元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

シンガポールの日本語学校 経験談

学生の学習意欲が高く教え甲斐があります

公開:2017/08/09
Louis(女性・43歳) 
日本語教師歴 10年 (2003年~2013年)
*現在はフリーランスでプライベートレッスンのみ
資格・課程 日本語教師養成講座420時間(ワシントン外国語学院)
シンガポールの日本語学校
経験詳細
  • 月収:260,000円(S$3,000)
    なんとか生活できる
  • 専任講師(正規雇用)
  • 1年(2013年~2014年)
    *現在は退職

私の勤めた学校は主に趣味で日本語を勉強しに来ている人がほとんどで、平日は夜のクラスのみ、学生はほぼ社会人で仕事が終わって授業を受けに来ていました。また、週末は大学生や主婦や年配の方々まで生徒の年齢の幅は広く、シンガポールならではの学習意欲の高さを感じました。

初級から上級まで順を追って進級していき、シンガポールの学校システム同様、年に2回5月と11月に大きな試験を行っていました。一定の基準を満たせないと次に進めないということもあり、皆さん頑張って勉強してくれていたので、教えるほうもやりがいや達成感を感じることができました。

授業は1コマ2時間半と長かったので、いかに退屈させずに楽しく授業をすすめていくかを常に考え、教科書通りにただ教師が授業を進めていくのではなく、ロールプレイングやペアワークの時間を設けて、学んだことを実践につなげる機会も多く取り入れました。

実際、シンガポールの人々は日本へ旅行へ行く人も多く旅行に役立つ会話を学びたいという希望も多いので、授業の中でそれを組み込み、できるだけ学生のニーズに沿う授業ができるよう心がけていました。

学生のニーズによって授業も様々ですし、教師によっても授業のスタイルも様々です。ですので、自分が学生だったらどんな授業を受けたいか、どんな授業なら早く身に付き実践につなげられるかを常に考え、教材づくりや授業の準備をするので、向上心を常に持ち続けやりがいを持ってできる仕事だと誇りを持って取り組んでいました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

初級は文字の読み書きから教えるのですが、読み書きは特に興味がないという学生もいて苦労しました。

そこを通過しなければ先に進めないのですが、興味がないために学習意欲が低くなかなか身につかず、日本語で読み書きしなければならない試験に合格できずに途中で挫折する学生もいました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

1年契約で契約更新もできたのですが、ちょうどその頃に結婚が決まりシンガポールを離れることになったので仕方がなく契約満了で更新せずに終了しました。

給与・待遇

月収 月収:260,000円
月収内訳 基本給:260,000円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    346,000円(4,000SGD)
  • 最低限必要な月収
    260,000円(3,000SGD)
基本労働時間 1日7時間 週6日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 保険(病院代S$100まで/回)
教育機関が
用意してくれたもの
  • ビザ申請費用
  • 日本との往復航空券
クラスの長期休暇
  • 6月スクールホリデー:2週間
  • 12月スクールホリデー:1か月
クラスの長期休暇中の
給与保証
給与が発生する仕事がある
試験の答え合わせ、再試、教材の準備、授業の準備  

日本語教師のお給料は決して良いほうではありません。シンガポールは物価が高く、特に家賃はとても高いので給料から自己負担の場合は一人暮らしはできず、ルームシェアになります。

それを差し引き、贅沢をしなければ普通に生活はできますが、医療費も高いので、個人で日本から海外医療保険に入ってきている人もいました。

学校からの医療費の負担はありましたが、カバーできない分は自己負担となりました。ちなみに風邪で日系の病院に行くと1回2万円近くかかることもあります。

大きなけがや病気になると莫大な金額になるので個人で入っていたほうがいいのですが、掛け捨てで1年間20万以上するのはかなりの出費だと思いました。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

現地のほかの日本語学校と比べると、給料も待遇面もほぼ変わらないか悪くはないほうだと思います。授業外での拘束時間は割とありましたが、その時間を授業の準備やテストの採点に充てられたので特に自宅に仕事を持ち帰ったり残業したりということはありませんでした。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス15人
学習者の年代
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割
  • 19:00~21:30  
    中級クラス1コマ
  • 19:00~21:30  
    初級クラス1コマ
  • 19:00~21:30  
    中級クラス1コマ
  • 19:00~21:30  
    JLPT N1対策
  •  9:00~11:30  
    初級クラス1コマ
  • 14:50~17:20  
    中級クラス1コマ
  •  9:00~11:30  
    中級クラス1コマ
  • 12:10~14:40  
    初級クラス1コマ
休日 火曜日
一日休めていました

