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海外日本語教師経験談
台湾 南部 日本語学校(2019年) 私が台湾を選んでよかった理由
👩 Lili@MNさん・ 28歳
総評
- 台湾 南部 日本語学校
- 雇用形態:専任講師 *正規雇用
- 期間:4年 (2015~2019年) *退職
- 月収:12万円 (3万2,000元) *現地で生活をするのに十分
- 勤務時間:1日8時間 週6日勤務 *残業:残業なし
私が台湾を選んでよかった理由は3つあります。
1つ目は漢字圏であることです。
私は未経験で、英語も中国語も得意ではありません。日本語のみの直接法で授業を進めますが、授業で教科書以外に盛り上げたいときなどは漢字があるかないかで会話の幅も変わります。
また、文型導入で理解してもらえない時には、漢字を書けば理解してもらえることが多いです。今となっては漢字に頼らなくても語彙コントロールをして説明することができますが、経験が浅いときに漢字で通じるのは大きかったです。
2つ目は台湾と日本の距離です。
週6働いていると、休みが1日しかありません。お正月休みや台湾の祝日を使って実家に帰るとき、4時間で帰れるのはよかったです。飛行機の便も多いですから、ギリギリまで実家に帰省できました。友達や親も気軽に来ることができるので、よく遊びに来てくれました。だからホームシックになることはありませんでした。
3つ目は親日であることから、日本に詳しいことです。
先生より日本に詳しい学生が多いです。時事問題や観光地、アニメ、漫画など。中級を教える時は苦労しました。授業中に時事問題やアニメの話を出してくる学生が多いので、毎朝新聞に目を通したり、流行のものを調べたり、ドラマやアニメのあらすじを確認しておきました。話題にすると授業が盛り上がるし、学生もそれを求めて授業にくる人が多いですから。
このように授業準備に少し色を加えると、休日はつぶれてしまいます。その上文法分析や宿題もプリントも作るので、授業を凝れば凝るほど休日というのは無くなる覚悟が必要です。
生活は漢字も通じて、親日なので、楽しく生活ができました。学生のみなさん先生を立ててくれるので、たまの休みにいろいろなところに案内してくれました。
ただ上記にも書いた通り、休みが1日だけなので、ほとんど家で宿題の添削や次の週の授業準備をしていました。経験を積んでもずっとこの生活でした。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
親御さんがあまり宿題やテストに協力的ではなかったという部分です。共働きが多いので、託児所のように利用している人が多いなあと感じました。
例えば、子供が宿題してこないので親御さんに「気を付けるように」とお願いしても改善されることはあまりありませんでした。また、授業が終わってもなかなか迎えに来ない親御さんがいて、その子供の相手を私たちが休憩中にしなければなりませんでした。この部分に少し疑問を感じました。
あまり協力的ではないのに、成績が伸びないと「なぜできないのか?」と聞かれることが多かったので、戸惑い、苦労しました。宿題や復習もしないのに…。授業中だけでは成長しないことを理解してほしかったですね。
なぜこの日本語学校を退職しましたか?
契約満期だったのが一番の理由です。生活は楽しかったし、ずっと台湾にいることも考えました。ただ、日本の家族、自分の将来のことを考えると残るという選択肢が無くなってしまいました。
1つは、日本で社会経験がなかったので、日本で日本の社会経験をしたいと思ったこと。もう一つは、海外に住んで、日本の事を客観的に見ることができました。そうすると、まだ私は日本について何も知らないなと思えました。日本のことをもう一度勉強しようと思いました。
最後に、台湾にいる時に祖父が急になくなり、悔しく悲しい経験をしました。そのことから、親が動けるうちに親孝行をしておきたいと思うようになりました。これらの理由から、帰国することに決めました。
給与
現地で生活をするのに十分
台湾の南部に住んでいたので、この給与でも問題なく生活できました。
家賃も安く、お弁当も安いです。また、保険料も安いので病気になったら小さな風邪でもすぐ病院に行っていました。休みも少ないですから、使う機会もなかったからか、十分貯金もできました。
まとまった休みがあるので、まとまった休みのたびに、海外旅行に行きました。(マカオ・香港・シンガポールなど)日本から行くよりも近く、安く行けるので行けるだけ行きました。
昇格すると、日本までの飛行機代もいただくことができました。中国語を習う学費も半額出していただきました。待遇は悪くなかったと思います。
台湾には朝ご飯屋、飲み物の店、屋台や夜市などがたくさんあります。
他の先生はこのような細かいものを毎日のように買っていて、「お金がない」と言っていましたが、私は、毎日毎日は買っていなかったので、十分生活できました。使い方には注意したほうがいいと思います。午後10時退勤後もたくさん営業していて、おいしそうなものばかりなので誘惑されてしまいます。
給与の詳細を読む...
