掲載日:

海外日本語教師経験談

スリランカ 南部 日本語学校(2019年) 海外で実践してみないとわからない日本語教育

👩 LALANKAさん・ 28歳

総評

  • スリランカ 南部 日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間:3年 (2016~2019年) *退職
  • 月収:3万4,000円 (4万ルピー) *なんとか生活できる
  • 勤務時間:1日8時間 週5日勤務   *残業:残業なし

スリランカには日本といえば、みんなが知っている言葉(映画)が1つあります。それは『おしん』です。国営の放送でおしんの映画が放映されていてみんなそれが大好きなんでそうです。私はスリランカで日本語教師をするまで、おしんを見たことがありませんでしたが日本から遠く離れたスリランカでこんなにもブームになっているとは正直驚きました。

スリランカの学生は最初はとても恥ずかしがり屋です。慣れてくると人懐っこく可愛いところがたくさんありますが、教師と学生という壁をある程度意識しながら付き合わないと、良くも悪くも友達のような感覚になってしまいます。

日本語の学習に関しては、みんな耳がとてもよく発音もとても綺麗に話します。シンハラ語だけではなく英語もネイティブ並みに話せる学生がほとんどで、ヒンディー語(インドドラマが皆好きなので)を話せる学生も多かったです。

スリランカ人の中で2、3ヶ国語を話せるのはまずらしいことではないようです。そういったこともあって、語学の読み込みがとても早いと感じました。非漢字圏ですが、だからこそ漢字に興味を示す学生も多かったです。

私自身、日本では日本語教師の経験がなく初めてスリランカで日本語教師として仕事をしました。学生から『ず』と『づ』の違いについて聞かれた時は、うまく説明ができず回答をするために一晩中それについて調べたこともあります。

実践的に日本語を教えていく中で、日本人として生活の中で自然に学んだ日本語を外国人の方に教えることはとても難しい反面、日本語に対する『なぜだろう?』と疑問に思う着眼点が私たちと全く違い面白いことに気づかされることがよくあります。今では外国人の目線で日本語を感じることができるようになりました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

夜中仕事しながら通学していたり、家族の面倒を見ながら通学していたり、様々な生活リズムを送る学生が集まっていたので、宿題の進行状況がバラバラで、最初手こずりました。

学習の遅い学生に合わせているとなかなか授業も進まないので、テストの点数があまり良くなかったり、宿題ができない学生は授業時間より1時間早く来てもらい、個別で対応したりしました。

怒るのではなく、なぜ宿題ができないのか、なぜテストの点数が取れないのか1人1人と少し向き合って話をすることで、どうしたらいいのか解決策が見えて来たように思います。授業前後の学生との時間を大事にすることを心がけていました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

主人の転勤があるため、日本へ帰国することになりました。当初の契約も2年以上ということでしたので、ちょうど3年間勤務して退職しました。とても風通しが良く、楽しい充実した3年間を過ごすことができ、悔いは何一つありません。

給与

月収:3万4,000円 (4万ルピー)
なんとか生活できる

スリランカでは毎月ポーヤデイと言って満月の日は祝日となります。毎月必ず土日以外にも1日は祝日があるのでお休みの日数は特に不満はありませんでした。

スリランカの平均の収入は月25,000から30,000ルピーなので、平均よりは良いお給料をいただいていました。旧正月には、日本でいうお年玉のようなものを社長が毎年給料とは別に振り込んでくれます。

物価もそこまで高くないので、贅沢をしなければ普通の生活はできます。貯金などはこの金額では難しいかと思います。

自分の誕生日にはお誕生日休暇を取ることができ、土日に合わせてみんな家族旅行に出かけていました。家族優先の文化があるので、授業がない日などにスケジュール調整をして家族行事などでお休みを取るスタッフも多かったです。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:3万4,000円

月収の内訳

  • 基本給:3万4,000円

待遇

  • 残業代

雇用形態

  • 専任講師 *正規雇用

勤務時間

  • 1日8時間 週5日勤務   *残業 残業なし

長期休暇中の給与保証

  • 長期休暇がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

コースごとに時間数が決められているため、コース終了までにテキストを終了してテスト対策まで行う時間配分が一番難しかったです。

あらかじめ、コースが始まる前にスケジュールは全て作りますがクラスの人数や学生の理解に合わせて授業の進行が遅れてしまうこともあり、こちらの思うようには授業が進められないことがありました。

私の事務や授業準備の時間を割くことにはなりましたが、質問は授業後1時間もしくは授業前1時間と決まりを作ったらだいぶスケジュール管理が楽になりました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス20人

学習者層

  • 社会人

スケジュール

月曜日
  • 事務手伝いと授業準備(プリント印刷、テスト採点など)
火曜日
  • 9:00~12:00  初級クラス1コマ
  • 13:00~16:00  初級クラス1コマ
  • 授業後~18:00  授業準備と事務
水曜日
  • 9:00~12:00  初級クラス1コマ
  • 13:00~16:00  初級クラス1コマ
  • 授業後~18:00  授業準備と事務
木曜日
  • 9:00~12:00  会話クラス1コマ
  • 13:00~16:00  会話クラス1コマ
  • 授業後~18:00  授業準備と事務
金曜日
  • 9:00~12:00  初級クラス1コマ
  • 13:00~16:00  初級クラス1コマ
  • 授業後~18:00  授業準備と事務
休日 土・日・祝日
一日中休めていました

