元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

中国の大学 経験談

学生の質が高くやりがいあり

公開:2015/12/19


勤務先の大学の風景

さなぢ(女性・40歳) 
資格・課程 TOEIC 870点
中国の大学
経験詳細
  • 地域:大連
  • 月収:140,000円(7,000元) 
    現地で生活をするのに十分
  • 3年(2012年9月~2015年9月)
    *現在も就労中


日本の恵比須まつりについて学生が発表しています。

勤務している大学がある中国・大連は、「日本企業の城下町」とも呼ばれ、日本企業が2000社以上進出しているため、日本語学習者の学習意欲は、ほかの地域に比べて相当高いです。

また、私の大学は「中の上」の国立大学であり、学生は日本と比較すると総じて真面目な印象を受けます。

私は日本で新聞記者を12年し、その後国費の博士留学生として中国に来ました。留学環境に満足できず、仕事をした方がいいんじゃないかと悩んでいるときに、日本語教師をあっせんしているエージェントに履歴書を送ったのです。

たまたま今の勤務先に欠員が出て面接に行きこの職業に就いたので、当初は2、3年限定の仕事だと思っていました。

しかし、自分の大学時代と比べると学生が勉強熱心で、指導した分だけ結果が出るのでだんだん面白くなってきました。

昨年は全国スピーチ大会で教え子が2回入賞し、下級生にも有望な子が何人かいるので、そういう学生に引っ張られる形で、仕事にはまり込んでいます。

仕事の負担は日本のフルタイムの仕事に比べると相当軽く、給与は適正だと感じています。

ネットで調べたり知人から聞いた限りでは、中国の大学で働く日本語教師の月給は4000~7500元の範囲に収まっていますが、住居・光熱費は無料であるケースが多いため(当勤務先は昼食も無料)、単身の方なら問題なく生活できるのではないでしょうか。

多くの大学は、授業以外の時間はフリーで、私も週12~14コマ(1コマ45分)の授業と昼食以外は自由に過ごすことができるため、翻訳や日本の会社のアドバイザーなど、複数の仕事を兼業しており、実際はこれらの収入が日本語教師の収入を上回っています。

このように、多様な働き方ができる仕事であるとも言えます。


外国語学部の文化祭でコスプレする学生たち

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

私は日本語教師の仕事を始める前に、中国の大学院で2年間を過ごしたため、国の慣習の違いを理解していた分、スムーズに仕事に入れましたが、同僚を見ていると、仕事うんぬんの前に「中国流」にカルチャーショックを受けて、ストレスを感じる例は多いようです。

全般的にいい加減で、重要な連絡も前日、前々日が当たり前のため、几帳面な性格だとイライラすると思います。

これを書いている今は新学期第2週ですが、いくつかの科目は教科書が決まっていなかったりして、とにもかくにも柔軟性が求められます。

また、外国人教員は1年契約のため、日本人教師の定着率が悪く、どの大学でも意思疎通や足並みの統一に苦労しているようです。

どの人が何年いるかが分からないので(本人も確たる計画がない場合が多い)、新しい教師が来た場合、どの程度権限移譲すべきか判断が難しいですし、仕事ぶりに不満があっても育成する意識が乏しいため、指摘しない、されないことが多いです。

作文や文学、経済、ニュースなどある程度専門性が求められる科目もありますが、そこまで求めていては採用がままならないので、ミスマッチも多発します。ニュースを見ない人がニュース読解の担当になる、ってこともあります。

海外の日本人教師はキャリア観の差も非常に大きいです。企業の正社員だと、だんだんと組織のカラーに染まってきて良くも悪くも統一感が出てきますが、中国だと2、3年で入れ替わることが多いので、本当に色々なバッググラウンド、考え方の人がいます。

現地の教員との意見の違いは「文化の違い」と許容できても、日本人どうしがゆえの面倒事は、想像以上に多いです。

給与・待遇

月収 月収:140,000円
月収内訳 基本給:140,000円
現地の月収事情 最低限必要な月収
60,000円(3,000元)
基本労働時間 1日2時間勤務
残業(時間外労働) サービス残業:コンテスト指導。義務ではない。
待遇
  • 有給
  • 保険(医療保険)
教育機関が
用意してくれたもの
  • 住居提供
  • 家具、電化製品
  • ビザ申請費用
  • 日本との往復航空券
  • 昼食費
  • インターネット代
クラスの長期休暇
  • 夏休み:45日
  • 冬休み:45日

住居は提供されますが(50平方メートル)、当初は古くて清潔ではなく、日本から来た人にはきついレベルでした。しかし1年後に改装が入り、フローリングが交換されたり洗面所が全面改修され、随分暮らしやすくなりました。

また、勤務開始時の給料は、この地域では最低レベルだったのですが、3年勤めているうちに2倍近くになり、地域トップレベルになりました。

今の給与水準は、1人暮らしなら全く問題ないレベル。私は小学生の子供がいますが、中国で生活するなら、習い事をさせて、週に1、2回外食するなど、平均以上の生活ができます。

ただし、日本人駐在員と頻繁に付き合うには足りないですね。当然ですが、駐在員との待遇格差は大きいです。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

私は大学と日本企業のグループ授業しか経験がありません。

私は日本語教師の資格を持っておらず、新聞記者出身なので、「ニュース読解」「作文」というように幅広い授業がある大学の方が、自分のスキルを活かせますが、そのような専門性がない場合は、企業で会話中心に教えた方がいいと思います。

