元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

国内の日本語学校 経験談

多国籍の学習者から教わる事も沢山あった

公開:2016/11/16
ひまわり先生(女性・27歳・京都府) 
日本語教師歴 3.5年 (2012年~2015年) 
*他業種に転職
資格・課程 日本語教師養成講座420時間
日本語学校での
経験詳細
  • 月収:150,000円
  • 常勤講師(非正規雇用・フルタイム)
  • 3.5年(2012年~2015年)

「生徒と教師間のやりがい」の観点から言うと、アフリカ、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、南米含め約30か国、およそ500人のいろんな国の人と出会える素晴らしい職場環境でした。

なぜそんな様々な国の人たちと出会えたかというと、その日本語学校は、進学が目的の長期コース・観光・文化体験が目的の短期コース、プライベートレッスンコースがあり、多種多様な目的に合わせて「日本語を学びたい」人を歓迎していたからです。

もちろん学生確保のため、タイ、ベトナム、インドネシア、トルコ、ミャンマー、中国、台湾、韓国など主にアジア圏の日本語学校とパイプもありました。

また、学生の年代も10代~70代とさまざまで、20代で新卒=社会経験なし!の私からすると、国民性、有名な食べ物・場所、習慣、働き方、生活、宗教など各国の文化について、こちらのほうが教えていただいた点が多かったです。

常勤の日本語教師としてのスケジュールは、月~金の平日朝8:30までに出勤→1日に1コマ45分の授業を4コマ、それ以外は事務作業としてメールのやりとり、電話・来客対応、短期コースの校外学習引率などでした。

定時は17:30でしたが、翌日の授業準備、宿題の採点、テスト前はテスト問題の作成などで定時に帰宅できることはなかなかなかったです。定時に帰宅しても次の日の授業準備を家でしないといけないので残業と変わりなかったです。

非常勤講師から常勤講師へのキャリアアップは1年足らずでできたので、授業準備をしっかり行い期末の学生アンケートで高評価を得たり、常勤になりたい旨を校長や専任に伝えたりアピールすると可能であるという印象でした。

ただし、常勤講師から専任講師となると少なくても4年の経験や大学院卒・日本語専攻の方など条件が厳しくなる印象でした。

Q:他の教育機関と比較・検討しましたか?

他の教育機関は検討しませんでした。養成講座に通い、そこでスカウトのような形で、併設している日本語学校にて勤務させていただくことになったためです。

本当は養成講座で資格だけ取って、日本語教師としての就職が難しければ、地方の地元に帰るつもりでした。養成講座の先生方を尊敬していたこと、就職することを優先に考えていたので特に他校と比較しませんでした。

Q:日本語教師として苦労した事、戸惑った事はありますか?

<1>「学生の質」<2>習慣・考え方の違いこの二点に尽きます。

<1>「学生の質」
全員がというわけではなく、ごく一部の学生ですが、「日本への留学=お金稼ぎ」目的で来日した学生です。

しかも後でその学生が、日本語が上達して話してくれたことですが、日本留学を勧めたその国のエイジェントは、「日本に行ったらこんなにお金を稼げますよ」という風にかなり煽って、借金までさせて日本に留学させていたわけです。

そりゃ来日してすぐにみんなアルバイトを始めることも納得しました。

アルバイト、アルバイト、アルバイト・・・。

すると、どうなるか。午前中は学校。午後に数時間仮眠をとって、深夜~早朝にアルバイト。まだ日本語がわからない初級の学生は会話があまり必要でない深夜の工場のアルバイトをする人が多いです。

始めは日本に来た新鮮味もあり授業も宿題も頑張っていた19~25歳ぐらいの男の子、女の子が、だんだん目の下にクマをつくって、疲れ果てて、授業中にうとうとしたり、突っ伏して寝たり、出席率に響かない程度に欠席したり、帰国したり・・・彼ら彼女らの苦労を考えると複雑な気持ちでした。

