元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

メキシコの大学 経験談

学生は真面目で大人ですが、生活は大変です

公開:2019/02/21

タコス(男性・32歳) 
日本語教師歴 7.5年 (2012年~2019年)
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程 日本語教師養成講座420時間(KEC日本語学院)
メキシコの大学
経験詳細
  • 地域:モンテレイ市
  • 月収:12万円(16000ペソ)
    なんとか生活できる
  • 常勤講師(非正規雇用・フルタイム)
  • 2.5年(2014年~2016年)
    *現在は退職

メキシコでの日本語教師の形態はほとんどが非正規の常勤講師だと思います。日本語学校の場合、拘束時間が長く、日本人教師の比率が高いです。

反対に、私のいた大学などの場合は比較的時間の拘束は緩く、メキシコ人教師の割合が高くなっています。

どちらも給料は決してよくないですが、労働時間の拘束が短いことを利用し、私の場合は非常勤の掛け持ちや個別レッスン、スカイプレッスン、翻訳のアルバイトをしたりして何とか生活できていました。

それでも毎月不安定でしたが、掛け持ちがなかったら、生活は苦しかっただろうと思います。もちろん、掛け持ちにより最終的な労働時間は非常に長く、休みなく働いていました。夏休みと冬休みは1カ月近く休めるので、一時帰国したり、旅行へ行くことはできました。

しかし、日本国内の学習機関で学んでいる学生とは違い、メキシコの学生は勉強熱心で、かつ基礎学力が高いので日本語力の伸びが早いです。また、日本国内とは違いJLPT中心の授業を行う必要もなく、純粋な会話中心の授業ができます。

各地で日本語教師のシンポジウムや勉強会などが充実しており、日本語教師としてスキルアップしたいのなら、非常にいいと思います。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

教育方法の違いはそれぞれの教育機関で違うことなので、行ったところのやり方に従うしかないと思います。ただ、授業の準備について、メキシコ全土で共通していることは、ほとんど全ての教育機関でパワーポイントの使用が当たり前になっています。初めて授業の準備をした時は、かなり戸惑いました。

また、授業で使う教材のコピーが簡単にできないことも大変でした。コピーをするためにコピー屋さんに30分近く並ぶこともありました。日本ならすぐにできることなのに、時間の無駄でした。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

とにかく日本とメキシコの距離が離れているためです。飛行機で13時間もかかるので家族に問題があった場合、簡単に帰ることができませんでした。できればずっと働いていたかったのですが。メキシコに住んでいた日本人教師のほとんどが数年以内に日本へ帰るというふうに言われていました。それぞれ理由は違うと思いますが、私のように距離の問題は大きいと思います。

給与・待遇

月収 月収:16万円
月収内訳 基本給:16万円
基本労働時間 1日4時間 週6日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇
  • 夏休み:1ヶ月
  • 冬休み:1ヶ月
クラスの長期休暇中の
給与保証
仕事はないが、給料は支給される

メキシコの物価はだいたいアメリカと変わらないくらいなので、日本語教育機関だけの給料だと生活はかなり大変でした。私の場合は個別レッスンやスカイプレッスン、非常勤の掛け持ち、通訳などでメインの給料と変わらないくらいの給料をもらっていました。それがなかったら生活できなかったと思います。

以前いた中国では健康診断、ビザ手続き費用、住宅費用など全て出してもらっていたので、メキシコでは何もないことに驚きました。メキシコの他の日本語教育機関の方に聞いても、やはり同じような感じでした。お給料以外の手当ては基本的に無しです。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

メキシコの場合、どの日本語教育機関で働いてもだいたい同じような給与なので、どこもお勧めできません。ただ、時間拘束の少ない大学で教えた場合は、空いた時間で個別レッスンや掛け持ちなどの副業ができるので、おススメです。私の場合、副業ができたのはコネがあったからなので、何もない状態で副業を探すのも最初はかなり大変だと思います

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス10人
学習者の年代
  • 中学生
  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割 月曜日
  • 12:00~16:00  
    初級1コマ、初中級1コマ
火曜日
  • 12:00~16:00  
    初級1コマ、初中級1コマ
水曜日
  • 12:00~16:00  
    初級1コマ、初中級1コマ
木曜日
  • 12:00~16:00  
    初級1コマ、初中級1コマ
金曜日
  • 12:00~16:00  
    初級1コマ、初中級1コマ
土曜日
  • 8:00~16:00  
    初級もしくは初中級4コマ
休日 日曜
終日休み 仕事が入ることはまずないです

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

メキシコにはサバティーノという、土曜日の午前中に授業をする習慣があり、外国語を勉強したい社会人が大学などの教育機関へ勉強に来ることが多いです。土曜日にしっかり休めないのが大変でした。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
日本語教師の駆け込み寺
文型がわからない時によく使っています。これ以外、あまり使うサイトはないです。
参考になる書籍
どんなときどう使う日本語表現文型辞典    
対象者:全レベル
文型がわからない時に使っています。そもそも、忙しくて教案も作れないので、以前使ったPPTをそのまま使って授業をしています。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

PPTで授業をするので、ある程度どうやって授業をしたらいいかをイメージしていかないと最初はかなり難しいと思います。一つ作ってみて、現地の担当の方にチェックしてもらうなどした方が良かったかなと思います。最初はどうしても自転車操業になってしまうのですが、2年目になればある程度慣れるとは思います。

