元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

中国の私立大学 経験談

親切な学生たちに囲まれて充実できた

公開:2016/05/24

長春日本人教師(女性・42歳) 
日本語教師歴 2年9ヶ月 (2013年2月~2015年11月)
*休職中
資格・課程
  • 実用英語検定 2級
  • TOEIC 730点
中国の私立大学
経験詳細
  • 地域:東北部 長春
  • 月収:115,000円(5,700元)
    かなり生活に余裕がある
  • 専任講師(正規雇用)
  • 2年(2013年~2015年)
    *休職中

きっかけは「日本語教師を募集している」というお誘いをいただいたことでした。語学教師としての経験はありませんでしたが、以前から「日本文化を教える」ということに興味があったので、すぐに応募しました。

私の働いた学校には、「日本のアニメやアイドル、ファッションに興味があって」日本語を学ぼうとする学生が多かったです。日本への興味は、ほとんどの学生に十分ありました。


アンケートの一例。芸能人等の影響は大です


新学期の抱負を学生達に書いてもらいました

しかし日本語の文法をはじめとした「学習」は嫌いな学生も多く、日本語の学力は学生間で差が大きかったです。

学生たちの性格はとてもよく、「先生を手伝いたい」という気持ちで接してくれる学生がほとんどです。はじめは私も緊張していましたが、 授業でのこちらの熱心さに呼応して親しみを示してくれるので、やればやるほどにやりがいを感じる職業だと思いました。

住居は学校敷地内のバス、トイレ、ベッド、キッチン、テレビ、机など基本的な設備が整った寮を提供されました。水道、ガス代だけは支払いますが基本無料です。

物価は安いし、学食を利用できるので、貯金は日本で生活するよりずっと出来たと思います。

確かに日本の感覚からいくと、簡素な寮ではありますが、駐在の管理人さんもいるので、不便は感じずに済みます。自炊もできますが、食堂もバラエティーに富んだ店が入っていましたので、学生と取り分けて食べても楽しく、不満はありませんでした。

授業数は週に1時間半の授業が9つでした。授業時間以外は基本自由ですし、土日はもちろん、時間割によっては勤務の無い平日もありました。

授業が無い時は、学生とフリートークの練習を兼ねて食事を一緒にしたり、授業の準備をしたりと自由に使えますので、ゆとりがあってストレスも感じませんでした。

現在、家族の私的な事情により休職中です。休職も快く受け入れていただきました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

中国の大学は全寮制であることが多く、私のいた学校もそうでした。毎日朝から晩まで寝食共にし、クラスも固定で20〜30人です。

そのため、学生同士の関係がとても密で、良いことももちろんですが、「カンニングや答えの教えあい」が多く、苦労しました。

机の形を黒板に向かってコの字型にしていることも多く、教師が学生と話しやすいというメリットはありました。ただし、この形は私語や指名時の答えの教えあいも増えます。

テストや宿題などでは、かなりの率でカンニングや写しが起きるので、「なぜいけないのか」という点から指導する必要がありました。

テストの時は、自分で解く必要性を教えた上で、カンニングしにくい工夫もしなければならないので苦労しました。

給与・待遇

月収 月収:115,000円
月収内訳
  • 基本給:115,000円
  • ボーナス 臨時であり決まりはない:年間約20,000円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    40,000円(2,000元)
  • 最低限必要な月収
    30,000円(1,500元)
基本労働時間 1日2〜3コマ 週4日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇
  • 賞与(決まっていない。商品券の場合もある)
  • 健康診断
  • 空港までの送迎
教育機関が
用意してくれたもの
  • 住居提供
  • 家具、電化製品
  • ビザ申請費用
  • 日本との往復航空券
クラスの長期休暇
  • 冬休み:50日
  • 夏休み:50日
 
クラスの長期休暇中の
給与保証
仕事はないが、給料は支給される 

給料に対しては、現地の平均給与以上でした。その上住宅が支給されたり、日本への帰省に対する航空券代が補助されたりしますので、一切困ることはありません。日本にいるよりも物価が安い分、貯金ができると思います。

私の居た長春ですと、ショッピングに魅力的な場所が少ないということもあり、必要なものは食事代がほとんどでした。

服は長期休暇中に日本で買いましたので、そこで出費がかさむといえばそうですが、現地では旅行も安くできますし、お金は勝手に貯まっていく感じでした。

ボーナスなどは規定もなかったのですが、期末テストの監督や、論文の指導などにも臨時収入が出たり、学期の終わりに商品券が2万円分支給されたりしましたので、「またいただける」という気持ちになることの方が多かったです。

自分専用の個室の事務室も与えていただき、広々とした場所でゆったりと学生指導をすることもできました。

日本に比べたら、建物の簡素さ、和式トイレがほとんどであること、食堂の衛生観念など気になることはあります。ただ、その場所で考えられる範囲の最高の待遇が外国人教師には与えられていると思いました。

こんなに好待遇で働ける場所は他にないのではと思うほどです。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

だいたいどこの大学の日本語科の先生も待遇は同じようなものだと思います。ただ、国立大学より私立大学のほうがお給料自体は良いようです。

空港への送迎があるかないかは、その時の院長の方針にもよるようで、学校によって様々のようです。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス25人
学習者の年代 大学生
1日の時間割
  • 8:00〜9:30  
    中級視聴覚クラス1コマ 休憩時間に学生と会話
  • 10:00〜11:30  
    初級会話クラス
休日 土日平日問わず、3日