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

年に二回の試験の前に試験問題を作成することがとても大変でした。一度試験問題を作成したら、数名の先生方に問題は適切か誤字脱字がないか等をチェックしてもらい、時間をかけて作成していた点です。また、聞き取りの試験も既成の問題ではなく、私たちで録音して準備をしていたことも大変だと感じました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
みんなの教材サイト   
サイト内にある写真やイラストをプリントアウトして教材として使ったり、日本の文化や行事ごとを紹介する時に使用したりしました。授業に役立つアイデアもあるので、そこからヒントをもらって授業に役立てたり、中上級向け読解用素材も活用しました。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

今はインターネットでいろいろと調べたり活用できるものがすぐに手に入りますし、学校には使用するテキストも必要な時に使う参考書もそろっていたので、特に前もって準備すべきだったと思うものはありませんでした。

使用したいテキストなどかさばるものはスキャンしてデータに落として持っていると便利だと思います。

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 気候
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 学校の規模
応募時に
必要とされた資格
選考方法 紹介のため試験なし

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

シンガポールには日系企業が多く進出しており、そこで働くローカルの人々や日系企業に就職したい人々の日本語学習の需要は多いと思います。

また日本のアニメやアイドルが好きな若者も多く、そのために日本語を始めたという学生もたくさんいました。日本行き旅行はとても人気があるので、旅行に行ったときに使える日本語を勉強したいという学生のニーズに応えた会話クラスはとても人気がありました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

特にはありませんが、できれば日本での日本語教師としての経験があったほうがいいと思います。日本で働く場合、海外での日本語教師の経験は経歴としてカウントされない場合もあるくらい教育機関によってはとてもゆるいこともあるので、一度日本で経験を積んで海外に出るとより自信をもって教えることができると思います。

でも、何よりも強みになるのはやる気と情熱です。これさえあれば、学生に伝わります。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
日本村   
国内外の日本語教師・職員求人情報を見ることができます

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

日本で日本語教師として働いていた専門学校の日本語科がシンガポールの日本語学校と提携を結んだため、日本からシンガポールへ教師派遣をすることとなり、希望者を募っていたので応募しました。希望者の中から選考の結果、経験豊富な教師ということで選ばれ渡航に至りました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

何か資格を取得して、それを強みに仕事ができたらいいなと思っていた時に、年齢、性別関係なく世界中どこでも活躍できる日本語教師の仕事に魅力を感じました。また、自分が日本語を教えることによって、他の人の人生に新たな彩を加えられることができるならどんなに素晴らしいことだろうと思い、日本語教師を目指してみようと思いました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

あいうえおの初級から教えた学生が少しずつ上達し、会話が成立して普通に世間話や冗談もできるようになり、毎回の授業も楽しくなってくる度に、学生の成長を感じてとてもやりがいを感じます。

また、担当する授業が最後の時に、みんなから上手な日本語で寄せ書きをもらい感謝の言葉がたくさん書かれているのを見ると、頑張ってきてよかったと達成感を感じます。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

日本語教師になりたての頃は、自信もノウハウもなく教壇に立つことが怖かったために、授業の準備にかなりの時間がかかってしまって、思い通りにできないプレッシャーやストレスを感じて辞めてしまいたいと思ったことはあります。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
大学や大学院で日本語教育課程を先行されるか、学校に通いながら日本語教師養成講座420時間を終了されることが良いかと思います。

【社会人の方へ】
大抵の教育機関で日本語教師として働く際求められるのは、日本語教師養成講座420時間を終了することなので、受講されることをお勧めします。私も社会人になってから教育訓練給付制度を利用して日本語教師養成講座を受講しました。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

シンガポールの平均給料からすると良い給料ではありませんが、普通の生活はできるし治安もいいし町もきれいなので日本人にとってはとても生活しやすいと思います。日本語を学びたい学生は熱意もあるし教えるほうもやりがいを感じられます。

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