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海外日本語教師経験談

シンガポール シンガポール 高等教育機関(2010年) 多言語の国シンガポールに魅了されて

👩 エマさん・ 43歳

総評

  • シンガポール シンガポール 高等教育機関
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間:7年 (2003~2010年) *退職
  • 月収:43万円 (6,700シンガポールドル) *現地で生活をするのに十分
  • 勤務時間:1日8時間 週5日勤務   *残業:イベント時土曜日出勤

聞いたことがない独特のリズムを持った英語ーシングリッシュを、華語(中国語)とコードスイッチしながらマシンガンのように話すシンガポール人の友人にたまらなくほれ込んでしまったのが、シンガポールという国に最初に興味を持ったきっかけでした。

「あなたの頭の中は一体どうなっているの」と何度も質問攻めし、またシンガポール人たちが集まる会食の席など、言葉が分からないのに参加し、その何とも言えない不思議な言語環境に身を置き、ただただ聞き惚れていました。

そのうちに、シンガポールを実際に訪問するようになり、そのうちに、働くようになり、永住権も取得して今に至ります。とにかく言葉に興味がある人間には、面白い国だと思います。そして、そのようなバックボーンを持つ学生たちに接するのも、興味を掻き立てられます。

教室は、シンガポールの縮図通りで、中華系、マレー系、インド系の学生たちがそろいますが、日本語は、中華系の学生たちにより人気があります。非漢字圏の学習者には、文字学習のディスアドバンテージがあるので、悪い成績をとりたくない、と敬遠されることもしばしばあります。

教室での共通語も英語で、講義はもちろんのこと、学生を褒めるのも叱るのも、英語でしなければなりません。

とにかく、そんな状況が面白くて仕方がなかったのですが、日本語教育のレベルは、初級中心のため、かなを教え、「こそあど」と「買い物」を教えたら、コースが終了してしまうような教授環境に次第に飽きを覚え、初級に偏りすぎているシンガポールの日本語教育に埋没すると、万が一日本帰国が決まった際に、中上級が中心になる日本では通用しないのではないかと、焦りを覚え始めました。

お給料も大変よく、日本帰国で再会する日本語教師仲間から、「高給取りなのに、正気か」と止められましたが、結局、退職しました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

この教育機関で最も苦労したことは、学生管理でした。大半の学生は、真面目に勉強するのですが、一部のコースで、学生の学力が著しく低かったり、勉強する姿勢そのものがなかったりする学生たちがいて、その学生たちをいかに真面目に勉強させるかというのが、悩みどころでした。

例えば、クラス中に携帯電話が鳴ると、その場で出てしまったり、休み時間後に、なかなか戻ってこない学生が多いのに驚きました。そんなこちらにしては「当たり前」の常識が、共有されていませんでした。

学生指導は、当然英語ですが、いかに胸に響く指導ができるかが左右します。言い回しを四六時中考え、難しいケースでは、下書きまで作って対応しました。

なぜこの高等教育機関を退職しましたか?

この機関の日本語コースは、超初級で、かな、こそあど、買い物の表現を教えたら、コースが終了します。だんだん、超初級に偏っているコースを繰り返すことが苦痛になってきました。また、他機関に移籍したり、日本に帰国して教える場合、中上級の指導がこのままではできなくなると思い、退職を決意しました。

待遇は非常に良かったので、他国や日本で教えている日本語教師仲間からは、もったいない、と言われましたが、職業的な成長の機会を逸するほうが長い目で見たときに恐ろしいことだと思いましたので、決断しました。

給与

月収:43万円 (6,700シンガポールドル)
現地で生活をするのに十分

日本円にしてみると、かなり高給にうつりますが、この機関で働いていた時、不動産市場が高騰しており、同じ物件で、家賃が契約更新時に倍になりました。(同じ物件で、9万円だった家賃が、18万円に上昇)。引っ越しする時間がなかったので、契約更新前は一人で賃貸していましたが、倍額になってからはルームメイトを入れました。

不動産以外もシンガポールは物価が高く、お金が足りないということはありませんでしたが、たくさんあるとは思えませんでした。不動産がどんどん高くなっている時期だったので、いつも不安でした。

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給与

  • 月収:43万円

月収の内訳

  • 基本給:43万円
  • CPF【厚生年金のようなもの】:63,000円

待遇

  • 有給
  • 健康診断
  • 現地語学レッスン受講
  • 賞与 年間65万円 一律1.5カ月分の給与+パフォーマンスボーナス
  • 専門に関する外部コース受講費補助
  • 保険(外来1回につき10ドル請求可)
  • 福利厚生手当

雇用形態

  • 専任講師 *正規雇用

勤務時間

  • 1日8時間 週5日勤務   *残業 イベント時土曜日出勤

学校が定める学生の長期休暇の有無

  • 年間有給:40日

長期休暇中の給与保証

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授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

