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海外日本語教師経験談

台湾 北部 日本語学校(2021年) 熱意ある台湾人学習者たちとの毎日

台湾で広く使われている「みんなの日本語」の教科書等 さつきさん撮影

👩 さつきさん・ 35歳

総評

  • 台湾 北部 日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:2年 (2019~2021年) *退職
  • 月収:9万6000円 (2万4000元) *なんとか生活できる
  • 勤務時間:1日1.5~6時間 週3~4日勤務   *残業:残業なし

先に台湾へ渡航することが決まってから日本語教師の資格を取ることを決めました。準備期間が半年ほどあったので日本語教育能力検定試験の受験を決意し、とある通信講座を使い自分のペースで勉強を続けて無事に合格することができました。

問題に少々癖がある(試験後に各予備校が出す解答速報も、各校かなり解答がばらけています)ため、過去問を何年分も解いてみることは必須です(絶版になっているものもありますが、ヤフオクやメルカリで手に入ります)。

実際に台湾に来てからは、台湾人のとってもおおらかで、かつ日本に対して情熱的なところ、そこをひしひしと感じながらいつも楽しく教えることができました (おおらかすぎて、それに振り回されてしまうこともあります)。 学習者は幼稚園児ほどの子どもからおじいさんおばあさんまで、とても幅広い年代の方々です。

正直なところ給料面では大変です。。。が、それ以上に経験値を得ることは十分に可能です。ただシンプルに、毎回の授業を通し学習者の日本語の成長が実感できることも、とても嬉しいです。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

台湾で外国人が労働局から就労許可を得て働くには、給料はいくら以上でなければならない、という規定があります。台湾全国の台湾人の最低賃金の2倍に設定されています。しかしなぜか語学教師はこの規定の例外ということで当てはまらなくてもよく、安く買いたたかれている状態です。

学習習慣の違いで苦労したことはありません。特に変わったことはありませんでした。ちなみに台湾の大学では何か食べながら授業することはぜんぜんおかしいことではないそうです。学生も食べ、先生も食べるそうです!

私が働いた学校ではみな、宿題なども含めてとても真面目に学習に取り組んでいました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

辞めた理由はコロナのあおりを受けたことです。ある時台湾でコロナが急激に広がり、台湾政府は「ロックダウン」こそしなかったものの、外出を最小限に控えるよう国内の人々に通達しました。

たくさんの人がワーク・フロム・ホーム(在宅ワーク)を始めて、学習者のみなさんは日本語の学校へ行って日本語の勉強をするどころではなくなり授業が激減してしまいました。

給与

月収:9万6000円 (2万4000元)
なんとか生活できる

住む地域によって生活のしやすさは大きく変わると思います。生活にかかわる費用の中で特に大きな部分を占める家賃のことですが、台湾の中でも台北は特に高いです。

シェアハウスでトイレとシャワーが共同の一部屋を借りると8000元ほどからあるようですが、平均的な日本人が住んで快適と感じられる環境かどうかは疑問が残ります。一人暮らし、キッチン付きでそこそこきれいとなると月1万5000元以上は見込んだ方がよさそうです。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:9万6000円

月収の内訳

  • 時給 1,600円

待遇

  • 健康保険
  • 医療保険

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 1日1.5~6時間 週3~4日勤務   *残業 残業なし

長期休暇中の給与保証

  • 給与保証がない

仕事のかけもち状況

  • かけもちしている 他2ヶ所

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

日本人と比べたとき、台湾人はもともと時間の感覚におおらかです。すぐに授業を休みます。プライベートレッスンを直前にキャンセルされることもしばしばです。そのような時も学校が教師に給料面で補償することもなく、ただ何もなかったことにされます(学校によると思いますが)。

直前キャンセルされた場合、給料が支払われれば問題ないですが、何も払われず、その時間がただの無収入の空きコマとなり非常に不公平だと感じます。グループレッスンの場合この問題は起きません。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス5~8人
  • プライベートレッスン

学習者層

  • 大学生
  • 社会人
  • 幅広い年齢層

台湾で日本語を教える前に準備すべきだったことは?

日本からも日本の教材をオンラインショッピングで取り寄せできますし、また現地の日系書店で購入することもできます。ただやはり割高になるので、あらかじめ準備できるものは日本で購入して持って行った方が良いです。台湾では「みんなの日本語」が広く使われています。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • Langoal
    みんなの日本語をはじめて教える人におすすめです。絵教材が豊富に載っているので、このサイトを使って授業準備をすると学習者の想像力をかきたてる資料を作れると思います。
  • 日本語NET
    簡単にクラスでできるゲームが載っています。授業に動きを付けたいとき、参考にできます。なかなか自分ではアイディアが思い浮かばない方におすすめです。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 音声を教える (国際交流基金日本語教授法シリーズ2) 対象: 全レベル
    「音声/発音」の教授法だけでなく、音声に関して新しい学びがたくさんある一冊です。「このように発音してしまってる人にはこういう順を追って指導するとうまくいく」など、具体例が載っていてとても役に立ちます。文法などに比べて事前準備がおろそかになりがちな「音声」について、詳しく学びたい方におすすめです。
  • 中・上級を教える (国際交流基金日本語教授法シリーズ) 対象: 中級・上級
    初級の学習者と違い、中上級者は学習方法や教科書の選定方法が難しいことが多いです。この本は、今まで学習者が積み上げてきたものをロールプレイなどのタスクを通じてアウトプットさせる方法を学ぶことが出来ます。中上級者の指導に行き詰まりを感じてしまっている方におすすめです。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