スリランカで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

日本の観光ガイドブック(英語版だとなお良い)などは空き時間に、日本について説明したり何か興味を持たせるきっかけ作りになるかと思います。

あとは子供用の簡単な絵カード、絵本などあれば使えると思います。私は一時帰国の時に日本の幼児用のものを買って行きました。あとは、かるたもおすすめです。少しひらがながわかってきた子供達にはかるたゲームは空き時間のリフレッシュにぴったりです。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語NET
    単語リストなどは同じようなものを作り学生に配ったりしました。あとはクイズメーカーでクイズを作って実際に学生にさせたりしました。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • みんなの日本語 初級I 第2版 本冊 対象: 初級
    CDも活用し、授業ごとにリスニング練習としてCDで練習問題をしていました。このテキストだけでは理解が難しいところがあり、単語表など自分で作成して必要に合わせて配布していました。
  • みんなの日本語 初級II 第2版 本冊 対象: 初級
    みんなの日本語Ⅰと同様、CDも活用し、授業ごとにリスニング練習としてCDで練習問題をしていました。このテキストだけでは理解が難しいところがあり、単語表など自分で作成して必要に合わせて配布していました。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

スリランカで知り合った現地の方に紹介していただきました。私の会社では私以外にはオーナー以外に日本人スタッフはいませんでした。オーナーの仕事のサポートや日本語教師として働くことができる日本人を探していると聞き、会社のHPを調べて私から連絡しました。オーナーも日本人だったので、話がスムーズに進み、オフィスでお話をしてその後すぐに働くことになりました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

日本語は高校の選択科目でもあるくらいメジャーで人気があります。日本への留学を希望する学生もたくさんおり、親日国なので需要はかなりあります。

毎日オフィスへクラスの問い合わせや、日本留学についての問い合わせの連絡が何件も来ていました。日本語学校も町に1つは必ず目にします。さらに日本人の講師は少ないようなので、日本人の先生はかなり需要があるように感じました。実際に私の教え子も、日本人から日本語を学びたくてここの学校を選んだと言っていました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

スリランカの場合、シンハラ語が話せたら1番いいのかもしれませんが、みなさん普通に英語が話せるのでどうしても日本語が難しい場合は英語で説明していました。英語が通用する国であればやはり、英語ができるととても強みになるかと思います。

他の事務スタッフとは基本的に英語で会話することが多かったです。トイックのスコア何点とか、英検何級よりも実践でどこまでコミュニケーションが取れるかが重要かと思います。

日本語教師としては特にこれができた方がいいという具体例は思いつきませんが、海外の方とのコミュニケーションがしっかり取れる方の方が良いかと思います。

就職活動で有効な手段は?

  • 『直接募集があるか尋ねる』
    スリランカの日本語学校を検索して直接募集があるかどうか、尋ねてみるのがいいと思います。

国選びで重視した点

  • 親日国

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 人気があり、一定数の学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校の規模
  • 会社の雰囲気

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 大学 日本語教育主・副専攻

就職 選考方法

  • 紹介のため試験なし

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

私の大学は1年生の時は専攻学科が決まっていません。1年間の間にいろんな学科の授業の入門を履修して2年生に上がる時に専攻学科を決める仕組みななっています。そこで、どうせ4年間大学ニア用のであれば、何か資格をとった方がいいのではないかと考えました。

海外にもすごく興味がありいつか海外でも生活してみたいそんなぼんやりとした夢があったので、じゃあ海外で私にできる仕事って何だろうと考えた時に、日本語教師の資格を大学で取得できることを知り、資格が取得できるような授業を履修しました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

私の学生のほとんどは、日本留学や技能実習で日本へいくために勉強に来ていました。そんな学生たちが、日本語能力試験に合格したり、日本のビザが交付されたりした時は自分のことのように毎回嬉しかったです。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

まだ大学で日本語教師の資格が取得できるように、授業の履修登録ができるのであれば、大学で取るのがおすすめです。

少し余分に授業をとったり、資格のためにあまり興味のない授業も履修することになるかもしれません。しかし卒業後に取得するためには高いお金を払って時間を使って学校に通うもしくはオンラインで授業を受けなければなりません。少しでも興味があるのであれば、是非大学で取得できる資格は取得しましょう。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

まず資格を取るためには通信もしくは通学で日本語教師の講座を受講する必要があるかとおもいます。海外ですと、条件で日本語教師の資格なくても良いところもあるようですが、やはり仕事として取り組むためにはそれなりの知識(授業の組み方など)が必要となるかと思います。

スリランカで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

日本とは全く文化も違うスリランカで仕事をすることは最初は戸惑うこともあるかもしれません。しかし、一番身近に現地の人々と触れ合えて自分の母国の言葉を教えられる素敵な仕事だと思います。親日国でとても心のあたたかい人々との出会いがたくさんあります。私自身、彼ら彼女らから学ぶこともたくさんありました。

初めてスリランカについてインターネットで検索しようとした時、スリランカと入力したら嘘つきと続いて出て来たので驚きました。しかし、実際学生たちと3年間触れ合ってみてとても純粋な心を持った人ばかりで、イメージがガラリと変わりました。もちろん嘘つきもいます。

日本語教師としての第一歩、スリランカは個人的におすすめです。

南・東南アジアの国・地域別 経験談

当サイト人気スクール 420時間養成講座