元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

ペルーの地元の私立高校 経験談

日本語を教えるだけではない仕事

公開:2018/11/18

アレキペーニャ(女性・34歳) 
日本語教師歴 3年 (2014年~2017年)
*他業種に転職
資格・課程 日本語教師養成講座420時間(BBI日本語教師ネットワーク)
ペルーの地元の私立高校
経験詳細
  • 地域:アレキパ
  • 月収:12,000円(400ヌエボソル)
    それだけでは生活は難しい
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 1年(2015年~2016年)
    *現在は退職

私が勤務していたのは、ペルー人が通う私立の高校で、第二外国語として英語と日本語を教えている学校でした。そのため、特に日本にルーツがある学生がいるわけではなく、日本語を学びたいと思っていない学生もいました。私立の学校でしたが、裕福なわけではなく教材も全くない、音楽室や理科室などもない、日本では考えられないようなシンプルな施設で最初は本当に驚きました。

南米の文化だと思いますが、学生たちはとても活発です。授業中も自由に発言してもいいスタイルなので、どんどん質問してきますし、学生同士で勝手に議論を始めることも日常茶飯事でした。

黙って机に座り、先生の話を聞くことが当たり前の日本で育った私には、管理しきれず戸惑うことばかりでした。

文化の違いに加えて、始まったばかりの頃の私はスペイン語があまり話せなかったので、休み時間などにも学生たちとコミュニケーションをとることができず、溝があったように感じます。

一学期が終盤に差し掛かった頃、私のスペイン語もだいぶ上達してきて、学生たちと会話を楽しみ、授業を妨害する学生の対応にもうまく慣れてきました。「先生、スペイン語が上手になったね」と言われるようになり、学生の日本語よりも私のスペイン語が上達するというのは、いかがなものかと、自問自答の繰り返しでしたが、授業をすることが楽しいと感じるようになったのもその頃でした。

日本語は直接法で教えることが基本ですが、学生との信頼関係は大切なので、学生たちの言葉で話を聞くことも必要だと感じます。特に初級の頃は、母国語を織り交ぜていくことで、学生の興味をひくこともできます。まずは人として、学生たちと向き合っていくことが大事だと学びました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

授業をコントロールすることです。

信じられないほど教室内は活発です。ただ、私語も多いですが、同時に授業に関する質問も多いです。

ただ言われたことだけをするのではなく、自ら考えることができるペルー人の学生たちに、日本式の授業形態を押し付けて、彼らの良さを潰したくなかったので、「20分だけは説明を聞こうね!」とルールを設けることでかなり改善されました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

日本に帰国したことをきっかけに、今は退いています。

地元に日本語学校がないので、残念ながら教師として働くことはできない状態ですが、ボランティア活動として日本語を教えています。

常勤でフルタイムの仕事があれば、また復帰したいと考えています。

給与・待遇

月収 月収:12,000円
月収内訳 1コマ50分:600円
基本労働時間 1日2コマ 週5日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇
  • 夏休み:14日程度
  • 冬休み:60日程度
クラスの長期休暇中の
給与保証
長期休暇中は、事務所で保護者や入学希望者の対応をしてお給料をもらっていました  

私の待遇は、同じ学校に勤める他のペルー人講師よりは良かったのですが、それだけで生活していけるものではありませんでした。

当時のペルーの最低賃金は、750ソル(約23,000円)だったので、授業の数でお給料が変動する非常勤講師の生活は、とても厳しいです。それ故に、先生たちは複数の学校を掛け持ちしていました。お給料がいい学校の仕事が決まると、学期中でも辞めて来なくなってしまいます。子供たちにとっても、決して環境が良いとはいえません。

良いところとしては、ペルーは物価が安く、日本の3分の1程度です。また、副業が認められているので、家庭教師をしたり、社会人が通うビジネススクールの夜間コースで教えたりと、いろいろな方法はあります。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

私の勤務先は、ペルーの地方にある普通の高校だったので、滅多にいない日本人として少し優遇されている部分はありましたが、全体的な待遇としては良くはないと思います。

ペルーの首都リマには、日系人がたくさん住んでいて、日秘会館というセンターのようなところもあり、日本語を教えています。また、日本語学校もあるので、安定した生活が欲しいという方には、そういった場所での就職をオススメします。恐らくですが、月給制で有給休暇もあり、ビザの手続きもしてくれると思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス20人
学習者の年代 高校生
1日の時間割 時間割表によるので、時間はまちまちです。
  • 月曜日 1年生 2コマ/授業準備/課題チェック
  • 火曜日 3年生 2コマ/授業準備/課題チェック
  • 水曜日 2年生 2コマ/授業準備/課題チェック
  • 木曜日 5年生 2コマ/授業準備/課題チェック
  • 金曜日 4年生 2コマ/授業準備/課題チェック
休日 土日:1日休み