台湾の表に出ている日本語教師の求人はあまり多くないと思います。求人サイトでやっと見つけて応募しました。絶対条件はビザのサポートをしてくれることです。学校のホームページを見て、写真に写っている先生や学生の楽しそうな表情を見てよさそうな学校だと感じました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

一般的な面接と同じで、想定内の質問内容でした。

・なぜ日本語教師になった?
・なぜこの学校で働きたい?
・どういう授業をしたい?
などです。

面接は日本語がとても流暢なスタッフが一名入り、日本語で行われました。中国語や英語も選択可能でした。注意したことは、繕わずに素直にこの仕事に対する考えを話すということです。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

みんなの日本語の文法数項目分の授業をする、といった内容でした。

時間がかかるのでダイジェストのような感じで行ないました。教案を作ったのち、本番前には実際に日本語学習中の台湾人の友人に協力してもらい、ホワイトボードも用意して「模擬授業の模擬授業」を行なってみました。

相手のリアクション(理解度やそれぞれのポイントに対するくいつき具合など)を注意深く観察しながら、それに合わせて進めるようにすると上手くいきました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいある?

ありがたいことに台湾人には親日家が非常に多いです。一定数の人にとって日本は「憧れの国」であるようです。日本語を勉強したい!と思ってくれる人がとても多いです。目的・目標は日本へ留学したい、日本で仕事をしたい、旅行に行ったときに話したい、日本のドラマを日本語で理解したい、などさまざまです。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

現地の労働許可取得のために絶対に必要なものが、以下の3つのうちのどれかです。これが無い場合は、配偶者ビザなど他のビザを取得している場合を除いて就労できません。

・日本語教育能力検定試験合格
・420時間養成講座修了
・大学や大学院での専攻、副専攻

基本的には大学卒業以上ですが、短期大学卒でもビザの許可が下りるケースがあります。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本語教育学会
    時々海外求人が掲載されます。まめなチェックが必要です。

就職活動で有効な手段は?

  • 『知り合いを増やす』
    日本語学校だけに限らず、台湾の就職は知り合いのつてなど、コネがとても多いです。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 必須資格
  • 学校の規模

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 大学 日本語教育主・副専攻

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

面接方法

  • 現地にて対面で実施

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともと言葉に興味があったので、自然な流れでした。小さいころから図書館に入り浸って本ばかり読んでいるような子どもでした。自分がネイティブとして培った知識や感覚を外国の方の日本理解に役立てていただける、素晴らしい仕事だと思っています。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

学習者さんの話はいつもおもしろいです。台湾のことを本当によく教えてくれます。「あそこのお店は美味しい!」「○○へ旅行するんだったら絶対これを買って!」といったおすすめ情報もありますし、「台湾のあの政党は実は~~~、」などニュースを見るだけでは、なかなか知ることができない話まで、いろいろな話を聞くのが本当に楽しいです。

そしてもちろん私からも、学習者さんが知らない日本や日本人から見た台湾感をお伝えしています。日本に留学している方たちと違い、台湾在住の学習者さんにとって日本語の授業は日本と関わりを持てる貴重な時間です。外国で教える日本語教師として学習者の日本理解の一助になれることを誇りに思います。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

業務内容に関して辞めたいと思ったほどの不満は全くありません。ただ給料面に関しては正直なところ不安しかありません。ずっと長く続けられる仕事ではないと思います。安定的に安心して生活するための他の収入源が必要です。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

万一経済的に余裕がない場合は、 日本語教育能力検定試験合格を狙い、通信講座を使って勉強するのがおすすめです。養成講座に通うよりもずっと安くすみます。ただその場合は理論の勉強の方に比重が置かれることになりますから、またそれとは別に、授業の組み立て方の勉強をすることなどが必要になります。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

日本のビジネスマナーやビジネス日本語をすぐに教えられることは非常に大きな強みです。敬語の学習に対する需要は想像以上に大きいです。

検定合格や養成講座、どちらでも良いですから、この職業が少しでも気になっている方はチャレンジしてみることをおすすめします。まだそのどちらも踏み出せないという方は、とりあえず本屋さんで簡単に手に入る参考書を買って気楽に試してみるのも良いと思います。

台湾で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

授業だけを考えた場合、とても楽しみながら日本語を教えることが出来ると思います。台湾の学習者の中で、いやいや勉強している人には一人も会ったことがありません。みなさん日本や日本語に興味津々でこちらの話を聞いてくれます。そんな学習者さんの助けに積極的になりたいと考えている方には非常におすすめの環境です。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

ずっと学び続ける姿勢が必要だと思います。オンラインでもいいですし書籍からでもいいですし、常にアップデートを続け、新しいものを提供できる教師になりたいです。今はオンラインのクラスもかなり増えてきているので、そちらの方面の知識も必須になってきています。

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