「しんどい思いをしている学生になにをしてあげられるだろう。」

自分にできることはただ日本語の授業だけ。

それなら楽しくおもしろい授業にしよう。と学校の設置教材の絵カードではなく自分で絵カードをPCで作成し学生の国の有名人を出したり、ときには自分の顔写真を加工して身を削りながら、プライドを捨てながら笑いをとりにいきました。

<2>習慣・考え方の違い
アジアの学生は基本的に「教師を敬う」考え方なので、クレームなどはめったに来ませんでしたが、欧米人、特に40~70代は違います。

お客という立場で、授業の内容・クラス分けの不満、クラスメイトの批判など主張する人が多いので最初は戸惑いました。

もう1つ上のクラスに行かせろと言い、上のクラスにいったものの、授業内容についていけず、質問の連投でそのクラスの進度が遅れることや他の学生を待たせる時間ができたりということもありました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

大まかにまとめると下記の三点です。

社会経験を積みたくなりました。上級クラスの授業では、日本の会社についてやビジネスマナーなど質問されることが多く、新卒の自分は経験不足で自分の経験談として答えられないことが重なり、いろんな経験を積んでから再度日本語教師として働いたほうがいいのではと思ったからです。

次に風通しの悪さがひどく、キャリアアップや自分の成長への不安です。風通しが悪いといのは、ファミリー経営のような「理事長やベテランの専任」数人の意見がすべてだったからです。

女性の講師が80%で、専任の顔色をうかがったり、機嫌をとったりしないといけない女子高のような雰囲気も苦手でした。

新人や若手の先生を育成しようという姿勢が全く感じられなかったのも大きな理由です。最初に数回模擬授業を行いフィードバックはありますが、それ以降研修は一切なかったです。

最後に、給与の安さです。実家暮らしの方や、結婚して旦那さんの稼ぎがあるような方は貯金できるかもしれませんが、一人暮らしの私は、生活をするのがやっとでした。

また、非常勤講師の先輩は、4年目でやっと時給が100円上がったと聞いて愕然としました。給料よりも「やりがい」を求める方でないと続かないと思います。

給与・待遇

月収 150,000円
月収内訳
  • 基本給:150,000円
  • 担任手当:5,000円
残業(時間外労働) 1ヶ月合計70時間
授業の準備
待遇
  • 有給
  • 寸志 30,000円
クラスの長期休暇
  • 春休み:10日間
  • 夏休み:2週間
  • 秋休み:2週間
クラスの長期休暇中の
給与保証
仕事はないが、給料は支給される
仕事のかけもち かけもちはしていない

給与はかなり不安定です。非常勤講師時代は、コマ給(1,500円/1コマ)だったため、長期休みは勤務も給料もなかったので、短期でアルバイトをしたりしていました。

他の先生は、最初から他のバイトとかけもちでしている方もいました。

日本語教師をするうえで、非常勤講師でも常勤・専任講師でも「お金を稼ぎたい」という考えは捨てたほうがいいと思います。そうでなければ、続かないです。

例えば、日本の英会話学校は「日本人」がお客なので儲かると思いますが、日本語学校のお客様は「外国人」です。

しかも日本より物価が安いアジアからの留学生が大きな割合を占めます。自分の給与=「学生の学費」なので、留学生相手のビジネスという点で給与が上がることはないと思います。

また、テストや宿題の採点・授業準備のサービス残業を考えたときに、よく冗談で先輩講師は「この仕事は時給にしたら200円ぐらいよー。」と言っていました。

冗談抜きで、「自分の働いた労力や時間=給与」この方程式は成り立ちません。それがむなしく感じる瞬間が多かったです。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態
  • クラス授業:1クラス12人
  • プライベートレッスン
学習者の年代 社会人
1日の時間割 8:50~12:00  
初・中・上級(曜日によって異なる)クラスを4コマ
休日 日曜日
休日に取り組んだ仕事:日曜日は毎週、翌週の授業準備に追われていました。

