元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

タイの大学 経験談

教えるのは楽しいが事務仕事は大変

公開:2017/05/18
ぽんた(女性・26歳) 
日本語教師歴 4年 (2012年~2017年) ※途中休職期間あり
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程
  • 大学院 日本語教育専攻
  • 大学 日本語教師専修
タイの大学
経験詳細
  • 地域:バンコク
  • 月収:100,000円(32,000バーツ)
    現地で生活をするのに十分
  • 専任講師(正規雇用)
  • 1年(2016年~2017年)
    *現在も就労中

私はタイの私立大学で働いています。

タイの私立大学には入学試験がありません。そのため、いろいろなレベルの学生が一緒に勉強することになります。また、一度も入学試験を経験せずに大学生になった学生が多いので、勉強の仕方がわからない学生や、勉強が嫌いな学生も少なくありません。そんな中で、日本語を教えるには勉強と思わせないように日本語を教える工夫が必要です。これは大変ではありますが、楽しいことでもあります。

純粋に大変だと思うことは、何に関しても大学側の対応が遅いということです。時間外手当を申請してもなかなか返事がもらえないこともありますし、学長のサインがもらえず、企画が進まないことも珍しくありません。これは一つ一つの部署が独立していて、他部署との連携が上手くとれていないことが原因です。

私の勤めている大学に限らず、タイの大学はほとんどこのような仕組みになっているようです。特にお金関係のことは自分でしっかりと管理しなければ、うやむやにさせてしまうこともあるので、そのあたりの管理が難しいところだと思います。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

一般教養の授業で、ゼロ初級の学生を教えることになり、最初はとても苦労しました。日本で教えると、ゼロ初級のクラスは少人数になることが多いと思いますが、大学の一般教養のクラスなので、60人のクラスを持つことになりました。今までとは違う教え方をしなければならなかったので、慣れるまではとにかく準備が大変でした。

給与・待遇

月収 月収:100,000円
月収内訳 基本給:100,000円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    60,000円(20,000バーツ)
  • 最低限必要な月収
    100,000円(30,000バーツ)
基本労働時間 1日8時間 週5日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇
  • 有給
  • 保険(登録した病院での医療費が無料になります)
教育機関が
用意してくれたもの
ビザ申請費用(初回は出ません。更新の際は費用が出ます。)
クラスの長期休暇
  • タイ正月の休み:1週間(4月中旬)
  • 冬休み:1週間(年末年始)
クラスの長期休暇中の
給与保証
長期休暇中は別の仕事をしている

福利厚生はほぼなしと言っても過言ではありません。大学から一番近くの病院が無料で使える保険に加入しますが、ローカルな病院なので日本人が行くことはほとんどないと思います。

授業が多くて準備が間に合わなくても、会議が長引いても、残業代もありません。有給は年に8日ありますが、申請の際に学長のサインが必要で、承認されないこともあります。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

給与はあまり変わらないのではないかと思います。ただ、待遇は日本語学校の方がしっかりしているかもしれません。大学だと、大きな機関になりますので、上との連絡がスムーズにはとれません。自己責任の部分も多いです。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス20人
※一般教養は1クラス60人
学習者の年代 大学生
1日の時間割 月、火、木、金
  • 8:30~10:30  
    3年生のクラスを1コマ
月、火、木、金
  • 10:30~14:30  
    翌日の授業準備 ※食事は仕事をしながらとります
  • 授業準備
休日 土日
休日に取り組んだ仕事:基本的には休み。試験期間中は試験監督が入ることもあります

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

授業の入り方によってはお昼ごはんを食べる時間がないこともあるので、慣れるまでは大変でした。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

日本の教材が手に入らないので、たくさん持って行った方が良いと思います。どんな授業を担当するかわからないので、できればいろいろな教科に対応できるように一通りそろえておいた方が良いです。大人数のクラスを担当したので、指示棒も役に立ちました。100円ショップにあるので、ご購入をおすすめします。

就職活動

国選びで重視した点
  • 渡航経験があった
  • 食べ物が口に合うこと
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
学習者が学生
応募時に
必要とされた資格
日本語教育関連の修士号
選考方法
  • 書類
  • 面接
面接地 日本国内:東京

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

日系企業は多いですが、日本語よりも英語の能力が問われることが多いようです。もちろん日本語ができるとプラスにはなりますが、それだけでは武器になりません。日本語を勉強する人は、将来のためというよりも日本が好きな人が多いように思います。日本語教師の需要はありますが、それほど大きいものではありません。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

具体的にどのような授業がしたいのかと、今後の研究方針について詳しく聞かれました。以前、ほかの国で日本語を教えており、その国の言語が得意だったこともあり、なぜその国ではなくタイを選んだのかということも聞かれました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

タイの大学で仕事をするときは、日本語教育関係の修士号が必要な場合が多いです。日本語学校でも、420時間や、日本語教育能力検定試験合格、大学の日本語教員養成コースなど、何らかの資格が必要です。また、書類など基本英語で書くので、英語ができると便利です。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
日本語教育学会
国内外問わず、大学の求人が多い

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

日本語を教えるだけでなく、自分の研究を進めたり、学科の活動に関わったり、自分で新しい企画を提案したり、いろいろな仕事ができることを魅力に感じ、勤務することに決めました。ほかにも、市内へのアクセスがよいことも決め手の一つです。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

大学生の頃、留学先で日本語を教えてほしいと言われることが多かったのですが、上手く教えることができず、もどかしく思っていました。そこで、日本に帰国してから日本語教育の授業をとり、本格的に勉強しはじめました。その後、教育実習を経て、日本語教師という仕事にやりがいを感じ、日本語教師を目指すことにしました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

海外だと学生が日本語を使えるチャンスは限られたもので、ほとんどは日本語を教える教師との会話になります。しかし、授業が終わると、残念ながら大抵の学生はすぐに教室を出てしまいます。そんなときに、ごはんに誘ったり、教師側から話しかけたりすることで、学生が少しずつ自分から話しかけてくれるようになったときは、とてもうれしいものです。

大人しくてほとんど日本語を使うことのなかった学生が楽しそうに話しかけてくれたときは、日本語教師をやってよかったと実感します。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
海外で働きたいという思いがあるのでしたら、少なくとも修士課程があった方が良いと思います。特に大学で働きたいのでしたら、修士号があることは必須条件になります。

【社会人の方へ】
海外の大学で働きたい場合は、やはり修士号を取得すべきです。ですが、一般入試だと語学の試験がある大学院が多いので、自信がない方は420時間のコースを受け、資格の要らない場所で何年か働いてから、経験者枠で大学院受験をするのもありです。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

タイはおおらかな国です。おおらかすぎて日本人には受け入れがたいところもあります。仕事のやり方もまったく違います。日本語教師歴が長く、自分のビリーフが固まっている方には働きにくい国かもしれません。ですが、タイで働いていると、新たな発見もあります。異文化に柔軟な対応ができる方にとってはおもしろいところだと思います。

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