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海外日本語教師経験談

台湾 台北 日本語塾 補習班(2022年) 台湾人学習者と一緒に学んだ2年間

👩 春の花さん・ 28歳

総評

  • 台湾 台北 日本語塾 補習班
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間:2年 (2020~2022年) *退職
  • 月収:15万円 (3万4000元) *現地で生活をするのに十分
  • 勤務時間:1日8時間・週5日勤務   *残業:残業という名目ではないが、個人的に教材を作るのにかけていた時間は一ヶ月約60時間ほど
  • 日本語教師養成講座420時間修了  ヒューマンアカデミー

子供の頃から国語の教師になることが夢で、大学では国語の教員免許を取得するために頑張っていました。
しかし、大学で日本文化や日本の文学について学んでいる時、日本語教師をしている教授に出会いました。その時初めて外国人に日本語を教える仕事があることを知り、日本語を学びたいと思ってくれる外国人に教えることに興味を持ちました。

その後すぐに日本語を教えるボランティアを始め、外国人との会話、日本語学習者に日本語を教えることにやりがいと楽しさを感じ、大学卒業後にアルバイトをしながら日本語教師養成講座に通いました。

その後、非常勤講師として日本の告示校に就職し、一週間に20時間程度多国籍の学習者に日本語を教えていました。元々外国で日本語教師をすることが夢だったので、授業の経験を積むため非常勤として約2年間勤務させていただきました。2年間さまざまな国の学習者と出会い、どの国で日本語教師の仕事をしようか悩んだ結果、自分と一番相性がいいと思った台湾に就職することを決めました。

台湾には旅行で一度しか行ったことがなく不安もありましたが、直接法で教えるため中国語の能力が不問であること、研修制度が整っていること、正社員としての採用であること、以上3点が当時の就職の決め手となりました。

台湾の学校ではグループ単位の授業でした。クラス内の学習者は学生や社会人などさまざまで、学習の目的も違います。同じレベルの学習者がそのクラスに集まっているはずなのですが、宿題をしっかり済まし授業内ではメモをとり質問もしてくる学習者や、親に言われてただ通っているだけの学習者など、各学習者の目的によって、日本語を学ぶ意欲も違ってきます。

レベルや意欲に差があるため、グループ内でペアを作り会話練習をさせたり、ロールプレイをさせたりしたい場面で、うまくいかないこともたくさんありました。レベルの高い授業を求める学習者とレベルの低い部分から時間をかけてゆっくり説明することを求める学習者がいる中で、全ての学習者にとっていい授業を考え、実際に授業をすることはとても大変で、学習者からクレームが出ることも何度かありました。

満足度の高い授業を行うために大事なのは、授業準備をしっかり行うことと学習者をよく知ることだと思います。約5年間教壇に立ち授業を行なってきましたが、授業が始まる前は毎回緊張します。

台湾では、学習者との会話から得たことを、文法を導入する際の例文や練習、活動などで盛り込み、学習者のモチベーションをあげることで、他の先生では教えることのできない、私らしい授業ができるように常に意識していました。また同じ授業内容でも、授業を受ける学習者が変われば、毎回違う改善点が見えてくるため、それらをしっかり改善し次の授業や他の場面で生かしてきました。

授業準備に完璧という言葉はありません。休日に教案を作ることは当たり前でした。睡眠時間も削られ何度も「日本に帰ろう」「この仕事を辞めたい」と思いました。しかし私は、学習者との会話が大好きなようで、「先生と一緒に勉強したい!」と言われるたび「自分の授業でこんなに喜んでくれる学習者がいるんだ」「自分のしていることは間違っていない」と実感し、何度も日本語教師を続けようという気持ちにさせられてきました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

台湾の母国語は中国語です。漢字圏の学習者は日本語の漢字を見てある程度の意味が理解できてしまいます。そのため、漢字以外の助詞や、似ている文法の違いなど、漢字圏以外の学習者より目の付け所がよく日本語教師として答えがいのある(少し困った)質問をしてくるのが特徴だと思います。Aの文法を教える授業なのに、全く違うXの部分の文法が気になり質問してきたり、その授業のポイントではない部分の助詞について質問してきたりする学習者も多くいました。

質問をあらかじめ予想し、授業準備を念入りに行っていたとしても、予想を遥かに超えた質問が飛んでくることが何度もありました。その際はその場でその質問に答え、学習者を納得させなければなりません。学習者が納得できるような答え方をするための言葉選びにとても苦労しました。

これらは、授業の回数をこなし、各文法でよくくる質問を覚え、その答えを準備しておくこと、教案作成の際に学習者が引っかかりやすい部分をあらかじめ排除しておくことで解決できました。

なぜこの日本語塾 補習班を退職しましたか?

