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海外日本語教師経験談
ペルー アレキパ 高校(2016年) 日本語を教えるだけではない仕事
👩 アレキペーニャさん・ 34歳
総評
- ペルー アレキパ 高校
- 雇用形態:非常勤講師
- 期間:1年 (2015~2016年) *退職
- 月収:12,000円 (400ヌエボソル) *それだけでは生活は難しい
- 勤務時間:1日2コマ 週5日勤務 *残業:残業なし
- 日本語教師養成講座420時間修了 BBI日本語教師ネットワーク
私が勤務していたのは、ペルー人が通う私立の高校で、第二外国語として英語と日本語を教えている学校でした。そのため、特に日本にルーツがある学生がいるわけではなく、日本語を学びたいと思っていない学生もいました。私立の学校でしたが、裕福なわけではなく教材も全くない、音楽室や理科室などもない、日本では考えられないようなシンプルな施設で最初は本当に驚きました。
南米の文化だと思いますが、学生たちはとても活発です。授業中も自由に発言してもいいスタイルなので、どんどん質問してきますし、学生同士で勝手に議論を始めることも日常茶飯事でした。
黙って机に座り、先生の話を聞くことが当たり前の日本で育った私には、管理しきれず戸惑うことばかりでした。
文化の違いに加えて、始まったばかりの頃の私はスペイン語があまり話せなかったので、休み時間などにも学生たちとコミュニケーションをとることができず、溝があったように感じます。
一学期が終盤に差し掛かった頃、私のスペイン語もだいぶ上達してきて、学生たちと会話を楽しみ、授業を妨害する学生の対応にもうまく慣れてきました。「先生、スペイン語が上手になったね」と言われるようになり、学生の日本語よりも私のスペイン語が上達するというのは、いかがなものかと、自問自答の繰り返しでしたが、授業をすることが楽しいと感じるようになったのもその頃でした。
日本語は直接法で教えることが基本ですが、学生との信頼関係は大切なので、学生たちの言葉で話を聞くことも必要だと感じます。特に初級の頃は、母国語を織り交ぜていくことで、学生の興味をひくこともできます。まずは人として、学生たちと向き合っていくことが大事だと学びました。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
授業をコントロールすることです。
信じられないほど教室内は活発です。ただ、私語も多いですが、同時に授業に関する質問も多いです。
ただ言われたことだけをするのではなく、自ら考えることができるペルー人の学生たちに、日本式の授業形態を押し付けて、彼らの良さを潰したくなかったので、「20分だけは説明を聞こうね!」とルールを設けることでかなり改善されました。
なぜこの高校を退職しましたか?
日本に帰国したことをきっかけに、今は退いています。
地元に日本語学校がないので、残念ながら教師として働くことはできない状態ですが、ボランティア活動として日本語を教えています。
常勤でフルタイムの仕事があれば、また復帰したいと考えています。
給与
それだけでは生活は難しい
私の待遇は、同じ学校に勤める他のペルー人講師よりは良かったのですが、それだけで生活していけるものではありませんでした。
当時のペルーの最低賃金は、750ソル(約23,000円)だったので、授業の数でお給料が変動する非常勤講師の生活は、とても厳しいです。それ故に、先生たちは複数の学校を掛け持ちしていました。お給料がいい学校の仕事が決まると、学期中でも辞めて来なくなってしまいます。子供たちにとっても、決して環境が良いとはいえません。
良いところとしては、ペルーは物価が安く、日本の3分の1程度です。また、副業が認められているので、家庭教師をしたり、社会人が通うビジネススクールの夜間コースで教えたりと、いろいろな方法はあります。
給与の詳細を読む...
給与
- 月収:12,000円
月収の内訳
- 1コマ50分:600円
待遇
- なし
雇用形態
- 非常勤講師
勤務時間
- 1日2コマ 週5日勤務 *残業 残業なし
学校が定める学生の長期休暇の有無
- 夏休み:14日程度・冬休み:60日程度
長期休暇中の給与保証
- 長期休暇中は、事務所で保護者や入学希望者の対応をしてお給料をもらっていました
授業形態・勤務スケジュール
スケジュール管理で大変だったことは?
毎日授業があるので、授業の準備がとにかく大変でした。
また、学校にはインターネットもないし、ラジカセさえもなく、使える教材は本当に限られていました。自宅でダウンロードしたビデオを見せるために、ひったくりが多いペルーで、ノートパソコンをドキドキしながら持って行ったことを今も忘れません。
授業形態やスケジュールの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス20人
学習者層
- 高校生
スケジュール
- 月:1年生 2コマ/授業準備/課題チェック
- 火:3年生 2コマ/授業準備/課題チェック
- 水:2年生 2コマ/授業準備/課題チェック
- 木:5年生 2コマ/授業準備/課題チェック
- 金:4年生 2コマ/授業準備/課題チェック
- 土・日:1日休み
ペルーで日本語を教える前に準備すべきだったことは?
