元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

中国の大学 経験談

魅力的な先生でいるために、学生のニーズを知ることは必須

公開:2018/11/15

ちさと(女性・30歳) 
日本語教師歴 1.1年 (2017年~2018年)
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程
中国の大学
経験詳細
  • 地域:大連市
  • 月収:16万円(1万元)
    なんとか生活できる
  • 専任講師(正規雇用)
  • 1年(2017年~2018年)
    *現在も就労中

この大学で日本語を学ぶ学生にとって、日本人日本語教師が初めて出会う日本人です。日本人に対するイメージがその日本人教師によって強く印象付けられる可能性が高いです。もっと言うと、日本人教師の発音、教え方、考え方が、学習者にとって将来日本語学習方法に大きな影響を及ぼすかもしれません。その使命感を常に持ち、学生にとって魅力的な存在であろうと日々現場に立っています。

具体的な取り組みの一つとしては、学生のニーズに合わせて授業をする、ということです。今の日本語学科の学生の中で日本語学科に入りたくて入った人はそれほど多くは有りません。その上、将来日本語を使った職に就きたいと目標を掲げている学生も少ないのが現状です。

しかしながら、毎日毎日詰め込み教育を受け、宿題に明け暮れています。「これだと日本語への関心やイメージはどんどん悪くなるのでは?!」と危機感を覚える程です。

一方、大多数の学生はアニメをはじめとするポップカルチャーには関心が有ります。私は出来る限り授業に最近の流行りをPPTに映し出したり、語感訓練を兼ねて学生の最近好きな歌を授業初めに歌うようにしています。そこから徐々に日本や日本語への興味を押し上げていくことが私の任務だと思っています。

結果として、日本語をまず口に出そうとする学生が目立ってきたと実感します。一方、授業以外で連絡をしてくる学生が多く、学生と教師の距離が近くなったので、どこかで線引きをしなくては、と思っているところです。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

「私のやり方は果たして正しい(効果的な)のか?」
教師になる前、私は商社の営業を担当していました。日本語教師の養成講座は授業しましたが、素人中の素人。未経験から、全て自己流で行くしかありませんでした。他の先生にアドバイスをお願いしても「これでいいんじゃない?自分なりの方法で。」ぐらいのもので、最初はこんな風に、経験を積み重ねていっても果たして大丈夫なのかと不安でした。

そして、1年経った今でも、毎回学生の反応を見ながら試行錯誤を重ねています。「今日の授業の会話の尺は長かった?短かった?」とか歴史の授業に関しては「次の単元は〇〇時代についてだけど、どういった方面に興味がある?」等、直接学生に聞いたりもします。私にとって、学生が先生のようなものです(笑)それは、「得意先のニーズにこたえる」営業のやり方と一緒ですね。そうやって、自分なりの「教師像」を模索しています。

給与・待遇

月収 月収:16万円
月収内訳 基本給:16万円
基本労働時間 1日3~6時間 週3日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 保険(中国の保険)
教育機関が
用意してくれたもの
  • 住居提供
  • 住居費用負担
  • 家具、電化製品
  • Wi-Fi
クラスの長期休暇
  • 夏休み:45日
  • 冬休み:45日
クラスの長期休暇中の
給与保証
  • 長期休暇中は別の仕事をしている
  • 1か月分の給料は支給される

今の給料で、最低限の生活はできます。一か月の出費は2000元~3000元です。具体的な内訳は、交際費と週3.4日行くカフェ代と食費が大体です。貯蓄をしたいので、ぜいたくはできません。時々駐在員の日本人と会う時は、少しひもじい気持ちになっちゃいます。(笑)

また、国保の加入をしていないので、一時帰国の際、日本の病院に行けないのは痛手です。中国の保険に加入していますが、現地の病院に行くのは怖くて、ここ2年間、一度も病院に行けていません。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

中国・大連の給与の相場は5000元~10000元と、幅が有ります。しかし、別途日本往復航空券を負担してくれる所、夏休み中給料支給有の所など、待遇は様々ですので、勤務先を探す時は、給料以外の待遇面もじっくり見て検討をすべきです。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス30~120人
学習者の年代 大学生
1日の時間割 火曜日
  • 8:00~11:25  作文クラス4コマ
  • 13:30~16:50  中級会話4コマ
水曜日
  • 8:30~16:20  初級会話8コマ
木曜日
  • 8:00~11:25  作文クラス4コマ
休日 土日
一週間分の授業準備と添削をする日と決めていたので、土日だからといって一日中遊ぶということは、年数回ぐらいしかなかったと思います。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