私が退職した理由は、台湾で出会ったパートナーと結婚し日本に帰国することが決まったからです。

台湾での日本語教師としての仕事はとても楽しくやりがいのあるものでしたが、仕事量に対する給料が見合わず入社時から設定されていた2年契約を更新するか迷っていました。労働時間外での作業が多く、自分の時間、友人やパートナーとの時間を取れないことがかなりのストレスになりました。睡眠時間を確保できないことも多々あったため、パートナーからのプロポーズを受け、台湾での仕事を辞め、日本に帰国することを決めました。

給与

月収:15万円 (3万4000元)
現地で生活をするのに十分

台湾は物価が低いと知られているかもしれませんが、日本と比較して物価が低いというだけで、職場があった台北市、台北市の隣に位置し私が当時住んでいた新北市は、家賃や電気代、外食の費用もそこまで安くはありませんでした。

私のような上記の給料で一人暮らしをする際、選択肢に入ってくる住居は日本のものとは比べ物にならないくらい古いアパートです。エレベーターなしの階段、キッチンなし、ベランダなし、洗面台とトイレとシャワーが同じ場所にある3点式ユニットバスが基本です。キッチン付きにするとかなり値段が上がってしまいます。

私は1年目は、家賃11000元(約4万4000円)の5階建て、エレベーターなしの5階に住んでいました。2年目から、パートナーと二人暮らしを始めました。二人で一人暮らしの部屋に住むことも可能ですが、家賃を二人で負担することで、古いアパートではなく管理人付きキッチン付きの綺麗なマンションに住むことができます。台北市でそのような家を見つけることは少し難しいですが、新北市にある淡水周辺(台北駅から電車で約50分ぐらいの場所)であれば、一人1万元(約4万円)を出し、二人で2万元(約8万円)の部屋を借りることができます。

生活面では、休みの日に少し贅沢な料理を食べたり、生活用品として日本の商品を買ったりすると、貯金が全くできなくなるため、節約することを常に意識していました。

例えば、仕事がある日の前日に、割引シールの貼られたおにぎりやパンなどをコンビニで購入し翌日の朝ごはんにしたり、1日の食事代を300元(1000円)以内に抑えることを目標にしたりして、貯金するための工夫をしていました。月によって変動はありましたが、一ヶ月に約1万元(4万円)ほどを貯金に回していました。私は、時間外労働として自宅で教材作りをする時間を確保したかったため、家庭教師やオンラインレッスンなど、その他で収入を得られるような副業をしておらず、贅沢な生活ができなかったのかもしれません。

給料以外に会社から支給されるお金に関して、日本にはない台湾ならではの文化があります。台湾の三大節句(春節、端午節、中秋節)この三つの節句ごとにお祝い金(プチボーナス)としてお金が支給されます。(当時の会社では約600元(2400円)でした。)

日本の一般企業では当然のようにもらえる賞与については、勤務した2年間がコロナ禍であったため残念ながらもらうことができませんでしたが、コロナ以前は、日本の一般企業同様一年に2度、約一ヶ月分ほど(その年の業績により変動)の賞与がもらえていたそうです。

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給与

  • 月収:15万円

月収の内訳

  • 基本給:15万円

待遇

  • 有給
  • 健康保険
  • 医療保険
  • 健康診断
  • 賞与:コロナ禍のためありませんでしたが、普段は給与一ヶ月分ぐらいだそうです

雇用形態

  • 専任講師 *正規雇用

勤務時間

  • 1日8時間・週5日勤務   *残業 残業という名目ではないが、個人的に教材を作るのにかけていた時間は一ヶ月約60時間ほど

仕事のかけもち状況

  • かけもちしていない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

月の後半に翌月のシフトと全体の授業スケジュールが更新され、自分の授業時間数と自分が行う授業内容がわかります。その後すぐに、自分が行う授業を管理し、ミスがないように個人のスケジュール表を作ります。