ここまで学校内に設備がないと思っていなかったので、日本語の本や、日本を紹介できるもの、カルタやフラッシュカードなども持っていけば良かったと後悔しました、日本語教育に歴史がある学校などでは、すでにあると思いますので、事前に確認するとよいと思います。
教案作りで参考にしているサイトは?
- 『みんなの教材サイト』
学生たちが大好きだった、季節の行事に関するイラストや、日本語での説明をプリントアウトして、見せていました。イメージがつきやすく、「読みたい!」という好奇心を刺激するようで、毎回食いつきがよかったです。
教案作りで参考にしている書籍は?
- 『みんなの日本語 初級I 』
対象:
初級
スペイン語版があるので、説明しきれないニュアンスはスペイン語で説明することができるので、とても便利でした。
就職活動
この高校で働くきっかけ・決め手は?
たまたま、通っていたスペイン語の学校の近くにあった学校で、日本語を教えていると、スペイン語の先生が教えてくれました。
日本語教師の経験があると伝えると、すぐに面接が決まりました。
住みたい町があれば、まずは行ってみることで、得られる情報量が全然違うのでオススメの方法です。
面接ではどのようなことを聞かれましたか?
これまでの経験と、日本語の教え方について聞かれました。面接というよりは、雑談という感じです。
すべてスペイン語だったので、しっかり答えることができたのか、今考えるとかなり怪しかったと思います。それでも、人柄も見ているようで、その場で採用してもらいました。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
ペルーでは、日本は一部の学生からはとても人気があり、アニメ好きやテクノロジーを学びたい人たちの需要はあります。多くはないですが大学では日本語が学べる学科がありますし、社会人用に夜の講座を開講している場所もあります。
ただ、数は多くないので、フルタイムでなかなか見つからない可能性はありますが、非常勤でも仕事があれば、家庭教師をするなどして稼ぐことは可能だと思います。
この高校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
学生たちとコミュニケーションをとるうえで、働く国の母国語で会話ができるレベルになっていると、いろんな面でスムーズだと思います。
こちらが、彼らの言葉で喋ることにより、言語を習得することは可能だと証明することにもつながると思うからです。
就職活動で有効な手段は?
-
『直接連絡する』
行きたい学校があれば、直接メールするのもいいと思います
国選びで重視した点
- 親日国
- 物価の安さ
- 気候
現地における日本語教師の需要・将来性
- 人気があり、一定数の学校で求められている
就職 教育機関選びで特に重視した点
- 学習者が学生
応募時に必要とされた資格
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 日本語教育能力検定試験合格
- 大学 日本語教育主・副専攻
就職 選考方法
- 面接
面接方法
- 現地にて実施
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
ワーキングホリデーで、オーストラリアに住んでいた時に、日本語教師をしている人に出会い、そんな資格があることを初めて知りました。
地元の教育機関で働いていることが、ただただ羨ましくて、私も資格を取ろう!と決めました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
ペルーで勤務している時、私の誕生日にケーキを買って、みんなでパーティーをしてくれたことです。
学校の中でも、一番不良っぽい男の子にいつも手を焼いていたのですが、彼が中心になって計画してくれたようで、彼は、
「日本語の授業は嫌いだったけど、今はちょっと好き」
と言ってくれたことで、すべて意味があったのかなと思いました。
日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?
卒業年次のクラスで、誰も授業を聞いてくれず、全員に無視された時は、もうやめようと思いました。
授業中でしたが、事務長室に相談にいき、泣いてしまったほどです。事務長が学生と話して、その後、学生たちは謝りに来てくれました。
悪ふざけのつもりだったそうですが、とても傷つきましたね。
学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。
もし可能であれば、JICAを通して日本語教師として派遣されるといいのかなと思います。
日本語教師は、新卒が有利というわけではなく、経験が重視される傾向にあるので、まずはどこかで働いてみるというのが、一番かなと思います。
社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。
各県の国際交流協会で主催している、日本語教師講座にまずは参加してみることをオススメします。
お金をかけずに、どんな仕事なのかを見てみることで、ご自身に向いているのかどうか、イメージできると思いますよ。
ペルーで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
日本語教師は、見た目以上に大変な仕事であると思います。
授業準備や課題チェックで、予想以上の時間をとられますし、日本の文化がわからない人に、日本語のもつ曖昧さを説明するのは本当に難しいです。
それでも、彼らのまっすぐな姿勢やひたむきさに励まされる部分も多いです。
私たちが学生時代に出会った、外国人の英語の先生をなんとなく覚えているように、学生にとって、日本語の先生は日本人の代表のようなものです。
ぜひ素敵な笑顔で、毎日頑張っていただきたいと思います。
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