教えるだけの立場から、コースの責任者になり、そのコースが複数になり、そのうちに、後輩を教える立場になったりして、日本語学科での責任が重くなり、業務がどんどん増えていきました。

また、他学科の教員と日本語教育とは全く関係のないプロジェクトを任されたりして、ネイティブ並みの英語力が瞬時に求められるので、私にはとても負担でした。週末に必死で英語の勉強をし、なんとかこなしました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス25人

学習者層

  • 17~20歳(シンガポール独自の教育枠のため、このような記述になります。)

スケジュール

月曜日
  • 8:00~10:00  初級
  • 10:00~12:00  初級
火曜日
  • 10:00~12:00  初級2
  • 14:00~16:00  初級2
水曜日
  • クラスなし、授業の準備、コーディネート、教材、テスト作成など
木曜日
  • 10:00~12:00  初級3
  • 14:00~16:00  初級1
金曜日
  • クラスなし、会議、授業の準備、コーディネート、教材、テスト作成など
休日
  • 土曜日:イベント、土曜日の特別授業がたまに入ることがあるが、たいていは休息日。家事や、スポーツなど。自分自身の勉強や研究。
  • 日曜日:仕事が入ることは皆無。家事やスポーツ、友人と会ったり、マレーシアなど近隣に遊びに行った。自分自身の勉強や研究。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • アルク
    英文を書くときに一番頼りにしたのが、アルクの「英辞郎on the web」でした。常に、一番上にブックマークされていました。例文が豊富なので、とても重宝しました。
  • 日本語能力試験
    日本語能力試験対策のクラスで紹介、使用しました。
  • みんなの教材サイト
    主にイラストを探すのに、よく利用しました。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • NAFL日本語教師養成プログラム 対象: 全レベル
    物理的に持って行ける書籍が限られている中で、常に帯同しているのがかつて受講したアルクの通信講座の教科書でした。日本語教育のあらゆる分野が網羅されているので、仕事上での疑問や悩みに対する答えが必ずどこかにあります。元は検定試験の合格のために購入した通信講座でしたが、仕事にも十分応用可能でした。
  • みんなの日本語 初級I翻訳・文法解説 英語版 対象: 初級
    教材は、「みんなの日本語」ではなかったのですが、授業のためのハンドアウトに載せる文法説明や、実際に授業で文法説明をするときの言い回しなどは、みんなの日本語の文法解説書をかなり参考にして作成していました。
  • みんなの日本語初級〈1〉標準問題集 対象: 初級
    上述したとおり、教材は、「みんなの日本語」ではなかったのですが、標準問題集は、学生の宿題プリントや、コース終了後の試験作成の際に、参考にしていました。

就職活動

この高等教育機関で働くきっかけ・決め手は?

イエローページを使って、シンガポール中の日本語学校や、高等教育機関のウェブサイトなどを全てリストアップしていました。そして、順次その学校のウェブサイトをチェックしていた時に、求人を見つけて、応募したのが最初のきっかけです。

複数応募して、複数合格しましたが、その中で、一番条件がいい学校を選びました。コツは、やはり、直接その学校のウェブサイトをくまなくチェックすることだと思いました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

一次面接は、直属の上司による面接でした。今までの教授体験、専門について、説明を求められただけで、模擬授業などは特にありませんでした。

シンガポールには、どれぐらいいる予定なのか、シンガポール料理で何が好きか、など、おしゃべりが中心で、それ以外に質問があるか、とのことだったので、使用教材、業務内容、給与体系について単刀直入に聞きましたが、どれも親切に教えてもらえました。

二次面接(最終面接)は、学部のトップの方による面接で、まったく業務に関係ない小話で盛り上がりました。たぶん、内定を受けていて、あとは、形式ばかりの顔合わせなんだと思います。

日本に旅行に行くけれど、どのホテルがいいか、絶対行ったほうがいいところは、どこか、など聞かれました。今思えば、語学力チェックと、コミュニケーション能力をチェックされていたかもしれません。

この高等教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

シンガポールは厳格な学歴社会なので、学士がないと、教育分野はそもそもビザが下りません。修士は非常に強力です。高等教育機関で教えるなら修士は取っておきたいところです。

日本では必須の主専攻、副専攻、または日本語教育能力検定試験などは、一応申告はしますが、そこまで重要視されません。

それよりも、英語で指導ができることが重要視されます。そのため、日本の大学を卒業した人よりも、アメリカ、イギリスの大学や大学院で教育や言語学の修士号を持っている人が採用されることも多いと感じます。

とは言っても、日本語教師としてきちんと訓練を受けていない人は、実際はなかなか教えられず、あまり長続きしません。要は、日本語教育の確固たる専門知識と経験に、英語の語学力が備わっていたら、かなり有望だと言えます。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • JALTAS
    シンガポール日本語教師の会 会員になると、就職情報が送られてくることがあります。
  • 日本語教育学会
    シンガポールの情報も時々出ます。
  • シンガポールイエローページ
    Japnaese Language Schoolなどで検索すると、学校の一覧が出てきます。最近はウェブサイトを持つ学校も多く、求人情報は各サイトに出ることが多いので、イエローページで調べて、直接ウェブをチェックするのが近道です。

就職活動で有効な手段は?