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

私は一人で複数の授業を完全に任されていたので、期末テストの準備と成績評価が大変でした。期末テストは採点作業だけでも相当の時間を費やしますが、成績をつけるには、さらに長い時間がかかります。

初年度は学期末に、ずっと採点と成績評価に追われて大変でした。そこで次年度からは、授業時間を使って個別会話形式でテストをしてしまい、テストと同時に採点もほぼ終わるような方式を採用しました。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

学生たちは「今の生の日本」を知りたがっていましたので、長期休暇で日本に戻った時、ビデオや写真をたくさん撮りました。中国になくて日本にある物や、名称を覚えて欲しいものなど授業を意識して撮りました。

ビデオ撮影では、日本の家族や友人に協力してもらい、会話を吹き込むとかなり興味深く聞き入ってくれますので、良いリスニング教材になります。

また浴衣や着物など、和服を着てみたい学生も多いです。浴衣一式など持って渡航し、着付けイベントをすると好評です。


着つけのイベントをしました

女性の日本語教師でしたら、浴衣の着付けを日本で覚えていくと、役に立つと思います。

就職活動

国選びで重視した点 国は重視しなかった
現地における
日本語教師の需要
  • 日本語教師が飽和状態である
  • 日本人教師には高学歴化が求められつつあるようだ
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 通勤時間
  • 学校の校風
応募時に
必要とされた資格
社会人経験
選考方法
  • 書類
  • 面接
  • 作文
面接地 海外(現地)

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

中国は広い国なので、地域によっても違うと思いますが、東北部では日本語教師を希望する中国人がとても多い上、日中関係の影響で、日本語科の学生が減少したため、外国人教師を少し減らそうとする傾向が見られるようです。

日本人教師においては、数年前より社会人経験がある人や大学院卒を優先して採用している学校が多くなりました。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

「学生にどのように日本語を教えたいのか」「教師とは何か」というような理念について詳しく聞かれました。院長先生との方針が合うかどうかがキーポイントだったように思います。

他には何年くらい継続して働くことができるのかということや、学生に言っていいこと悪いことなどの学校の考えに従えるかどうかの確認でした。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

大学生を教える場合はやはり少し年齢が高い方が採用されやすいようです。

実際に新卒ですと学生さんと「友達」という感じになってしまい、うまくいかなかった例も聞きます。新卒で目指すよりは、大学院に行くとか、日本で教師経験を持つなどした方がいいのかもしれません。

資格はやはり日本語教育能力検定などに合格していたり、大学で日本語教育を専攻していたりすると有利だと思います。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

その他求人情報 口コミで探し、コネクションを作る:中国の学校と留学提携など結んでいる大学の、留学科などを尋ねてコネクションを作る。履歴書を持参して相談すると良い。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

中国の大学で日本人教師を探しているのでどうかと声をかけていただいたのがきっかけです。学校について調べてみると、日本語にかなり力を入れている地域で、学生も全土から集まってくるという校風に魅力を感じました。

その後書類選考、作文提出、面接を経て採用されました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともと日本の文化について外国人に知ってほしいと思っていました。お寿司やアニメなどの影響で日本は日本人が思っているより興味を持たれていると思います。

以前日本のゲームが趣味のカナダ人と友達になったことがありました。彼に日本について色々質問されて、案外自分の国のことでも教えられないものだということに、その時気がつきました。

その後、日本文化や日本語を教えるには、勉強が必要だと思い、日本語教育の講座を受講しました。また日本語教師経験のある方にお話を伺うなどして、準備をしてきました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

やりがいのある職場でしたので、何度も「この仕事をして良かった」と思いました。その中でもやはり、朗読大会出場の学生の指導をした時の充実感が一番思い出に残ります。

最初はつい「まだ大学2年生で、外国人の発音ならこのくらいで上出来」と甘い指導になってしまったのですが、「もっと頑張りたい」という学生の気持ちに気がつき、「よし!日本人とかわらないくらいに、発音を矯正しよう」と思ってお互いに努力しました。

発音指導では、私自身が自分の口の形を鏡に映して見て、学生の口の形の違いからくる発音の差異を探し出しました。少しオーバーに口の形を意識してみる練習は特に効果がありました。


自然な読み方になるよう練習した記録です

昼だけではなく、夜はスカイプを利用して、何度も練習をしました。結果、2年生ながら4年生にも劣らない流暢な朗読ができ、審査員の方々の満足気うなずきを見た時は、達成感で胸がいっぱいになりました。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

無し

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
大学時代に専攻または副専攻で「日本語教育」を取ると良いと思います。もしなければ、日本の教職であっても、教育実習などの経験は役に立つでしょう。

【社会人の方へ】
日本語教師の教えることは「日本語」だけではなく「ビジネス日本語やマナー」も含まれます。日本の社会人としてビジネスマナーもしっかり身につけておくことが、採用の際にも、その後の授業でも役にたつと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

中国というと、このところ政治的な問題のせいか、「大丈夫なの?」といったような心配をされることもあると思います。しかし、現地の方々や学生のほとんどは、とても純粋で心の優しい方です。

ぜひ中国を訪れて、日本語教育を通じて、様々な形で交流をしてみてください。教師として教えることもありますが、逆に教えてもらうこともたくさんあることに気がつきます。教えてもらうことに謙虚であれば、また教えやすくもなり、とても良い関係が築けると思います。

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