スケジュール表の作り方は、既に作成済みの教案(一度授業をしたことがあるもの)とその月の自分に与えられた授業スケジュールを照らし合わせ、翌月に自分が作るべき教案がいくつあるか把握することから始まります。

授業時間は一週間で約30時間。作成しなければならない教案が一週間に5つほどあったり、全く教案を作らなくていい週があったり、大変さはまちまちでしたが、その授業スケジュールで休日の時間の使い方が決まってくるので、毎月後半は早くスケジュールが出ないかとドキドキしていました。

個人のスケジュールを作成した後は自分が作るべき教案を把握し、それら一つ一つにどれだけの時間がかかるかを予想、短時間でできるものから先に済ませ、時間がかかるものは後回しにして休日に時間をかけて行い、効率よく教案が作れるように工夫していました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス2〜18人
  • プライベートレッスン

学習者層

  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人

台湾で日本語を教える前に準備すべきだったことは?

初級の学習者に教える際によく使う、○×棒や、?の棒などです。初級学習者は、「丸」や「ばつ」「はてな」といった言葉すらわかりません。視覚化して発話練習をスムーズに行うために、簡易的ではなく、ラミネート加工されたしっかりしたアイテムなどを持っていっていればよかったなと思います。

持っていて役に立ったのは、レベルごとの文型を使ったアクティビティについて書かれた本や、オノマトペ、若者言葉、関西弁などについて短時間で紹介できるPPTなどです。授業が少し早く終わった際などに、授業内容とは別の上記のようなことを行うと、みな興味を持って参加してくれ、日本語学習のモチベーション向上に繋がると思います。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • いらすとや
    日本語教師で知らない人はいないであろう、転載可能かつ、欲しいイラストがすぐに見つかる、イラストサイトです。 初級レベルの学習者は、理解できる言葉が少なく、絵を見せて単語を教えたり、文法の導入を行ったほうがすぐに理解できると思います。反対に中級レベルの学習者は、ある程度の日本語は理解できますが、次に大事になってくるのは定着率です。私は、文法の導入で少しマニアックなイラストを使ったり面白いイラストを使ったりして学習者が思い出しやすいような工夫をし、定着率をあげるのに使っていました。 絵を描くことが苦手、自分の言葉の説明だけでは足りないなと感じる方におすすめだと思います。
  • みんなの教材サイト
    日本語教師をされている方々が作成した教材を見ることができるユーザー登録制のサイトです。文法や文型ごとに教案やPPT練習方法、アクティビティを探すことができ、文法の導入文に悩んでいる時や定着率の上がる練習方法を見つけたい時などにとても役立ちます。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 初級を教える人のための日本語文法ハンドブック 対象: 初級・中級
    似ている文法を比較した解説があったり、学習者が間違えやすい使い方、教える際に注意すべきポイントなどが書かれています。 中級クラスやJLPT試験を受けるために勉強しているクラスの授業準備の際に、学習者からの質問を想定するのに使用したり、実際に質問に答える際にこの本の解説文を参考にしたりしていました。 中級以降になると難しい文法の質問も増え、学習者が納得してくれない場合も増えてきます。この本の解説は、学習者が理解しやすいように例文付きで書かれているので重宝すると思います。
  • どんなときどう使う日本語表現文型辞典 対象: 全レベル
    N1からN5レベルで学習する文法が網羅されており、それぞれの意味用法、類似文型との違いが分かりやすく書かれています。細かくポイントを説明しているものではありませんが、例文の多さや簡潔なポイント説明文など、授業ですぐに使える内容が詰まっており、参考になることが多いと思います。 また、該当文型に対する類似文型が何ページにあるのかが書かれており、自分で気付けない類似文型の発見ができるのも良い点です。

就職活動

どのように就職活動を行いましたか?