給与
- 月収:12万円
月収の内訳
- 基本給:12万円
待遇
- 残業代
- 有給
- 保険(全民健康保険)
雇用形態
- 専任講師 *正規雇用
勤務時間
- 1日8時間 週6日勤務 *残業 残業なし
学校が定める学生の長期休暇の有無
- 春節:10日・夏期講習終了休み:約6日
長期休暇中の給与保証
- 仕事はないが、給料は支給される
授業形態・勤務スケジュール
スケジュール管理で大変だったことは?
初めの頃は授業準備が大変でした。慣れてくるとどの辞書、参考書を見ればいいかなどコツがつかめてくるので楽になります。そのあとはクラスの雰囲気にあった授業にするために時間を使いました。
宿題の添削は、できるだけその授業が終わったら、その教室で終わらせるようにしていました。ため込まない。でも、クラスになると量が多いのでため込んでしまい、お弁当を食べながらや家に帰って添削なども日常茶飯事でした。
授業形態やスケジュールの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス8人
- プライベートレッスン
学習者層
- 幼児
- 小学生
- 中学生
- 高校生
- 大学生
- 社会人
- リタイア世代
スケジュール
- 13:00~14:20授業準備
- 14:30~15:30 4人クラス 中級
- 15:30~17:00 授業準備・新人研修・会議など
- 17:00~18:00 プライベートレッスン 子供
- 19:00~20:10 8人クラス 上級
- 20:20~21:30 8人クラス 初級
台湾で日本語を教える前に準備すべきだったことは?
初級は必ず教えるチャンスがあると思うので、初級の指導項目はある程度見ておいたらいいかなと思います。自分も行く前に「みんなの日本語初級」の指導項目が宿題に出されました。初めて授業見学をしたときに何を教えるのかわかっていたので、授業に入りやすかったです。
あとは動詞の活用などきちんと理解しておいたらいいと思います。必ず教える項目ですから、どう教えるか先に考えておいたらいいと思います。
もっと準備しておいたらよかったことは、文型の比較です。文法書などを見て、事前に類似文型などを初級だけでも確認しておいたらよかったと後悔しました。クラスをもってからだと授業準備に時間を取られて、文法分析を細かくする時間がありません。
教案作りで参考にしているサイトは?
- 『日本語NET』
主に文法分析に使用する。 - 『絵でわかる日本語』
絵を参考にすることがあります。導入の部分や説明の方法も参考にすることがあります。 - 『少納言「現代日本語書き言葉均衡コーパス」 』
例文を探すときに使います。
教案作りで参考にしている書籍は?
- 『くらべてわかる 初級 日本語表現文型ドリル』
対象:
初級
文型の比較の際に使います。練習問題もあるし、比較のポイントも書かれてあるので、参考にしてまとめのプリントを作成したりします。中級日本語表現文法ドリルもいいです。 - 『おたすけタスク初級日本語クラスのための文型別タスク集』
対象:
初級
主に初級の教室活動で使います。子供の授業でも使えます。盛り上がるので重宝しています。 - 『日本語類義表現と使い方のポイント―表現意図から考える―』
対象:
初級・中級
文型の比較で使います。他の文法書よりも説明が分かりやすいので使っています。市川先生の本は比較的わかりやすいのでお勧めです。
就職活動
この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?
大学4年の就職活動と同じです。大学4年生だったので就職活動するのに日本語教師求人サイトを見ていると出てきました。初めから台湾で探していました。漢字圏で親日だからです。
また、台湾の中でも私は都会過ぎるところは苦手なので少し田舎に行きたかったこと、子供の授業をしてみたかったことなどからこの日本語学校を選びました。
面接ではどのようなことを聞かれましたか?
子供の日本語教育に力を入れている学校だったので、子供が好きかどうか聞かれました。
また、イベントなどの活動をするならどんな企画を出すかも聞かれました。
一番印象に残っている質問は、
「社長は台湾人です。意見が食い違った時など何か問題が起きた場合あなたはどのような対応をしますか。」です。でもこれは外国の人と仕事をするうえで、大切な質問だなと実際仕事をして思いました。
社長もスタッフも日本語が流暢にできても細かいニュアンスまで伝わらずに意味を互いに取り違えることがあったので、きちんと対応する方法を考えておいた方がいいと思いました。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
一番は趣味の日本語です。字幕なしでドラマが見たい、ゲームがしたいなどが多いです。観光のためにという理由も多いです。親日ですから、日本語は根強い人気があります。
子供のクラスも多いです。両親が日本好きという理由から子供の習い事を日本語にするというのが多いようです。台湾の子供は習い事をたくさんしています。その中でも日本語はまあまあ人気があるようです。
この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
日本語教師になるための資格以外はそこまで重要でもなかったなと思います。
中国語ができなくても問題はありませんでした。生活には少し不便を感じたこともありましたが、仕事では問題ありませんでした。
資格ではないのですが、いろいろなことを知っているのは強みになると思います。
職歴もそうですし、アルバイト経験もそうです。面接を指導したり、ビジネスの言葉を教えたりする機会もあるので、社会人経験がたくさんあるほうがいいと思います。
また、社会人経験だけではなくていろいろなことにアンテナを張っておくのはいいことだと思います。アニメでも音楽でもアイドルでも社会問題でも必ず授業のネタになるので持っていた方が強みになります。
就職活動で参考にしたウェブサイトは?
