曜日
  • 8:00~9:40  
    会話Ⅰ-2
  • 12:30~13:40  
    会話Ⅰ-1
  • 14:00~15:30  
    会話Ⅱ-2
木曜日
  • 10:00~11:40  
    学科ミーティング
金曜日
  • 10:00~11:40  
    会話Ⅱ-3
  • 14:00~15:30  
    会話Ⅱ-2
休日 土日
休み。ただし弁論大会などのイベント時除く。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

学生相手に教えるだけでなく、近年頻繁に来訪がある日本からの来客への対応が一番大変です。特に、アルバイトやインターンシップを歌った技能実習の人材あっせん、及び特定技能関連の人材派遣会社が学生が欲しいと毎月のようにアポなし訪問をしてきます。

大学としてはこのような人身売買とも言える事業に手を貸すつもりはありません。丁重にお断りをしていますが、キリがありません。

また、学生には留学希望者も多い為、その学生の対応、また日本に行った学生の管理などもありますので、ギリギリのところで回しているというのが正直なところです。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • みんなの教材サイト
    日本人にとって文法事項などは必要ありませんが、画像や動画、イラストが掲載されているのでパワーポイントを作る際などに活用しています。
  • 常用漢字筆順辞典
    学生のほとんどがひらがな・漢字の筆順がデタラメです。ただ、私自身漢字の書き順を忘れている部分があるので、学生には必ずインストールさせます。
  • アルク
    授業づくりの参考にしています。
参考になる書籍

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

日本語のテキストはジャカルタでも多く手に入りますが、日本の文化やビジネスマナーの本はなかなか手に入りません。ただし、日本の協力大学からの支援もあり、毎年100冊規模で本の発注を行っています。

JLPT対策本の他は日本の文化やビジネスマナー、また地理・地誌を学べるものがほとんどです。

就職活動

国選びで重視した点
  • 渡航経験があった
  • 物価の安さ
  • 気候
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 学校の規模
  • 学習者数
  • 日本に多くの協力大学がある
応募時に
必要とされた資格
なし
選考方法 紹介のため試験なし

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

インドネシアの日本語学習者数は中国に次いで、世界で2位と呼ばれています。これは高校の必修科目として第二外国語が課せられており、その際に日本語を選ぶ学生が多かったことによるものを言われています。

しかし、その需要の反面、日本語を教えられる教師が圧倒的に不足しており、教師不足から日本語の授業を廃止してしまった高校も多くあります。そのため、現在日本語学習者数は減少傾向にあります。

それでも、インドネシアには、東南アジア随一ともいえる多くの日系企業が進出し、日本語が話せるというのは就職の際にアドバンテージになっています。

本学の卒業生の3分の1程度が日系企業に就職しています。また、日本国内の人手不足から、日本でのインドネシア人需要も非常に高まっています。

中国の経済発展で、今後日本で働く中国人は激減すると見られています。その穴埋めをするのはインドネシア人やベトナム人になることが予想されます。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

特に資格は必要ありませんが、ビザ取得を考慮すると大学院を卒業している方が無難です。現在、大卒の外国人にはビザが発給されにくい状況です。

また、人と人との付き合いになりますので、いかに現地に溶け込めるか、またインドネシア人と相性が合うかということになると思います。

東京と同じレベルでの生活が可能とは言え、何が起こるかわからないインドネシアです。図太い神経と根性が何よりも重要だと思います。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
セルナジャヤ
インドネシアに特化した求人情報サービスです。そのほかにも現地情報や留学関係の事業も掲載されています。
その他求人情報
ブロックMの酒場:
週末の夜になれば駐在日本人たちが多く集まります。ここで様々な人々と繋がり、情報交換するのが近道だと思います。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

きっかけは知り合いからの紹介です。しかし、この大学はインドネシアにおける日本語教育の老舗でもあり、日本との関りが非常に強いことから、勤務を決めました。

流ちょうな日本語を話すインドネシア人教師、職員も多く、日本からの来客も頻繁にあることから、やりがいがあると思いました。実際は、業務が多岐に渡りかなり大変ですが、ここでしか出来ない経験をさせてもらっていると感じています。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

日本の世界における相対的地位が落ちている中、将来日本の味方となってくれる人々を増やすこと、つまり日本語教育は急務です。

特に、インドネシアは親日国であるだけではなく、数十年後には経済面で日本を追い越すことが予想されます。今は日本がインドネシアを援助している状態ですが、いずれこの立場は逆転すると考えています。

そんなとき、インドネシアが日本を助けたくないと言ったらどうしますか?そういう危機意識もあり、日本語教育にあたっています。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

やはり、学生が先生と言って、自身を慕ってくれることです。廊下ですれ違うだけでも、インドネシアの学生は必ず声を掛けてきます。

特にこれといった能力もない自分ですので、自身の持っている日本語力がこのようにインドネシアの学生たちのためになっているというのが一番の喜びです。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
教育系の学部に入り、しっかりと教育について学び、出来れば海外での教育実習をしてください。日本国内での実習とはまた違った経験を得られると思います。インドネシアでは特に、学歴やその内容を重視します。しっかりと関係のある学部を出ていることがアドバンテージになるでしょう。

【社会人の方へ】
いきなり海外で教えるというのは難しいかもしれません。まずはJICAや国際交流基金が実施する日本語ボランティアのようなプログラムに申し込み、まずは実際に経験してみることからではないでしょうか。そこから色々なつながりが出てくると思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

日本語を教えたいというだけでは、挫折したとき立ち直れません。それよりも、何故インドネシアなのかをよく考えてください。正直、ネズミもゴキブリも毎日出ます。スケジュール通りになど何も進みません。そんな中でやっていく覚悟をもって挑んでください。

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