ウェブの検索画面に「日本語教師 台湾 求人」と打ち込み、出てきたものは全て見ていたと思います。最初から台湾で就職したいと思っていたので、台湾に絞って検索していました。日本語教師の求人探しは「日本村」や「日本語教師の集い」などのサイトが有名だと思います。当時の勤務先は、「日本語教師の集い」というサイトで求人を見つけました。一社目に当時の会社に応募し、そのまま採用されたので一社のみの応募でした。

当時は、初めての海外生活、初めての一人暮らしであったため、給与面や待遇の良さをメインに就職先を探していました。知り合いや友人が一人もいない街に行き、一人で生活するのに十分な収入がないと心に余裕ができず苦しむことが予想できたからです。良い職場を見極めるために、週休2日、有給制度の有無、健康保険加入、昇給制度の有無、研修の有無などを重点的に見ていました。台湾では、仕事を一生懸命にすることだけでなく、新しい場所での生活を楽しむことも目的にしていたため、休日の有無と金銭面で余裕ができるかどうかはとても大事でした。

就職活動をする上で気をつけたことは、連絡の際の言葉遣いと返信の速さ、模擬授業の準備でした。日本語教師として、言葉遣いには十分気をつけなければならないし、コロナ禍で人柄や人格が相手に伝わりにくいオンラインでの面接であったため、メールの返信を素早く行うことを意識し、自分の強みを活かすための模擬授業準備も怠りませんでした。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

とても緊張していたので詳しくはあまり覚えていませんが、志望理由や台湾を選んだ理由を最初の方に聞かれました。そのほか、自分の短所と長所、日本語教師をしていて大変だと思ったこと、恋人の有無、家族と離れて暮らすことについて、「て形」の説明の仕方を聞かれたと思います。

直接会って自分の人柄が伝えられないオンライン面接であったため、笑顔ではっきりと話すことを意識しました。今までの経験をどのように生かすことができるか、授業をするだけでなくSNSの運用に興味があることや、現状維持を嫌い新しいことに挑戦することが好きなことも伝えました。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

模擬授業の課題は、文型「たい」の導入と練習でした。

「たい」は日本語学習の初級レベルで勉強する文型のため、学習者は簡単な日本語しかわかりません。そのため語彙コントロールに注意し、言葉を選んで模擬授業を行いました。オンラインでの模擬授業であったためPPTのイラストやアニメーションを使い、初級の学習者がわかりやすいような授業を意識しました。

身近ですぐに使えるような例文を選んだことや、練習の際に選んだ動詞、練習のテンポ、声の大きさなどが評価の基準になったのではないかと思います。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

台湾で生活をしていると、お店の店員さんや街中の一般人などで、日本語を話せる人がとても多く、驚かされることが何度もありました。

台湾は親日国で街中は日本語で溢れています。コンビニやドラッグストアではたくさんの日本の商品が売られ、吉野家やスシローなどの日本のレストランも多いです。台湾人は、子供の頃から日本語や日本の商品に触れる機会が多いため、自然な流れで、日本や日本語に興味を持つのだと思います。

その結果、高校生(早ければ中学生)のうちから学校の授業が終わってから、日本語を勉強するために塾に通い日本の大学入学を目指す人や、社会人になりお金を貯めながら日本語を勉強し、日本でのワーキングホリデー生活、日本の会社・日系会社への就職を目指す人など、日本と関わることを夢にする台湾人がたくさんいるのかもしれません。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日本語教師の集い
    求人の量が圧倒的に多く更新される頻度も高いです。日本の求人はもちろん海外の求人も多いのが特徴的です。台湾の求人も多いです。ひと目見ただけでどの国の求人か、常勤・非常勤・オンラインの何を求められているのかが分かりやすいです。
  • 日本村
    地域ごとに日本語教師の求人を探すことができます。 「日本語教師の集い」より更新頻度は低いですが、「台湾」のタグを押すと一括して台湾の求人情報を見ることができます。
  • JEGS International
    現在の日本語教育現場で何を求められているかの情報に加え、海外の教育や教育施設の情報、求人が掲載されています。 海外か国内か、職場の特徴や求められる条件、職種などさまざまな検索のタグがあるので、自分の求める職場を見つけるのにとても便利です。

国選びで重視した点

  • 治安
  • 親日国
  • 日本との距離

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 高い人気があり、多くの学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • サポート体制がある
  • 給与・待遇
  • 雇用形態