-
『日本語教師の集い』
日本のみならず、海外情報もあるので便利です。最新の情報が多いので、よく使います。一覧で見られるのもいいです。
国選びで重視した点
- 治安
- 親日国
- 日本との距離
現地における日本語教師の需要・将来性
- 人気があり、一定数の学校で求められている
就職 教育機関選びで特に重視した点
- 必須資格
- 使用されている教授法
- 子供の授業がある
応募時に必要とされた資格
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 日本語教育能力検定試験合格
- 大学 日本語教育主・副専攻
就職 選考方法
- 書類
- 面接
面接方法
- 現地にて実施
- skypeやzoomなどのインターネットツールを使用して面談
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
高校生の時にアメリカ研修に行き、そこで書道や日本のダンスをした際に、現地の人たちがすごく喜んでくれたことに感動しました。
その時に初めて日本の文化を客観的に見ることができて、日本の文化の魅力というものに気づかされました。日本の魅力をもっと世界に知ってもらいたいと思いました。この時に海外と日本をつなぐ仕事についてみたいと漠然と思い始めました。
大学生の時に長年独学で勉強してきた韓国語の力を試したいと韓国に行きました。現地の人たちの言っていることがわかり、自分の韓国語が通じていることに感動しました。独学で地道に勉強してきたからこそ、感動は本当に大きかったです。
アメリカ研修と韓国訪問は私の今までの価値観を180度かえ、視野を広げることができた経験でした。こんな経験を他の人にもしてほしい、そう思って高校生の時に漠然としていた海外と日本をつなぐ仕事というのを日本語教師としてやっていきたいと決めることができました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
私と同じ経験をしてくれた時です。1年前までは全然日本語を知らなかった学生が、頑張って勉強して、旅行で日本に行って、日本人の人と話してコミュニケーションがとれて、友達を作って帰ってきました。それをうれしそうに私に話してくれた時はたまらなくうれしくなりました。日本語教師をしていると人の成長が目に見えて感じることができます。
1年前まで0だったものが進歩して1になり、あこがれていた自分に近づいて行ってくれるのです。
それも私自身ではなくて、教えた学生がです。その成長の手助けができていると思うと、本当にうれしいです。
日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?
仕事量と給与が今でも割に合わないなと思います。日本語教師が好きだから、365日24時間仕事でもいいなと思っている人間なので、問題はあまりないのですが、ふとたまに、「この仕事量でこの給料か」と思います。この仕事が好きで続けていきたいけど、生活ができないからやめようと思うことはありました。
学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。
大学卒業して、すぐ日本語教師になるのもいいと思います。若い頃から日本語教師の経験を積んでいるとキャリアがそれだけあるので、日本語教育のいろいろな場所で若さで重宝されます。
ただきちんと将来プランを考えたほうがいいと思います。海外に行くのか、日本で非常勤になるのか、常勤になるのか。働き方が全然ちがうので、これからどうなりたいか長い計画を立てたうえで今どうすべきかを考えたほうがいいと思います。
社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。
社会経験は大きな強みになります。確実に授業に役に立ちます。ビジネスや面接などの授業が持てるので、強みができ、授業がもらえやすくなると思います。
しかし、随分遅くに日本語教師デビューになると体力面でかなり大変になると思います。はじめのことは想像以上に授業準備が大変です。寝る時間も食べる時間もないくらいです。準備以外に文法分析などもありますし、イベントや会社の雑用もあると本当に大変です。ですから、体力のあるうちに行くことをお勧めします。
台湾で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
台湾は本当にいいところです。親日です。みなさん本当に親切にしてくれます。また、日本に興味がある人が多いので、自分の知っている日本のことについていろいろ話に来てくれます。
学生も先生を立ててくれるので、たくさん助けてくれます。困っていたらクラス一丸のなって助けてくれます。クラスの雰囲気作りも上手なので、たのしく授業ができると思います。
食べ物は好き嫌いが激しいと思います。少し油が重いので、気を付けたほうがいいと思われます。
交通事故にも気を付けてください。日本の感覚とは違います。日本では想像できないくらいのことが起こります。逆走やオートバイに乗っている人数など。日本にいる時よりも気を張って注意したほうがいいと思います。
最後に、今までにも書きましたが、未経験者は漢字圏なので安心です。また、みんなが日本の事についてよく知っていますし、価値観が日本に近いので、話題や導入のネタが出てきやすいです。そこも授業をするうえではいい環境だと思います。
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