Q:クラス運営(授業形態)で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

初級クラスの過半数はベトナム人だったので、授業中に「ベトナム語を禁止」するのが難しかったです。
 
対策として、上級のベトナム人学生に協力してもらい「授業中はベトナム語禁止!」とベトナム語で書いた大きな紙を貼り、ベトナム語が出るたびにそれを指さしました。

また、学生が興味を持つような、美人やイケメンの写真の絵カードを使ったり、恋愛のテーマで話をふるなど日本語で話したくなるような授業をしました。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

帰宅後、家で授業準備するので、プライベートと仕事の時間を使い分けることが難しかったです。

金曜日の夜に友人と食事をしても「明日授業準備しないといけないなぁ」と思うと心から楽しめないこともありました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
日本語教材図書館     
教案例:その課の文法を使った活動に役立ちます。
参考になる書籍

就職活動

教育機関選びで
重視した点
  • 通勤時間
  • 学習者数
  • 通っていた養成講座と共通の日本語学校のため
選考方法 紹介のため試験なし
Q:この教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
  • 中国語・ベトナム語・英語(日常会話レベル)→授業でも事務でも営業でも役立ちます。
  • TOEIC800点以上→受験対策としてTOEICの授業があるため
  • 日本の文化に関する資格や能力:華道、茶道、琴など→課外授業、文化授業にも力を入れているため
  • 運転免許→校外学習、学生を寮に連れて行ったりなど必要な場面が多いため
Q:日本語教師(国内)の求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト 日本村

日本語教師全般に関する質問

Q:もともとはどのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともと国語の教員になりたかったこと、大学時代に留学し、現地で日本語を教えるアルバイトをしたことがきっかけで「日本語教師」に興味を持つようになりました。

大学4回生のときに、就職活動をしましたが「絶対この会社に入りたい!」という会社に出会えず、「本当に自分がしたいことは何だろう?」と考えるうちに、日本語教師に魅力を感じ、養成講座に通うことからスタートしました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

一番は、「卒業式」です。日本に来たばかりの時は、全然話せなくてひらがなから始めた学生が、卒業式で日本語で立派にスピーチをし、クラスごとに日本語の歌を歌っているのを聴くと涙がとまりませんでした。学生の成長を感じるときが一番のやりがいでした。

二番目は、「いろんな国の文化に触れられる」です。例えば、いろんな国の料理が食べられます!学生がふるまってくれるので、無料で美味しい手料理を何度もいただきました。個人的にタイ料理とベトナム料理がドストライクです。ヘルシーで、ビールに合う料理が多いです。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

「もう二度と日本語教師をしたくない」と思って辞めたのではなく、日本語教師の仕事は「結婚後や老後にもできるなぁ」と思い、若いうちにしかできない職に転職しました。
 
日本語教師現役のときは、「やりがい」と「辞めたい」気持ちの葛藤の日々でした。とにかく給料が安く、残業も多いので身も心も疲れ切っていました。

また、自分が手間と時間をかけて作った授業の教材の絵カードで学生の反応がよかったら嬉しいですが、給与面でがんばったこと・結果を出したことが反映されることはありませんでした。

例えば、期末の学生対象のアンケートで高評価を得ても給与には何も影響しませんでした。労力と給与の不一致がモチベーションを下げ続け「辞める」に至った大きな原因の一つです。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

【学生の方へ】
大学で留学生に日本語を教えたいのであれば、「大学院」に進むことを強く勧めます。大学で日本語を教えるためには、求人の募集条件に「大学院卒」が含まれていることがほとんどだからです。専攻は日本語と直接関係がなくても可です。

自分の住んでいる都道府県に「日本語教師養成講座」がある学校があれば、そこで資格をとることをお勧めします。外国人学生に模擬授業をすることができ、実際の授業で必要な授業力を養えるからです。

【社会人の方へ】
貯金が50~60万ほどあるのであれば、会社を辞めてから日本語教師養成講座に通い3~6か月の短期間で資格を取得することをお勧めします。

仕事をしながら養成講座に通うのであれば、1~2年かかる人もいるので、モチベーションが続かず効率が悪かったり、修了後したころには日本語教師になりたい気持ちが薄れている人もいるからです。

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