私の勤務先では日本人講師は、専門性が高い授業を受け持つので、新卒で企業勤めなどの経験がなく赴任した場合は、かなり苦労しています。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス約30人
学習者の年代 大学生
1日の時間割 8:00~11:40  
1時限目(90分)3年生会話、2時限目3年生作文(火曜日の場合)
休日 週末
休日に取り組んだ仕事:作文の添削がある場合もあります
その他
  • 1月中旬~2月末:冬休み
  • 7月中旬~8月末:夏休み

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

前職が典型的な長時間労働職場のため、日本語教師の仕事自体は大変だと思ったことがありません。

ただ、私は子供がおり、「翻訳」「日本の学校のアドバイザー」「日本の会社から文章指導を受託」「ライター」の仕事を兼業しているため、繁忙期にはいっぱいいっぱいになります。

泣きたくなりますが、「日本で働いていたころの繁忙期よりはだいぶまし」と自分に言い聞かせています。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

授業とは関係ないのですが、日本文化を学びたいという需要が大きく、文化祭などのイベントでは必ずといっていいほど「華道」「茶道」の展示が計画されるので、当然ながら指導を頼まれます。

しかし私も、動画サイトで見て教えることくらいしかできず、申し訳ないです。

求人を見ていると、このあたりの指導ができる場合は優先採用されるケースもあるので、何等かの伝統文化が教えられるのは強いと思います。剣道も人気があります。

就職活動

国選びで重視した点 その国に住んでいた
現地における
日本語教師の需要
強い人気があり、多くの学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
大連限定(大連に留学中だった為)
選考方法
  • 書類
  • 面接
面接地 海外:現地

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

先にも書いたように、中国の中でも大連は日本企業が多いため、極めて親日的な地域です。私の大学も、日本語学科の偏差値が一番高いです。

ただ、中国企業も急成長している中で、日本企業に就職することのメリットはだんだん薄れており、同時に日本語人材は増え続けているため、就職におけるミスマッチは増えているように感じます。

こちらの教育現場でよく聞く言葉が「日本語プラス1」、つまり、日本語だけでは就職するのは容易ではなく、IT、会計知識などもう一つのスキルが必要だという考えが広がりつつあります。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

私が採用されたときは、決まりかけていた人がぎりぎりでダメになったらしく、学校も慌てて人を探していたため、面接はほぼ形式的でした。

もう3年前なのでよく覚えていませんが、「2年以上勤めてほしい」と言われたのは記憶に残っています。今は日本人を採用する立場にいますが、転職経験が多いと警戒します。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

中国は学歴社会なので、学歴は高いに越したことはありません。私は日本語教師の資格はありませんが、早稲田政経卒、MBA保有という経歴で採用されたと言っても過言ではないと思います。

あと、英語、中国語はそれなりのスコアを持っており、中国語は採用で要求されないのですが、交流相手が日本語学科の人だけではないので、話せた方が便利です。

また、現地の教員は大学院を卒業してそのまま教師になるケースがほとんどですが、学生の多くは就職を希望しているため、日本企業やビジネスマナーについて知っていると歓迎されます。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

博士留学で中国に来て2年経ったとき、留学生活にいろいろ不満があり、かといって現地生活に慣れ始めた息子のことを考えると簡単に日本に帰るわけにもいかず、求人サイト(どのサイトかは忘れてしまいました)を通じて日本語教師を大学に紹介している中国のエージェントに履歴書を送ったのがきっかけです。

ダメ元でしたが、急きょ欠員が出たと言われ面接に行ったのが今の勤務先です。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

中国に来るまで、日本語教師についてはまったく関心がありませんでしたが、こちらで大学の日本語教師と知り合いになり、授業を見せてもらったことがきっかけです。

その時点では同じ仕事をすることになるとは思っていませんでしたが、仕事を探し始めたときに、彼女が話していた拘束時間や仕事の内容を思い出し、できるのではないかと思いました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

学生が真面目でいい子ばかりで、仕事そのものが楽しいですが、学外コンテストに出るためのゼミを主催しており、その子たちの成長を感じるのが何よりものやりがいです。

昨年も今年もみんながサプライズで誕生会をしてくれました。今年は日本料理店の個室を飾り付けして、私が入ったらクラッカーで出迎えてくれました。今は学生と先生という関係ですが、きっと将来はよき友人として、一生の付き合いになると思います。


学内で行われた日本知識大会

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

辞めたいというより、1年ごとの契約なので、更新期が近づいたら「このままでいいのかな」とは毎年思います。

日本語教師は私の本来の職業ではなく、また、仕事の内容が前職に比べると緩いので、ぬるま湯につかっていたら日本の社会に復帰できないのではないかという不安は常にあります。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
中国の場合、日本語教師は不足しているので、資格さえ持っていればどこかで仕事を見つけられると思います。ただ、仕事の負担が日本で働く場合と比べると非常に軽いため、この仕事でスタートすると、日本で働けなくなる可能性があります。そういう意味では、一度日本で就職することを個人的にはお勧めします。

【社会人の方へ】
私は資格を持たないままこの仕事に就いていますが、幅広い国で働くことを考えると、養成講座あるいは試験を受けて資格を取っておくことをお勧めします。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

これまで書いたことと重複しますが、中国で日本語教師になることは決して難しくありません。

給与は見劣りするかもしれませんが、仕事の負担、拘束時間も少ないため、例えば中国語を勉強しながら、子育てをしながらというように、ワークライフバランスを取りやすい仕事です。

ただ、基本は単年度契約のため、組織内で長い目で教育してもらえる、ということはありません。学校の要求に届かなければ、年度の終わりがけに突然契約終了を言い渡されることもあります。

安定して働きたければ、ぬるい環境でも自己研さんできる自己管理力が必要です。

↑ ホームへ戻る

P C S P