応募時に必要とされた資格

  • 大学卒業

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

面接方法

  • skypeやzoomなどのインターネットツールを使用して面談

日本語教師全般に関する質問

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

学習者同士が日本語で話している場面を見た時はとても感動します。外国語母語話者同士が英語や中国語を使って話すのではなく、日本語を使って会話することを意識してくれていると感じ、もっといい教え方はないか、印象に残る授業をするための工夫をしよう。など自分の授業を向上させるためのモチベーションに繋がります。

当時の日本語学校では、2,3ヶ月ごとにそのクラス範囲が終わり、次のレベルに上がる際に、先生が変わることもしばしばありました。クラスが終わりに近づくにつれ、学習者から、「次の先生は誰?」「次も先生が授業をしてくれる?」と聞かれることが本当にたくさんあり、聞かれるたびとても嬉しく、もっと学習者のために頑張らなければと思っていました。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

入社当初は、教案作成に追われ睡眠不足が当たり前の毎日を送っていました。教案作成に慣れて、教案が揃ってくると、時間を有効的に使えるようになり、睡眠不足の日も減りましたが、教案作成に終了という言葉はないので、終わりの見えない日々に苦しくなることもありました。

学習者のために授業準備を頑張ろうと思うと、勤務時間外で仕事をすることになります。自分の時間を使い教案を作り準備をするので、残業代はもちろん出ません。「一般企業の会社員からすれば低い給与であるにもかかわらず、自分は時間外で残業代も出ないことをどうしてしているんだろう」「何のためにこんなに頑張っているんだろう」「日本で一般企業に就職した方が楽だし、自分が遊べる自由時間も確保できるのに」と何度も考えました。

しかし、実際に授業に入るとそのような苦しいと考えていたことは吹っ飛び、日本語教師という仕事の楽しさを噛み締める瞬間が何度もありました。学習者と会話をし「理解した!」という表情を見たり、「先生ありがとう」という言葉を聞いたりするたびに、私は授業をすること、学習者と関わることが大好きなのだと実感しました。

台湾で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

台湾と日本の文化はとても似ています。それに加え親日なので初めての海外生活、海外就職を考えている方におすすめだと思います。台湾人は困っている人に対して、何の躊躇いもなく救いの手を差し伸べてくれます。私は中国語が全くできないまま渡台し生活を始めましたが、嫌な思いをしたことは一度もありませんでした。

また、台湾は日本のように細かいルールが少なく、いい意味でも悪い意味でも適当です。

いい意味では、コンビニやスーパー、デパートなどに犬を連れている人がいても周囲は誰も何も気にしていないことや、レストランなどに行き、日本人だとわかると料理や飲み物などをサービスしてくれることも多いです。

悪い意味では、店員さんが勤務中に携帯を触っていたりして接客の態度が少し悪く感じることや、バイクの運転免許が簡単に取得できるため交通事故が多いことなどです。

厳しい規律を守ることに疲れた方や、少し自由奔放に生活したい方などは台湾での生活はとても刺激的に感じると思います。

店に日本の商品がたくさん置かれているので、生活面で特に困ることはないと思いますが、台湾料理の味の濃さや油っこさ、八角の匂いが苦手な方などはそのような店を避け、少し高い値段になりますが食べ慣れた日本食のレストランへ行くのがいいと思います。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

最近出産し子育て中のため、オンラインで日本語を教えることを考えています。コロナ禍でオンライン授業の需要が高まり、実際にそのような求人も多いです。対面で授業を教えることは本当に楽しく教えがいがありますが、今後の日本語学習者の動向を読み、SNSで日本語を学習するコンテンツの作成や、対面授業、オンライン授業、プライベート授業など、いろんなことに対応できるフレキシブルな人材になることを意識していきたいと思っています。

そのためには、日本語教育業界の情報収集や、日本語教師仲間との交流が必要になってくると思います。実際にSNSコンテンツを運用している方をフォローし、それらの反応を見てみたり、授業で使える教案やPPTの作成を育児の合間の時間で行い、教材の貯金をしておこうと思っています。

また、初級レベルの学習者との授業は直接法で教えるには限界があるため、英語で日本語を説明する技術も身につけたいと思い、英語学習の時間も確保しようと思っています。

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