メキシコに行ってしまうと本が買えないので、本をpdfでコピーして保存してiPadで閲覧できる環境にしたのは本当に良かったと思います。授業関連以外でも、いろいろ好きな本などもPDFで持っていくといいと思います。

就職活動

国選びで重視した点 その国の母国語が得意
現地における
日本語教師の需要
一部に人気があり、数は少ないが求められている
教育機関選びで
重視した点
大学であること
応募時に
必要とされた資格
日本語教師養成講座420時間終了
選考方法 書類

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

漫画やアニメの人気から、日本語の勉強をしたいという学生が非常に多かったです。それで全体の学習者の3割近くはいっていたとおもいます。また、大学だったので、第2外国語として学んでいる学生もいました。一番難しそうな外国語を勉強したいという面白い動機の人もいました。

メキシコには自動車関連の工場が非常に多くあるのですが、特段日本語力は求められないようです。なので、日系企業で働いている人で、スキルアップのために日本語を勉強したいというひとはあまりいませんでした。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

私のいた大学では、基本経験者のみの採用でした。ただ、他の教育機関では初心者でも可能だったように思います。絶対になければならない資格というのは日本語教師の養成講座か検定試験でしょう。どちらかがないと採用されません。

日本語教師の仕事とは直接関係ありませんが、スペイン語がある程度話せたほうが生活はずいぶん楽ですし、出世もできます。現地の方は英語を話せない人も結構いるので、メキシコに行く前にしっかり勉強してきたほうがいいでしょう。ただ、スペイン語は難しいです。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
日本語オンライン
国内、海外の求人情報が多く載せられています。
その他求人情報
KEC日本語学院:国内とアジアを中心に求人の情報が配信されます。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

もともとスペイン語が話せたので、スペイン語園で日本語教師をしようと思い、ずっと求人が載せられるのを待っていました。スペイン語圏での求人はあまりなく、一番行きたかったスペインではまずありません。その仕事自体がないようです。あったとしても、すでに現地でビザを持っている人だけのようでした。

メキシコは1年に1回ぐらいは求人が出るので、たまたま出た求人に応募しました。日本語学校ではなくて大学だったことがいちばんの決め手でした。日本語学校はビザが出るかどうか微妙でしたし、拘束時間が長いだろうと思ったからです。大学はビザも確実に出るでしょうし、社会的にもしっかりとした機関ですので、やはり大学にしてよかったです。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

大学では言語習得を学びました。もともと外国語の勉強が好きだったからです。なので、外国語の勉強に関わることを専門として仕事をして行きたかったです。

大学を出てからもどうしても外国語に関わる仕事がしたかったので、手っ取り早く海外で働ける日本語教師を目指しました。会社で海外転勤を待つ手もありましたが、それも不確かだったので。私の知り合いの日本語教師もだいたい同じような考えで日本語教師になった人が結構おおいです。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

日本語教師をやっていてよかったのは、やはり、よく言われている通り学生の繋がりや成長をみることでしょう。本当にそれにつきます。

もう卒業した学生から、感謝の手紙が国から届いた時はとても嬉しかったです。「先生のおかげで就職できました」「先生お元気ですか」「結婚しました」「先生のことが懐かしいです」など、手紙がとどくと本当に嬉しいですね。

また、国内の日本語教師は別ですが、海外で働きたいと思っている方は手っ取り早く働ける方法だと思います。大学なら長期の休みがあるので、いろいろなところへ旅行に行って、色々な経験ができます。私もメキシコに行って、やすみを利用してメキシコ国内やアメリカなどにも行くことができました。いい経験になりました。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
日本語教師養成講座だと、実践につながる授業があるので、いちばんいいと思います。今までの経験から、大学の副専攻だけの方は授業のやり方がわからずに悩む人がとてもおおいですね。

ただ、これから日本語教育基本法が制定され、日本語教育検定が日本語教師になるための絶対的な資格になる可能性が高いと言われています。ただ、検定試験だけで授業ができるようになるかというとできないので、やはり養成講座と併用して行った方がいいでしょう。

【社会人の方へ】
今現在しっかりした仕事をされているなら、特に給与水準が下がる日本語教師になる必要はないとおもいますが、もしなりたいかたがいるとすれば、やはり海外に行きたいからでしょうか。

それなら、日本語教育基本法に関係がないので、養成講座一本でいけばいいでしょう。わざわざ検定試験を受けなくてもいいと思います。ただ、4年生の大学を出ていないなら、養成講座と検定試験のどちらもあった方が就職には強いと思います

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

メキシコでの日本語教師は総合的に見るといいともいます。距離が遠いのがネックですが、日本とは全く違う生活が送れると思います。スペイン語が話せた方がよりメキシコ人とコミュニケーションができるので、絶対にいいです。できなくても、大学などならスペイン語講座が受けられるところに行けばいいと思います。

学生も非常に頭が良く、日本語教師の仕事が好きな人なら、絶対にやりがいを感じられると思います。授業後は若い女性なら学生が家まで車で送ってくれることもあります。また、パーティーや食事に誘ってくれることもあります。それで、現地で結婚した人もいます。

一度行くとなかなか帰ってくることができないので、渡航前にしっかりと準備をして行った方がいいです。スペイン語もそうですし、あとは本類はなるべくPDFにして身軽にしていったほうがいいです。

当然ですが、スーツは必須です。必ず持って行ってください。

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