平日は8:00~16:50まで授業が有り、終わってから明日の授業の準備とその日の作文の添削をしなければならなかったので、寝る間も惜しんでました。

土日も、関係なく授業準備をする必要があったので、どこへ行くにもパソコンを持ち歩いていました。
カフェで授業準備をすることで新しいアイディアが浮かんだり、気分転換ができるので、なんとかいっぱいいっぱいにならず乗り越えました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
参考になる書籍
初級を教える人のための日本語ハンドブック    
対象者:初級
文法の微妙な違いを知りたい時に役立てた。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

書籍をたくさん現地に持って行きましたが、ほとんど見開いてもいません。ほぼインターネットで済みます。
準備して良かったものは、はっぴとパンフレットです。
はっぴは、日本文化の授業の始めに、ソーラン節を披露した時に着ました。
パンフレットは生教材として授業中に使いました。

就職活動

国選びで重視した点 中国が好きだから
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 学習者が学生
  • 日本語教師の数が少人数であること
応募時に
必要とされた資格
日本語教師養成講座420時間終了
選考方法 紹介のため試験なし

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

中国大連に限って言うと、日本人教師は不足しています。以前は早期退職をされて中国で就業している方が多かったのですが、2017年から60歳以上にはビザが下りなくなってしまいました。その余波で、今も人員が足りていない大学は多いそうです。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

学生の声に耳を傾けられる方であれば、資格・職歴は必要ないんじゃないかと思います。
例えば、初級学習者に対して、ティーチャートーク無しに関西弁を話して良いはずがありません。
学生が求めている事や理解度を見て、それに合った指導をしようとする人材が求められると思います。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

私は、今の大学で就業する前、別の大学で語学留学をしていました。その時の日本語教師の方のご紹介で、面接なしに就職しました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

大学の卒業旅行として15日間、一人で中国をバックパックをしました。その時に見た活気ある街並みや飾らない中国の方々を見て、いつかはそこで生活をしたいと強く思いました。生活するなら仕事を探さなければと思った時にたまたま思い立ったのが日本語教師でした。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

寝る間を惜しんで準備をした後、学生が楽しそうに授業を聞いてくれたり、既習文型を正しく使って話かけてくると、嬉しいですね。大体、授業終わりに挨拶をする時の大きさや、授業後に話しかけてくるかどうかで、授業の成功度合いを知れます。

また、今年、中国国内の「中華杯」というスピーチ大会に私の大学が出場し、受け持った生徒が東北地区大会に2位になりました。もちろん彼女の実力に他なりませんが、2か月間みっちり指導をした成果が出たことはとても嬉しかったです。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
留学生のコミュニティに入ってみてください!私は大学時代、留学生のグループの中に溶け込んでいました。中には積極的に日本人と関わろうとする子や同じ国の仲間だけで固まろうとする子等様々なタイプがいることに気づきました。「留学」といっても、その目的は千差万別であることを知れたのは、良かったと思います。また、留学生が困っていることがあったら助けてあげたり、日本語を教えてあげるというのを日常していたので、日本語教師の面白さにも身をもって知れたような気がします。

【社会人の方へ】
まずは、日本語教師養成講座を420時間受講することをお勧めします。その時、模範にしたい先生に一人でも出会えたら良いと思います。私は、ヒューマンアカデミー高松校で受講をしていて、一人の現役日本語教師の方と出会いました。人ととしても、先生としてもとても魅力的で、いつかこんな先生になれたらいいなぁと憧れていました。その先生がよく仰っていたことは、「授業は、導入が命!!いかに導入で学生を引き付けられるかで授業が決まる。」その方からの教えは、今でも私の基盤にあります。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

中国は人口14億人、多民族国家、日本の約25倍の国土面積。つまり、中国といっても都市によって文化・風習・方言は全く異なります。中国国内のどこで勤めるのがベストか、じっくり考えてお決め下さい。
私が大連に決めたきっかけは、
①日本語教育が盛んに行われていること
②標準語に近いこと
③主食が点心より米中心であること
④暑くない事(虫が出ない事) です。
結果として中国の生活はとても満足しています。皆さんも是非中国へ!!

↑ ホームへ戻る

P C S P