  • 『ストレートタイムズ』
    現地の新聞の求人に出ています。現地にいないと入手は難しいですが、ウェブサイトもあります。

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 必須資格
  • 学校の規模
  • 給与・待遇

応募時に必要とされた資格

  • 大学 日本語教育主・副専攻
  • 日本語教育経験 3年以上
  • 英語能力

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

面接方法

  • 現地にて実施

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

外国語を学ぶことが好きなため、日本語教師なら外国で働くチャンスがあるのではないかという安易な理由からスタートしましたが、初めて就職した学校で、真面目に学ぶ学生、情熱溢れる同僚や先輩たちに感化され、自らの流されるような生き方に疑問を持ち始め、そのうちに、目的をもって日本語教育に真剣に取り組もうと思うようになりました。

長く働けるよう、日本語教育能力検定試験の合格、修士号の取得、英語の習得など、少しずつ、スキルアップしながら、キャリアアップを目指しました。

日本語教師をやってよかった! どんな時に実感しますか?

添付写真にある通り、授業の最後の日に、ホワイトボードに書かれた「先生、ありがとう。たのしかったです。」というメッセージ。消すのがもったいなくて、写真を撮って、そのまま消さずにとっておきました。(お掃除のおばちゃんに無残に消されてしまいましたが。)

初級文型だけでも、学生たちが一生懸命に、気持ちを伝えようとしてくれるのが、本当に嬉しかったです。言葉を教えることは、心を伝える道を開くことなんだと痛感します。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

日本語教師を辞めたくなったことは、何度もあります。駆け出しのころは、お給料が安いのに激務で、教案作成のために、ほとんど睡眠時間がまともにとれない時が続いたとき。

海外で日本語教師になったころは、慣れない環境での体調不良や精神不安、心許せる人がいない孤独感に苦しんだ時。安定した仕事につけても、今度は自分のキャパ以上の仕事を任されて、ストレスになったとき。同僚との関係がこじれ、どう頑張っても修復できないと悟った時。

でも、なんだか、全部乗り越えて、というか、やり過ごしてきてしまい、まだ日本語教師です。お給料が安くても、頑張れば、いい仕事はありました。教案は、そのうちに、ストックがたまって、そこまで時間をかけなくても書けるようになりました。

海外の環境は、3年もたてば、慣れ切って、体調不安も精神不安も自然解消。心許せる人も時間とともにできてくる。職場の敵とは、いかに付き合わないかという距離を学び、それより強力な味方を見つけました。

今は家庭とのワークバランスがうまくとれなくて、辞めたくなっています。どうやって乗り越えるんでしょうね。楽しみです。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

学生時代に最低半年は海外で語学留学を経験してください。外国語を学ぶ苦労、異文化で生活する心細さ、不便さを体に叩き込んでほしいと思います。その経験が、日本語教師になってから、外国人学生を理解する礎になると思います。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

多分、ほとんどの方が、最初は他業種から日本語教育への転職で、給料が下がると思います。ただし、その後、頑張り次第では、同等か、またはそれ以上の給与水準になることもあり、ご家族を養っている人もいます。キャリアアップのための勉強をがんばって続けて下さい。(私も頑張っています。)

シンガポールで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

2017年のシンガポールのビザ取得はさらに厳しくなっているのが現実です。また、日本語教育も、韓国語教育の台頭、外国語コースの縮小など、10年前とは随分様相が異なってきていると言えます。

しかし、これは、何もシンガポールだけのことではなく、アメリカや中国など他国も同じで、世界的な潮流であると言えます。それでも活躍している日本語教師たちは一定数いるのです。

活躍している日本語教師は、何が違うのか、といつも考えます。きっと運もよかったでしょう。学歴もあり、語学力もあり、適応力もある人なのでしょう。でも、それだけではありません。活躍している日本語教師にあるのは、ひとえに「情熱」だと思います。

厳しいけれど、仕事はあると思います。徹底したリサーチで就職情報をモニターし、諦めずに情熱の炎を消さずに、チャンスの到来を待ち構えてください。

南・東南アジアの国・地域別 経験談

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