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

毎日授業があるので、授業の準備がとにかく大変でした。

また、学校にはインターネットもないし、ラジカセさえもなく、使える教材は本当に限られていました。自宅でダウンロードしたビデオを見せるために、ひったくりが多いペルーで、ノートパソコンをドキドキしながら持って行ったことを今も忘れません。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
みんなの教材サイト
学生たちが大好きだった、季節の行事に関するイラストや、日本語での説明をプリントアウトして、見せていました。イメージがつきやすく、「読みたい!」という好奇心を刺激するようで、毎回食いつきがよかったです。
参考になる書籍
みんなの日本語 初級I    
対象者:初級
スペイン語版があるので、説明しきれないニュアンスはスペイン語で説明することができるので、とても便利でした。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

ここまで学校内に設備がないと思っていなかったので、日本語の本や、日本を紹介できるもの、カルタやフラッシュカードなども持っていけば良かったと後悔しました、日本語教育に歴史がある学校などでは、すでにあると思いますので、事前に確認するとよいと思います。

就職活動

国選びで重視した点
  • 親日国
  • 物価の安さ
  • 気候
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
学習者が学生
応募時に
必要とされた資格
選考方法 面接
面接地 海外:現地

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

ペルーでは、日本は一部の学生からはとても人気があり、アニメ好きやテクノロジーを学びたい人たちの需要はあります。多くはないですが大学では日本語が学べる学科がありますし、社会人用に夜の講座を開講している場所もあります。

ただ、数は多くないので、フルタイムでなかなか見つからない可能性はありますが、非常勤でも仕事があれば、家庭教師をするなどして稼ぐことは可能だと思います。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

これまでの経験と、日本語の教え方について聞かれました。面接というよりは、雑談という感じです。

すべてスペイン語だったので、しっかり答えることができたのか、今考えるとかなり怪しかったと思います。それでも、人柄も見ているようで、その場で採用してもらいました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

学生たちとコミュニケーションをとるうえで、働く国の母国語で会話ができるレベルになっていると、いろんな面でスムーズだと思います。

こちらが、彼らの言葉で喋ることにより、言語を習得することは可能だと証明することにもつながると思うからです。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
Facebook
仕事を辞めるときに情報をアップしたり、意外とたくさん載ってます
その他求人情報
直接連絡する:行きたい学校があれば、直接メールするのもいいと思います

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

たまたま、通っていたスペイン語の学校の近くにあった学校で、日本語を教えていると、スペイン語の先生が教えてくれました。

日本語教師の経験があると伝えると、すぐに面接が決まりました。

住みたい町があれば、まずは行ってみることで、得られる情報量が全然違うのでオススメの方法です。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

ワーキングホリデーで、オーストラリアに住んでいた時に、日本語教師をしている人に出会い、そんな資格があることを初めて知りました。

地元の教育機関で働いていることが、ただただ羨ましくて、私も資格を取ろう!と決めました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

ペルーで勤務している時、私の誕生日にケーキを買って、みんなでパーティーをしてくれたことです。

学校の中でも、一番不良っぽい男の子にいつも手を焼いていたのですが、彼が中心になって計画してくれたようで、彼は、

「日本語の授業は嫌いだったけど、今はちょっと好き」

と言ってくれたことで、すべて意味があったのかなと思いました。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

卒業年次のクラスで、誰も授業を聞いてくれず、全員に無視された時は、もうやめようと思いました。

授業中でしたが、事務長室に相談にいき、泣いてしまったほどです。事務長が学生と話して、その後、学生たちは謝りに来てくれました。

悪ふざけのつもりだったそうですが、とても傷つきましたね。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
もし可能であれば、JICAを通して日本語教師として派遣されるといいのかなと思います。

日本語教師は、新卒が有利というわけではなく、経験が重視される傾向にあるので、まずはどこかで働いてみるというのが、一番かなと思います。

【社会人の方へ】
各県の国際交流協会で主催している、日本語教師講座にまずは参加してみることをオススメします。

お金をかけずに、どんな仕事なのかを見てみることで、ご自身に向いているのかどうか、イメージできると思いますよ。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

日本語教師は、見た目以上に大変な仕事であると思います。

授業準備や課題チェックで、予想以上の時間をとられますし、日本の文化がわからない人に、日本語のもつ曖昧さを説明するのは本当に難しいです。

それでも、彼らのまっすぐな姿勢やひたむきさに励まされる部分も多いです。

私たちが学生時代に出会った、外国人の英語の先生をなんとなく覚えているように、学生にとって、日本語の先生は日本人の代表のようなものです。

ぜひ素敵な笑顔で、毎日頑張っていただきたいと思います。

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